史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第二章 青春謳歌編

78話 楽しい楽しいお買い物の時間

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「楽しみですわ、クラス同士での試合なんて!」

「そうだねぇ」

 クラスのみんなに、「デーモ」クラスとの試合を発表してからさらに翌日。
 私は、ノマちゃんたちとお外にお出掛けに出ていた。以前話していた、お買い物というやつだ。

 学園の外に出るには許可が必要だけで少し面倒だけど、それさえ済ませてしまえばこうして、楽しい時間が広がっている。

「楽しみだねー」

「ねー、ですわ」

「……当事者の二人がそれでいいなら別にいいんだけど、なんでそんなに軽いんだ?」

 仲良く隣り合って笑い合う私たちに、苦笑い気味に言葉を漏らすのは、ナタリアちゃんだ。
 他に、ここにはクレアちゃんとルリーちゃんの姿もある。

 ノマちゃんとお買い物の約束をしてから。私は、仲のいい子に声をかけた。
 結果、三人も同行することになったわけだ。

「軽いー?」

「いや、だってとんでもないことじゃない……私も、聞いたときはなんの冗談だって思ったわよ」

 呆れたようにため息を漏らすのは、クレアちゃん。
 まあ……いきなり、クラス同士で試合します、って宣言されたら、驚きもするだろうか。

 クラスのみんなからも、どうしてそんなことにと質問攻めされたっけなぁ……
 とはいえ、私は試合を申し込まれたほうだから、なんとも言えなかったけど。

「それにしてもノマちゃん、知ってたなら、その日に言ってくれればよかったのに」

「だって、コーロラン様がまだ言ってないのに、わたくしから言うわけにはいかないじゃないですか」

 王子様に試合を申し込まれ……王子様は、事前にクラスのみんなには試合の許可をとっていた、と言っていた。
 ということは、王子様と同じクラスのノマちゃんも、試合のことは知っていたってことだ。

 思い返せば、試合を言い出される前の日あたりに、ノマちゃんはソワソワしていたような気もする。
 きっと、試合のことは知っていて、話しちゃいけないとわかっていたけど話したくなってしまいそうに……って気持ちだったのだろう。

 逆の立場なら……うん、私も話したくても話せないかな。

「けど、ちょっとワクワク、してません?」

「あ、わかるぅ?」

 なんだかんだ言って、ワクワクしている自分がいる。
 決闘とはまた違う。試合だ。それも、多人数での。

 これまで一人で魔導を学んできた私が、誰かと協力して、試合をするのかぁ……

「今から燃えちゃってるよ!」

「わたくしもですわ!
 ですが、今日はせっかくのお買い物。こちらも楽しまないと」

「もっちろん!」

 私にとって、こんなにも多くの友達とのお買い物は初めてだ。
 この国に来てから初めて、クレアちゃんとお買い物に出掛けた。それも楽しかったけど、こうやって大勢で、というのも別の楽しみがある。

 ……うーん。

「私、師匠だけじゃなくクレアちゃんが選んでくれた服も持ってるんだけど……」

 ノマちゃんに詰め寄られたときは、思わずなにも言えなかったけど……私は、師匠が買ってくれたものだけでなく、初めてのお買い物でクレアちゃんが選んでくれた服も持っている。
 白いワンピースとかだ。かわいい。
 なので、私のものを買う、なんてそこまで困っているわけでもない。

 ……まあ、いっか。
 なんにせよ、みんなとの買い物であることには変わりないんだし。

「そういえば、それ私が選んだ服よね」

「ふふん、そうだよー。
 似合う?」

「とっても素敵です!」

 今日私は、クレアちゃんが選んでくれた服を着ている。さっき思い浮かべた白ワンピとはまた別の、女の子らしい服だ。
 クレアちゃんも、ルリーちゃんも、ノマちゃんも、女の子らしい素敵な服装だ。

 みんなスカート……だけど、一人違う子がいる。

「カルメンタールさんは、パンツスタイルなんですのね?」

「あぁ、うん。変かな?」

「そんなことはありませんわ。とてもお似合いです」

 そう、ナタリアちゃんは長いズボンを履いている。
 スラッとした足が、強調されてよく似合っているんだけど……

「スカートはちょっと、恥ずかしくて……」

 と、いうことらしい。

「でも、学園じゃスカートじゃない」

「それは、制服だし……
 私服で、スカートは持ってないんだよ」

「それはもったいないですわ!
 カルメンタールさん、おきれいなんですからおみ足を見せたほうがいいですわよ」

 どうにも、衣類のことになるとノマちゃんは妙なスイッチが入るな。
 ズボンはズボンでいいと思うんだけど……かっこいいし。

 まあ、スカート姿を見ているしもったいないという気持ちも、わからなくはない。

「これは、カルメンタールさんの服も選ばなければ……」

「いや、ボクは……」

「まー、ああなったら止められないよ」

 もはや、ノマちゃんを止めるのは諦めたほうがいいだろう。
 どのみち、服は見て回ることになるのだから。

 ただ、その前に……

「お腹空いた……」

「そうねー、昼食にしない?」

 集合したのがお昼前。今はお昼時で、ちょうどお腹が空いてきた頃合いだ。
 みんなも、異存はないようで、どこか手頃なお店を探す。

「あ、だったらさ……」

 どこかいいところは……と考えていたところで、頭の中にふといいアイデアが浮かぶ。
 美味しいご飯を出してくれる、お安いお店があるじゃないか!

 その店の名前を出すと、クレアちゃんは渋った顔をしていたけど、ルリーちゃんはこくこくこくと激しくうなずき、ナタリアちゃんとノマちゃんも賛成したのでそこに向かうことに。

「いらっしゃい。
 ……あら、エランちゃん!」

「タリアさん、久しぶり!」

 着いた先は、『ペチュニア』という名前の宿屋。
 私が魔導学園に通うまでお世話になっていたところで、なにを隠そうクレアちゃんの実家だ。

 宿屋ではあるけど、普通にご飯も食べられる。
 それに、久しぶりにタリアさんに会いたかったのもあるしね。

「まー、数日のうちにずいぶん立派になったじゃないか」

「そ、そうかなー?」

「ルリーちゃんも久しぶりねぇ」

「はい」

 私と同じく、ルリーちゃんもお世話になっている。

「そちらは、お友達?」

「うん。みんなと、美味しいもの食べたいなって思って」

「まあ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
 シャレた店じゃないけど、うんと美味しいもの食べさせてあげるからね」

 王都ならば、確かに小洒落た店もあるのだけど……
 私は、ここでみんなと、ご飯を食べたい。

 それに、クレアちゃんだって久しぶりの実家で嬉しいはず……

「……なんでクレアちゃんは店に入ってこないの?」

「だ、だって……わざわざ、こんな……」

 なんでか、もじもじしているクレアちゃん。
 このままだと埒が明かなさそうなので、渋るクレアちゃんを無理やり、店内へと引きずり込んだ。
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