婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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2巻

2-3

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「エリーゼ様……素晴らしいお力に目覚められたのですね……」

 ヤベェ……こいつはなんかヤベェ予感しかしねぇぞ……

「我らシルヴァニアの偉大なるご先祖様が持ち得たお力……度々そのお力を持つ者もおりました。エリーゼ様がそのお力をさずかってらしたなんて……はっ! こうしてはいられませんわ、フェリシア様にご報告せねば!」
「えっ! ちょっと待ってぇ!」

 はっや! もうフェードアウトしかかってる!

「ソニアっ!」
「失礼いたしま…………」

 あー! 遠いーーーー! 語尾が聞き取れなかった……これはお母様から、何か言われる! 確実にっ!
 すんごい勢いで一礼したまま、音も立てずに後ずさり(高速)してくとか……恐るべし、シルヴァニア家……いや、お母様の実家から連れてきた侍女だし……触れてはイケない何かがあることだけは分かってますけど。

「エリーゼ、その無限収納って……」

 やだ! 私ったら、トールお兄様とフレイの存在忘れてた(笑)

「えっ……ええ、生きてさえいなければ、何をどれだけでも運べる力ですわ」

 キョトーンのままトールお兄様が、私を見つめています。もう少し説明せよってことですね。

「目に見えない部屋みたいなものがあって、そこに自由自在にものを入れたり出したりできる力ですわ。もちろん、好きなだけ入れられるのですわ」

 これで伝わるかしら?

「それは……すごいな……生きてさえいなければということならば、食料はもちろんのこと衣服や武器もか……」

 なんとなく、トールお兄様が考えてることが分かります。武器とか言っちゃったらダメです。

「その通りですわ。大勢の人間に必要なものを持って歩ける力ですわ。私、一人で……です」

 トールお兄様のお顔が強張こわばってます。でもね、トールお兄様……私、それだけじゃあーりませんの。八丈島もテイムもスキルも、チートすぎてビックリすることけ合いですわ。
 だから、そんな難しいお顔しないで。

「トールお兄様、お話は後ほどいたしましょう。私、お腹が空きましたわ」

 朝ごはん食べよう! お腹空いてたら、いい考えなんてできませんわよ。

「あ……あぁ、すまない。食堂に行こうか」

 トールお兄様、お顔……強張こわばったままですわ。フレイもつられてるじゃん。ハァと軽い溜息をつき、歩き出す。
 ……トールお兄様とフレイが何やら、コソコソと小声でやり取りしながら後ろを歩いてます。
 聞こうと思えば聞けるんだぞ! 聞かないけど! それよりも、お母様だな……問題はそこだ! 何を言われるか、だ! 無茶なことは言わないだろうけど、予想がつかないや。いや、だが待て! こんなときこそ、賄賂わいろなり!
 私には、アンコがある……これで、イチゴができれば……お母様に怒られない! ヤッター‼ 我ながら、ナイスアイデアなり! イチゴ大福にはならないけど、イチゴの甘酸っぱさとアンコの優しい甘さがお母様の怒りを優しく溶かしてくれる! …………はず…………たぶん…………
 便利な引っ越し屋さん的な扱いになるかもしれないけど、それはそれで仕方ないか。

「ちょっ……ダメだって……!」

 何やってる! 後ろぉ‼ ガッと振り向いたら、お兄様とフレイが深いキスをしてました。
 あのー……廊下のど真ん中でやることじゃないですよねー? 当てられるより呆れてる私ガイル。

「んっ……ハァ……ッ……」

 なんか艶っぽいな、フレイさんよ……そしてトールお兄様、してやったり! な、お顔とか勘弁ですよ。

「トールお兄様……そんなことは、自室でやってくださいませ」

 じとーん……と睨んじゃいましたよ。

「ハハハ……エリーゼが難しい顔して歩いてるからだよ」

 は? それだけで、やる? ディープキスとか、やる? ……これは……嘘だ! やりたかっただけに違いない!

「嘘つけ!」

 フレイがツッコミました! 良し! 良く言ったフレイ!

