婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 52

さて……糖衣グミを配って噛み砕いて飲み込んで貰わないとね。シャーベットも美味しかったし、糖衣グミも多分前世で食べてたアレとほぼ同じだと私の勘が申しとる！
でも、アレなら翌朝自分の口臭で目が覚めるなんて事も無いと思うのよね。
とりあえず、皆が食べ終わってからよ。
……ってお代わりのシャーベット……さっきより大きいじゃない！料理長かジムがサービスしたわね！
それにしても、食いつき良いわね。
うーん……いつもの甘さ強めの物よりもサッパリ系の方が受けが良いのかしら？でもいつものスイーツも結構食べて……食べてるわ……疲れてるから甘い物食べちゃうって事かしら？それによくよく考えたら、あれだけ脂っこい物食べたらサッパリ系食べたくなるわよね。

「こちらへ」

メイドが戻って来たようなので再度呼びます。

「はい」

「空いてるカップはあるかしら？」

「カップ……でございますか？はい……あります」

戸惑ってる～！分かるよ、空のカップの何がって思うわよね。

「じゃあ、空いてるカップをここに」

「はい」

変事は淀みないけど、顔が困惑してますね。
目の前に空のカップが置かれたので、無限収納リスト開いて糖衣グミをザラザラとカップの中に出します。
一粒か二粒で済む事なので、カップ一杯あれば事足りると思うのよね。
二粒手にとって口の中に放り込む。うん、甘い。糖衣だものね、甘くて当然か。
カリッと噛むとスーッと口の中にミントの香りが広がる。これも前世で良く食べた味に酷似してる。何回か噛んでゴクリと飲み込む。それだけで上がってくる息が爽やかになる。

「エリーゼ、どう……なんだ」

「ほぼアレ」

統一的グミで一杯のカップをメイドに渡す。

「一人、二～三粒ずつスプーンに載せて渡して頂戴」

指で摘まむよりもティースプーンに載っけて、そのままの方がスマートだと思うのよ。いかにも貴族～な美形一家なんだから、ヴィジュアルは大事だと今更ながら気が付いたのよ。

「エリーゼよ、これは一体何だ？」

お父様がいつもの渋格好いいお父様です！

「はい。こちらは翌朝口から余り匂わない様にする為の食べ物です。口の中で数回噛み砕いた後、飲み込んで下さい」

「ほう……」

お父様は静かに受け取り、荒々しく噛み砕いて飲み込み紅茶を飲んだ。

「うむ。鼻が通るような香りだな」

お父様の一言で皆が糖衣グミを食べました。特に嫌な顔も無かったので一安心です。