婚約破棄されまして(笑)

連載

新天地を！ 170

うーん……実際の所どうするのが一番なのか……
登録制にするか……もしくは温室から出る時に農作物とかの持ち出しを関知する魔道具でも開発するか……
とりあえずその辺は先送りにするか……まずは温室を作って植え付けが済んでからよ……

「真剣だな！」

トールお兄様が瞳をキラキラさせて宣った。うん、真剣ですよ。

「ええ……温室の対策は先送りにして先に建てちゃおうと思って」

「そうか！何だか楽しみだな！」

「そうですね。季節外れの作物とか特別感ありますからね」

クリスマスのイチゴとか、はしりの梨やブドウにミカン……贈答品とか割高でもちゃんと売れてたのよね……

「よし！大っきめの温室作ろう！トールお兄様、ルーク。今からちゃちゃっと作るわ！」

そう言って指し示された場所のきわに行く。
今まで作ってきた建築物のおかげでコツは掴みました！
要はイメージです！細かければ細かい程ちゃんとした物が作れます！……ってそんな訳ないわ……これはアレよ、ナビさんかな？

（ナビさんがサポートしてくれてる？）

〈勿論です。マスターのイメージを受け取り、設計図を起こし土中の成分を調整してますがマスターの魔力ありきですので私のサポートはたかが知れてます〉

（そっか！ありがとう！じゃあ、これからもよろしく！）

〈イエス！マスター！〉

よしっ！一丁やりますか！
膝をついて手を地面に付けてイメージしながら魔力を地面へと流す。
前世で遊びに行ってた古い家だけど、温泉を引いてた友人の家……
深さは壱メートル……長方形の水路を複数作ってその水路の中っ側に魔石を複数ばら撒いて温水を保たせる。

（ナビさん、無限収納にある魔石を使って！）

〈畏まりました。術は私が付与致します、魔力を頂きます〉

（よろしく！）

程なくあきらかに地面からほんのりと温かみを感じる。
よし……ここからは温室本体を作る。
知り合いの大葉農家の大きな温室を思い出す。
温水路をちゃんと入るサイズで……って目の前に土台が出来、鉄枠が下から生えるみたいにニョキニョキ伸びて行く。
そして土が鉄枠の中に板状に入ったかと思ったらパリンッ！て音を立てて透明なガラスになっていく。
ヤバイ！何この楽しい感じ！大きいのに透明なガラス張りなもんだから、圧迫感とかは無い。
ん？……温室の中、細い柱じゃないな？何だろう……天井近くで繋がった？って何か魔石が付いてる？

〈マスター、あの魔石に魔力を流せば上から霧雨のように水が出るように術式を組み込みました。魔力は支柱に流せば良いように致しました〉

なんて良く出来てるの！

（ありがとう！ナビさん！）

これで水やりも楽チンだわ！
こうして魔力消費は中々のものだったけど、ものっそい早さで温室が出来上がりました。