「まぁね、フレイが可愛くてやった。驚いた顔も可愛いな」

 爽やかな笑顔で、何を言っちゃうのかなトールお兄様は! 照れ照れになったフレイも可愛いな! 畜生ちくしょう! 我が家は美形率が高いから、目の保養にはなるけど……なんか、新鮮だなぁ……こんな、やり取り初めてかも。

「じゃれ合うのも結構ですが、私はお腹が空きました」

 トールお兄様はフレイの頭をワシャワシャと撫でながら笑ってます。

「あぁ、ゴメンゴメン。こんな風にじゃれ合えるのは今くらいだけだよ。朝食がすんだら最終確認をしなきゃいけないからね」
「そうですね。なんとか昼までに準備を終えて、昼食後すぐに出る予定ですからね。遊んでる暇はありませんよ」

 そうか……そうだよね。残ってる私の荷物は、部屋でガンガン収納しちゃおう!

「さ、行こうか。エリーゼ……あんまり考え込まなくていいよ」

 ポンッと軽く肩を抱かれ、歩き出す。あーあ、軽くこんな風にできちゃうとか……これで、身持ちが固いんだから卑怯ひきょうよねぇ……
 トールお兄様に肩を抱かれながら着いた食堂には、まだ誰も来ていなかった。

「一番乗りだね」
「そうですね」

 あれ? なんかトールお兄様の声のトーンが落ちてる?
 不思議に思って眺めていると、トールお兄様が私を真っすぐに見つめた。そしてポンッと私の肩に手を置く。

「エリーゼ、たぶん新しい力のことはあれこれ聞かれるだろう。でもね、俺はエリーゼの味方だよ……それは忘れないでほしい。エリーゼが嫌だと一言言ってくれれば、俺は父上と闘うことになっても構わない」

 …………トールお兄様、キメ顔で…………

「お母様とは闘わないのですね」
「それは無理。俺は父上が限界」

 バレた~ってお顔で言ってもダメです。
 …………お母様と闘うとか、私だって無理ですわ。

「大丈夫ですよ、トールお兄様。きっとお母様も私の味方ですわ。それに……武器も防具も魔道具も、目いっぱい収納して持ち歩けるって……私一人で荷馬車何台分持ち歩けるのかしらね……フフフ……」

 ジッとトールお兄様を見つめてみます。徐々に引きってくるトールお兄様のお顔(笑)

「そ……れは……それは恐ろしいな! エリーゼは体力あるし、武器の扱いと確か……魔法もすごいって聞いてるよ」

 トールお兄様ったら。

「まぁ、そんなことありませんわ。実戦使用したわけではありませんもの」

 たかが学園でちょろっとやった程度で噂になるとか、暇すぎるでしょ、学生ども。

「いや、すごいと思うよ。エリーゼは度胸があるからね……たぶん、魔物に対峙したとしても闘えるだろう」

 やだ、トールお兄様ったら。こんなに可愛い妹をつかまえて。

「そうでしょうか?」
「ユキをただの子犬だと思ってたとはいえ、大きさが結構あるのに押さえ込むとか……我が妹は怖いもの知らずか! とあのとき思った」

 ……要らんこと思い出すなや! まあ、白い子犬だと思ってたら実は魔物だったなんて知らなかったし! 体当たりからの押さえ込みとか、令嬢(幼女?)がすることではなかったね!

「あれは……可愛いワンちゃんが! って思ったんです! もぅ、トールお兄様ったら!」

 トールお兄様は肩から手を外して、一歩距離を開ける。

「そうだな、ずっとワンちゃんだと思ってたもんな!」
「そうですよ」

 クックッと笑うトールお兄様につられて、私もクスクスと笑ってしまう。

「おはよう、二人とも早いな。それになんだか仲良さそうでけるな」
「キャスバルお兄様。偶々たまたまですわ。ねぇ、トールお兄様」

 キャスバルお兄様、登場です! 朝からなんだかピンクのオーラが見えます! それに、けるってなんですか!

