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1巻
1-3
しおりを挟む「ふふっ、そうかい? まぁ確かに昨日、父上から渡された革袋はかなり重かったからね。私もドキドキしてるよ」
やっぱりか! しかも、ドキドキするほど重いのか……ん? まてまて、それってどんなドキドキよ?
「まぁ! トールお兄様もドキドキなさってるの?」
聞いてみたら、ニッコー! と、めっちゃ爽やかな笑顔を食らいました!
「あぁ! 結構な大きさの革袋二つで、一人で運ぶのは勇気がいるね。だが大丈夫だよ、エリーゼより軽いからね!」
は? 何言うてますのん? いつ、私の重さを知りましたん?
憶測でモノ言うなや! ハラタツー!
「私より軽い……ですか? トールお兄様……お兄様は一体私がどれくらい重いと思ってらっしゃるのかしら?」
笑顔! 笑顔よ、エリーゼ! どんなにムカついても笑顔よ!
「あっ……いや、モノのたとえだよエリーゼ。それくらい重いっていうね」
はぁ? それくらい重いってどういう意味……って、なんで、そんなに怯えた顔になりますのん? トールお兄様よ……
「そんな顔すると、母上そっくりだな……」
ぎゃあー! どえらいこと言われた! 私、お父様似なのにぃ!
ビクビクしながら朝食をいただいてるトールお兄様。それをじっとり眺めながら私も朝食をいただきます。
まぁ、でも金貨なら重いだろうな……私とどっちが重いかは、体重計がないから分からないけど(笑)
さて、いつまでもトールお兄様をビクつかせるのはよくない。そろそろ、やめとこ。
軽く息を吐いて、気持ちを切り替えて話しかける。
「トールお兄様、お父様とキャスバルお兄様をお見送りしてからジャスパー商会に参りましょう」
たったこれだけでトールお兄様は分かってくれた。お兄様も軽く息を吐いて、いつもの優しい笑顔を向けてくれる。
「あぁ、そうだね。きっと父上も兄上もエリーゼに見送ってもらえたら嬉しいと思うよ。商会にいい図鑑があるといいね」
こんなとき、家族っていいなって思う。
「えぇ、国内の植生についての図鑑が欲しいと思っているのですが……」
思わず出た言葉に、トールお兄様は思案顔をする。
「ふむ……それなら普通の植物図鑑と一緒に、地方植生一覧表を買った方がいいんじゃないか?」
え? 何その一覧表。初めて聞くわよ?
「ん? 地方植生一覧表は初耳か? 商人やギルド、冒険者なんかも使う一覧表で、結構分かりやすいらしい。これを機に買ってみるのもありかと思ってるんだが、どうかな?」
ナイスです! 買い一択ですわ!
「是非とも手に入れましょう! ありがとうトールお兄様! 初めて聞くけど、興味深いわ」
テンションが一気に上がって嬉しさが溢れてくる。トールお兄様もそんな私を見て、嬉しくなったみたい。二人ともご機嫌で朝食を食べ終えた。
私たちはエントランスホールでお父様とお兄様を待つことにした、どうせそのうちに現れるのだから。
たいして待つこともなく、お父様とお兄様は現れた。
「お父様! キャスバルお兄様! おはようございます。今日は王城に行かれるのでしょう? いいお話を晩餐のときにでも聞かせてくださいませね!」
朗らかに笑うお父様とお兄様の笑顔が眩しい。きっと今日はいい一日になる。そんな気がする~。
とか思っていたら。
「貴方、キャスバル……期待しておりますからね」
背筋がヒンヤリするような、静かで威圧的な声が後ろからした。振り向けば、そこにはもちろんお母様。
普段は見た目の可愛さとおんなじ可愛い声のお母様ですが、ちょっとトーンが変わるだけで怖さマシマシです。
空気がピリピリしてきました。そんな中、お父様がカツカツとお母様に近づいていきます。……お父様?
なんと私たちの目の前で、ガッとお母様を抱き締めました! えー??? お父様そんなキャラでしたか?
