婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

新天地を! 188

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そろそろお母様にとっておきを出さねばなるまいよ……
濃いハイボールわ飲むルークは放っておいてジムに近づく。

「ん?お嬢、どうなさいました?」

「そろそろ甘いピザを出すべきだと思うの」

チラリと視線だけでお母様を見る。
釣られてジムもお母様をバッ!と見てコクリと頷いた。

「ヤバイっすね」

「ええ。ピザ生地に薄いリンゴを並べて焼き上がったら蜂蜜でも掛けたらどうけしら?」

前世のファミレスに似たようなアップルパイを一度だけ食べた事がある。
アレに似せたピザならきっとお母様は喜ぶ筈!と思い無限収納から真っ赤なリンゴ(紅玉)を出して手渡す。

「それとチーズだけたっぷりのピザを焼いて、やっぱり焼き上がったら蜂蜜を掛けて頂戴」

「分かりやした!どっちも奥様は喜ぶでしょう」

見回してお祖父さまとお祖母さまがいない事が気になり、その事もジムに聞く。
勿論、ジムの手は一切止まらない。

「ねぇ、お祖父さまとお祖母さまって……」

「中の食堂で魚料理を食べてるはずです。その……食事内容を聞かれてこっちじゃなく食堂で取るって聞きやした」

「魚料理……」

「へい。カルパッチョにアクアパッツァ、ボンゴレ……全部お嬢に教えて貰った料理ですが大旦那様も大奥様も大変お気に召してるって聞いてやす」

「確かに教えてたわ……煮魚とかじゃないのね」

和食は合わなかったのかな?

「いや、煮魚も焼き魚もお好きだと聞きやした。でも今日の料理長は少し手の込んだ物だったって事でやす」

「そうなのね」

「よし!これをイワンの所に持ってけ!っと……しまった、蜂蜜が……」

「あ、出すわ」

手早く無限収納のリストから蜂蜜……百花とかアカシアとかあるじゃない……とりあえず百花蜜にしておこう。
トン!とジムの前に百花蜜の瓶を出す。

「助かります、お嬢……その、量ありやすね」

「そうね。たっぷり使えて良いと思うわ」

いわゆる大瓶の蜂蜜でした。
若い料理人二人がピザと蜂蜜(スプーンもです)を持って石窯へと歩いて行った。
お母様を見守ってるとニコニコと笑顔になった。これで一安心。

「お嬢、甘いピザってのはほかにもあるんでやすか?」

「あるみたいだけど食べた事は無いわね」

正直に話す。前世ピザと言えばスタンダードな物ばかりだった。
食事としてピザばっかりだった。

「そうっすか……じゃあ後はお試しっすね!」

「そうね」

カラカラとジムと笑い合う。
焼き上がったスイーツピザに蜂蜜が垂らされると早速お母様が手に取って食べ始めた。
お母様の周りが一気に華やぎ楽しそうな声が聞こえてきた。
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