887 / 1,517
連載
嫁入り支度 55
しおりを挟む
あくまでも歩いて、表情はなるべく変えない。
落ち着け……落ち着くのよ……かつては貴族令嬢のお手本として学園で尊敬されてたのよ……
でも、ルークと出会って変わってしまった。部屋が隣同士なのにも拘わらず、この距離がもどかしく切ない。
これ程迄に心が囚われるなんて思いもしなかった。雪が余り降らない海岸よりのこの領都も徐々に春の気配を感じて来ている。
もう少し暖かくなればキャスバルお兄様の婚約者様が帝国から来て、こちらの様子や私達家族と交流する。
初めて会う事になる婚約者様に緊張するけれど、新たな家族となる方だもの仲良くしたいわ。それに帝国の学院の様子も気になる。
婚約者様にはゆっくり滞在して貰って、私とルークの婚姻式に参列して頂く。
ルークのお父様とお母様も帝国からいらっしゃる予定だし、お母様の母……お祖母さまも来るっていつだったか言っていたわ。
随分と賑やかになるのね……それに領地の古くから我が家に仕えてる方々に寄子貴族に近隣の貴族家。
こんなに大勢の方達が来るのだもの、お母様も忙しいのに良いのかしら?
「エリーゼ様、そろそろ落ち着いて下さいませ。お茶を入れますね」
え?どうやら私は考え事をしながらウロウロと歩き回っていた様だった。私の後をついてタマ、トラジ、リコ、ユキ、ヒナ、ピカ太郎とスラ道が順番に立っていました。それも一列について歩いてたらしく、部屋の中点々と立って私を見ている。
「ごめん。考え事をしていたわ……」
慌てた訳じゃないのだけど、ソファへと向かい腰を落とす。
「皆も楽にしていて良いわよ」
アニスがお茶を淹れてくれる音を聞きながら、カワイコちゃん達が移動するのをボンヤリと見る。
あー……まだスラ道の中心赤いなー……
「ねぇ、スラ道の中心が赤いのってラー油食べたか飲んだからなの?」
考えるより先に言葉が出た。
「ピカ太郎が食べたいと言っていたから、それならば是非とも口にしようと一緒に頼んだのだよ主よ!」
うん……バカなのかな?それとも興味からなのかしら?
「美味しかったかしら?」
「辛いとは思ったが、美味しいかは理解出来ない。だが今も中心が熱く調子も悪くない」
調子も悪くない?どう言う事かしら?水の精霊なのに油を取り込むって……
「主の希望とあらば辛い水を吹き出す事も出来る!」
「いや、出さなくて良いから」
辛い水って、どこの罰ゲームなのよ。スラ道も面白い事、言わないでほしいわ。
落ち着け……落ち着くのよ……かつては貴族令嬢のお手本として学園で尊敬されてたのよ……
でも、ルークと出会って変わってしまった。部屋が隣同士なのにも拘わらず、この距離がもどかしく切ない。
これ程迄に心が囚われるなんて思いもしなかった。雪が余り降らない海岸よりのこの領都も徐々に春の気配を感じて来ている。
もう少し暖かくなればキャスバルお兄様の婚約者様が帝国から来て、こちらの様子や私達家族と交流する。
初めて会う事になる婚約者様に緊張するけれど、新たな家族となる方だもの仲良くしたいわ。それに帝国の学院の様子も気になる。
婚約者様にはゆっくり滞在して貰って、私とルークの婚姻式に参列して頂く。
ルークのお父様とお母様も帝国からいらっしゃる予定だし、お母様の母……お祖母さまも来るっていつだったか言っていたわ。
随分と賑やかになるのね……それに領地の古くから我が家に仕えてる方々に寄子貴族に近隣の貴族家。
こんなに大勢の方達が来るのだもの、お母様も忙しいのに良いのかしら?
「エリーゼ様、そろそろ落ち着いて下さいませ。お茶を入れますね」
え?どうやら私は考え事をしながらウロウロと歩き回っていた様だった。私の後をついてタマ、トラジ、リコ、ユキ、ヒナ、ピカ太郎とスラ道が順番に立っていました。それも一列について歩いてたらしく、部屋の中点々と立って私を見ている。
「ごめん。考え事をしていたわ……」
慌てた訳じゃないのだけど、ソファへと向かい腰を落とす。
「皆も楽にしていて良いわよ」
アニスがお茶を淹れてくれる音を聞きながら、カワイコちゃん達が移動するのをボンヤリと見る。
あー……まだスラ道の中心赤いなー……
「ねぇ、スラ道の中心が赤いのってラー油食べたか飲んだからなの?」
考えるより先に言葉が出た。
「ピカ太郎が食べたいと言っていたから、それならば是非とも口にしようと一緒に頼んだのだよ主よ!」
うん……バカなのかな?それとも興味からなのかしら?
「美味しかったかしら?」
「辛いとは思ったが、美味しいかは理解出来ない。だが今も中心が熱く調子も悪くない」
調子も悪くない?どう言う事かしら?水の精霊なのに油を取り込むって……
「主の希望とあらば辛い水を吹き出す事も出来る!」
「いや、出さなくて良いから」
辛い水って、どこの罰ゲームなのよ。スラ道も面白い事、言わないでほしいわ。
233
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ
鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。
しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。
「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」
「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」
──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。
「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」
だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった!
神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!?
さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!?
次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。
そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる!
「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」
「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」
社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。
そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!?
「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」
かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。
しかし、ロザリーはすぐに頷かない。
「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」
王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?
学園の華たちが婚約者を奪いに来る
nanahi
恋愛
「私の方がルアージュ様に相応しいわ」
また始まった。毎日のように王立学園の華たちが私のクラスにやってきては、婚約者のルアージュ様をよこせと言う。
「どんな手段を使って王太子殿下との婚約を取り付けたのかしら?どうせ汚い手でしょ?」
はぁ。私から婚約したいと申し出たことなんて一度もないのに。見目麗しく、優雅で優しいルアージュ様は令嬢達にとても人気がある。それなのにどうして元平民の私に婚約の話が舞い込んだのか不思議で仕方がない。
「シャロン。メガネは人前では外さないように。絶対にだ」
入学式の日、ルアージュ様が私に言った。きっと、ひどい近視で丸メガネの地味な私が恥ずかしいんだ。だからそんなことを言うのだろう。勝手に私はそう思いこんでいたけど、どうやら違ったみたいで……?
俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた
ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」
「嫌ですけど」
何かしら、今の台詞は。
思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。
ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻R-15は保険です。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。