婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

文字の大きさ
967 / 1,492
連載

春が来た! 27

しおりを挟む
ひとしきり笑った後、抱き締めてた腕がやんわりと離れ体が少し離れる。
……ルークの熱が無くなる事に寂しさを覚えるけど、まだ婚約者だから仕方ない。

「まぁ、あれだ。フェリシア程の淑女はいないと言って過言ではないだろう。そのフェリシアから教育を受けたエリーゼは、帝国と王国の令嬢の最高峰と言って良いだろう。もし……もし、泣かす様な事があったら首をへし折るだけでは許さんがな!」

「お父様!首をへし折ったら死んでしまいます!」

お父様の愛情が重いっ!気前良くぶっ殺宣言とか止めて下さい!

「そうだな!ルークが死んだらエリーゼが復讐の鬼になると思うから止めた方が良いな!」

トールお兄様の良く分からないツッコミにお祖父さまが爆笑してます。
お父様はムゥ……って顔になってますけどね、フォローしませんから!

「仲良きことは美しきこと……シルヴァニアでは古くから言われている言葉です。二人が死ぬまで仲良くあれば、それで私は安心ですよ」

「……はい」

私……本当に幸せだわ……

「さ、しんみりした顔しないで。三日後には皆で桃の花を見ながら楽しむのでしょう。嬉しいわねぇ。エリーゼ、一緒に桃の花を見ましょうね」

「はい!お祖母さま」

家族団らん……いつまでも、この幸せを甘受していたい。
頭の片隅では、それはいつか終わると分かっている。
それでもこの幸せが少しでも長く続いて欲しいと思う。

「いつか……いつか私の子供も一緒に桃の花を見れれば……」

「そうとも!儂等はエリーゼの子供が生まれるまでは病に伏すなんて事出来んぞ!それこそエリーゼだけでなくキャスバルやトールの子供とも桃の花を楽しむまで元気でいないとな!」

お祖父さまの言葉にお祖母さまが頷いてる。

「ええ、田舎でのんびりなんてしてられませんわ。子供達が大きくなるまで頑張りませんとね」

お祖母さまの言葉にお母様も私も微笑む。
三日後の事をあれこれ話して、タマがフア……とあくびをしたのを見て、結構な時間を話していたと気が付いて家族とルークにお休みの挨拶をして自室へと引き上げた。
寝室につけば、カワイコちゃん達はゾロゾロといつもの寝場所へと移動してコロコロと夢の中へと旅だっていった。
私は夜着に着替えるとモソリとベッドに潜り込んだ。
隣には安定のアニスです。
今はまだアニスの存在が必要なのでふ。

「お休み、アニス」

「はい、お休みなさいませ。エリーゼ様」

こうして私達は夢の中へと落ちていった。
しおりを挟む
感想 5,648

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです

との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。 白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・  沈黙を続けていたルカが、 「新しく商会を作って、その先は?」 ーーーーーー 題名 少し改変しました

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。