婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

嫁入り支度 89

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馬車に乗り込み、またどこかへと移動してます。

「ふふっ……不思議そうね、でもこうやって領都を見て回るのも私達領主の仕事でもあるわ。だからね、エリーゼもたまにはアニスを連れて領都に降りて来て見て回りなさいな」

なる程!経済を回すのも私達領主一家の役目でもあるのよね!お父様やお兄様達では行けないお店や入らなさそうなお店も私達なら行けるものね!

「今日はね、エリーゼが旅の間に広めた甘味のお店に行くのよ」

は?旅?……ああ、こちらに帰って来る旅の間に作った甘味のお店って事ですね。

「料理の方は私達でなくても良いのですけど、やはり甘味となれば私達が適任でしょう?」

くっ!お母様の笑顔が眩しい!

「そうですね、お母様」

でも私が作ってた甘味って……そんなに無かった気がするのですけど……?

「少々高くても蜂蜜を使った物が人気なのですって、楽しみだわ」

「そうですね」

はちみつか……確かに我が領地の特産品で沢山捕れますから、他領に比べれば安価ですし。それにはちみつもグレード分けしてあるから、庶民向けの物ならもっと安価なのよね。
加工品に使うなら庶民向けで問題無いと思うのよね……
それでも、領都のお店で良い物があるかも知れない。職人は何処にでも誕生する可能性がある訳だし。

「どんな物が出るんでしょう……」

「ね!楽しみでしょう!」

お母様が少女のように瞳をキラキラさせて来ました……まぁ、分かります。だっていつもはジムのスイーツを食べてるのだけど、今日は全く別の人物の作るスイーツですもんね。
センスとか想像力が違うだけで、出来上がってくる物は確実の違う物ですもんね!

「はい。ジム以外の甘味は初めてになります」

「そうよね!今から楽しみなのよ、一体どんな甘味なのかって」

お母様の期待値高っ!でも、想像した物が期待はずれだとしてもお母様は怒らないと思うのよね。
だって普段、私達が口にする甘味は素材からして高級品だしね。それと同等な物を求めるのもおかしな話しだものね。

「領都民に人気の甘味、楽しみですね!お母様」

「ええ!本当に、民がどんな甘味を楽しんでるか楽しみだわ」

私とお母様がクスクスと笑うと、侍女トリオもアニスも笑った。馬車の中、こんな風に笑い声がするのは楽しくて気分が上がってく。
あー……でも、ホント楽しみだわ……
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