婚約破棄されまして(笑)

連載

新天地を！ 54

「うむ……むぅ……」

お父様も食べ始め、お兄様達も食べだしました。やっぱり初めての食べ物はドキドキしちゃいますか……

「意外！思ったより美味しいな！」

トールお兄様が嬉しそうに食べ始めました。最初の恐々したのはどっかに飛んで行ったようです。

「ああ、美味しいな……これならまた食べたくなるな」

キャスバルお兄様も気に入ってくれたようです。チラッとお父様を見ると無言で熊肉食べてました。派手なパフォーマンスは無いですが、気に入ったようです。

「所でトール、エリーゼ。開拓地はどの位進んだのだ？」

お父様が話題を振ってきました。

「伐採、開拓はほぼ完了でただ今魔物除けを打ち込んでル最中です。境界線となる場所に石壁を造り上げ安全地帯を確保したら区画整理を行い、早急に住居等を作っていけば春には移住及び農地作業に入る事が可能だと思います」

「ほう……早いものだな」

「時間に限りはありますもの。一刻でも早く開拓地を何とか形にして、早々に元王都民が入れる様にしたいのです」

暮らしにくい王都で死ぬよりはこちらに引き込みたい……我が儘と言われるかも知れないけど、住めば都と言うし確実に生きていける手立てがあるならその方が良いと思う。
それに……こちらで農夫として生きていくのが嫌なら他にも仕事はあるし、どうにもダメなら王都へ帰れるようにすれば良い事だもの……

「焦っても仕方ない事だ。大切なのはきちんとした物を造り上げ、長く大切に使っていく事だ。何、そのあたりは領都に手練れがいるから明日一緒に行って大まかな事を決めれば良い」

チラリとお父様が執事長に目配せをした。執事長が頭を一つ下げ、静かに食堂から下がり少したつと戻って来た。

「明日の朝には来るだろう。ふむ……キャスバル、明日は隊を引き連れ一緒に行き境界線の魔物除けの打ち込みを手伝ってこい」

「承知致しました。明日が楽しみだな」

キャスバルお兄様が笑顔になりました。
ハイペースで町づくりです！いや、規模とか考えたら街作りになるのかしら？

「エリーゼ、明日は大忙しになるぞ。頑張ろうな！」

トールお兄様？いや、いっつも大忙しですけどそれ以上に大忙しになるって事かしら？やだ……ちょっと不安だわ。