婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 144

「あの……エリーゼ様？」

「ん？何かしら？」

ラーラルーナ様に声を掛けられ、笑顔で対応した筈なのにちょっと引かれてるのはなぜ？

「目が……その興味津々そうで怖いだけど……」

「え……？そうかしら？でもだって気になるじゃない。前世どうだったのかしら？とか、ね……結婚前だったんでしょ？お相手もいたなら尚更興味が湧いちゃうわ」

「え……そんな……大した事は……」

フイッと顔を背けるラーラルーナ様！なぁに？何？何？なぁに？気になるじゃない！私、前世はお一人様でおばあちゃん達に囲まれて生きてたのよ！そりゃあもう、他所様の噂話しとかで盛り上がる井戸端会議を十何年とこなして来たのよ！
メンタルババアだって自覚してるわよ！田舎暮らしってそう言う事だからね！

「ねぇ、ラーラルーナ様の事とっても気になるから晩……夕食の後、パジャマパーティーやらない？」

「え？パジャマパーティーですか？でも、その……」

「大丈夫よ！湯浴みが済んだらマリエルに先導して貰って来れば良いわ」

「じゃあ……その……湯浴みが済んだら行きますわ」

ヨッシャア！今晩は色々聞き出すわよぉ～！

「良いわねぇ、年が近いと一気に仲良くなれるのかしら？」

「ひょえっ！お母様！ほら、私もラーラルーナ様も前世を覚えていて、時代も近しいですし！色々！色々、話せる事があると思いましたのよ！ええ！」

「そう……ねぇ、エリーゼ。パジャマパーティーって何かしら？」

しまった！お母様の知らない言葉だった！

「お母様、パジャマとは夜着の事ですわ。前世では様々な夜着がありましたの、夜着の総称をパジャマと呼ぶ方もおりました。その夜着を着て、複数人ベッドでお喋りしたりするのをパジャマパーティーと言っておりましたの」

「そうなのね……少し楽しそうだわ、もっと早く知っていたら私もやっていたかも知れないわね」

うっそだぁ。そんな感じしませんわよ、お母様ったら。

「何か失礼な事考えていたわね。エリーゼったら……でも良いわ、私には私の楽しみもありますからね」

何故にお母様は私の考えを察知するのでしょう。顔に出してない筈なんですけど。

「エリーゼ、私はエリーゼの母ですよ。表情を見なくても分かります。……ずっと私が手ずから育て上げたのですもの。それにやっと手元に戻って来た愛娘を可愛いと思う事はあっても憎らしいとか嫌だとか、そんな詰まらない子供染みた事思いもしないわ」

「あ……はい」

お母様の愛は私が思うよりも深いのね……