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新年のお祝いへと 3
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急にエントランスが静まる。
親方様が下りて来たかな?そう思い中央階段へと顔を向ける。
威風堂々、我が敬愛する親方様。
階段の踊り場から睥睨する視線の強さは相も変わらずだ。
誰も彼も無言で頭を下げる。それは俺自身もだ。
「楽にせよ」
親方様の静かな声が聞こえる。
決して大声では無いのにエントランス中に響いて聞こえた。
アレク殿の先導で大広間へと向かう親方様の後ろ姿を見送る。
正装している親方様は煌びやかだが荘厳で気軽に声を掛けるのが躊躇われる程だ。
やがて奥方様も下りて来て、次期様が来るかと思ったらエリーゼ姫様が婿殿と共に現れた。
姫様は婚姻前だが髪を結い上げ、婚姻式には来られないかも知れない者の為にその姿を見せたかったのだろう。
美しい……奥方様も美しかったが姫様は親方様似の鋭い視線で俺達を見た。
だが、婿殿を見る目は甘く優しい。
まるで崖の上に凛と咲く百合の花のようだ……
婿殿……あの若者が帝国の皇子で姫様と婚姻し四番隊の隊長となる……のか。
確かに大型へと立ち向かう姿も討伐する姿も見た。
到底見た目は厳つい所も荒い所も見えない。
だが王国の王子達に比べれば体格も良いし、凛々しくもあるか……
そして共に大広間へと歩いて行く姿はかつての親方様と奥方様を思い出させた。
「あの方が……」
キースが思わず呟いた言葉にチラリと目線をやる。
「そうだ。姫様をエスコートしていたのが婿殿、お前達からただ一人の側近を選ぶお方だ」
ゴクリと喉が鳴る音は二人からかどちらからなのか分からん。
側近になる。
それは自分の人生を賭けるものだと聞く。
己の全てを預けるのだ真剣にもなるか……
肩を叩かれ、叩いて来た奴を見る。
「いよいよだな」
ジョルダンの息子を連れて笑った顔にヤレヤレと溜息が出そうになる。
「所定の位置に移動しておくか?」
「そうだな」
無駄口を叩く事無く大広間へと向かう。
今回、側近候補を連れた者は決まった場所で待機する。
指定された場所は大広間の右側端の段前と伝えられている。
若い候補者達を連れてその場で佇めば舐めるような視線を僅かに感じる。
視線の元を辿れば、それは親方様だった。
豪華な椅子にゆったりと体を預け、ニヤリと笑って足を組む。
「全く……」
つい愚痴が溢れそうになる。
若い候補者達からピリピリとした緊張感を感じる。
ワザとやってる事は明白だが、圧力を掛けるのは勘弁して貰いたい。
親方様が下りて来たかな?そう思い中央階段へと顔を向ける。
威風堂々、我が敬愛する親方様。
階段の踊り場から睥睨する視線の強さは相も変わらずだ。
誰も彼も無言で頭を下げる。それは俺自身もだ。
「楽にせよ」
親方様の静かな声が聞こえる。
決して大声では無いのにエントランス中に響いて聞こえた。
アレク殿の先導で大広間へと向かう親方様の後ろ姿を見送る。
正装している親方様は煌びやかだが荘厳で気軽に声を掛けるのが躊躇われる程だ。
やがて奥方様も下りて来て、次期様が来るかと思ったらエリーゼ姫様が婿殿と共に現れた。
姫様は婚姻前だが髪を結い上げ、婚姻式には来られないかも知れない者の為にその姿を見せたかったのだろう。
美しい……奥方様も美しかったが姫様は親方様似の鋭い視線で俺達を見た。
だが、婿殿を見る目は甘く優しい。
まるで崖の上に凛と咲く百合の花のようだ……
婿殿……あの若者が帝国の皇子で姫様と婚姻し四番隊の隊長となる……のか。
確かに大型へと立ち向かう姿も討伐する姿も見た。
到底見た目は厳つい所も荒い所も見えない。
だが王国の王子達に比べれば体格も良いし、凛々しくもあるか……
そして共に大広間へと歩いて行く姿はかつての親方様と奥方様を思い出させた。
「あの方が……」
キースが思わず呟いた言葉にチラリと目線をやる。
「そうだ。姫様をエスコートしていたのが婿殿、お前達からただ一人の側近を選ぶお方だ」
ゴクリと喉が鳴る音は二人からかどちらからなのか分からん。
側近になる。
それは自分の人生を賭けるものだと聞く。
己の全てを預けるのだ真剣にもなるか……
肩を叩かれ、叩いて来た奴を見る。
「いよいよだな」
ジョルダンの息子を連れて笑った顔にヤレヤレと溜息が出そうになる。
「所定の位置に移動しておくか?」
「そうだな」
無駄口を叩く事無く大広間へと向かう。
今回、側近候補を連れた者は決まった場所で待機する。
指定された場所は大広間の右側端の段前と伝えられている。
若い候補者達を連れてその場で佇めば舐めるような視線を僅かに感じる。
視線の元を辿れば、それは親方様だった。
豪華な椅子にゆったりと体を預け、ニヤリと笑って足を組む。
「全く……」
つい愚痴が溢れそうになる。
若い候補者達からピリピリとした緊張感を感じる。
ワザとやってる事は明白だが、圧力を掛けるのは勘弁して貰いたい。
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