婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

文字の大きさ
表紙へ
20 / 1,517
2巻

2-3

しおりを挟む

「エリーゼ様……素晴らしいお力に目覚められたのですね……」

 ヤベェ……こいつはなんかヤベェ予感しかしねぇぞ……

「我らシルヴァニアの偉大なるご先祖様が持ち得たお力……度々そのお力を持つ者もおりました。エリーゼ様がそのお力をさずかってらしたなんて……はっ! こうしてはいられませんわ、フェリシア様にご報告せねば!」
「えっ! ちょっと待ってぇ!」

 はっや! もうフェードアウトしかかってる!

「ソニアっ!」
「失礼いたしま…………」

 あー! 遠いーーーー! 語尾が聞き取れなかった……これはお母様から、何か言われる! 確実にっ!
 すんごい勢いで一礼したまま、音も立てずに後ずさり(高速)してくとか……恐るべし、シルヴァニア家……いや、お母様の実家から連れてきた侍女だし……触れてはイケない何かがあることだけは分かってますけど。

「エリーゼ、その無限収納って……」

 やだ! 私ったら、トールお兄様とフレイの存在忘れてた(笑)

「えっ……ええ、生きてさえいなければ、何をどれだけでも運べる力ですわ」

 キョトーンのままトールお兄様が、私を見つめています。もう少し説明せよってことですね。

「目に見えない部屋みたいなものがあって、そこに自由自在にものを入れたり出したりできる力ですわ。もちろん、好きなだけ入れられるのですわ」

 これで伝わるかしら?

「それは……すごいな……生きてさえいなければということならば、食料はもちろんのこと衣服や武器もか……」

 なんとなく、トールお兄様が考えてることが分かります。武器とか言っちゃったらダメです。

「その通りですわ。大勢の人間に必要なものを持って歩ける力ですわ。私、一人で……です」

 トールお兄様のお顔が強張こわばってます。でもね、トールお兄様……私、それだけじゃあーりませんの。八丈島もテイムもスキルも、チートすぎてビックリすることけ合いですわ。
 だから、そんな難しいお顔しないで。

「トールお兄様、お話は後ほどいたしましょう。私、お腹が空きましたわ」

 朝ごはん食べよう! お腹空いてたら、いい考えなんてできませんわよ。

「あ……あぁ、すまない。食堂に行こうか」

 トールお兄様、お顔……強張こわばったままですわ。フレイもつられてるじゃん。ハァと軽い溜息をつき、歩き出す。
 ……トールお兄様とフレイが何やら、コソコソと小声でやり取りしながら後ろを歩いてます。
 聞こうと思えば聞けるんだぞ! 聞かないけど! それよりも、お母様だな……問題はそこだ! 何を言われるか、だ! 無茶なことは言わないだろうけど、予想がつかないや。いや、だが待て! こんなときこそ、賄賂わいろなり!
 私には、アンコがある……これで、イチゴができれば……お母様に怒られない! ヤッター‼ 我ながら、ナイスアイデアなり! イチゴ大福にはならないけど、イチゴの甘酸っぱさとアンコの優しい甘さがお母様の怒りを優しく溶かしてくれる! …………はず…………たぶん…………
 便利な引っ越し屋さん的な扱いになるかもしれないけど、それはそれで仕方ないか。

「ちょっ……ダメだって……!」

 何やってる! 後ろぉ‼ ガッと振り向いたら、お兄様とフレイが深いキスをしてました。
 あのー……廊下のど真ん中でやることじゃないですよねー? 当てられるより呆れてる私ガイル。

「んっ……ハァ……ッ……」

 なんか艶っぽいな、フレイさんよ……そしてトールお兄様、してやったり! な、お顔とか勘弁ですよ。

「トールお兄様……そんなことは、自室でやってくださいませ」

 じとーん……と睨んじゃいましたよ。

「ハハハ……エリーゼが難しい顔して歩いてるからだよ」

 は? それだけで、やる? ディープキスとか、やる? ……これは……嘘だ! やりたかっただけに違いない!

「嘘つけ!」

 フレイがツッコミました! 良し! 良く言ったフレイ!