チラチラッとお兄様たちを見ると、二人とも落ち着いてます。どうやら、見慣れた光景のようです。
……今まで朝は最後に起きていたので、私は初めて見ました。
「期待しててくれ、今日はキャスバルもいる。十三年前とは違うし、王家は負い目を感じてるだろう。今度はこちらが有利なはずだ」
……十三年前……私の婚約のときのお話ですね。
お父様の静かな闘志を感じます。お父様だけではありません、キャスバルお兄様からもです。
普段キャスバルお兄様は次期領主として、領地にいるお祖父様と王都にいるお父様の間を行ったり来たりして忙しく過ごしています。
私が学園を卒業したら家族でゆっくり過ごせるように頑張ってきたと仰ってたキャスバルお兄様。
ゆっくりとか無理な状況になって、ごめんなさい。と心の中で謝っとく。
だって私が悪いわけじゃないもーん、バカ王子が悪いんだもーん。
「えぇ、私も出かけなければならなくなりました。朝方急使が来て、今から王妃陛下のもとに参ります」
急使が来たことに気が付きもしなかったわ。
それも今からって、お茶会の時間でもないのに……
しかも王妃陛下からとか……ってお父様、落ち着いてるわね。
「そうか、一緒に行くか?」
「いえ、別々がよろしいでしょう。お互い話がいつ終わるか分かりませんもの」
「そうだな。では、私たちは行くよ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
そう淡々と会話をして、お互い頬に口づけてからお父様は出ていった。
キャスバルお兄様も無言でお父様の後ろについていく。シリアスな雰囲気にドキドキしちゃう。そして、お父様とお兄様の格好よさにもドキドキが止まりません!
「トール、エリーゼ、私も出ます。二人は買い物なりなんなり楽しんでいらっしゃい」
そう短く告げると、お母様も優雅に出ていこうとします。
おっと、イケない! 挨拶しなきゃ!
「お母様、行ってらっしゃいませ」
「母上、お気を付けて」
扉が閉まる前に振り向き様、いつものふんわりとした微笑みを私たちに向けるお母様。
「貴方たちもね」
そして、行ってしまいました。閉まった扉を見つめながらお兄様に問う。
「私たちも出ますか?」
「そうだね」
即レスです。さぁ、お出かけだ!
お昼前ですが、邸に帰ってきております。
ただ今サロンにて、ゆっくり紅茶を楽しみながら図鑑を見ております。
商会はどうだったのかって? 行って目的を果たしたら、即帰ってきました。王都を楽しむ? 無理です。
………………日本の現代っ子として、この中世ヨーロッパみたいな世界は無理でした。
いや、現代っ子と言ってもアラフォー世代とか言われちゃってたわけですけど。
どんなにリアルな乙女ゲーでも、所詮2Dの世界には音はあっても匂いがないのが当たり前。
でもこの世界には匂いが……匂いがあるんですよ! ぶっちゃけると王都は古くて臭い都でした。上下水道もない、衛生管理もどこ吹く風の世界。
高位貴族の我が家でも、四苦八苦して対応している排泄物。庶民平民の対応なぞ、推して知るべし。街中に漂う肥溜め臭……鼻と口を押さえても我慢するのが辛かった。なので、図鑑を買ってすぐ帰ってきました。フゥ……お食事中の方、すみません。
…………トイレのある、我が家サイコー!
と言っても専用の小部屋があるだけなんだけど、明るい小部屋に香りの強い花が飾られていて、用を済ませるとメイドが壺を取り替えて常にキレイにしてくれている。
しかもちょっと高いところにある小窓を開けて、空気を入れ替えてくれてるみたいなのよ。
トイレがキレイって素晴らしい!
邸に帰ってきて、真っ先にトイレに行きました。ホント、キレイだわ肥溜め臭もしないわで安心しましたとも。もちろん用も足しましたけど(笑)
小部屋を出たら、メイドがサッと入っていき、蓋をした壺を持って使用人階段の扉へと消えた姿を見たときは感謝しました。
恥ずかしさもあるけど、排泄物放置はもっと嫌だからね! …………汚物の話は、もうやめよう。
結局、図鑑は上下巻だったけど余裕で買えました! 一覧表は思ったより安価でした。
今は私が上巻を、トールお兄様が下巻を見ております。異世界なのに索引はあいうえお順でした。
姿形も名前も知ってる植物と、全く知らない植物で図鑑が埋まっております。
イチョウの木が載ってるかと思えば、ガラの木とかいう見たことも聞いたこともない不思議な木があるのです。興味津々です!
ただ、なんていうか……植生の感じからして、関東から北海道辺りの気候っぽいんだよね……
…………そういえば、雪はそんなに多くないけど毎年凍死者が出るとか…………
記憶をたどってみたら、冬場は毛皮のコートとか着用してたわ! もっと暖かいところに行きたいな……
だって卒業式、九月だったのよ……そのうち寒くなるのよ……って卒業式が春じゃないとか、変なところで欧米かっ!
