331 / 756
使用人達の宴。
しおりを挟む
使用人棟の大食堂に次々と大皿てんこ盛りの料理が運ばれ、ワイン樽が幾つも運び込まれる。普段ならワインを樽で運び込まれる事は無い。今日がお祝いだからだ。
見たことのない料理の数々に皆、興味津々で中には料理人に美味いのか?と聞く者もいた。
大きなテーブルに隙間が無くなる程に料理が並べられ、大人も子供も続々と集まって来ていた。多くの料理人がドカドカと入ってくると、集まっていた者達はこの目の前のご馳走を食べれると期待に充ち満ちたが料理長は何一つ言わない。
今日みたいなご馳走の日は料理長が一声掛けるのが始まりの合図だった。
皆が料理長がいつものように声を掛けない事に、不審に思い小声で手近な人物と囁き合い大食堂にざわめきが満ちた頃だった。
ドカドカと大きな音と何人もの料理人が大食堂の厨房に大鍋やら何やら持って入って行ったのを料理長はウンウンと頷くとニヤリと笑った。
「よーし!宴だ!」
料理長の言葉と共に、それぞれが気になった料理へと殺到し高く積み上げられたプレートにどんどん料理を乗せていく。肉も魚も野菜も……そんな時だった、プゥンと厨房から気になる匂いが流れて来る。
「ラーメンありますよ!」
ジムの大声が大食堂の中轟いた。料理長はずっと気になっていた、「ラーメン」という料理に一直線に向かう。
「ジム、ラーメンを一つ貰おうか。」
「はいっ!中で食べるのはトリガラ醤油のみですが、一番食べやすくてクセがありません。ラーメン一丁!」
ジムの説明を受け、一つ頷く。急にジムが掛け声を掛けるものだから料理長は驚いた。
「ラーメン一丁!」
大鍋に張り付いていた料理人が復唱したので、何事かと見やる。
「何だ、その掛け声は。」
思わず聞いた料理長は訝しさ満点だ。ジムは困ったように笑う。
「お嬢がラーメンの時はそうやって声を出すもんなんだけどって前に言ってたんで……言ってみたかったんです。」
「そうか。」
出て来た見たことも無い料理に驚いたが、ジムから食べ方を教えて貰い少しいざって食べ始める。その未知の料理に驚き、内心「姫様は何とも不思議な方だ。」と感嘆しスープまで飲み干してしまった。
「美味かったな……」
ラーメンが入っていた器を見て、大食堂を見回す。何人もの使用人がラーメンを食べて笑っていた。
やがて宴は順調に進み、子供達が母親達と共に消える。残ったのは男達と未婚の女達。そして、男達の手拍子に女達が歌う。手にはワインが入ってるだろう木のカップ。夜も更け、酔いが回ってきた者達は更にはしゃぎ手拍子で踊り出す。
料理長も料理人達も気がつけば、王都に行ってた連中が既に引き上げた事にやっとこ気付いて自分達も潮時だろうと引き上げた。
大食堂はまだまだ灯りが落ちる事は無い。
見たことのない料理の数々に皆、興味津々で中には料理人に美味いのか?と聞く者もいた。
大きなテーブルに隙間が無くなる程に料理が並べられ、大人も子供も続々と集まって来ていた。多くの料理人がドカドカと入ってくると、集まっていた者達はこの目の前のご馳走を食べれると期待に充ち満ちたが料理長は何一つ言わない。
今日みたいなご馳走の日は料理長が一声掛けるのが始まりの合図だった。
皆が料理長がいつものように声を掛けない事に、不審に思い小声で手近な人物と囁き合い大食堂にざわめきが満ちた頃だった。
ドカドカと大きな音と何人もの料理人が大食堂の厨房に大鍋やら何やら持って入って行ったのを料理長はウンウンと頷くとニヤリと笑った。
「よーし!宴だ!」
料理長の言葉と共に、それぞれが気になった料理へと殺到し高く積み上げられたプレートにどんどん料理を乗せていく。肉も魚も野菜も……そんな時だった、プゥンと厨房から気になる匂いが流れて来る。
「ラーメンありますよ!」
ジムの大声が大食堂の中轟いた。料理長はずっと気になっていた、「ラーメン」という料理に一直線に向かう。
「ジム、ラーメンを一つ貰おうか。」
「はいっ!中で食べるのはトリガラ醤油のみですが、一番食べやすくてクセがありません。ラーメン一丁!」
ジムの説明を受け、一つ頷く。急にジムが掛け声を掛けるものだから料理長は驚いた。
「ラーメン一丁!」
大鍋に張り付いていた料理人が復唱したので、何事かと見やる。
「何だ、その掛け声は。」
思わず聞いた料理長は訝しさ満点だ。ジムは困ったように笑う。
「お嬢がラーメンの時はそうやって声を出すもんなんだけどって前に言ってたんで……言ってみたかったんです。」
「そうか。」
出て来た見たことも無い料理に驚いたが、ジムから食べ方を教えて貰い少しいざって食べ始める。その未知の料理に驚き、内心「姫様は何とも不思議な方だ。」と感嘆しスープまで飲み干してしまった。
「美味かったな……」
ラーメンが入っていた器を見て、大食堂を見回す。何人もの使用人がラーメンを食べて笑っていた。
やがて宴は順調に進み、子供達が母親達と共に消える。残ったのは男達と未婚の女達。そして、男達の手拍子に女達が歌う。手にはワインが入ってるだろう木のカップ。夜も更け、酔いが回ってきた者達は更にはしゃぎ手拍子で踊り出す。
料理長も料理人達も気がつけば、王都に行ってた連中が既に引き上げた事にやっとこ気付いて自分達も潮時だろうと引き上げた。
大食堂はまだまだ灯りが落ちる事は無い。
154
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる