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3巻
3-3
しおりを挟む「フフッ、エリーゼ様は本当によく知ってますよね。心強いです」
「そう……かしら? あぁ、もう街から出るわね」
お喋りしながらだったから、早く感じたわ。
「そうですね、今日のお昼ご飯が今から楽しみです! 何を作られますか? 最近はタマちゃんとノエルちゃんが、トラジちゃんのお手伝いをするようになって、皆可愛いって大人気なんですよ!」
そう……最近、三匹で料理の手伝いをしだしたのよね。三匹並んで野菜を洗ってたり、鍋をかき混ぜたりとか可愛いのよね……
「そうね、何を作るかは料理長と相談ね。そろそろ三匹にエプロンとか作ろうかしら?」
「いいですね! エプロン!」
エプロンくらいなら半日で作れると思うしね。でも、夢はコック服とコック帽ね! 領地に帰ったらお針子さんにお願いしよう! そうしよう!
タマとトラジの反応がないのは、背もたれの向こう側に置いてある、仮眠用の毛足の長い魔物の革(畳んである)に潜り込んで寝ているからです。
ネコってよく寝るものだけど、どうやらこのところ、朝方のトイレタイムの後、寝付けないのかちょっと起きているみたいよね……ネコって朝のトイレタイムの後は運動会を行うとか聞いたことあるし、注意はできないわね。
茶色いボールみたいな花が見えてきた、あれがブシ花か。武士ではないわね……葉っぱは地面にチョロッと生えてるだけで、長い茎に大きなソフトボールサイズの花がユラユラ揺れている。
確かになかなかのものだわ、ブシ花。
ユラユラ揺れるブシ花を見ながら、しばらく待つと馬車はいつものように円を描くような野営の配置に停められる。
「ついた! じゃあ、コンロ作りに行ってくる!」
私はアニスにそう言って、馬車から飛び降り軽く走って中央に空けられた場所に向かった。
あーーーーれーーーー? 走りながらわずかに漂う香ばしい香りに戸惑う。
中央に辿り着いて、やはり『おや?』と首を傾げる。
「やはり匂う……」
なぜに香ばしい鰹節の匂いがするのだろう……
疑問に思いながらも四阿を作り、コンロを二台作る。
「むぅ……どうして……どこから?」
あまりにも気になってキョロキョロしながら呟いてしまった。
「どうしたにゃ?」
「むずかしいカオしてるにゃ!」
タマとトラジが近寄って不思議そうな顔で聞いてくる。
「どこから、香ばしい匂いがするから……わかるかしら?」
二匹はバッと四つん這いになると、フンフンと匂いを嗅ぎだしソロソロと這いずり回って……トラジが何かを爪先に摘まんで走り寄ってきました!
「主! コレにゃ! コレが匂いのもとにゃ!」
差し出されたソレはチリッチリの鰹節にしか見えないものでした。
そっと指先で受け取り匂いを嗅ぐ……
鰹節です! 紛れもない鰹節です! これは一体どこから……そんなときはアレです!
鑑定!
ブシ花の花片
少し焼けて香ばしくなっている
無害
は? ナヌ! ブシ花のは・な・び・らだと! その小さな花片をそっと舌先に載せる……わかる! わかるぞ! これは……この味は鰹節‼ ブラボー‼
「お嬢……何やってんですかい……!」
おっ? 小躍りしてたら料理長が来たわ。
「料理長! 私、大事な用件ができましたわ! ちょっと……ちょっと、離れるわ!」
「待ってくだせぇ! 昼の食事のことを忘れてもらっては困ります!」
くっ! そうだった! 考えるな! 感じろ!
「ボアの肉を出します! しょうが焼きにしてください! 必要な物はすべて出します! お米も出しますから、炊いてください! 後……後、大鍋で野菜のスープを作ってください……ただし、真水でです。味付けは一切しないでください」
そう言ってセッティングされたテーブルの上に肉や野菜、米に醤油・ショウガ・はちみつを出す。
「タマ、トラジ……とノエル、しっかり料理長のお手伝いをするのよ」
三匹はコクコクと頷き合い、私を見る。
「わかったにゃ!」
「まかせるにゃ!」
「まかせたわよ!」
私は三匹の返事を聞き、全速力で野営地の外に出て威圧を放つ。
これで魔物がいたとしても、しばらくの間は寄ってはこない。
目の前に広がるブシ花を見つめ、すぐ近くにある一本を手折り匂いを嗅ぐ……
うん、ちょっと生臭い! 確かにこの匂いじゃあ、見るだけの花だわ!
……風魔法で花片を吹っ飛ばして、集めるのって……吸引とかできるのかな? いや、ままよ! 為せばなる、だわよ!
「ブシ花の花片を吹き飛ばせ!」
風魔法を、ぶっ放す!
「飛ばされた花片を、吸引!」
ザァッと吹き飛ばされた花片が私の目前に集まる。うん、生臭い! なので……
「ドライ!」
乾燥です!
よく知った鰹節の匂いだけど、花片に白っぽいやつや赤っぽいやつが交じってるなぁ……
「無限収納イン!」
……シュンッて入りました。確認! 確認! …………あれ? ブシ花の表記がおかしい。
ブシ花(白)
ブシ花(茶)
ブシ花(赤)
うん、三種類ある。これはガラの実と同じやつかな? 色で味が違うってことだな。
とりあえず(白)をひとつまみ分手のひらに出し、パクリと食べてみる……上品な味。
これはっ! マグロ節かっ!
(ナビさんや、ブシ花(白)の表記のところにマグロ節と足してちょうだい)
〈畏まりました〉
表記が変わりました。
ブシ花(白)マグロ節
表記の後ろにキロ表示が出ますが、量も少ないです。
もっとも多い(茶)は鰹節だろうな……先ほどと同じように手のひらに出して食べてみる。
うん、鰹節です! まごうことなき鰹節です!
〈鰹節と表記を足しておきます〉
(よろしく!)
察してくれるナビさん、素敵!
(赤)かぁ……多分鯖節かなぁ? 手のひらに出して食べてみる。けど、鯖節は扱ったことないからわからないや……見たことはあるし、そっくりだしね。
〈鯖節と追加表記しました〉
(ありがとう)
このブシ花を八丈島で栽培できないかなぁ……
それにキャスバルお兄様が欲しがってたイチゴ苗も取り出したりできればなぁ……
〈マスター、八丈島に直でなら送れます〉
なんだってぇーーー!
じゃあ、あれか、無限収納から送ることはできないけど、八丈島なら産地直送OKってことか……
(よし! ブシ花の白・茶・赤の苗を島送りにしよう! 白一面、赤一面、茶三面で常に栽培してほしい!)
〈わかりました。ではブシ花の苗を採取してください〉
(マップに表示できる?)
〈できますが、今までの表示を一旦消すことになります。よろしいですか?〉
(いい、やっちゃって! どれくらい収穫が必要かも教えて!)
〈畏まりました〉
よぉし、やったるでぇ! 表示キタァ!
まずは白からじゃあ! 掘って……いや、こんなときこそ土魔法!
ボコッボコッと土ごと浮かせて……島送りじゃあ!
……そんなこんなで、私の周りは穴ボコだらけです。でも、やり切りました!
〈十分あります。マップ表示を戻します〉
(うん、ありがとう)
マップ表示が戻り……あっ、少し後方に誰かいる! 振り返ると、お兄様たちがいました。
イヤだわぁ……お兄様たちったら、なんだか厳しいお顔で見てるわぁ(笑)
なので……お兄様たちの元にダッシュで戻ります! だって何もツッコまれたくないですから!
「いつから見ていらっしゃったのかしら? 私、少し恥ずかしいですわ(嘘)」
伏し目がちに微笑む! これぞ美少女の恥じらい!
「いきなり威圧を感じたから来てみれば、エリーゼだったから隊員を戻して見ていたんだが……なぜ、あんなに喜んでた? あれほど喜ぶような物か?」
キャスバルお兄様……笑顔で言わないでください。
キャスバルお兄様は私の一番上のお兄様でイケメンの二十八歳。しかもイケボです。
「後、やたらと何か消してたけど……あれはなんだ?」
トールお兄様めぇ……後回しにしても仕方ない!
トールお兄様は二番目のお兄様で二十六歳。キャスバルお兄様とは違うタイプのイケメンでイケボです。
「ブシ花の苗を入手しておりました。キャスバルお兄様ご所望のイチゴ苗もお渡しできそうです。ブシ花は私が求めてやまない物のひとつでしたので、本当に嬉しいと思ってます!」
よし、お兄様たちが黙った! チャンス! 畳みかけるぞ!
「早速ブシ花を使いたいと思ってますので、これで失礼いたしますわ」
返事はない! だが、私は言ったので行く! お兄様たち、後でね!
そんなわけで駆け足でコンロに戻ってきました!
「お嬢、早かったですね。味付けしてない鍋の中身は、食べられるくらいに火が通ってますぜ」
おっと! 味付け待ちになってたかぁ!
