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コヒノオト (エリーゼの中の人の祖母薫子の話し)
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パチリパチリと庭に植えられた薔薇の花を剪定バサミで切っていく。
「世の中がどんどん不穏になってゆくわ……薔薇はこんなにも美しく咲いているのに愛でる気持ちに浸れないなんて……」
お父様もお兄様も戦争のお話しばかり。私やお母様は女だからと詳しい事は一切聞かされない。
それでもお母様は気丈に振る舞い、お父様やお兄様を労っていらっしゃる。
「薫子様、そろそろお茶にいたしましょう」
我が家に長く仕えてくれている一家の娘で私付きのねえやのマチが声をかけてくれる。
伸ばされた手は私から薔薇の花を受け取り、剪定バサミを手にする。
「玄関に生けておいて頂戴。少しでもお父様やお兄様のお気持ちの癒しになってくれると良いのだけど……」
「きっと旦那様も若様も喜ばれよ。さ、後はマチがやっておきますから薫子様は奥様がいらっしゃるサロンへ向かって下さい」
日に焼けた笑顔のマチを置いてお母様が待つサロンへと向かう。
サロンでは静かに刺繍をしているお母様がいる。
「お母様、お待たせ致しましたか?」
「いいえ。薫子は最近どう?」
はんなりと微笑む母は京都生まれの(育ちはこちらなのだけど)お嬢様だったからか、着物を好んで着ていた。
紫紺地に上は藤、下に菖蒲が描かれた正絹の着物に銀糸と白糸で織られた流水模様の袋帯。所々に萌葱色を使って春らしくしている母のお好みの組み合わせは気持ちが若々しくなる組み合わせで私も好きだけど、私はどちらかと言うと洋装の方が好きでドレスやワンピースを仕立てて貰っている。
今日は明るい紫に白いレースをあしらったワンピース。
靴や小物は白い物で統一している。
「私はそれほど変わりはありませんわ」
そう応えてから母の対面席に座る。
程なく目の前に置かれたコーヒーにお砂糖とミルクを足してかき混ぜる。
「そう。旦那様がね、そろそろ輿入れ先を決めないとと張り切ってますのよ」
「そうですか……」
女学校の友人達もお輿入れが決まったと手紙をくれたわね、私も決められるのね……
「お年の近い方は沢山おられるけど、先々のしっかりした方でないと困るでしょう?私、薫子には苦労しないお家の方の所に行って頂きたいわ」
刺繍の手を止め、刺していた牡丹の花を見つめて考え込むお母様はどこか憂いていて、何か心配事があるのかと推察する。
「薫子……もし……もし、薫子が好いた方がいると言うなら旦那様に相談なさい。苦労しないお家と言ったけど、どこに輿入れしてもそれなりに苦労はつきものだわ。苦労はしても幸福になれるとも聞きました、薫子のしたいようにして良いのよ」
顔を上げたお母様の目は真剣で、おそらくお母様はこちらに嫁いで苦労なさったのかと……
「私は何一つ苦労する事なく旦那様に気遣われて暮らして煎るけど最近はね……少し……」
言い淀んだ母の言葉に世間の不穏さを思い浮かべる。
第二次世界大戦。
お父様もお兄様も苦労なさってる様子、でも私達女の身では物申す事も許されずただお気持ちをお慰めする事しか出来ない。
「ええ……それよりもお母様、今日は……クッションカバーですか?」
「ええ、旦那様のお車に置かれる様にと刺しているのよ」
淡い桃色の牡丹は優しげできっと疲れたお父様も喜んで下さるでしょう。
「素敵ですわ。私はお兄様のお車に置いて頂ける物を刺そうかしら」
「そうね、きっとそれが良いわ」
そう言って微笑みあった後、コーヒーをゆっくりと楽しんでから私は刺繍道具や布を持って来てくれる様に言付けサロンの大窓の外を見つめる。
郊外の森の中に建てられた洋館で暮らす私達には戦火の噂は聞いても、世の中の本当の所は分からない。
届けられた刺繍道具を手にしお兄様の好きな桜の花を刺す。
不安ながらもそんな穏やかな日々を過ごす。
いよいよ世の中がただ事ならない日々を迎えたある日、兄が数名のご友人方を連れてやって来た。
「薫子、友人達とその後輩だよ。誰か気になる人がいたら、こっそりこの兄に教えてくれるかい?」
そうにこやかに笑うお兄様はここ最近の疲れた顔では無かった。
次々と自己紹介される殿方に相槌を打ちながらお顔を覚えていく。
そうして最後の方がお顔を赤くして照れ笑いしてる。
「桐堂桜二郎です。あっ……あのっ!私の事は桜二郎と呼んで下さい!」
名字ではなく名前で呼んでほしいなんて……でも誠実で優しそうなお顔は嫌いと言うより好みのお顔で、一生そばにいるならこの方みたいなお顔が良い……と……私ったらはしたない!でも……
「桜二郎様……」
私と桜二郎様はしばし見つめ合いって……
「薫子。そんなに桐堂が気に入ったか?……確か桐堂は春が来たら卒業だったか?」
「はい!」
「そうか。大変だが何とかなりそうなのか?」
「……卒業は出来ると思います。ただその後ですね……問題は」
「そうだな」
お兄様と桜二郎様は私には分からないお話しをされてます。
「薫子が気に入ったのなら手順を踏んでくれ。おそらく父上も同意はしてくれるだろう」
「ありがとうございます!」
どうやらお兄様は桜二郎様の所に輿入れする事に賛成してくれてる様です。
二時間ばかり皆様とお喋りしながら交友をして、私は自分の部屋へと下がった。
お父様、桜二郎様の事許して下さるかしら?