「まぁね、フレイが可愛くてやった。驚いた顔も可愛いな」

 爽やかな笑顔で、何を言っちゃうのかなトールお兄様は! 照れ照れになったフレイも可愛いな! 畜生ちくしょう! 我が家は美形率が高いから、目の保養にはなるけど……なんか、新鮮だなぁ……こんな、やり取り初めてかも。

「じゃれ合うのも結構ですが、私はお腹が空きました」

 トールお兄様はフレイの頭をワシャワシャと撫でながら笑ってます。

「あぁ、ゴメンゴメン。こんな風にじゃれ合えるのは今くらいだけだよ。朝食がすんだら最終確認をしなきゃいけないからね」
「そうですね。なんとか昼までに準備を終えて、昼食後すぐに出る予定ですからね。遊んでる暇はありませんよ」

 そうか……そうだよね。残ってる私の荷物は、部屋でガンガン収納しちゃおう!

「さ、行こうか。エリーゼ……あんまり考え込まなくていいよ」

 ポンッと軽く肩を抱かれ、歩き出す。あーあ、軽くこんな風にできちゃうとか……これで、身持ちが固いんだから卑怯ひきょうよねぇ……
 トールお兄様に肩を抱かれながら着いた食堂には、まだ誰も来ていなかった。

「一番乗りだね」
「そうですね」

 あれ? なんかトールお兄様の声のトーンが落ちてる?
 不思議に思って眺めていると、トールお兄様が私を真っすぐに見つめた。そしてポンッと私の肩に手を置く。

「エリーゼ、たぶん新しい力のことはあれこれ聞かれるだろう。でもね、俺はエリーゼの味方だよ……それは忘れないでほしい。エリーゼが嫌だと一言言ってくれれば、俺は父上と闘うことになっても構わない」

 …………トールお兄様、キメ顔で…………

「お母様とは闘わないのですね」
「それは無理。俺は父上が限界」

 バレた~ってお顔で言ってもダメです。
 …………お母様と闘うとか、私だって無理ですわ。

「大丈夫ですよ、トールお兄様。きっとお母様も私の味方ですわ。それに……武器も防具も魔道具も、目いっぱい収納して持ち歩けるって……私一人で荷馬車何台分持ち歩けるのかしらね……フフフ……」

 ジッとトールお兄様を見つめてみます。徐々に引きってくるトールお兄様のお顔(笑)

「そ……れは……それは恐ろしいな! エリーゼは体力あるし、武器の扱いと確か……魔法もすごいって聞いてるよ」

 トールお兄様ったら。

「まぁ、そんなことありませんわ。実戦使用したわけではありませんもの」

 たかが学園でちょろっとやった程度で噂になるとか、暇すぎるでしょ、学生ども。

「いや、すごいと思うよ。エリーゼは度胸があるからね……たぶん、魔物に対峙したとしても闘えるだろう」

 やだ、トールお兄様ったら。こんなに可愛い妹をつかまえて。

「そうでしょうか?」
「ユキをただの子犬だと思ってたとはいえ、大きさが結構あるのに押さえ込むとか……我が妹は怖いもの知らずか! とあのとき思った」

 ……要らんこと思い出すなや! まあ、白い子犬だと思ってたら実は魔物だったなんて知らなかったし! 体当たりからの押さえ込みとか、令嬢(幼女?)がすることではなかったね!

「あれは……可愛いワンちゃんが! って思ったんです! もぅ、トールお兄様ったら!」

 トールお兄様は肩から手を外して、一歩距離を開ける。

「そうだな、ずっとワンちゃんだと思ってたもんな!」
「そうですよ」

 クックッと笑うトールお兄様につられて、私もクスクスと笑ってしまう。

「おはよう、二人とも早いな。それになんだか仲良さそうでけるな」
「キャスバルお兄様。偶々たまたまですわ。ねぇ、トールお兄様」

 キャスバルお兄様、登場です! 朝からなんだかピンクのオーラが見えます! それに、けるってなんですか!