「わかったわ。味付けと仕上げは私がやるわ。木綿の袋ってあったわよね? 貸してちょうだい」
料理長はひとつ頷くと、料理人に指示して持ってこさせる。
私は受け取った袋の中にブシ花(茶)とブシ花(赤)を八:二の割合で袋の半分くらいまで入れ、鍋に投入した。ふんわりと香る出汁の匂い……
「なんにゃ!」
「イイニオイにゃ!」
「ワクワクするニオイにゃ!」
やはりニャンコは騒ぐな……離れた場所にいたはずなのに、私の足元に三匹揃っている。
というより、私の足を囲むように立って私を見て、いや、私の手元をガン見している。鍋ならわかるけどなんで私の手? 匂いが残ってる?
「主~! なんにゃ! なんにゃ~!」
「すごいにゃ! なんにゃ~!」
「たまらないにゃ! おなかがすくにゃ~!」
「鰹節……鰹節の匂いがする……」
ルークが……ルークまでがフラフラと寄ってきました。
「お嬢……それは、いったい……」
料理長も寄ってきました。もはやこの場はカオス!
鍋の中は淡い出汁の色になってます。
「料理長、菜箸をちょうだい」
手を出すとスチャッと菜箸が手に載せられます。ギュッと握り、鍋の中に浸された節入りの木綿袋を引き上げる。うん、ちょっと重いね!
ポタポタと出汁が袋から垂れる様を見る三匹が……私の足にヒシッと抱き付いてきます(笑)
チラッと視線を落とすと、もう……必死の形相で袋を見てます! 尻尾もビンビンに立ちっぱなし、興奮MAXです(笑)
「くっ……ルーク、出汁がそろそろ切れるから……そしたら何か器に中身をあけて三匹にあげてちょうだい」
足元からの視線がキビシイ!
「わかった。責任重大だな!」
ルークがクックッと笑っています。とにかく、この三匹を離さないと身動きがとれない……
ルークがどこかに走っていって、またすぐ走って戻ってきた(笑)
早いなー、ルークったら!
なるほど、テーブルに行ってきたのね! 木のボウルを両手に持って待ち構えています。
出汁が切れた瞬間にボウルに袋をサッと入れる、三匹の顔もサッとボウルに向く。
「じゃあ、向こうで分けてね!」
笑顔で送り出し、ルークが三匹にまとわりつかれながら離れていきます。
「料理長、あの袋の中身はブシ花の花片よ。花片を乾燥させた物から旨味が出ているはず……さて、ここから味噌を溶かそうと思うのよ」
料理長はコクリと頷くと、駆け足で馬車に向かっていき、底に小さな穴の空いたミルクパンを持って駆け戻ってきました。穴は私がちょっと前に空けましたけどね。便利です。
ハァハァと荒い息を整えることなく私にミルクパンを手渡すと、私の手元をガン見しています。
……ふむ、合わせでいこうか。量はこれくらいか……
黙々と味噌を溶き、お玉でかき混ぜる……色も香りも申し分ない。
わずかな量をお玉に取って、小匙でさらに少ない量を掬い口に運ぶ。
「……くっ……この味……」
懐かしさのあまり、涙が溢れる。グイと荒っぽく涙を拭い、料理長にニカッと笑いかける。
「美味しい……この美味しさを皆に知ってもらいたかった」
料理長はお玉を私の手からソッと取り、自分も味見をする。
ツ……と料理長の両目から涙が流れる。意外です……
「なんて優しく染みる味なんですかい……お嬢……ありがとうございます。さぁ、お嬢と若の分を先に入れますよ!」
料理長は私とルークの分を器にたっぷり入れてくれました。
「後はあの三匹の分だな。何、そこらの隊員に言えば、気持ちよく持っていってくれるから安心してくだせぇ。さぁ、お嬢……行ってくだせぇ……」
料理長が少し照れたように笑って言ってくれる。
「ありがとう、よろしくね」
私はこの世界に来て初めてのお味噌汁を持ってルークの元へ歩きだした。
けど、ルークの近くに……行けませんでした!
