婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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衝撃の貢ぎ物(帝国皇帝アレクシオン)

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そろそろ皇帝の座を明け渡しても良いのだが、あやつめ末の息子の婚姻式に行くと抜かして交代はその後だと言い切ったおかげで暫くは皇帝のままだ。
溜息混じりに心の中で愚痴を吐き出し仕事を淡々とこなしていく。
宰相がいなくても出来る仕事を一人こなすのは嫌いじゃないが寂しい。
昔の様に一緒に仕事に追われ共に相談しながらこなしていた日々が今は懐かしい。
皇帝でなければならない仕事は少ない、故に殆どの仕事は息子の所へと回してある。

「お待ち下さい!陛下は執務中です!」

む?騒がしいな。誰か来たのは分かるが何だと言うのだ?

「宰相閣下!なりません!」

アーネストか!

「構わぬ!通せ!」

フフッあやつも寂しくなったか?入って来たアーネストは手にバスケットを持ち、興奮していた。
こんなアーネストを見るのはいつ振りだったか……

「陛下、仕事は一段落に致しましょう!」

「急にどうした?」

まるで若かった頃のようじゃないか……

「アレクシオン!フェリシアがとんでもない物を送って寄越したんだ!」

そう言うとバスケットの中から何か白っぽい物が入った瓶詰めを取り出した。それよりも久しぶりに呼び捨てにされたな……等と思う。

「分かったから落ち着け」

「良し、じゃあお茶にしよう!お茶の用意を!」

執務を止めてソファへと移動する。アーネストはイソイソと瓶詰めを開けて自ら皿に移している。
とにかく気の済むようにしておこう。アーネストが間違いを起こした事は今まで無かった、今回も間違いは無いだろう。
ソファに座り紅茶と白っぽい物を待つ事にする。
紅茶が置かれ、ついで白っぽい物が乗った皿が置かれた。

「どうぞ食べてみて下さい、驚きますよ」

そう言われデザートフォークを渡された。
言われるまま小さく切って口元まで持ってくると芳醇な桃の香りがする。
桃?いや、こんな白い桃は見た事も聞いた事も無い。
興味が湧いてそのまま齧る。
歯等必要無いのではないのかと思う程柔らかく甘い果汁?いや違うのか?とにかく口いっぱいに甘い味と香りが広がる。

「アーネスト……これは何だ?」

悪戯っ子のように笑ってみせるその顔も久しぶりだ。

「白桃の蜜漬け……という物らしいです」

初めて聞く。だが何と甘く甘美な甘味なのだ。

「そうか、良い物だな」

出された物を脇目も振らず食べてしまった。美味しかった。
そうだ、確かフェリシア嬢は王国貴族の……待て、あやつの末の息子が婿入りする貴族はフェリシア嬢の……

「そうか、あやつの勘はバカにならんな。あやつに伝えておけ、土産は多ければ多い程良い……と」

「畏まりました」

そして唐突に始まった休憩は終わりアーネストは空のバスケットを持って消えた。
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