婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

若奥様は身重です! 16

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出した花瓶等に余っていた花々が活けられ飾られてく。

「そう言えば花瓶の水って……」

水場が無いとお花を活けるのってダメじゃない?カラの花瓶に活けるのって無しよね?

「安心して欲しいですー!」

「ちゃんとお水入ってるですー!」

「そうなの?」

軽い気持ちでテーブルの上に花いっぱいの水盆のお花をクイッと指先で上げて見てみる。
コロンと小さな水色の小石が入った水盆……

「え?魔石?」

「はいですー!」

「島には沢山の魔石が採れるので、こうして活用してるですー!」

なるほど、魔石は様々な生活道具にも使ってますしね。水の魔石を花瓶に沈めておけば水場が無くても水に満たされるって訳か……

「島の魔石は優秀ですー!」

「水の入れ替えをしなくても綺麗な水になるですー!」

「えっ?!」

待て!水が傷まないって事?それは便利としか言えないわよ!

「まあ!本当ですか?それなら少し持って帰りたいですわ!」

アニスが食いついた!

「お部屋の花瓶に入れておけば、お花を変えるだけで済むのでしょう?何ならお邸中の花瓶に入れて活用したいですわ!」

「持っていっても大丈夫ですー!」

「そうですー!」

「沢山あるですー!」

「そんなにあるの?どこに?」

「ロッジの横に流れてる川に沢山あるですー!」

「上流の湧泉には色んな魔石があるですー!」

「魔石が生まれる泉ですー!」

情報過多!待って!湧泉で魔石が生まれて、ロッジ横の川に水の魔石が沢山ある。ん?湧泉って水も出るけど魔石も出るって事?謎仕様じゃん……

「そんなに沢山あるんだ……」

「はいですー!」

「川底は水の魔石で青々しくて美しいですー!」

「陽の光を浴びると煌めいて更に美しいですー!」

うん……もう、何か好きにしておくれ……水盆の魔石が小指の爪サイズだったから、小石というより玉砂利に近いサイズなんですけど、ちびナビちゃん達の発言から察するに川底の玉砂利サイズから小石サイズの水の魔石がゴロゴロしてる……と。

「じゃあ、アニスの代わりに水の魔石を持ってきてくれるかしら?」

「任せるですー!」

「この花瓶いっぱい持ってくるですー!」

「絨毯乗るですー!」

「マスター!絨毯は呼べば来る様になってるので使う時は呼んで欲しいですー!」

一般家庭で一番手頃な形とサイズの花瓶を持って絨毯に乗り込むちびナビちゃん達。
何も言うまい……あの子達には悪意というものはミジンコほども無いなだから。
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