何てこと……三匹がルークの足元に群がって離れません(笑)
分けるどころじゃないようです……
「ちょっ……待てっ! ……いっ……てぇ! こらっ! 噛むなっ! ……待て待てっ! ……ノエル! それは俺の指ぃ!」
ドエライことになってます! 笑っちゃいけないと思っても、笑いがこみ上げる。
「いいニオイにゃ!」
「たまらないにゃ~!」
「アムッ!」
「痛ぇっ!」
「おいしいにゃ~!」
うん、ノエルは容赦なく噛んでるね! ご愁傷様! そんなギャアギャア、いえ、ニャアニャアした騒ぎですが、少しずつ収まってきました。でもそんな時間も長くはありません。
「なくなったにゃ……!」
「おわったにゃ……」
「ないにゃ……ないにゃ~‼」
「終わったの! お終い! ご飯貰ってこい!」
スクッと立ったルークの厳しい言葉にショボンとしながら、三匹は彼から離れました。
「ルーク、お疲れさま。お味噌汁……飲んで」
ちょっとだけ冷めたお味噌汁を手渡す。
ルークは両手で受け取り、器に入れられた匙で軽くかき混ぜた。掬って飲むルークは切ない顔をしていて、私は少し胸が痛くなった。
「美味いな……ホント……お味噌汁だ……」
ジワジワとルークの瞳が潤んでくる……あー、これは泣いちゃうな……
「ルーク、お昼はご飯としょうが焼きもあるのよ。シンミリしてたら、食いっぱぐれるわよ」
ルークは笑い泣きしながら、お味噌汁をズルズルと器から直に掻き込んでいる。……あっという間にお味噌汁、完食しました。
私もお味噌汁、飲もうっと。
「エリーゼ! 早く取りに行かないと、しょうが焼きもご飯もなくなるぞ」
ルークったら必死~(笑)
コロコロ笑っていると。
「フレイの食欲を舐めるな! あいつ、滅茶苦茶食うぞ!」
フレイ、確かに! ラーメンのおかわりでチャーシュー蓋を完食する胃袋の男だ! 舐めてた!
フレイはトールお兄様の側近で、ちょっとチャラ男っぽいイケメン。トールお兄様とはBでLな関係もある。ちょいちょい甘~~い雰囲気を醸し出しているときもあって、目が離せないのよ!
走りだしたルークの後を追いかけ、ご飯にしょうが焼きを載せてもらって、お味噌汁のおかわりをもらってコンロから離れる。
テーブルの空いている場所を探して移動し、のんびり食べる。
周りを見渡すと、同じようにすごい勢いでしょうが焼き丼を掻き込むお父様と、楽しそうにお喋りしながら食事するお兄様たちと側近。
お母様とシンシアとソニア、エミリはアレクとアニスと一緒に食べている。(アレクはお父様の側近で、アニスの父親です。今でもお父様とはBでLな感じらしいです)
隊員も寄子貴族たちも元王都民も、皆美味しそうに、お味噌汁を飲んでいる。
よぉし! お昼ご飯食べたら、アニスと一緒にエプロンと三角巾作るぞ~!
三匹お揃いの色違いで作ろうっと!
はいっ、馬車の中で、三匹のエプロンと三角巾は製作終了しました! エプロンは白い木綿地に赤・青・紫の縁取り(パイピングとかいうんだっけ?)で作りました!
外は夕暮れ前、今は夜の野営地が決まったので、馬車で移動中です!
しばらくすると馬車移動が済み、輪留めで固定される震動を感じた。
この辺りは集落がなく、鬱蒼とした繁みが少し離れたところにあるようだ。いつも使う簡易の魔物除けの杭が、いつもより狭い間隔で打たれている。
マップに映る魔物のマークも少し離れたところにチラホラしている……
あー……王宮派遣の討伐隊もすぐ近くに野営地を構えるみたいだなー(棒)
マップには彼らの位置が表示されている。
ま、理由はわかる。離れていれば、襲撃されるかもしれないものね。
「さて、馬車から降りてルークとノエルに合流しましょうか」
私はエプロンを、アニスは三角巾を手に持ち、馬車から降りてルークとノエルを待った。
ほどなくやってきたルークとノエルに、笑顔でエプロンを見せる。
「皆、お料理頑張ってくれるから作ったのよ。料理の前に着けてね」
そう言って、それぞれにエプロンと三角巾を手渡していく。
色はすでに決まってるから悩みませんでした!
「うれしいにゃ!」
「かっこいいにゃ!」
「りっぱにゃ!」
嬉しそうな三匹は法被の上からエプロンを着けて、三角巾を頭ではなく首にスカーフのように着けました! 知らなきゃ、そうなりますよね!
よくよく考えたら頭だと微妙に着けにくいことに今気づきました。
「ククッ……三角巾じゃなくて、スカーフになったな……」
そうですね! 笑いたければ笑うがいい! スカーフの方が可愛いわ!
「まちがったのかにゃ?」
「ちがうのかにゃ?」
「おかしいのかにゃ?」
三匹が互いを見ながら聞いてきます。可愛い!
