婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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馬車の中で(アニス)

決して狭くない馬車の中、エリーゼ様がテイムした可愛らしい魔物の子達。ルーク様のルチルちゃんも乗り込んで来て、何だか雰囲気がおかしい事で狭く感じる。

「ルチル……どうしたピカ?」

ルチルちゃんの無言で俯く姿にピカちゃんも心配げだ。それに釣られる様にタマちゃんもトラジちゃんも心配そうに見ている。ヒナちゃんも心配なのか、今回は中に乗り込んで来た。リコちゃんだけが心配というより様子を伺ってる感じがする。

「ルチル!ちゃんというピカ!だまってたらわからないピカ!」

ずっと無言だったルチルちゃんに対してピカちゃんの声が荒くなった。ルチルちゃんの事を責めるような様子なのはピカちゃんだけだ。俯いたままのルチルちゃんの足下にパタパタッと雫が落ちた。ルチルちゃんは泣き出していた。ルチルちゃん以外の全員が無言でただ見つめていた。ルチルちゃんの泣き声がどんどん大木かなる。泣いてる理由が分からない以上慰めようもない。こんな時、エリーゼ様ならどうしただろう?
私のそんな考えはルチルちゃんの訴えで止まってしまう。

「ズルイピカ!にいにうんとつよくなってたピカ!なんでピカ!つよくなりたいピカ!にいにみたいになりたいピカ!ピカァ!」

私は馬車で待ってたから見てないけど、きっと一緒に戦ってピカちゃんが強くなってて寂しくなっちゃったのかな?タマちゃんもオロオロしてる。何で言ったら良いか分からないんだと思う。エリーゼ様は何かと八丈島に送ってしまって、そこで特訓とかしてるみたいで強くなりつつあるみたい。バレないように溜息をはいてルチルちゃんを抱き上げて膝の上に座らせる。クルリとこちらに顔を向けさせ涙をそっと指先で拭ってあげる。顔をあげて私を見るルチルちゃんに優しく声をかける。

「ルチルちゃん。きっとエリーゼ様が良くして下さるわ。とても慈悲深い方ですもの。ね、そんなに泣かないで。」

「ホントピカ?」

「ルチルちゃん、置いてかれたみたいで寂しかったのよね?大丈夫、誰も置いていったりしないから。」

ルチルちゃんの目にまたジワジワと涙が溜まって来る、しまった……失敗したゃったか……?

「にいにぃ!にいに!ゴメンピカァ!」

ゆっくりと膝から下ろすとルチルちゃんはピカちゃんに抱きついてピカちゃんと二匹して泣いていた。
さすがのリコちゃんもなにも言わずにヒナちゃんの羽根に潜り込んでいった。タマちゃんもトラジちゃんもホッとしたのか私の両隣にとやって来て座席によじ登ると、私に寄りかかって眠りだした。
二匹は落ち着くと片隅に置いてある籠の中に潜り込んでいった。籠の中キチキチになってるだろうに抱き合って眠りだした。。静かになった馬車の中、私も眠気に誘われて瞼を閉じた。
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