婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 182

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「美味そうだな。これは手掴みで食べる物だな」

トールお兄様はそう言うとカットされたピザの端を掴んでパクりと熱いままのピザを齧った。
熱々なのに……

「ハフッ!……ング……グ……」

熱々ピザを齧って冷え冷えのハイボールを勢い良く飲む。

「カーッッ!熱い!美味い!」

トールお兄様がジョッキ片手に雄叫びを上げる。
やめて下さい。フレイの目がマジで怖いです。

「あれは美味いだろ……」

ルークはそう言うとまだ熱いピザを手に取りそのまま齧って、同じようにハイボールを勢い良く飲む。
……似たような事して……

「私だって熱々ピザ食べてハイボール流し込むんだから!」

カッとなって熱々ピザをハグハグと食べて、火傷してそうな口の中にハイボールを流し込んで冷やす。

「プハーーッッ!美味しーーい!コレよコレ!」

ドキーンッ!

えっ?何かしら?シャレにならない殺気が?
キョロキョロと殺気の源を探ればフレイでした。
うん、ゴメンね。腹ぺこ大王のフードファイターなフレイの目の前でパクパクし過ぎたわ。

「トールお兄様。残ったピザはフレイに食べて貰いましょう?」

「ん?良いのかい?」

トールお兄様が嬉しそうに聞いて来たけど、フレイの視線が痛くて堪りません。

「ええ。試食ですからハイボールはあげられませんけど」

「それは残念だけど仕方ないね」

トールお兄様はそう言うと残された焼き立てピザが載った木皿をフレイに差し出した。
……優雅っぽく食べだしたけど速度が早い。ほぼ二口で食べきっちゃってる気がするけど気にしたら負けだわ。

「エリーゼ様~!」

遠くからアニスが走ってくる姿が見える。
チラッと見たさっきまで焼き立てピザが載っていた木皿は綺麗さっぱり空になってました。

「ルーク様、伝えて参りました」

……キースも帰って来た。運命か……

「エリーゼ、さ!どんどん焼こう!お腹ぺこぺこだよ」

「ダメです。もう少し後です」

トールお兄様を止めてる間に使用人達がやって来てテーブルや椅子が設置されていく。
魔石もあちこちに設置され、魔力が流されホワホワと温かくなってくる。
焚き火とかの代わりですね。

「エリーゼ。新しい食事だと聞いてね、楽しみ出て来たんだよ」

キャスバルお兄様が優雅な足取りでやって来ました。コンパスが長いからでしょうか、あっという間に距離が縮まる。
そんなキャスバルお兄様の後ろにお父様とお母様の姿が見える。
……視界の端っこに側近達と侍女達が見える。
家族全員揃い、それぞれの側近や侍女も揃う。
空気は冷えて寒い筈なのに何だか心がホワホワと温かくなった。
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