お腹すいた……
出かける前は王都の有名店に行ってみたい! と思ってたけど、心が折れてすぐに帰ってきちゃったし。
さっきから紅茶だけ飲んでるので、口寂しくなってきております。…………どーしよっかなぁ…………
バァン!
「えっ?」
いきなり扉が開きました。
反射的に声が出て、音のした方を見ると、アニスがトレーを持って立ってます。
…………おや? よく見ると、トレーの上には何か食べ物が乗ってるよ?
「エリーゼ様! 料理長がケーキを焼いてくださいましたよ!」
は? ケーキ…………だ……と……? バタークリームすらない、この世界で…………?
いや、待て。クリームのないパウンドケーキ的なやつか? うっすら記憶にある気がする。
鼻息荒く、アニスがトレーをテーブルに置きます。
トールお兄様もパーラーメイドのジェニファーも凝視してます。
…………見た目、パウンドケーキっぽいです。ドライフルーツが入っているのが分かります。
ただ、なんていうか……生地はカステラ寄りです。カステラにドライフルーツ入れたみたいな感じです。
目の前に一切れ乗っかったお皿が置かれました。もちろんトールお兄様の前にも置かれます。お腹も空いてるし、食べよう。
実食!
「いただくわ」
パクッとな! って、あっま~~~~~~!
…………蜂蜜たっぷり、ドライフルーツもたっぷりで、ケーキというより卵黄を多めに混ぜたパンでした。
でも、まぁスィーツっぽい美味しさです。
「アニス、これ……どうしたの?」
「はい! エリーゼ様に付いたばかりの頃に一回だけ、パンに蜂蜜と干し果物と卵を混ぜ込んだようなお菓子が食べたい。と仰ったことを今朝思い出して、料理長に頼んでみたんです。これ、二個目なんですけどすごく甘くて美味しいですね!」
なんか、知らないうちにやらかしてた!
「確かに甘くて美味しいね。エリーゼ」
ギギギッとトールお兄様の方を向くと、蕩けそうな笑顔で食べてます。いえ、たった今、完食しました!
いや、それよりもさっき二個目って言ったよね? 一個目どうした! 疑問は即処理!
「二個目……ですか、一個目はどうしました?」
アニスはテヘッと笑いました。
「料理長がちょっと味見して、『蜂蜜と卵黄を増やして、干し果物はもう少し刻むか』って言った後、『残りは使用人全員に均等に分けとけ』って言ったので分けたんです。その分けたのをお先にいただいたんですよ。お菓子ってなんなのかよく分かりませんでしたけど、この甘いもののことなんですね!」
「ふぅん、お菓子……ね……」
! トールお兄様がなんか怪しんでる!
「えぇ……」
変な汗をかきながら、スィーツいただきました。
ケーキは美味しかったです。ただ、この世界では蜂蜜は高級品です。養蜂じゃないから、仕方ないです。
干し果物も高級品です。なぜなら、生産数が圧倒的に少ないからです。卵も高いです。養鶏場なぞないからです。
手に入りにくいものは値段が上がって高級品になります。我が家は貴族ですので、お金の力で解決ですが。
結論から言えばめちゃくちゃ贅沢品ですよ、ケーキはね。でもね、私も幸せ。トールお兄様も幸せ。失敗作でも、食べた人は幸せ。
…………食べてないお父様やお母様やお兄様のことを考えるとガクブルです。
「アニス、料理長にお父様たちの分も作っておくように伝えてちょうだい」
「はい。昼食はいかがなさいますか?」
「そうね。軽くいただくわ」
「私も軽くでいいかな?」
「かしこまりました。トール様」
アニスは丁寧にお辞儀し、空になったお皿をトレーに乗せて下がっていった。
「ジェニファー、君も食べておいで」
「ありがとうございます。トール様」
あぁ~~~人払いした~~嫌な予感しかしない~~~~~。
だが、女は度胸だ! 受けて立とうじゃあないか!
ドントコイ!
「エリーゼ、お菓子ってなんだい?」
トールお兄様がヒンヤリ笑顔で聞いてきました。
「お茶に合う甘いものと思ってください」
「初めて聞くんだけど」
まぁ、そうですよねー。
「そうですか?」
どうしようかな~。どうやってごまかそうかな~。
「なんでエリーゼがそんなことを知ってる?」
はい、来たー! メンドイから後で説明しよう。そして色々できるように許可をもらおう。そうしよう!
「今すぐ答えることもできますが、家族全員に説明したいので揃ってからでも構いませんか?」
OKしろやぁ! メンドイから! 頼む!