「あぁ、階段を下りたところで会ったんだ。けるってなんだよ、兄貴」

 お兄様たちは笑顔で近づき、そのままご自分たちの席へと移動しました。美形の兄二人が笑顔でいるって、眼福がんぷく! 朝から色々、ごっつぁんです!
 普段バラバラに取っている朝食ですが、今日はお兄様たちと一緒です。
 私も自分の席に着くと、メイドがやってきて支度をしてくれます。

「失礼いたします」

 カチャカチャとお皿が並べられます。野菜いっぱいの鶏ガラスープに焼いた薄いボアの肉、薄切りのパン(やっぱり硬い)、リンゴとブドウ。ちょっと前までは、塩味だらけの食事が今は豊かに!

「美味しそうだわ……」

 野菜の出汁だしがスープに溶け出して、とっても優しい味になってる。あぁ……イケメンをチラ見しながらの食事とか、ごっつぁんです!
 なーんで、お兄様たち、こっちが聞き取れないような小っさい声でささやき合ってんの!
 しかも、なんか頬染めちゃってさー! 小突き合ったりしてさー! なんか男って、いくつになってもじゃれ合うよね。
 楽しそう…………くそ…………発動しろ! デビルイヤー! 古い(笑)

「さっきフレイを見かけたけど、艶々つやつやしてたな」
「まぁね、母上のおかげかな」
「なんだ、母上に相談してたのか?」
「一番頼りになるのは母上かな? と思って」
「なるほど、俺は父上に相談かな?」
「なんで?」
「俺の側近のレイが、父上の側近のアレク殿に影響されてな……」
「マズイのか?」
「ある意味な。あれでは、俺の身が持たない」
「そんなに?」
「まぁな」
「なぁ……エリーゼの様子がおかしくないか?」
「……おかしいな」
「兄貴……あの顔は、ろくでもないことを考えているぞ」
「分かるのか?」
「なんとなく……」

 ――チッ! 気が付いてやがる。

「エリーゼ⁉」

 ヤベェ、リアル舌打ちしちゃった。キャスバルお兄様がびっくりしてる。

「今の舌打ち、エリーゼだよね?」

 鋭いなトールお兄様は(笑) 確実にツッコンで来るね。

「その通りですわ。トールお兄様」

 さぁ! 言いたいことあるなら言えやぁ! 私に聞こえないようにブツブツ言ってたの、聞いてたんだぞぅ!

「淑女が舌打ちは感心しないな。理由を聞いても?」

 キャスバルお兄様、持ち直しましたか。ホホホ……と笑って誤魔化す。

「私の顔を見て、ろくでもないとか言われたからですわ!」
「聞こえたのか!」

 キャスバルお兄様、聞こえたじゃなくて聴力上げて、聞いた! の間違いですわ。

「兄貴、違う。エリーゼは聞こえたんじゃなくて聞いたんだと思うよ」

 溜息交じりに、トールお兄様がジト目でおっしゃいました。

「正解ですわ。なんだか楽しそうでしたから、交ざりたくて聞きましたの」

 お兄様たちが顔を見合わせて、ケラケラと笑ってます。分かってますわ。私のつまらない我がままですわ。

「そんなことをしなくても、普通に話しかけて良かったのに」

 キャスバルお兄様ったら♡

「エリーゼなら大歓迎だよ」

 ホントかな? 本当に? トールお兄様。

「キャスバルお兄様もトールお兄様も、ありがとうございます」

 私はゆっくり食事をしながら、お兄様たちの話を聞いていた。主に惚気のろけ話で、当てられました。ブドウを皮ごと、モギュモギュと食べながら心の中で「甘~い」と叫びまくりました。
 それにしてもキャスバルお兄様の側近レイは、だんだんお父様の側近のアレクに似てきたなぁ……主に色気のたれ流し具合が。
 かく、甘い惚気のろけをオカズに朝食を乗り切り……違う! 食べきりました。
 飛びそうになる意識をなんとかつなぎ止め、早々に食堂から脱出です。
 フラフラと外に出ます……お兄様よ……さすがに妹にはキツかったですよ……ある意味、リア充ですよね。
 特にキャスバルお兄様、あと一年もしたら帝国からお嫁さん来るのに……そんなにレイとラブラブでなんとかなるんですか? 疑問ですよ。
 それに、トールお兄様の妻であるヒルダがね……平然としてるのよね。諦めているのか、それとも達観してるのかしら? いつも意味深な笑顔を見せるけど。
 まぁ、夫婦のことになるから、余計な口出しはできるだけしないように心がけよう。
 ハッと我に返り、キョロキョロと周囲を見回す。無の境地だったのかしら? いつの間にか秘密の畑近くの人工林の散歩道に来てたわ。お兄様たちに当てられたのかしら? 記憶が抜けてるわ。それにしても所々、色付く木々が植えてあってロマンチックね……誰も来ないけどね(笑)
 八丈島をチェックです!

