史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

787話 ふわぁ……しゅごぉ……

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 私とネクちゃんに、ペルソナちゃんとカルくんを加えて学園祭を回っていく。

 ネクちゃんは行きたいところはあまりないのかと思っていたけど、実は結構あったみたいだ。
 私のように、全クラスを回りたい……ってわけじゃないから、それは今日までに行こうと思えば行ける場所ではあったけど……

「ひ、一人だと……い、行きにくい……」

 ということで、今まで一人では行っていなかったのだという。
 仲の良い子がいれば一緒に行っていたみたいけど、毎回自由時間が被るわけでもないしね。

 私としては、ネクちゃんに他のクラスにも仲の良い子がいたことに一安心だよ。

 で、そのネクちゃんの行きたかったところの一つが……

「にゃー、またまたいらっしゃい」

 猫獣人、ピアさんのやっている魔導具店だ。
 ここには初日にも来たけど、どうやらネクちゃんはすっかり気に入ったらしい。

「お、おぉ……!」

「好きなだけ見ていってねー」

 店の中に入り、ネクちゃんは目を輝かせながら魔導具のあれこれを見ている。

 ネクちゃん、使い魔だけでなく魔導具にも興味があるのか。
 まあ魔導士を目指す者なら当然、でもあるかもしれないけど。

「そういえばピアさん、なんかさっき窓の外でなんか爆発したみたいなんだけど……」

「にゃははは、見てたのかー。ま、大丈夫大丈夫、万一爆発しても使用者には危害のいかない設計にしてあるから」

「それは大丈夫なのか?」

 ピアさんの魔導具については、ゴルさんとの決闘で使った魔力剣マナブレードを思い出す。
 不備はあるけど、それでもすごい魔導具。それが、ピアさんの魔導具を使わせてもらった私の感想だ。

 だから、完全なものには程遠い、というのはわかるんだけど。

「万一に備えてそんな設計をするくらいなら、初めから爆発しないようにしてほしいんだけど」

 と、苦言を呈するのはレニア先輩だ。
 ピアさんの魔導具店を手伝っているのは、レニア先輩だけ。他の同級生なんかは、ピアさんには非協力的だ。

「レニアったらー、相変わらず厳しいんだからー」

「ピアは昔から……少しは真面目にだね」

「あーあー、聞こえなーい」

 レニア先輩がピアさんを手伝うのは、ピアさんとは幼馴染だからだと思ってるけど……

 こうして、小人族ドワーフのレニア先輩が自分よりも身長の高いピアさんを怒っている光景は……なんだか不思議だ。
 いや、怒ってるって言うよりは叱っているのが近いかな。

 なんだか、二人の関係性が見えてくるようだよ。昔から、あんな気安い関係の相手がいるっていうのは……いいな。

「わー、面白そうなものがいっぱい!」

「あぁ、勝手に触ったら危ないから」

「ちょっ、レニア! それは聞き捨てならないにゃ!」

 触ったら危ないものを置いておくのはどうなんだ……と思っていたら、ピアさんがちゃんとツッコんでくれた。
 レニア先輩だって、それを本気で言っているわけではないだろう。多分。

 カルくんが楽しそうにしている側にレニア先輩は駆け寄っていく。……本当に危険なものはないんだよな?

「レニアったら大袈裟にゃんだからー」

 ケラケラと笑うピアさん。

「あの……本当に大丈夫ですか? 爆発とかしません?」

「大丈夫! さっきも言ったように使用者は絶対に守るし、なんならさっき爆発した子は楽しんでくれてたよ」

 不安そうなペルソナちゃんに、ピアさんはまったく信用できないことを言う。
 まあ、問題があればすでに先生なり生徒会なりが止めてそうだし……大丈夫、なのかなぁ。

 あの自信も、今日まで魔導具を作ってきたがゆえ……なんだろう。

「あ、そうだ。ピアさん、ちょっと見てもらいたいものが」

 ふと思い出したことがあったので、私はポケットの中をまさぐる。
 そして取り出したものを、ピアさんに見せる。

「うん? にゃににゃに?」

「これ、以前王様から貰った物なんだけど……」

「へー、国王様から…………っ!?」

 拳を開き、手のひらに乗せていたものを見せる。
 そこあったのは、指輪。でも私が見てほしいのは、指輪じゃない。

 指輪に嵌められている、赤い石だ。

「これって……」

「えっと、"賢者の石"って国宝の魔導具らしいんだけど」

「け、けんむぐ!」

 その意思を見ていたピアさんの表情がみるみる変わり、私がその名前を口にすると驚きから叫びそうになる。
 でも、その口を自分の手で閉じている。器用な人だ。

「ピアさんが驚くってことは、やっぱりこれすごいものなんだ」

「す、すごいなんてものじゃないよ! なにスカートのポケットに無造作に突っ込んでるの!」

「ご、ごめんなさい?」

 す、すごい剣幕だ。魔導具技師を目指しているというピアさんに見せたら、どんな反応をするだろうとは思っていたけど。
 まさか、これほどとは。

 私の手を掴み、鼻息荒く魔導具を見ている。
 あぁん、手に吐息がかかる。

「ど、どうしたのこれ!」

「まあ、いろいろあってもらったの王様から」

「いろいろあって!?」

 説明するとややこしいんだけど……

「要は魔獣退治だよ」

 要約するとこれだ。王都を暴れ回った魔獣、それを操っていた人間を捕まえた。
 その褒美として、この国宝を貰ったわけだ。

 使用者の魔力を底上げする力えお持つという、この魔導具を。

「ふわぁ……しゅごぉ……」

 よっぽどすごいものなのだろう。普段のほほんとしているピアさんが、すっかりとろけてしまっている。
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