309 / 756
シュバルツバルト領 (ある平民一家の母親)
侯爵様と一月の間ずっと旅をしてきた。
最初は驚く事ばかりだった、いや……ずっと驚きの連続だった。出発する時にワインも屋台の食べ物も振る舞われ、強そうな私兵に囲まれ街道をのんびりと進んだ。うちは荷馬車があったから、荷馬車に乗って行ったけど馬達が疲れない速さで行ったんだ。休憩も昼と夜にキチンと取って、そのたんびに美味しい食事やワインが振る舞われた。本当に美味しくて、私も夫も子供達もお腹いっぱい食べて飲んだ。そりゃあもう、毎日がお祝いかと思うようなご馳走だった。
初めて食べた甘い甘い果物や砂糖を使った高級なお菓子!子供達は飴玉ってのを貰って大喜びしたっけ。私も余りの甘さと美味しさで驚いたよ。
そのままずっと一緒に旅をして、領地に入って驚いた。どこもかしこもきれいで、街は豊かで人々も小ぎれいだった。王都生まれの王都育ちで、辺境領の方が田舎だろうと思っていたのが恥ずかしくて堪らなくなった。街で見かける商品はどれも新鮮で安かった。それよりも驚いたのが帝国の品々が驚く程安かった事。
聞けば、帝国の商品は各領地を通る通行料等でどんどん値上がりするのだと……王都は各領地から品々が入って来るけれど、遠方になればなる程通行料等で値上がりするから大変だろうと言われた。
旅が進み、領都に入って多くの人々が侯爵様の帰還を大喜びで歓声と共に出迎えたのも驚いたもんだ……
あたしはただの平民で、こんな事初めてだったけど夫は荷馬車の手綱をブルブル震えながら握ってたよ。子供達だけが暢気に手なんか振っちゃって、あたしだって畏れ多くて困っちまったんだ。
どんどん進んで小高い丘の上に建つ大きなお城を見て、これまた魂消たさ。王都育ちだから王宮を見て育ったんだ、でもその王宮よりも凄いと思っちまったんだよ。
「母ちゃん!ラーメンもらったよ!おいしいよ!」
「そうだろうとも、エリーゼ様がお作りになった新しい料理はどれも美味しいんだ。」
子供達は夫と一緒にラーメンってのを貰って来た。どれ、私も貰ってこようかね。
「ほら、お前の分も貰って来た。俺と一緒だけど、良かったか?」
夫はちょっと深いスープ皿を私に差し出し、長い旅の間に覚えた箸を渡して来る。この旅で慣れ親しんだ醤油の香りにクスリと笑う。
「良いに決まってるじゃないか。夫婦なんだから。」
「そうか……そうだな!夫婦なんだからな!」
二人して笑い、皿に口を付けて汁をソッと飲む。何とも言えない美味しさと温かさで、顔を見合わせ箸を握って中身を掴んで啜る。
「父ちゃん!母ちゃん!おいしいよ!」
子供達の笑顔に「そうだね。」と返して、ハフハフと食べ進める。
「侯爵様に付いて来て良かったな。」
「ああ……本当だねぇ、でもあたしたちはこれからだよ!」
「おおっ!」
「でも、今晩は特別だよ。腹いっぱい飲んで食べないとね!こんなご馳走、一生に一度かも知れないんだからね!」
あたしの言葉に夫も子供達も「おおー!」と言って、食べていた。あの時の夫の決断は間違ってはなかったよ。あたしはあんたに付いて来て良かったよ。
最初は驚く事ばかりだった、いや……ずっと驚きの連続だった。出発する時にワインも屋台の食べ物も振る舞われ、強そうな私兵に囲まれ街道をのんびりと進んだ。うちは荷馬車があったから、荷馬車に乗って行ったけど馬達が疲れない速さで行ったんだ。休憩も昼と夜にキチンと取って、そのたんびに美味しい食事やワインが振る舞われた。本当に美味しくて、私も夫も子供達もお腹いっぱい食べて飲んだ。そりゃあもう、毎日がお祝いかと思うようなご馳走だった。
初めて食べた甘い甘い果物や砂糖を使った高級なお菓子!子供達は飴玉ってのを貰って大喜びしたっけ。私も余りの甘さと美味しさで驚いたよ。
そのままずっと一緒に旅をして、領地に入って驚いた。どこもかしこもきれいで、街は豊かで人々も小ぎれいだった。王都生まれの王都育ちで、辺境領の方が田舎だろうと思っていたのが恥ずかしくて堪らなくなった。街で見かける商品はどれも新鮮で安かった。それよりも驚いたのが帝国の品々が驚く程安かった事。
聞けば、帝国の商品は各領地を通る通行料等でどんどん値上がりするのだと……王都は各領地から品々が入って来るけれど、遠方になればなる程通行料等で値上がりするから大変だろうと言われた。
旅が進み、領都に入って多くの人々が侯爵様の帰還を大喜びで歓声と共に出迎えたのも驚いたもんだ……
あたしはただの平民で、こんな事初めてだったけど夫は荷馬車の手綱をブルブル震えながら握ってたよ。子供達だけが暢気に手なんか振っちゃって、あたしだって畏れ多くて困っちまったんだ。
どんどん進んで小高い丘の上に建つ大きなお城を見て、これまた魂消たさ。王都育ちだから王宮を見て育ったんだ、でもその王宮よりも凄いと思っちまったんだよ。
「母ちゃん!ラーメンもらったよ!おいしいよ!」
「そうだろうとも、エリーゼ様がお作りになった新しい料理はどれも美味しいんだ。」
子供達は夫と一緒にラーメンってのを貰って来た。どれ、私も貰ってこようかね。
「ほら、お前の分も貰って来た。俺と一緒だけど、良かったか?」
夫はちょっと深いスープ皿を私に差し出し、長い旅の間に覚えた箸を渡して来る。この旅で慣れ親しんだ醤油の香りにクスリと笑う。
「良いに決まってるじゃないか。夫婦なんだから。」
「そうか……そうだな!夫婦なんだからな!」
二人して笑い、皿に口を付けて汁をソッと飲む。何とも言えない美味しさと温かさで、顔を見合わせ箸を握って中身を掴んで啜る。
「父ちゃん!母ちゃん!おいしいよ!」
子供達の笑顔に「そうだね。」と返して、ハフハフと食べ進める。
「侯爵様に付いて来て良かったな。」
「ああ……本当だねぇ、でもあたしたちはこれからだよ!」
「おおっ!」
「でも、今晩は特別だよ。腹いっぱい飲んで食べないとね!こんなご馳走、一生に一度かも知れないんだからね!」
あたしの言葉に夫も子供達も「おおー!」と言って、食べていた。あの時の夫の決断は間違ってはなかったよ。あたしはあんたに付いて来て良かったよ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について
みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編)
異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。
それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。
そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!?
R4.6.5
なろうでの投稿を始めました。