次の日の夜、お父様に呼ばれて書斎に行った時。
お父様は桐堂家ではなく一条家への輿入れを決めて来た……とそう仰られた。
すでに決めた事だから諦めなさいと言われ、私は無言で頷き書斎から退室した。
その日の晩、私は悲しくて泣いた……
一条様は桜二郎様と同い年で京都帝国大学を卒業するのだと聞いた。
卒業してすぐに輿入れし、私は京都へと移り住むのだとも言われました。
日々僅かずつですが輿入れの準備が進む中、気晴らしにとお兄様に誘われ古刹へと向かった。
厳かな石階段、苔むした石、鬱蒼とした巨木の中に佇むお寺は静謐で時折聞こえる鳥の声がなお一層心を落ち着かせる。
「薫子、こっちだ」
お兄様に手を引かれるまま進んで行くと前方に一人の殿方が立っていた。
「あ……れは桜二郎様?」
「そうだ。俺は一条某よりも桐堂の方が良いと思う」
私達に気がついたのかこちらを向いた桜二郎様のお顔を見て、鳥の声も木々のざわめきもお兄様の声すらも聞こえなくなった。
「薫子さん!」
私を呼ぶ桜二郎様の声しか聞こえない。
お兄様の手を振りほどいて私は走った。
はしたないとも恥ずかしいとも思わなかった。ただ、そばに……お近くに行きたい。それしか思い浮かばなかった。
「危ない!」
走り寄って来た桜二郎様に抱き止められ、転びそうになっていた事に気がつく。
仕立ての良い洋装に仄かに香る香水の香り……私よりも大きな手が私の体を抱き止め……
「きゃっ!申し訳ありませんっ!私ったら……こんなはしたない……」
「いえ!私こそ薫子さんをその……申し訳ありません!」
私達のやり取りを後ろから来たお兄様が笑ってる。
「二人とも同じ様にあやまって……全く、似た者同士でもあるのかい?」
私達は恥ずかしがりながらも手を繋いでお兄様へと近づく。
奥の庭園へと向かい、お寺の縁側でお茶を頂きながらお兄様からの話しを私達は聞いた。
お兄様は桜二郎様に私を連れて駆け落ちをしたらどうかと提案した。理由は一条家は遠すぎる事とこの先を考えると不安要素がある事と桜二郎様に説明した。
桜二郎様は大きく頷くとお兄様へあれこれと説明し、私との駆け落ちを真剣に考える……そう言って一足先に帰って行かれた。
ある秋の日、私はお兄様に連れられあの古刹へとやって来た。
そこには桜二郎様が待っていた。
「花京院様、薫子さんを攫いに来ました」
「ああ。よろしく頼む」
「お兄様……」
一緒に乗って来た車の後部座席には私の刺した桜の刺繍のクッションが見える。
「何、父上の事は任せとけ。自分の事を一番に考えろ、落ち着いたら俺宛に手紙をくれ。嫁入り道具は全て俺が送ってやる」
私は何も言えず、涙をこぼしながら桜二郎様の手に引かれ桜二郎様の車へと乗せられ小さくなるお兄様を見つめた。
「薫子さん。苦労させるけど、大切にする。だから信じてついてきてほしい」
「はい!」
高鳴る胸の音と車が走っていく音。耳に木霊する桜二郎様の声……
この日の事はきっと死ぬまで忘れない。
「世の中がどんどん不穏になってゆくわ……薔薇はこんなにも美しく咲いているのに愛でる気持ちに浸れないなんて……」
お父様もお兄様も戦争のお話しばかり。私やお母様は女だからと詳しい事は一切聞かされない。
それでもお母様は気丈に振る舞い、お父様やお兄様を労っていらっしゃる。
「薫子様、そろそろお茶にいたしましょう」
我が家に長く仕えてくれている一家の娘で私付きのねえやのマチが声をかけてくれる。
伸ばされた手は私から薔薇の花を受け取り、剪定バサミを手にする。
「玄関に生けておいて頂戴。少しでもお父様やお兄様のお気持ちの癒しになってくれると良いのだけど……」
「きっと旦那様も若様も喜ばれよ。さ、後はマチがやっておきますから薫子様は奥様がいらっしゃるサロンへ向かって下さい」
日に焼けた笑顔のマチを置いてお母様が待つサロンへと向かう。
サロンでは静かに刺繍をしているお母様がいる。
「お母様、お待たせ致しましたか?」
「いいえ。薫子は最近どう?」
