487 / 1,492
連載
新しい年 31
しおりを挟む
疲れたような顔で髪をかき上げる仕草はなんぞ色気が漏れとる……
お父様やアレクが何かするとは思えないけど……
「ルーク……疲れてる様だけど……」
「ああ、ちょっとな。思いのほか領地の広さと寄子貴族の多さに驚いてたんだ」
「そうなの?」
「小国並みだな」
あれ?ルークはうちが元々国だった事知らないのかな?
「ルークは王国史は余り知らない?」
「ん?んー……勉強したけど結構抜けてるな。歴史は重点置いてなかったからなー……」
「そうなんだ……」
ちょっと困った顔も良いです。
「冒険者になるつもりだったから剣を始めとする武器の鍛錬に時間を割いてたんだよな」
「ふーん……鍛錬の分だけ座学減らしたの?」
やだ……ちょっとキツい言い方になっちゃった。
「いや。減らしてないけど、疲れすぎて身に入らなかった事が割とあって……重要だと思って無かったのかもな……でも何でそんな話しに?」
そうか!ルークからすれば何で?なのよね。
「ハハハ……うちは元々公国として在ったからだよ。寄子貴族でも無いのに貴族家と同じような家名があるのは彼等は元は公国貴族だった名残だよ」
お父様が割り込んで来ました。でも、ありがとうございます!助かりました!
「それで古い地図が必要だったのか……」
「それだけじゃないわよ。古参専用の貴族名鑑もあるのよ」
これは言っておかないと!
ってあれ?何で難しい顔してるのかしら?
「そうか……なら公国に戻っても混乱は無い訳だ……」
え?ゴクリと喉を鳴らしてしまった。
そんな反乱を企んだりなんて……
「そうだな。もし王国にと袂を分かつ事があっても混乱はせんな」
お父様?何を言って……
「今の王国は不安定になってんじゃないか?」
「ルーク……」
言い知れない不安と目を逸らし続けた事実を突き付けられそうでドキリとする。
「普通なら王家に嫁ぐのは高位貴族の令嬢だ。それも高位順でなければ貴族間の関係は悪化する。第三王子の正妃が男爵家令嬢で側妃は侯爵家令嬢か伯爵家令嬢だろう?こうなると側妃の実家は馬鹿にされてると王家に非協力的になるんじゃないのか?もし影響力の高い貴族家なら王家どころか王都にも影響を与えるだろう。それはハッキリ言えば良い事じゃない、シュバルツバルト家の影響力も大きかった筈だ。王国の力関係は今、貴族家の方が強くなりつつあるんじゃないのか?」
ルークの指摘は当たりだ。
うちは辺境を納める一大貴族家、アンネローゼは侯爵家令嬢でミネルバは伯爵家令嬢。
どちらも良い領主であり影響力も高い。
壁に掛かっている地図を眺める。
うちと縁のある貴族家領地を含めれば、実に王国の半分にも及ぶ。
お父様やアレクが何かするとは思えないけど……
「ルーク……疲れてる様だけど……」
「ああ、ちょっとな。思いのほか領地の広さと寄子貴族の多さに驚いてたんだ」
「そうなの?」
「小国並みだな」
あれ?ルークはうちが元々国だった事知らないのかな?
「ルークは王国史は余り知らない?」
「ん?んー……勉強したけど結構抜けてるな。歴史は重点置いてなかったからなー……」
「そうなんだ……」
ちょっと困った顔も良いです。
「冒険者になるつもりだったから剣を始めとする武器の鍛錬に時間を割いてたんだよな」
「ふーん……鍛錬の分だけ座学減らしたの?」
やだ……ちょっとキツい言い方になっちゃった。
「いや。減らしてないけど、疲れすぎて身に入らなかった事が割とあって……重要だと思って無かったのかもな……でも何でそんな話しに?」
そうか!ルークからすれば何で?なのよね。
「ハハハ……うちは元々公国として在ったからだよ。寄子貴族でも無いのに貴族家と同じような家名があるのは彼等は元は公国貴族だった名残だよ」
お父様が割り込んで来ました。でも、ありがとうございます!助かりました!
「それで古い地図が必要だったのか……」
「それだけじゃないわよ。古参専用の貴族名鑑もあるのよ」
これは言っておかないと!
ってあれ?何で難しい顔してるのかしら?
「そうか……なら公国に戻っても混乱は無い訳だ……」
え?ゴクリと喉を鳴らしてしまった。
そんな反乱を企んだりなんて……
「そうだな。もし王国にと袂を分かつ事があっても混乱はせんな」
お父様?何を言って……
「今の王国は不安定になってんじゃないか?」
「ルーク……」
言い知れない不安と目を逸らし続けた事実を突き付けられそうでドキリとする。
「普通なら王家に嫁ぐのは高位貴族の令嬢だ。それも高位順でなければ貴族間の関係は悪化する。第三王子の正妃が男爵家令嬢で側妃は侯爵家令嬢か伯爵家令嬢だろう?こうなると側妃の実家は馬鹿にされてると王家に非協力的になるんじゃないのか?もし影響力の高い貴族家なら王家どころか王都にも影響を与えるだろう。それはハッキリ言えば良い事じゃない、シュバルツバルト家の影響力も大きかった筈だ。王国の力関係は今、貴族家の方が強くなりつつあるんじゃないのか?」
ルークの指摘は当たりだ。
うちは辺境を納める一大貴族家、アンネローゼは侯爵家令嬢でミネルバは伯爵家令嬢。
どちらも良い領主であり影響力も高い。
壁に掛かっている地図を眺める。
うちと縁のある貴族家領地を含めれば、実に王国の半分にも及ぶ。
242
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。