「あぁ、階段を下りたところで会ったんだ。けるってなんだよ、兄貴」

 お兄様たちは笑顔で近づき、そのままご自分たちの席へと移動しました。美形の兄二人が笑顔でいるって、眼福がんぷく! 朝から色々、ごっつぁんです!
 普段バラバラに取っている朝食ですが、今日はお兄様たちと一緒です。
 私も自分の席に着くと、メイドがやってきて支度をしてくれます。

「失礼いたします」

 カチャカチャとお皿が並べられます。野菜いっぱいの鶏ガラスープに焼いた薄いボアの肉、薄切りのパン(やっぱり硬い)、リンゴとブドウ。ちょっと前までは、塩味だらけの食事が今は豊かに!

「美味しそうだわ……」

 野菜の出汁だしがスープに溶け出して、とっても優しい味になってる。あぁ……イケメンをチラ見しながらの食事とか、ごっつぁんです!
 なーんで、お兄様たち、こっちが聞き取れないような小っさい声でささやき合ってんの!
 しかも、なんか頬染めちゃってさー! 小突き合ったりしてさー! なんか男って、いくつになってもじゃれ合うよね。
 楽しそう…………くそ…………発動しろ! デビルイヤー! 古い(笑)

「さっきフレイを見かけたけど、艶々つやつやしてたな」
「まぁね、母上のおかげかな」
「なんだ、母上に相談してたのか?」
「一番頼りになるのは母上かな? と思って」
「なるほど、俺は父上に相談かな?」
「なんで?」
「俺の側近のレイが、父上の側近のアレク殿に影響されてな……」
「マズイのか?」
「ある意味な。あれでは、俺の身が持たない」
「そんなに?」
「まぁな」
「なぁ……エリーゼの様子がおかしくないか?」
「……おかしいな」
「兄貴……あの顔は、ろくでもないことを考えているぞ」
「分かるのか?」
「なんとなく……」

 ――チッ! 気が付いてやがる。

「エリーゼ⁉」

 ヤベェ、リアル舌打ちしちゃった。キャスバルお兄様がびっくりしてる。

「今の舌打ち、エリーゼだよね?」

 鋭いなトールお兄様は(笑) 確実にツッコンで来るね。

「その通りですわ。トールお兄様」

 さぁ! 言いたいことあるなら言えやぁ! 私に聞こえないようにブツブツ言ってたの、聞いてたんだぞぅ!

「淑女が舌打ちは感心しないな。理由を聞いても?」

 キャスバルお兄様、持ち直しましたか。ホホホ……と笑って誤魔化す。

「私の顔を見て、ろくでもないとか言われたからですわ!」
「聞こえたのか!」

 キャスバルお兄様、聞こえたじゃなくて聴力上げて、聞いた! の間違いですわ。

「兄貴、違う。エリーゼは聞こえたんじゃなくて聞いたんだと思うよ」

 溜息交じりに、トールお兄様がジト目でおっしゃいました。

「正解ですわ。なんだか楽しそうでしたから、交ざりたくて聞きましたの」

 お兄様たちが顔を見合わせて、ケラケラと笑ってます。分かってますわ。私のつまらない我がままですわ。

「そんなことをしなくても、普通に話しかけて良かったのに」

 キャスバルお兄様ったら♡

「エリーゼなら大歓迎だよ」

 ホントかな? 本当に? トールお兄様。

「キャスバルお兄様もトールお兄様も、ありがとうございます」

 私はゆっくり食事をしながら、お兄様たちの話を聞いていた。主に惚気のろけ話で、当てられました。ブドウを皮ごと、モギュモギュと食べながら心の中で「甘~い」と叫びまくりました。
 それにしてもキャスバルお兄様の側近レイは、だんだんお父様の側近のアレクに似てきたなぁ……主に色気のたれ流し具合が。
 かく、甘い惚気のろけをオカズに朝食を乗り切り……違う! 食べきりました。
 飛びそうになる意識をなんとかつなぎ止め、早々に食堂から脱出です。
 フラフラと外に出ます……お兄様よ……さすがに妹にはキツかったですよ……ある意味、リア充ですよね。
 特にキャスバルお兄様、あと一年もしたら帝国からお嫁さん来るのに……そんなにレイとラブラブでなんとかなるんですか? 疑問ですよ。
 それに、トールお兄様の妻であるヒルダがね……平然としてるのよね。諦めているのか、それとも達観してるのかしら? いつも意味深な笑顔を見せるけど。
 まぁ、夫婦のことになるから、余計な口出しはできるだけしないように心がけよう。
 ハッと我に返り、キョロキョロと周囲を見回す。無の境地だったのかしら? いつの間にか秘密の畑近くの人工林の散歩道に来てたわ。お兄様たちに当てられたのかしら? 記憶が抜けてるわ。それにしても所々、色付く木々が植えてあってロマンチックね……誰も来ないけどね(笑)
 八丈島をチェックです!