はんなりと微笑む母は京都生まれの(育ちはこちらなのだけど)お嬢様だったからか、着物を好んで着ていた。
紫紺地に上は藤、下に菖蒲が描かれた正絹の着物に銀糸と白糸で織られた流水模様の袋帯。所々に萌葱色を使って春らしくしている母のお好みの組み合わせは気持ちが若々しくなる組み合わせで私も好きだけど、私はどちらかと言うと洋装の方が好きでドレスやワンピースを仕立てて貰っている。
今日は明るい紫に白いレースをあしらったワンピース。
靴や小物は白い物で統一している。
「私はそれほど変わりはありませんわ」
そう応えてから母の対面席に座る。
程なく目の前に置かれたコーヒーにお砂糖とミルクを足してかき混ぜる。
「そう。旦那様がね、そろそろ輿入れ先を決めないとと張り切ってますのよ」
「そうですか……」
女学校の友人達もお輿入れが決まったと手紙をくれたわね、私も決められるのね……
「お年の近い方は沢山おられるけど、先々のしっかりした方でないと困るでしょう?私、薫子には苦労しないお家の方の所に行って頂きたいわ」
刺繍の手を止め、刺していた牡丹の花を見つめて考え込むお母様はどこか憂いていて、何か心配事があるのかと推察する。
「薫子……もし……もし、薫子が好いた方がいると言うなら旦那様に相談なさい。苦労しないお家と言ったけど、どこに輿入れしてもそれなりに苦労はつきものだわ。苦労はしても幸福になれるとも聞きました、薫子のしたいようにして良いのよ」
顔を上げたお母様の目は真剣で、おそらくお母様はこちらに嫁いで苦労なさったのかと……
「私は何一つ苦労する事なく旦那様に気遣われて暮らして煎るけど最近はね……少し……」
言い淀んだ母の言葉に世間の不穏さを思い浮かべる。
第二次世界大戦。
お父様もお兄様も苦労なさってる様子、でも私達女の身では物申す事も許されずただお気持ちをお慰めする事しか出来ない。
「ええ……それよりもお母様、今日は……クッションカバーですか?」
「ええ、旦那様のお車に置かれる様にと刺しているのよ」
淡い桃色の牡丹は優しげできっと疲れたお父様も喜んで下さるでしょう。
「素敵ですわ。私はお兄様のお車に置いて頂ける物を刺そうかしら」
「そうね、きっとそれが良いわ」
そう言って微笑みあった後、コーヒーをゆっくりと楽しんでから私は刺繍道具や布を持って来てくれる様に言付けサロンの大窓の外を見つめる。
郊外の森の中に建てられた洋館で暮らす私達には戦火の噂は聞いても、世の中の本当の所は分からない。
届けられた刺繍道具を手にしお兄様の好きな桜の花を刺す。
不安ながらもそんな穏やかな日々を過ごす。
いよいよ世の中がただ事ならない日々を迎えたある日、兄が数名のご友人方を連れてやって来た。
「薫子、友人達とその後輩だよ。誰か気になる人がいたら、こっそりこの兄に教えてくれるかい?」
そうにこやかに笑うお兄様はここ最近の疲れた顔では無かった。
次々と自己紹介される殿方に相槌を打ちながらお顔を覚えていく。
そうして最後の方がお顔を赤くして照れ笑いしてる。
「桐堂桜二郎です。あっ……あのっ!私の事は桜二郎と呼んで下さい!」
名字ではなく名前で呼んでほしいなんて……でも誠実で優しそうなお顔は嫌いと言うより好みのお顔で、一生そばにいるならこの方みたいなお顔が良い……と……私ったらはしたない!でも……
「桜二郎様……」
私と桜二郎様はしばし見つめ合いって……
「薫子。そんなに桐堂が気に入ったか?……確か桐堂は春が来たら卒業だったか?」
「はい!」
「そうか。大変だが何とかなりそうなのか?」
「……卒業は出来ると思います。ただその後ですね……問題は」
「そうだな」
お兄様と桜二郎様は私には分からないお話しをされてます。
「薫子が気に入ったのなら手順を踏んでくれ。おそらく父上も同意はしてくれるだろう」
「ありがとうございます!」
どうやらお兄様は桜二郎様の所に輿入れする事に賛成してくれてる様です。
二時間ばかり皆様とお喋りしながら交友をして、私は自分の部屋へと下がった。
お父様、桜二郎様の事許して下さるかしら?
