婚約破棄されまして(笑)

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新天地を！ 141

エントランスに戻ってから見てみれば、使用人達が相も変わらずバタバタと走り回ってる。
いつもこんなだったかしら？

「ねぇ、アニス……今日は特に慌ただしくない？」

「当然です。今日は初陣のお祝いですから！」

アニスは堂々と胸を張って言ったけど……てか、アニスよ……鼻息荒くない？

「夜になったら、お祝いですよ！通常と違って振る舞いも大盤振る舞いになりますし、旦那様が報償を弾んでくれますからね！隊員達も喜びますし！」

「そうか……そうね、報償が出るなら喜ぶわよね」

うーん……良く分からないけど、特別ボーナスが出るなら嬉しいか……

「エリーゼ！済まないが、今から四番隊の大型を載せた荷馬車に行って討伐した大型を収納してくれないか？」

あら？お父様が慌ててやって来たと思ったら、そんな事を言ってきましたよ。

「勿論構いませんわ、でも私が収納すれば解体までしてしまいますけど？」

「構わん！」

即決即答でした。早いなー……

「じゃあ、行って来ます。アニス、大型引き取りに行くわよ」

「はいっ！」

脱ぎかけたドレスコートをもう一度着込んで、アニスと共に隊列の元へと歩き出す。
遠くからでも良く分かる大きな竜と鳥……どっちも分かりやすい魔物だ。
四番隊の隊列はユルユルと動き出し、いつも領主隊が馬車を停める定位置へと向かってる。
響く怒号にも似た指示の声。野営の時も同じように言ってたのを思い出す。
何人もの隊員がハンドサインでやり取りしてるのをちゃんと見るのは初めてだ。

「そう言えば、あの隊員達がしてる手振りはエリーゼ様が教えたらしいですよ。あの手振りのおかげで隊列の動きが良くなったんですって」

ナ……ナニィッ！一体いつ教えた！確かにガススタンドとか自衛隊とか飛行場とかで良く見るような動きだけど！わっ……私は一体何をどれだけやらかしたのよ……
しかも女の子らしからぬ事ばかり……

「そうなの……良く覚えて無いわ……とりあえず、そろそろあちらに行きましょう。早く収納してしまいたいわ……」

倒れそうです……記憶に擦りもしないような事が多すぎて……
大型二頭を載せた荷馬車もゆっくりと動き出したので、巻き添えにならないように安全距離を取りながら荷馬車に付いて行く。
遠目でルーク達が前の方で話し込んでる姿が見えるけど、今は我慢です。
まずは収納ですから！