〈イチゴができました。収穫してください〉
〈ダイコンができました。収穫してください〉

 よーし! メッセージ来た~! さっそく、収穫! 無限収納にイン!
 …………イチゴが五? ……ダイコンが十? ……ダイコンの大きさで差が出たの? 確かにダイコンは大きいけど、わけが分からない! 同じ五面ずつだったのに……

〈レベルが上がりました。カブ、カボチャ、ナスが解放されました〉

 レベルが上がった……けど、解放野菜の前にジャガイモを種まき。小豆あずきができた以上、何かしらの種があれば種まきできる……はず! ならば、トムじいのとこに行ってテンサイの種をもらう! そして種まきにトライ!
 どれくらい時間がかかるか分からないけど、挑戦する価値はあると思う。リアルより短時間で、できるのは魅力大! でも、植える一方なのかな? 種をとるとかできないのかな? 種がとれれば、悩まないですむのにな……

「あれ? 嬢様、どうなすった」

 あっ! トムじいが現れた! じゃなかった。なんて都合のいい……ご都合主義バンザイ!

「トムじい、テンサイの種を少し分けてほしいの」

 どうかなー? あるかなー? くれるかなー?

「小屋に行けば、たんとあります。持ってきますか?」

 あったー!

「行くわ。余分にもらえるなら、嬉しいもの」

 こうして、私はトムじいから小さな袋(一リットルサイズかな?)に入ったテンサイの種をもらいました。でも、安心してください! トムじいはこの倍以上の種をキープしてます!
 テンサイの種もゲットした! ジャガイモ収穫後にテンサイの種まきした……全面はヤバいか? 二面くらいをテンサイにするか。
 小豆あずきとテンサイで五面、あとはそのときそのときに決めてけばいいか。うん。
 そろそろ厨房に一度行って、何か来てれば収納して……自室に戻って収納……あるかな?
 よし! 決まった! 厨房に行こう! ダッシュで使用人出入り口に行きます。
 使用人の出入り口近くまで来ました。業者の荷馬車とか、停まってます。
 …………来てるぅ~! なんか、いっぱい来てる!

「お嬢! 来てますぜ!」

 元気いっぱいの料理長が景気良く教えてくれる。

「毎度あり~! 貴族の皆さんも最近では、買い控えてるのにありがたいこって。どうしたんで?」

 どこの人だろう。まあ、何かしらの業者だろうけど、商人トーク炸裂さくれつだね!

「あぁ、今日の昼すぎには主人たちは領地にお帰りなさるんで、その準備でさぁ」

 ああ~料理長言っちゃったよ。

「「「えっ?」」」

 その場にいた商人が全員、止まりました。シーンとしてます。
 料理長は何一つ変なことは言ってません。

「おい……それは本当かい?」

 一番年嵩としかさの商人が聞いてきました。

「あっ……あぁ……本当だ」

 商人全員が顔面蒼白です。なんだと言うのでしょう? ザワザワしてます。
 なんとなく聞きたくないので、デビルイヤーはしません。

「なぁ……その……侯爵様たちだけが、行っちまうのか?」

 恐る恐る聞いてきます。
 そう言えば、どれくらいの人数が領地に帰るのか私も知りません。

「いや。侯爵様一家に上級使用人の皆様、料理人の半数にメイドなどが半数以上。護衛の方々とかなりの人数だな。残るのはおやしきを維持するため都に住んでる人間のみらしいな。どうした?」

 そんなに大所帯で帰るんかい。びっくりしたわ。
 料理長の言葉を聞いた商人の一人が、神妙な面持ちで口を開いた。

「なぁ……店を畳んでついて行きたいって言ったら、侯爵様は嫌がるかな?」

 え? 王都から出るつもりなの? 道中は危ないよ!

