婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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使用人達の宴。

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使用人棟の大食堂に次々と大皿てんこ盛りの料理が運ばれ、ワイン樽が幾つも運び込まれる。普段ならワインを樽で運び込まれる事は無い。今日がお祝いだからだ。
見たことのない料理の数々に皆、興味津々で中には料理人に美味いのか?と聞く者もいた。
大きなテーブルに隙間が無くなる程に料理が並べられ、大人も子供も続々と集まって来ていた。多くの料理人がドカドカと入ってくると、集まっていた者達はこの目の前のご馳走を食べれると期待に充ち満ちたが料理長は何一つ言わない。
今日みたいなご馳走の日は料理長が一声掛けるのが始まりの合図だった。
皆が料理長がいつものように声を掛けない事に、不審に思い小声で手近な人物と囁き合い大食堂にざわめきが満ちた頃だった。
ドカドカと大きな音と何人もの料理人が大食堂の厨房に大鍋やら何やら持って入って行ったのを料理長はウンウンと頷くとニヤリと笑った。

「よーし!宴だ!」

料理長の言葉と共に、それぞれが気になった料理へと殺到し高く積み上げられたプレートにどんどん料理を乗せていく。肉も魚も野菜も……そんな時だった、プゥンと厨房から気になる匂いが流れて来る。

「ラーメンありますよ!」

ジムの大声が大食堂の中轟いた。料理長はずっと気になっていた、「ラーメン」という料理に一直線に向かう。

「ジム、ラーメンを一つ貰おうか。」

「はいっ!中で食べるのはトリガラ醤油のみですが、一番食べやすくてクセがありません。ラーメン一丁!」

ジムの説明を受け、一つ頷く。急にジムが掛け声を掛けるものだから料理長は驚いた。

「ラーメン一丁!」

大鍋に張り付いていた料理人が復唱したので、何事かと見やる。

「何だ、その掛け声は。」

思わず聞いた料理長は訝しさ満点だ。ジムは困ったように笑う。

「お嬢がラーメンの時はそうやって声を出すもんなんだけどって前に言ってたんで……言ってみたかったんです。」

「そうか。」

出て来た見たことも無い料理に驚いたが、ジムから食べ方を教えて貰い少しいざって食べ始める。その未知の料理に驚き、内心「姫様は何とも不思議な方だ。」と感嘆しスープまで飲み干してしまった。

「美味かったな……」

ラーメンが入っていた器を見て、大食堂を見回す。何人もの使用人がラーメンを食べて笑っていた。
やがて宴は順調に進み、子供達が母親達と共に消える。残ったのは男達と未婚の女達。そして、男達の手拍子に女達が歌う。手にはワインが入ってるだろう木のカップ。夜も更け、酔いが回ってきた者達は更にはしゃぎ手拍子で踊り出す。
料理長も料理人達も気がつけば、王都に行ってた連中が既に引き上げた事にやっとこ気付いて自分達も潮時だろうと引き上げた。
大食堂はまだまだ灯りが落ちる事は無い。
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