〈イチゴができました。収穫してください〉
〈ダイコンができました。収穫してください〉

 よーし! メッセージ来た~! さっそく、収穫! 無限収納にイン!
 …………イチゴが五? ……ダイコンが十? ……ダイコンの大きさで差が出たの? 確かにダイコンは大きいけど、わけが分からない! 同じ五面ずつだったのに……

〈レベルが上がりました。カブ、カボチャ、ナスが解放されました〉

 レベルが上がった……けど、解放野菜の前にジャガイモを種まき。小豆あずきができた以上、何かしらの種があれば種まきできる……はず! ならば、トムじいのとこに行ってテンサイの種をもらう! そして種まきにトライ!
 どれくらい時間がかかるか分からないけど、挑戦する価値はあると思う。リアルより短時間で、できるのは魅力大! でも、植える一方なのかな? 種をとるとかできないのかな? 種がとれれば、悩まないですむのにな……

「あれ? 嬢様、どうなすった」

 あっ! トムじいが現れた! じゃなかった。なんて都合のいい……ご都合主義バンザイ!

「トムじい、テンサイの種を少し分けてほしいの」

 どうかなー? あるかなー? くれるかなー?

「小屋に行けば、たんとあります。持ってきますか?」

 あったー!

「行くわ。余分にもらえるなら、嬉しいもの」

 こうして、私はトムじいから小さな袋(一リットルサイズかな?)に入ったテンサイの種をもらいました。でも、安心してください! トムじいはこの倍以上の種をキープしてます!
 テンサイの種もゲットした! ジャガイモ収穫後にテンサイの種まきした……全面はヤバいか? 二面くらいをテンサイにするか。
 小豆あずきとテンサイで五面、あとはそのときそのときに決めてけばいいか。うん。
 そろそろ厨房に一度行って、何か来てれば収納して……自室に戻って収納……あるかな?
 よし! 決まった! 厨房に行こう! ダッシュで使用人出入り口に行きます。
 使用人の出入り口近くまで来ました。業者の荷馬車とか、停まってます。
 …………来てるぅ~! なんか、いっぱい来てる!

「お嬢! 来てますぜ!」

 元気いっぱいの料理長が景気良く教えてくれる。

「毎度あり~! 貴族の皆さんも最近では、買い控えてるのにありがたいこって。どうしたんで?」

 どこの人だろう。まあ、何かしらの業者だろうけど、商人トーク炸裂さくれつだね!

「あぁ、今日の昼すぎには主人たちは領地にお帰りなさるんで、その準備でさぁ」

 ああ~料理長言っちゃったよ。

「「「えっ?」」」

 その場にいた商人が全員、止まりました。シーンとしてます。
 料理長は何一つ変なことは言ってません。

「おい……それは本当かい?」

 一番年嵩としかさの商人が聞いてきました。

「あっ……あぁ……本当だ」

 商人全員が顔面蒼白です。なんだと言うのでしょう? ザワザワしてます。
 なんとなく聞きたくないので、デビルイヤーはしません。

「なぁ……その……侯爵様たちだけが、行っちまうのか?」

 恐る恐る聞いてきます。
 そう言えば、どれくらいの人数が領地に帰るのか私も知りません。

「いや。侯爵様一家に上級使用人の皆様、料理人の半数にメイドなどが半数以上。護衛の方々とかなりの人数だな。残るのはおやしきを維持するため都に住んでる人間のみらしいな。どうした?」

 そんなに大所帯で帰るんかい。びっくりしたわ。
 料理長の言葉を聞いた商人の一人が、神妙な面持ちで口を開いた。

「なぁ……店を畳んでついて行きたいって言ったら、侯爵様は嫌がるかな?」

 え? 王都から出るつもりなの? 道中は危ないよ!

