婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

新天地を! 121

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「さ、次は御髪を整えましょう」

柔らかい革で出来たショートブーツを履き、鏡台へと移動する。
アニスの手がブラシを持ち、梳いてくれる。その手に迷いは無い。
ブラシが置かれ、結われてるけど全く分からない。
でもお飾りも髪飾りも鏡台に置かれたままなので、まだまだ時間は掛かるのだろうけど……早く……早くと気持ちが焦るけどいつ到着するのかも知らされてない以上私があれこれ言っても仕方ない。
エミリから今日帰還すると聞いたなら、エミリは今どこにいるか知っているという事。
そしてエミリが知っているという事はお母様も知っているという事。
朝ご飯の時に教えて貰えるかしら?

「大丈夫ですよ、母さまは慌てない様にって言われましたから」

私の顔を鏡台の鏡越しに見て、少しだけ困ったように笑う。

「そんなに顔に出てたかしら?」

「はい。早く会いたいってお顔でした」

手を止めずに相槌を打って微笑むアニスだってキースに会いたいだろうに……

「アニスだってキースに早く会いたいでしょう?」

「勿論早く会いたいです。でも、すぐにこちらに帰って来れる訳ではないですし……帰って来れば分かりますよ。きっと領都が騒ぎ出すでしょうし」

「あら?そうなの?」

「だって今回はエリーゼ様の婚約者で帝国皇子であるルーク様の初陣ですもの。領都では無事に帰ってきたのか?とかちゃんと討伐出来たのか?とか色々気にしてる者達が沢山いますよ」

……噂の的だったのか……いや、でも初陣って確かに大騒ぎだった気がする。
お兄様達も初陣の時は皆して出迎えた気がする。
そうか……ルーク達も領都に入れば領民達に出迎えられるんだ……

「たとえ上手く討伐出来なくても、無傷に帰って来る事が大事なので討伐した大型が見えなくても大丈夫ですよ」

「そうね……ルークは無限収納があるからぱっと見失敗に見えちゃうわね……」

「これで良し!ではお飾りと髪飾りをお着け致しますね!」

三連になっている赤サンゴのネックレスがつけられ、赤サンゴが三粒繋がれたピアスがつけられる。
エメラルドグリーンの髪飾りが取り出されつけられるけど、どうやら結った所の上の様に感じる。
どんな風になってるのか気になるけど、鏡でチェックするのは憚られる……なぜなら信頼関係が築き上げてれば、侍女は主を飾り立てる事に喜びを感じてるから似合わない様に結い上げる事はしないから……という理由があるから。
私はアニスの事を信じてるので、鏡でチェックはしない。
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