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超絶美形フェイス
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「おらぁ! お前ら! 立て! いつまで東門を嬢ちゃんだけに任せてんだよ!」
「しかしよぉ、ドリャップの兄貴! 彼奴等は悪魔の領主ですぜ!」
オーガの軽い平手が、かつてゴブリンだった人間に飛ぶ。
「バカヤロー! お前みたいな奴がまだいたのかよ! 現状を見ろ! この砦の防衛戦で一番活躍しているのは誰だ?! ビャクヤだろうが! 強い魔物の殆どはビャクヤが倒した! 残りの中級程度なら俺らでも対処できるだろう! さぁ! 立て!」
ドリャップは武器立てに置いてあった鉄の槍を持つと、門を守るリンネの背後から魔物の目を抉る。
「おい! 誰か! リンネにマジックポーションぶっかけろ!」
的確に指示を出すドリャップの声が、ビャクヤの耳には遠くに聞こえる。
(ドリャップ・・・。そういえばリザードマン戦争時にヤイバさんを裏切った帝国兵と同じ名前ですな・・・。彼はそのご先祖・・・か。まさかね・・・。おっと! 長いこと失神をしていたような気がしますッ! が、悪魔の様子からして、まだほんの数秒ほどでしたかッ! もう少し眠っていたかったのですがッ! そうもいきませんね)
薄らと開けた目の向こう側で、デーモンロードが自分の喉に魔刀を突き立てようとしている。
(このままでは、死を待つのみッ! 恐らくッ! 悪魔が振るう魔刀天邪鬼で殺されたとしても復活はできるッ。しかし・・・。生き返って魔法点が回復したところで、虚無の渦を作るには時間が掛かり過ぎるッ! ではッ! 他にこの悪魔の領主を穿つ強力な術があるかどうかと言われればッ・・・)
自分が六人いればいいのにと考えながらも、まだ混濁する意識の中でキリマルの顔が頭に浮かぶ。
ビャクヤにとって身近な悪魔はキリマルであり、何度か手合わせをして(毎回負けていたが)唯一優位に立てた点を思い出したのだ。
『自分の及ぼす影響力を考えろ!』
かつて仮面を外した自分を見たキリマルはそう言った。
仮面の呪いで見えるはずのない素顔を見て、ウィン家の始祖は股間を膨らまし・・・。
「ええいッ! 南無三ッ!」
ビャクヤは仮面を外して、悪魔に素顔を晒した。
「なにッ!?」
悪魔はたじろいで、ビャクヤに止めを刺そうとした手を止める。
キリマルと同じ上位悪魔の目に、超絶美形の素顔が眩い光のように焼きついた。
「あああああああ!!!」
神以上の存在を魅了する男の美しい顔に、どうして悪魔ごときが抗えようか。
デーモンロードは股間から粘液を垂らすと、アマリを放し、両手を地面について体を震わせ始めた。
「この私が・・・。ああ、だめ! イクっ! またイグゥゥ!」
ビャクヤは悪魔のリアルなアヘ顔を見ているうちに、意識がはっきりとし始める。そして立ち上がるといつものように、自分を抱えるような動きをした後、額に指先を付けてポーズを取った。
「吾輩の美しさはッ! うっかりミスでグランデモニウム王国を滅ぼした、帝国魔法騎士団の所業よりも重い罪でありんすッ! さてッ! なんとか、窮地からは脱出できましたがッ! 快楽とはそう続かないものッ! この間に果たして虚無の魔法が作り出せるのかッ!」
左手に虚無の渦を作り出そうとしたその時、アマリが唐突にビャクヤに語りかけた。
「キリマルは死んだ」
「――――は?」
メンタル面に難のあるビャクヤは、驚いて虚無の準備動作を止めてしまった。
「キリマルは神の国で・・・。マナの少ない環境で徐々に悪魔としての狂気に侵されて、最終的に金剛切りで自害した・・・」
「いやいやッ! キリマルはッ! 門の向こう側で無の侵食を遅らせていたのではッ?」
「もう無の恐怖はない。世界の危機は終わった。その代わり、私もキリマルも地球まで弾き飛ばされた」
「どうしてそう言えるのですッ?」
会話している間にも、魔物は襲ってくるがドリャップの放つ矢や、リンネの魔法でなんとかビャクヤは守られている。
「私が星の国から魔法の星に戻ってきたから。もし無が侵攻していれば、私もキリマルも地球も存在はしていなかった」