「分かった。ちゃんと説明してもらうからね」
よし! メンドイことはまとめてドン! じゃ!
「ありがとうございます。トールお兄様、甘いもの……お好きだったんですね」
「でも贅沢品だからね、あれほどのものはなかなか食べられないよ。美味しかった」
トールお兄様がはにかみ笑顔をくださいました! ごっつぁんでぇす!
コンコン。
「昼食の用意ができました」
おや? メイドじゃなくて執事が呼びに来たわ。人払い中なので、扉の外からの声かけです。
お兄様と一緒に立ち上がり、サロンを出ようと扉を開けたらですよ。深々とお辞儀した執事がおりましてん。
「エリーゼ様が考案なさったケーキというものが大変美味で、使用人一同心より感謝しております」
試作品を皆で分けて食べたんだよね?
それで感謝かぁ、うん、分かるけど……贅沢品だものね……なかなか口に入らないからだって分かるけど……
「そう、それは何よりだわ。トールお兄様、参りましょう」
私的には、もっと改良できると思うのよー!
トールお兄様との昼食タイムは恙なく終了しました。一日が長いです。でも間もなく三時です。
お父様たちは九時過ぎくらいから出かけてるから、そろそろ帰ってきてもいい時間だと思うのよ。
昼食を終えてからも、二人してサロンに入り浸っております。ジェニファーの絶好調な笑顔がすごいです。ケーキ美味しかったんだね、私を見る瞳がキラキラしてるもん。
とか思いながら図鑑に目を通します。
…………てんさい………………
てんさい! 聞いたことある! 前世で見たのと同じ大根っぽい形! 間違いない! しかも……しかもウチの領地が一大生産地らしい! つっても、大した量じゃないみたいだけど。これで砂糖が作れる。
ヤッター! あー図鑑見る楽しみが増すわぁ♪
ガチャッ。
うん? 誰か来た?
「疲れたわぁ」
「エリーゼ、希望のものはあったか?」
「ふふ……エリーゼ、この兄を褒めてくれるかな?」
お母様、お父様、キャスバルお兄様が帰ってきました。それにしても、キャスバルお兄様……なんですか褒めろって。ほら、お父様がジト目で見てらっしゃるわよ。
「お帰りなさいませ。随分、時間がかかりましたのね?」
「母上、父上お帰りなさい。兄上は何を言ってるんですか?」
トールお兄様、キャスバルお兄様に対して厳しいですね(笑)
定位置につくと、紅茶が出され……ケーキも家族全員の前に置かれました!
マジか! ドキドキしちゃう!
「こちらは、エリーゼ様が考案されたケーキというものです。大変甘くて美味でございます」
執事がそう言った途端、初見の家族からガン見されました。
「いただきましょう」
お母様は短く告げると、サクッと一口大に切りパクッと食べました。
カッと目を見開き、無言でサクサクと食べ進めます。
あっという間に完食しました。はっや! めっちゃはっや! お父様とキャスバルお兄様が唖然としてます。
「ふぅ……エリーゼ、とても美味しかったです。これほどのものは帝国でも味わったことがありません」
お母様は隣国であるゴルゴダ帝国の、高位貴族シルヴァニア公爵家の出身なのです。
これほどってことは甘いものもそれなりに食べたことあるんですね。
「帝国であれば、砂糖もなんとか手に入るでしょうけど……蜂蜜と干し果物だけでここまでのものができるなんて……」
「砂糖? 帝国には砂糖があるのですか?」
「え?」
しまった! つい、食い気味に聞いちゃった! お母様がこちらを凝視してます。気まずいです。
「ありますよ。ですが帝室の方々と公爵家くらいしか口にできない贅沢品です。砂糖は南国でしか採れず、本当にわずかな量を商人が持ってくるだけなのです。この国には入ってくることすらありません。それよりもなぜ、砂糖のことを知っているのですか?」
……言うときが来たのか…………? 腹を括って説明しよう! そうしよう!
「人払いをお願いします」
目線を外さない、お母様が怖いです。
「家族の大切な話です。席を外しなさい」
お母様の一言で執事もメイドもサロンから出ていきます。我が家のヒエラルキーの頂点はお母様です。理由は分かりませんが。
お父様とキャスバルお兄様を見ると、絶賛爆食い中でした。お二人とも三口で終了です。
「……驚かれるでしょうし、信じられないと思いますが、聞いていただけますか?」
「もちろんよ。貴女は私が産んだ娘だもの、母たる私が信じなくてどうしますか?」
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