「うーん……どうかな? 聞いてみんとな……ちょっと、待ってくれ」

 そう言うと、料理長はスッと厨房の中に入って行ってしまいました。業者全員が寄り集まってボソボソ相談してます。王都はそんなにヤバい感じなんでしょうか? 暮らしにくいとか? でも、安全が一番だと思うのですよ。

「待たせたな。執事さんに聞いたら、隊列に入っても大丈夫らしい。なんでも寄子よりこ貴族も一緒に領都まで行くから、構わないって。店の商品も全部買い取るって話だ」

 業者全員が明るい顔になりました。

「本当かい! 税が上がるらしいし、商品も売れなくなってきててどこかに身を寄せようと考えてたんだ。侯爵様はいつでも、たっぷり買ってくれるし、隊列に加えてもらえるなら大助かりだ! 王都より侯爵領の方が景気が良いらしいしな。ありがたい! 家族でずっと相談してたんだ、俺は侯爵様について行くぜ! 商品全部持ってくるよ! よろしく伝えてくれ!」

 商人は一気にまくし立てて荷馬車と共に去って行きました。
 それを見ていた他の商人たちも、頷き合い料理長のそばに寄って行きました。

「うちもよろしく頼む」
「うちもだ、その……頼むよ」
「悪いが、うちもよろしく頼む」

 次々と商人たちが申し出てきました。商人一家が複数加わるようです。

「おう、伝えておく。急いでくれ」

 商人たちは頷き、荷馬車と共に去って行きました。商品の配達と荷造りとか、大変です。でも、そんなに王都での暮らしがヤバ目になるとは……マズくない?

「お嬢、荷物来ましたぜ」

 料理長がいい笑顔で私を見てます。山盛りの荷物の前に移動します。

「荷物の山、収納」

 シュンと一瞬で消えました。そして無限収納にズラズラッと入りました。

「スゲェ……」

 そうだね、すごいね。でもね、料理長……さらにすごいのは、収納先で分類されて、量も明記されてることだよ。仕分け作業の手間がないって、すごいんですよ。
 チートというより、便利機能満載。
 そんな私のスキルだけど、八丈島の農作物の収穫のタイミングが分からなくて残念。
 何かお知らせのアナウンスとか、メッセージを教えるアイコンとかないものなのか……

〈マイ・アイランドのアイコンの右上にメッセージ告知ランプを表示いたします〉

 ワァオ! いきなり、ウィンドウが開いてありがたいメッセージ来たワァ!
 そしてピコピコ光るアイコンの右上! もはや、料理長がいてもキニシナイ!
 スッスッと手を動かして、八丈島を見る。

〈ジャガイモができました。収穫してください〉

 ジャガイモ……早くて、腹持ちのいい芋……安定の収穫からの無限収納……
 そしてお知らせランプ……ありがとう。これで、効率良くなる!
 テンサイを八面に種まきして、残り二面……どうするかな。キャベツの種をまくか……これで良し。とりあえず、これで島はいいや。

「お嬢? 何してるんで?」
「んー? ちょっとした畑仕事よ」

 ん? アレ? 今、話しかけられた? ……傍から見たら不審な動きよね。

「え?」
「え?」

 思わず、料理長と顔をまじまじと見合わせてしまいました。

「気にしないで」
「はあ……」

 首をひねりながら、料理長は中に戻って行きました。間違ってないけど、ペロッと答えちゃったわ。
 ――ゾクゥ‼
 え? 何。今の悪寒おかん……まさか、オカンなの?
 じゃなくてね、お母様が……? どこ、どこから…………
 ぎ澄ませ! 私のシックスセンス‼ そこかぁ!
 振り返れば……アニスがいた! 柱の後ろから涙目で私を見てました。私の専属侍女で一コ下のふんわり雰囲気の可愛い侍女です!


しおりを挟む
表紙へ
感想 5,675

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。