婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 23

「さて、私本当に下がりますわ」

今はご機嫌になったお父様がニコニコしながら立ち上がり、私を扉までエスコートするようです。
私も立ち上がり、お父様の手に手を重ねてエスコートして貰います。
扉でお父様とお別れして……厨房にダッシュです！
重要任務、晩ご飯軽めの後にベトコンラーメンを伝えないと！え？ご令嬢が廊下を疾走とかあり得ない？大丈夫！あり得るから！
皆さん忘れてたらアレなんですけど、うちは武闘派一族ですのよ！この程度で慌てるような使用人は置いておりません。

「料理長！急いで来て！」

「どうなさいましたか！」

厨房の出入り口で叫んだら料理長が凄い勢いで走って来ました。見た限りまだ晩ご飯の支度は始めてないようです。
……甘い匂いがするのでお茶請け作ってたのかも。出来たてを各部屋担当のメイドとかに渡す迄が厨房のお仕事です。

「あ……今日の晩ご飯は軽めにして貰おうと思って」

「軽めでは旦那様も大旦那様も物足りなくなるのでは？」

その通りです。更に言えばお兄様達も足りません。なので……

「ええ……実は……」

そして説明を始めたらジムも来ました。料理長とジムがふんふんと頷きながら聞いて、二人とも良い笑顔で「任せて下さい」って言ってくれたので安心して厨房から離れました。これで今日の晩ご飯と夜食のラーメンは確定しました。もっともラーメンだけじゃなくて、ニンニクの素揚げも頼みましたけどね！
……ひょっとしたら厨房の料理人達もベトコンラーメン食べるかも……そして嵌まってくれたら嬉しいな！
一人でウキウキしながら自室に戻るとアニスがバタバタしてます。ん？どうしたのかしら？

「アニス？」

「エリーゼ様！」

泣きそうだけど？

「ドレスが三着あります！どれが良いでしょう？」

手を引かれて寝室に並べられたドレス三着。どれも同じ色合い、ただしデザインは違います。
……レース多め、真珠の縫い取り多め、銀糸の刺繍多め。このどれかがキャスバルお兄様のオーダーってことかしら？今までの傾向から言えばレース多めかしら？でもレースも上品で素敵だし、多めと言っても長さとかあってキレイ系のドレス。

「このレースが多い物にしましょう。これに合いそうなお飾りを出しておいてちょうだい」

「畏まりました」

アニスが行った隙に鑑定します！全部キャスバルお兄様からの贈り物でした。紛らわしいDEATH！