「そんな・・・。誰が無の侵攻を止めたかは大体察しがつきます。ヒジリでしょう。あの現人神はッ! キリマルがお膳立てをした後にッ! 美味しい部分をかっさらっていったのですよッ! その結果、キリマルが死んだッ! 嗚呼! かつて! かの神を崇めていた自分が恥ずかしいッ! でもまだチャンスはありまんすッ! またキリマルを召喚をすればッ!」
「可能性はある。でもビャクヤは召喚士ではない。なんとか召喚出来たとしても、キリマルが現れる保証はない」
「ではどうすればッ!」
「絶望したまま、私を握ってほしい」
持ち主の考えに逆らう魔刀天邪鬼は、この可能性を狙って地球から魔法の星まで飛んで来たのだ。それに気づいたビャクヤはそれでも躊躇う。
「しかし、吾輩はッ! ダークのような暗黒騎士でもッ! ましてや悪魔でもないッ! アマリちゃんを握れば・・・」
「そう。狂気がビャクヤを蝕む。でも考えている時間はない。もうすぐ悪魔の意識が正常化する」
女悪魔の上気した顔は、徐々に元の白い顔に戻っていく。
「キリマルの為ならアマリちゃんは、他の者に対して無慈悲になるのですね。吾輩の精神を引き換えにしてでも、キリマルを呼び寄せだなんて・・・。だがッ! いいでしょうッ! どの道ッ! キリマルが生き返れば吾輩の事なんてッ! なんとでもなりまんすッ! この命、我が始祖様のために捧げましょうぞッ!」
正気に戻った女悪魔は、ビャクヤを見ないようにして立ち上がった。
「クククッ! やってくれたな、魔人族。まさか、これほど尋常ならざる魅力値を持つ者が存在するとは思わなかったぞ。しかし、もうお終いだ。お前を見なければ魅了はされないからな」
悪魔の反撃を食らう前にビャクヤは、アマリを拾いあげて闇空に掲げた。
「吾輩はッ! キリマルをッ! 召喚できませんぬッ! なぜならばッ! メイジだからッ!」
「なんだ? とち狂ったか? 魔人族よ」
正気では出来ない行動を取るビャクヤに、悪魔の領主は目を見開く。
「イヒッ! イヒヒヒヒッ! キャァァオオオオオオーーーー!」
アマリを握った瞬間に、ジクジクと傷を食い荒らす蛆虫のような狂気がビャクヤを襲った。
「しかしよぉ、ドリャップの兄貴! 彼奴等は悪魔の領主ですぜ!」
オーガの軽い平手が、かつてゴブリンだった人間に飛ぶ。
「バカヤロー! お前みたいな奴がまだいたのかよ! 現状を見ろ! この砦の防衛戦で一番活躍しているのは誰だ?! ビャクヤだろうが! 強い魔物の殆どはビャクヤが倒した! 残りの中級程度なら俺らでも対処できるだろう! さぁ! 立て!」
ドリャップは武器立てに置いてあった鉄の槍を持つと、門を守るリンネの背後から魔物の目を抉る。
「おい! 誰か! リンネにマジックポーションぶっかけろ!」
的確に指示を出すドリャップの声が、ビャクヤの耳には遠くに聞こえる。
(ドリャップ・・・。そういえばリザードマン戦争時にヤイバさんを裏切った帝国兵と同じ名前ですな・・・。彼はそのご先祖・・・か。まさかね・・・。おっと! 長いこと失神をしていたような気がしますッ! が、悪魔の様子からして、まだほんの数秒ほどでしたかッ! もう少し眠っていたかったのですがッ! そうもいきませんね)
薄らと開けた目の向こう側で、デーモンロードが自分の喉に魔刀を突き立てようとしている。
(このままでは、死を待つのみッ! 恐らくッ! 悪魔が振るう魔刀天邪鬼で殺されたとしても復活はできるッ。しかし・・・。生き返って魔法点が回復したところで、虚無の渦を作るには時間が掛かり過ぎるッ! ではッ! 他にこの悪魔の領主を穿つ強力な術があるかどうかと言われればッ・・・)
自分が六人いればいいのにと考えながらも、まだ混濁する意識の中でキリマルの顔が頭に浮かぶ。
ビャクヤにとって身近な悪魔はキリマルであり、何度か手合わせをして(毎回負けていたが)唯一優位に立てた点を思い出したのだ。
『自分の及ぼす影響力を考えろ!』
かつて仮面を外した自分を見たキリマルはそう言った。
仮面の呪いで見えるはずのない素顔を見て、ウィン家の始祖は股間を膨らまし・・・。
「ええいッ! 南無三ッ!」
