婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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側妃達への贈り物

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やっと自領に入って一息ついた気がする。
王都に向けて我が領から荷物を定期的に出してる馬車が、この街長の屋敷に来る事は知っていた。その馬車にエリーゼがアンネローゼ嬢とミネルバ嬢へ何か贈り物んするだろうと予想していた。
エリーゼは私の思う通りに贈り物をすると言う、それも先日と同じメレンゲ菓子と飴玉だと言う。
エリーゼの王子宮生活が、早く終わるようにと用意していた薬をここで使う事になるとは思わなかった。
勿論、エリーゼの友人である二人の分も用意してましたよ。
薬を仕込めるか聞けば、作れそうだとの返答。エミリに耳打ちし、後程エリーゼの元に薬を届けさせる事にする。
エリーゼは何か聞きたそうだったが、何も聞かずにお菓子作りに行ってしまった。

「すぐさま持って行きますか?」

エミリが薬を持って来た。霊験あらたかな男児を身籠もる薬。是非とも側妃となった二人に
早々に男児を生んで貰い、あの娘に子に恵まれぬ苦しみを味わって貰わねば……死ぬまで王子宮で飼い殺しになれば良いのだ。死ぬ前に狂うかや?外に一生出ぬままならば顔を見る事もあるまい。

「少し間を置いてからの方が良い。種無し等と殿下が言われ、エリーゼの友が謂われ無き誹謗中傷の的になってはならぬ。あの二人には早々に王子宮から出て、後宮暮らしになって貰った方が後々良い。」

コクリと一つ頷いたエミリに微笑む。エミリも私の考えが分かるのか少しだけ口の端が上がる。

「フェリシア様は余程あの小娘にご立腹なのですね。」

「勿論よ。あの小娘は目障り故、目のつく所に出て来て欲しく無い。それだけよ。」

クスクスと笑うエミリは小さな声で「まぁ、恐ろしい」等と軽口を叩く。私も一緒になってクスクスと笑う。


そうしてエミリが薬をエリーゼの元に持って行き、暫くすると小さな壺を二つ持って帰って来た。

「フェリシア様、この飴三つで薬一本分だそうです。」

二つの壺は中々美しい出来だった、このまま贈ったとしても問題はあるまい。

「この壺ごと贈る。割れぬように布に包み、なんぞ箱に入れて頂戴。」

壺は側妃となるあの二人以外には開けれぬようにまじないを掛けておこう。

侍女達が布や箱、リボンを出して来て贈り物に相応しい形に整える。その間に私は手紙を書き記す、証立ての儀の直前……湯あみの仕上げとして飴を噛み砕いてワインと共に飲み下してほしい……と。エリーゼの名前で書いた。
王都の邸に残したシュバルツバルト領の上等なワインと共にあの二人の元に送り届けるよう、執事に言付ける手紙と共にハーピーに預け飛ばした。
私のだけじゃない。エミリとシンシアのハーピーも使って飛ばした。
これで良い……これで、少しは気が晴れると言うものだ。
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