史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

825話 使い魔召喚へ

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 ――――――


 ……さて、早いもので時間は経つ。
 今日は待ちに待った、使い魔召喚の授業日だ。

 今日までの間、授業内容のほとんどは使い魔召喚に関するものだった。
 個人の基礎魔力を上げるのは、もう充分にやった。だからこの期間は、知識を深めることに重点を置いたのだ。


 私のいる「ドラゴ」クラスは、ルリーちゃんやヨルのいる「ラルフ」クラスだ。
 ちょっと、安心した。ルリーちゃんは心配いらないって言ってたけど、やっぱり気になるもんね。私か、それがだめなら他にルリーちゃんの正体を知っているナタリアちゃんのいるクラス。

 二クラスなら、このどちらかがルリーちゃんと同じになるのが良かった。なにかあっても、対処できるからね。
 まあ、使い魔召喚の時は一人で周りも離れて見守るみたいだから、なにができるわけでもないんだけど。

 それでも、少しの気構えはできる。

「ってことは、ナタリアちゃんたちはノマちゃんたちと一緒か」

 それにしても、考えてみれば……
 ナタリアちゃんのいる「オウガ」クラスには第一王女のコロニアちゃんがいて。
 そしてノマちゃんのいる「デーモ」クラスには、第二王子のコーロランがいる。

 二人も王族がいるんだ。あっちはあっちで、大変な盛り上がりに違いない。

「ど、ドキドキしてきました……」

 ま、ここにいないクラスのことは考えても仕方ない。
 今考えなきゃいけないのは、隣で怯えたように震えているルリーちゃんがかわいいってことだ。あ、じゃなくて。

 怯えたようにって言うよりも、緊張しているのか。

「まーまールリーちゃん、リラックスしていこうよ」

「り、リラックス……」

「そーそー、気を抜いて落ち着いてってこと」

 深呼吸をしているルリーちゃんに話しかけるように、こちらに近づいてくるのはヨルだ。

「なにしにきたのさ」

「いや、同じ授業なんだからなにしにもくそもないでしょうが!」

「いや、別に話しかけてくる必要ないじゃんって……」

「辛辣!」

 それからヨルは、こほんと小さく咳ばらいをした。
 それから、周囲を見回す。

 場所は、中庭だ。別のクラスも、こことは離れた場所でやっている。
 これも、広い学園内だからできることだよね。

「みんな、これから新しい相棒が召喚されるってことに浮足立ってるみたいだな」

「あんたは余裕っぽいけど?」

「いやいや、俺だってわりと緊張してんのよ?」

 全然そうは見えないけど、どうやらヨルは緊張しているようだ。

 ……認めたくはないけど、ヨルだって【成績上位者】。どんな強いモンスターが召喚されるのか、気にはなる。
 もしかしたらゴルさんのサラマンドラレベルのモンスターが召喚されたり……なんてね。

「余裕って言えば、エランの方がそうでしょ」

「そりゃ私は、すでにクロガネがいるわけだし。みんなよりは落ち着いて挑めると思うよ」

「はは、確かに」

 さて、そうやって話しているうちに、授業開始の時間となった。
 私たちは一旦集まり、先生の話を聞く。

「ではこれから、使い魔召喚の授業を行う。各々、これまでに学習したことを思い出し、召喚に挑むように」

「どんなモンスターが召喚されるかは、お前たち次第だ。そして、その後そのモンスターとどう向き合うのかもな」

 サテラン先生と、もう一人……あれは、「ラルフ」クラスの先生か。
 なんっか見覚えあるんだよな……うーん……

 ……あぁ、あれだ。学園で魔獣が出た時に、全部終わった後に一番最初に駆けつけてくれた先生。
 確か……なんとかサイン先生だ。

「緊張するね……」

「ねー」

 隣のクラスメイトと、話している子はちらほら。
 やっぱりみんな、緊張していて……でも、それ以上に楽しみなんだ。

 私も、みんなにどんなモンスターが召喚するのか。楽しみだ。

「では、名前を呼んだ順に前に出るように」

 それから先生は、名簿を手に名前を口にする。

「まずは、カリーナ・レンブランド」

「は、はいっ」

 トップバッターは、カリーナちゃんか。どうやら名前順ではなくランダムに呼ばれるみたいだな。
 私をはじめにお茶会に誘ってくれた子で、貴族と平民の壁をなくそうと考えているいい子だ。

 肩を震わせるカリーナちゃんは、ここから見てもわかりやすく動揺して、深呼吸をして……
 それから、一歩また一歩と前に出る。

「それではレンブランド、魔法陣を」

「は、はい」

 こんな大勢の中で、一番最初の使い魔召喚だ。そのプレッシャーは相当なものだろう。
 あぁ、なんだか私まですごいドキドキしてきたよ。

「……すぅ……行きます」

 魔導の杖を手に、その先端を光らせる。そしてカリーナちゃんは、自分の手前にそっと杖を走らせる。
 まるで、ペンでなにかを描くように。けれど、持っているのは杖で、描いているのはなにもない宙だ。

 本来なら宙になにかを描くなんて、できはしない。けれど、魔導の杖ならそれが可能だ。
 魔力を帯びた杖の先端は、目には見えない魔力を目に見える形で描き出す。

 描かれるのは、丸い円……そしてそこには、複雑な模様がちりばめられている。

「……」

 決して長くはない時間。でも、みんなが見守るその空間は、やけに時間の流れが遅く感じられて……
 それでも、それは完成する。

 使い魔となるモンスターを召喚するための、術式……そう、魔法陣サークルが。

「……これより、私と共に歩む者よ。私の呼びかけに、応えなさい」

 そして……魔法陣が、青白く輝き始めた。
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