ビャクヤは仮面を外して、悪魔に素顔を晒した。
「なにッ!?」
悪魔はたじろいで、ビャクヤに止めを刺そうとした手を止める。
キリマルと同じ上位悪魔の目に、超絶美形の素顔が眩い光のように焼きついた。
「あああああああ!!!」
神以上の存在を魅了する男の美しい顔に、どうして悪魔ごときが抗えようか。
デーモンロードは股間から粘液を垂らすと、アマリを放し、両手を地面について体を震わせ始めた。
「この私が・・・。ああ、だめ! イクっ! またイグゥゥ!」
ビャクヤは悪魔のリアルなアヘ顔を見ているうちに、意識がはっきりとし始める。そして立ち上がるといつものように、自分を抱えるような動きをした後、額に指先を付けてポーズを取った。
「吾輩の美しさはッ! うっかりミスでグランデモニウム王国を滅ぼした、帝国魔法騎士団の所業よりも重い罪でありんすッ! さてッ! なんとか、窮地からは脱出できましたがッ! 快楽とはそう続かないものッ! この間に果たして虚無の魔法が作り出せるのかッ!」
左手に虚無の渦を作り出そうとしたその時、アマリが唐突にビャクヤに語りかけた。
「キリマルは死んだ」
「――――は?」
メンタル面に難のあるビャクヤは、驚いて虚無の準備動作を止めてしまった。
「キリマルは神の国で・・・。マナの少ない環境で徐々に悪魔としての狂気に侵されて、最終的に金剛切りで自害した・・・」
「いやいやッ! キリマルはッ! 門の向こう側で無の侵食を遅らせていたのではッ?」
「もう無の恐怖はない。世界の危機は終わった。その代わり、私もキリマルも地球まで弾き飛ばされた」
「どうしてそう言えるのですッ?」
会話している間にも、魔物は襲ってくるがドリャップの放つ矢や、リンネの魔法でなんとかビャクヤは守られている。
「私が星の国から魔法の星に戻ってきたから。もし無が侵攻していれば、私もキリマルも地球も存在はしていなかった」
「そんな・・・。誰が無の侵攻を止めたかは大体察しがつきます。ヒジリでしょう。あの現人神はッ! キリマルがお膳立てをした後にッ! 美味しい部分をかっさらっていったのですよッ! その結果、キリマルが死んだッ! 嗚呼! かつて! かの神を崇めていた自分が恥ずかしいッ! でもまだチャンスはありまんすッ! またキリマルを召喚をすればッ!」
「可能性はある。でもビャクヤは召喚士ではない。なんとか召喚出来たとしても、キリマルが現れる保証はない」
「ではどうすればッ!」
「絶望したまま、私を握ってほしい」
持ち主の考えに逆らう魔刀天邪鬼は、この可能性を狙って地球から魔法の星まで飛んで来たのだ。それに気づいたビャクヤはそれでも躊躇う。
「しかし、吾輩はッ! ダークのような暗黒騎士でもッ! ましてや悪魔でもないッ! アマリちゃんを握れば・・・」
「そう。狂気がビャクヤを蝕む。でも考えている時間はない。もうすぐ悪魔の意識が正常化する」
女悪魔の上気した顔は、徐々に元の白い顔に戻っていく。
「キリマルの為ならアマリちゃんは、他の者に対して無慈悲になるのですね。吾輩の精神を引き換えにしてでも、キリマルを呼び寄せだなんて・・・。だがッ! いいでしょうッ! どの道ッ! キリマルが生き返れば吾輩の事なんてッ! なんとでもなりまんすッ! この命、我が始祖様のために捧げましょうぞッ!」
正気に戻った女悪魔は、ビャクヤを見ないようにして立ち上がった。
「クククッ! やってくれたな、魔人族。まさか、これほど尋常ならざる魅力値を持つ者が存在するとは思わなかったぞ。しかし、もうお終いだ。お前を見なければ魅了はされないからな」
悪魔の反撃を食らう前にビャクヤは、アマリを拾いあげて闇空に掲げた。
「吾輩はッ! キリマルをッ! 召喚できませんぬッ! なぜならばッ! メイジだからッ!」
「なんだ? とち狂ったか? 魔人族よ」
正気では出来ない行動を取るビャクヤに、悪魔の領主は目を見開く。
「イヒッ! イヒヒヒヒッ! キャァァオオオオオオーーーー!」
アマリを握った瞬間に、ジクジクと傷を食い荒らす蛆虫のような狂気がビャクヤを襲った。
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