「うーん……どうかな? 聞いてみんとな……ちょっと、待ってくれ」

 そう言うと、料理長はスッと厨房の中に入って行ってしまいました。業者全員が寄り集まってボソボソ相談してます。王都はそんなにヤバい感じなんでしょうか? 暮らしにくいとか? でも、安全が一番だと思うのですよ。

「待たせたな。執事さんに聞いたら、隊列に入っても大丈夫らしい。なんでも寄子よりこ貴族も一緒に領都まで行くから、構わないって。店の商品も全部買い取るって話だ」

 業者全員が明るい顔になりました。

「本当かい! 税が上がるらしいし、商品も売れなくなってきててどこかに身を寄せようと考えてたんだ。侯爵様はいつでも、たっぷり買ってくれるし、隊列に加えてもらえるなら大助かりだ! 王都より侯爵領の方が景気が良いらしいしな。ありがたい! 家族でずっと相談してたんだ、俺は侯爵様について行くぜ! 商品全部持ってくるよ! よろしく伝えてくれ!」

 商人は一気にまくし立てて荷馬車と共に去って行きました。
 それを見ていた他の商人たちも、頷き合い料理長のそばに寄って行きました。

「うちもよろしく頼む」
「うちもだ、その……頼むよ」
「悪いが、うちもよろしく頼む」

 次々と商人たちが申し出てきました。商人一家が複数加わるようです。

「おう、伝えておく。急いでくれ」

 商人たちは頷き、荷馬車と共に去って行きました。商品の配達と荷造りとか、大変です。でも、そんなに王都での暮らしがヤバ目になるとは……マズくない?

「お嬢、荷物来ましたぜ」

 料理長がいい笑顔で私を見てます。山盛りの荷物の前に移動します。

「荷物の山、収納」

 シュンと一瞬で消えました。そして無限収納にズラズラッと入りました。

「スゲェ……」

 そうだね、すごいね。でもね、料理長……さらにすごいのは、収納先で分類されて、量も明記されてることだよ。仕分け作業の手間がないって、すごいんですよ。
 チートというより、便利機能満載。
 そんな私のスキルだけど、八丈島の農作物の収穫のタイミングが分からなくて残念。
 何かお知らせのアナウンスとか、メッセージを教えるアイコンとかないものなのか……

〈マイ・アイランドのアイコンの右上にメッセージ告知ランプを表示いたします〉

 ワァオ! いきなり、ウィンドウが開いてありがたいメッセージ来たワァ!
 そしてピコピコ光るアイコンの右上! もはや、料理長がいてもキニシナイ!
 スッスッと手を動かして、八丈島を見る。

〈ジャガイモができました。収穫してください〉

 ジャガイモ……早くて、腹持ちのいい芋……安定の収穫からの無限収納……
 そしてお知らせランプ……ありがとう。これで、効率良くなる!
 テンサイを八面に種まきして、残り二面……どうするかな。キャベツの種をまくか……これで良し。とりあえず、これで島はいいや。

「お嬢? 何してるんで?」
「んー? ちょっとした畑仕事よ」

 ん? アレ? 今、話しかけられた? ……傍から見たら不審な動きよね。

「え?」
「え?」

 思わず、料理長と顔をまじまじと見合わせてしまいました。

「気にしないで」
「はあ……」

 首をひねりながら、料理長は中に戻って行きました。間違ってないけど、ペロッと答えちゃったわ。
 ――ゾクゥ‼
 え? 何。今の悪寒おかん……まさか、オカンなの?
 じゃなくてね、お母様が……? どこ、どこから…………
 ぎ澄ませ! 私のシックスセンス‼ そこかぁ!
 振り返れば……アニスがいた! 柱の後ろから涙目で私を見てました。私の専属侍女で一コ下のふんわり雰囲気の可愛い侍女です!


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