次の日の夜、お父様に呼ばれて書斎に行った時。
お父様は桐堂家ではなく一条家への輿入れを決めて来た……とそう仰られた。
すでに決めた事だから諦めなさいと言われ、私は無言で頷き書斎から退室した。
その日の晩、私は悲しくて泣いた……
一条様は桜二郎様と同い年で京都帝国大学を卒業するのだと聞いた。
卒業してすぐに輿入れし、私は京都へと移り住むのだとも言われました。
日々僅かずつですが輿入れの準備が進む中、気晴らしにとお兄様に誘われ古刹へと向かった。
厳かな石階段、苔むした石、鬱蒼とした巨木の中に佇むお寺は静謐で時折聞こえる鳥の声がなお一層心を落ち着かせる。
「薫子、こっちだ」
お兄様に手を引かれるまま進んで行くと前方に一人の殿方が立っていた。
「あ……れは桜二郎様?」
「そうだ。俺は一条某よりも桐堂の方が良いと思う」
私達に気がついたのかこちらを向いた桜二郎様のお顔を見て、鳥の声も木々のざわめきもお兄様の声すらも聞こえなくなった。
「薫子さん!」
私を呼ぶ桜二郎様の声しか聞こえない。
お兄様の手を振りほどいて私は走った。
はしたないとも恥ずかしいとも思わなかった。ただ、そばに……お近くに行きたい。それしか思い浮かばなかった。
「危ない!」
走り寄って来た桜二郎様に抱き止められ、転びそうになっていた事に気がつく。
仕立ての良い洋装に仄かに香る香水の香り……私よりも大きな手が私の体を抱き止め……
「きゃっ!申し訳ありませんっ!私ったら……こんなはしたない……」
「いえ!私こそ薫子さんをその……申し訳ありません!」
私達のやり取りを後ろから来たお兄様が笑ってる。
「二人とも同じ様にあやまって……全く、似た者同士でもあるのかい?」
私達は恥ずかしがりながらも手を繋いでお兄様へと近づく。
奥の庭園へと向かい、お寺の縁側でお茶を頂きながらお兄様からの話しを私達は聞いた。
お兄様は桜二郎様に私を連れて駆け落ちをしたらどうかと提案した。理由は一条家は遠すぎる事とこの先を考えると不安要素がある事と桜二郎様に説明した。
桜二郎様は大きく頷くとお兄様へあれこれと説明し、私との駆け落ちを真剣に考える……そう言って一足先に帰って行かれた。
ある秋の日、私はお兄様に連れられあの古刹へとやって来た。
そこには桜二郎様が待っていた。
「花京院様、薫子さんを攫いに来ました」
「ああ。よろしく頼む」
「お兄様……」
一緒に乗って来た車の後部座席には私の刺した桜の刺繍のクッションが見える。
「何、父上の事は任せとけ。自分の事を一番に考えろ、落ち着いたら俺宛に手紙をくれ。嫁入り道具は全て俺が送ってやる」
私は何も言えず、涙をこぼしながら桜二郎様の手に引かれ桜二郎様の車へと乗せられ小さくなるお兄様を見つめた。
「薫子さん。苦労させるけど、大切にする。だから信じてついてきてほしい」
「はい!」
高鳴る胸の音と車が走っていく音。耳に木霊する桜二郎様の声……
この日の事はきっと死ぬまで忘れない。
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