「間違ってもないし、違ってもおかしくもないから安心して。さ、向こうに行きましょう。料理長が待ってるわよ、きっとね! アニス、馬車の準備よろしくね!」
「はい! こちらの支度が済んだら行きますね!」
私はルークとニャンコたち三匹と一緒に、中央広場に向かった……私はまず四阿を作ってコンロを作るんですけどね! ちゃちゃっと作れるようになりました。
夕食には大根・ニンジン・ネギ・ジャガイモ・ボアの肉の豚汁を具だくさんで作っています!
美味しそう! 鰹節も使ったわよ!
出汁を取った後のブシ花ガラをルークに手渡したらまた、ルークがノエルに指をハムハムされてたみたいだけどね!
長いコンロをひとつ占拠してるので(正しくは米もこっちで炊いてる)、もうひとつのコンロでボアの厚切り肉を焼いてます、素焼きです! 味付けはなしです!
そして私はちょっと離れたテーブルで大鍋に大根を投入。魔法で大根おろしを製作中です(笑)いちいち手ですりおろしたりしません!
どんだけ魔法って便利なのかと! マジで便利です‼
大根の汁は体にいいので、捨てずに飲んでもらいたい、ということで、魔法でおろした状態のところに醤油をイン! 小さじで少し掬って手のひらに落とし、パクッと食べる。
うん! 美味しい! これで、お肉を食べてもらおう! サッパリいけると思うのよ!
ザクザクに刻んでもらったキャベツを塩揉みしてもらったので、ちょっとした漬物状態です! 醤油を少し垂らしちゃおうかな? フフッ、ご飯が進んじゃうなぁ。
「おてつだい、おわったにゃ!」
「おいしそうにできたにゃ!」
「がんばったにゃ!」
三匹がトテトテと寄ってきました、どうもブシ花を食べた後で料理のお手伝いをしたようです。
それにしてもブシ花に群がる三匹の必死さはちょっと笑ってしまう。
「皆、頑張ったわね! もうじき、晩ご飯だから大人しく待ってましょうね」
ほとんど終わったし、テーブルにワインを置いておこうかな。夜は冷えるし、少しアルコール入れた方が温まるしね!
そう言えば、ホットワインってどうやって作るんだっけ? 温めたワインにシナモンとかリンゴとかを入れる? それだとサングリア温かバージョン? いや、サングリアってオレンジとかも入るんだっけ?
干し柿を食後の甘味に出しておこうっと。手抜きかしら?
「おーい! そろそろ晩ご飯できるぞ!」
ルークが大声で私たちを呼ぶ。
私は三匹と一緒に、ルークの元へと歩いていく。
おろし醤油とキャベツの塩揉みはコンロの近くのテーブルに持っていってもらった。
たまにはサッパリもいいと思うのよ!
焼いたボアの肉におろし醤油が掛けられたものが載った器を受け取り、フォークを刺して齧り付く……うん、美味しい!
「先に向こうで食べててくれ、ご飯と豚汁を貰ってくるから。浅漬けキャベツいるか? いるなら、ご飯の上に載せてくるけど」
ルークは気遣いができるし優しい、まるで当たり前のように言ってくれる。
「ありがとう、キャベツ食べたいから少し多めだと嬉しい」
遠慮なく話せる、この感じがいい。
「ははっ、わかったよ、じゃあ向こうで待っててくれ」
私は三匹と一緒に空いているテーブルに向かう。
ルークは数回往復して、ご飯と豚汁を持ってきた。私たちは楽しくお喋りをしながら、食事を楽しむ。それは私たちだけでなく、この野営地にいる全員が楽しんでいた。
やがて食事も終わり、干し柿を齧りだしたところだった。
――ウオォォォォォォォォォンンン――
それは聞いたことのない狼の遠吠えのような鳴き声だった。
野営地に緊張が走る。マップを見ても、魔物のマーカーは表示されてない。
おそらくだが、マップ外にいる……結構な距離を表示しているのにマーカーがつかない。なのに遠吠えらしき鳴き声が聞こえる。これはヤバい……今までとは違うのが来るのか?
「エリーゼ! わかるかっ!」
走ってきたのはキャスバルお兄様とレイのふたりだ(レイはキャスバルお兄様の側近、情熱的な人でとても優秀です。お兄様とは熱烈ラブラブなのです)。
キャスバルお兄様は慌てた様子で私に聞いてきた。
「いいえ! マップには表示されてません。おそらく、まだ近付いてないのでしょう。あっ! 来たっ! 表示されました」
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