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ユキとピカ太郎 2
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ピカ太郎は幸せな時間を味わっていた。それは幼い頃に失ってしまった温かくて優しい温もりだった。モゾモゾとユキのお腹で丸まり夢を見ていた。
ユキは時折ペロペロとピカ太郎を舐める。その度にピカ太郎はウットリとした寝顔になる。ユキはその可愛らしい顔を見たくてペロペロと舐める。
そんなユキとピカ太郎の近くにトテトテと近付くリコ。
ユキはリコを見た事があった。それは同じ敷地内のうんと遠く外れた所にリコの母親が長となっている群れを遠目で見かけた事があったからだ。
「あのね、アタシしつれいなコトいわれなかったらなかよくするつもりだったコン。ピカ太郎はアタシよりさきにご主人様と契約してるコン。なかなおりしたいコン。」
(大丈夫。ピカ太郎はさみしかっただけ。群れにいてもママがいなくてさみしかったの。)
リコは離れてしまった母親を思い出してちょっぴりさみしくなった。けれど母親よりも大事な主の存在がその寂しさを温かい魔力でもって埋めていく。でも一瞬だけ感じた寂しさわ抱えて生きてきたのかと思うと、少しだけ心が痛んだ。
「ママ……かあさまがいないのは、つらかったコン……」
(大丈夫。私がピカ太郎のママになったから。)
ユキはペロリとピカ太郎の頭を舐める。
「ピカ……チュウ…………」
リコはピカ太郎の顔を見ようと回り込み、ピカ太郎の幸せそうな寝顔を見る。
「うれしそうだコン。」
(だと良い。おきたらなかなおりしてね。)
「そうするコン。ありがとコン。アタシ、ヒナねえねといるコン。」
そう言うとトタトタと走って心配そうにこちらを見ていたヒナの元へ戻っていった。モゾモゾと再び動き出したピカ太郎はチロリと片目を開ける。どうやら途中で起きたようだったが、どうしたら良いか分からなかったようだ。
(ピカ太郎、こまってる?)
「だって……どうしたらいいピカ?」
ペロペロと顔を舐め回すと、「ピカァ……」と可愛らしい声で鳴くピカ太郎。
(ちゃんとあやまって、なかよくしようって言えば良い。)
「ピカ……わかったピカ。がんばるピカ。」
ユキは舐めるのを止めて、体を起こし立ち上がるとピカ太郎をクイクイと押し立たせるとヒナとリコに向かってピカ太郎の背中をソッと鼻先で押した。
ピカ太郎は一回ユキを見て「がんばってくるピカ。」と小さく言うとトタタタッと四つ足で走って行った。
ピカ太郎はペコペコとリコに頭を下げて何かを一生懸命話していた。ユキはゆっくりと歩いて近付いて行く。
「なかなおりだコン!」
「わかったピカ!」
リコとピカ太郎の仲直りが無事出来たようだった。
ヒナはユキの横に来ると小さくピュイと鳴く。(ありがとう。)とヒナはユキにお礼を言った。ユキは思念だけで返事をする。
(私はピカ太郎のママになったから。みんなでなかよくするのがいちばん。)
(そうね。)
ヒナも思念だけで返す。
ユキはピカ太郎を見て、目を細める。それは母親が子供を見る目だった。
ユキは時折ペロペロとピカ太郎を舐める。その度にピカ太郎はウットリとした寝顔になる。ユキはその可愛らしい顔を見たくてペロペロと舐める。
そんなユキとピカ太郎の近くにトテトテと近付くリコ。
ユキはリコを見た事があった。それは同じ敷地内のうんと遠く外れた所にリコの母親が長となっている群れを遠目で見かけた事があったからだ。
「あのね、アタシしつれいなコトいわれなかったらなかよくするつもりだったコン。ピカ太郎はアタシよりさきにご主人様と契約してるコン。なかなおりしたいコン。」
(大丈夫。ピカ太郎はさみしかっただけ。群れにいてもママがいなくてさみしかったの。)
リコは離れてしまった母親を思い出してちょっぴりさみしくなった。けれど母親よりも大事な主の存在がその寂しさを温かい魔力でもって埋めていく。でも一瞬だけ感じた寂しさわ抱えて生きてきたのかと思うと、少しだけ心が痛んだ。
「ママ……かあさまがいないのは、つらかったコン……」
(大丈夫。私がピカ太郎のママになったから。)
ユキはペロリとピカ太郎の頭を舐める。
「ピカ……チュウ…………」
リコはピカ太郎の顔を見ようと回り込み、ピカ太郎の幸せそうな寝顔を見る。
「うれしそうだコン。」
(だと良い。おきたらなかなおりしてね。)
「そうするコン。ありがとコン。アタシ、ヒナねえねといるコン。」
そう言うとトタトタと走って心配そうにこちらを見ていたヒナの元へ戻っていった。モゾモゾと再び動き出したピカ太郎はチロリと片目を開ける。どうやら途中で起きたようだったが、どうしたら良いか分からなかったようだ。
(ピカ太郎、こまってる?)
「だって……どうしたらいいピカ?」
ペロペロと顔を舐め回すと、「ピカァ……」と可愛らしい声で鳴くピカ太郎。
(ちゃんとあやまって、なかよくしようって言えば良い。)
「ピカ……わかったピカ。がんばるピカ。」
ユキは舐めるのを止めて、体を起こし立ち上がるとピカ太郎をクイクイと押し立たせるとヒナとリコに向かってピカ太郎の背中をソッと鼻先で押した。
ピカ太郎は一回ユキを見て「がんばってくるピカ。」と小さく言うとトタタタッと四つ足で走って行った。
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「なかなおりだコン!」
「わかったピカ!」
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ヒナも思念だけで返す。
ユキはピカ太郎を見て、目を細める。それは母親が子供を見る目だった。
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