史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
864 / 1,141
第十一章 使い魔召喚編

851話 先輩っていいよなぁ

しおりを挟む


「ノマ・エーテンに、イザリ・ダルマスか」

「えぇ。この二人、新しく生徒会に勧誘したいなって」

 放課後、生徒会室で私は、今後加入させようというメンバーを伝えていた。

 生徒会室には、私とシルフィ先輩の二人だけだ。
 ゴルさんたち三年生は用事があるのか、今日はいないみたいだ。まあ、毎回みんな集まれるわけじゃないしね。

 それでも、三年生全員がいないというのは、珍しいことだ。

「なるほど。どちらも、生徒会に居てもなんら問題のない人材だな……」

 ダルマス家は有名貴族だって話だし、ノマちゃんのところだって有名なところのはずだ。
 ネームバリュー的な意味でも、二人が入るのはなんの問題もない。

「お前から声をかけたのか?」

「どっちかと言うと、二人とも自分から申し出てくれた感じですかねぇ」

 ノマちゃんもダルマスも、自分から私に言ってくれた。
 誰を誘おうと悩んでいた私にとっては、まさに渡りに船だったわけだ。

「なるほどな」

「ま、私の人徳ってやつですかね!」

「……」

「冗談だからその冷めた目やめて!」

 冗談はさておいて、シルフィ先輩的にもノマちゃんとダルマスが生徒会に入ることは問題ないようだ。

 あと誘うとしたら……コーロランかコロニアちゃんあたりかな。二人ともゴルさんの身内だし、生徒会の活動にも詳しいんじゃないか……なんて勝手なイメージがある。
 まあ、生徒会って何人くらいがちょうどいいのかわからないんだけどね。

「先輩は、誰か誘おうと考えてるんですか?」

「あぁ。生徒会に入ってもいいと思える友人ニ、三人に声をかけてみるつもりだ」

「先輩友達いたんで……なんでもないですごめんなさい」

 ギロッと睨まれ、私は顔をそらす。ごまかすために口笛を吹くけど、ひゅーひゅーとなんとも下手な音だった。

「……まあ、来年何人の新入生が加入するかはわからんが、少なくとも上級生は四、五人はほしいところだな」

 軽くため息を漏らし、シルフィ先輩が言う。
 シルフィ先輩的には、新入生を除けば生徒会には四人か五人は最低でもほしいらしい。

 私が加入するまで五人だったもんな……いや、上級生で言うならシルフィ先輩除いて四人か。
 そのときのイメージあってだろうか。

「じゃあ、私と先輩、ノマちゃんにダルマス……それに先輩の友達三人で……」

「まだ決定事項と捉えるな。自分から申し出てくれたお前の友人はともかく、俺はこれから声を掛ける。その全員が加入してくれるとは限らない」

「そうか……じゃあ、私ももう少し声掛けたほうがいいですかね?」

「……候補は挙げてもいいだろうが、とりあえずは現状を維持しておけ。せいぜいエーテンとダルマスの気が変わらないよう見ておくくらいにな」

 先輩の友達が全員入るかわからないし、ノマちゃんとダルマスだってもしかしたらなにかあって入れないかもしれない。
 最終的にまだ声を掛けるのかは置いといて、私は現状維持ってことだ。

 生徒会の人数が少なすぎるのも問題だけど、多すぎるのもまた……ってことかな。
 仮に私と先輩の声を掛けた友達全員が入ったとして、来年の新入生が予想以上の数入ってきたら……すごく多くなる可能性もあるしな。

 そう考えると、多すぎず少なすぎずって人数調整も、なかなか難しいな。

「多すぎて困るってことはないだろうけど……」

「なんにしても、ダルマスは品行方正だし問題ないだろう。エーテンも、素行に関してはむしろ他の者より秀でている」

 何枚かの紙を見ながら、先輩はノマちゃんとダルマスにやはり問題がないことを確認。
 私としても、二人なら問題ないと思える。ノマちゃんは賑やかだけど、なんだかんだやるときにはやるし。

 それよりも、先輩がチラチラ私を見ているのが気になる。

「なにか?」

「……いくらゴルドーラ様から誘われたとはいえ、よくお前のようなやつに生徒会が務まるなと思ってな」

 さらっと言いのける。言ってくれるじゃないか。

「でもなんとかやってきてますよ」

「先輩方の支えあってこそだろう。三年生がいなくなれば、お前も先輩になる……後輩に示しがつかん行動はするなよ」

「むっ」

 シルフィ先輩め……今日はゴルさんたちがいないからか、口調がとげとげしい。最近はそうでもなかったのに。

 私だって、後輩が入ってくればちゃんとしますとも! 学園の先輩としてね!
 ……後輩、かぁ。


『エラン先輩!』


「えへへへへ……」

「……なにを考えているのか聞かなくてもわかるな。よくも顔もわからない後輩を想像してそこまで惚けられるものだ」

 おっと、いけないいけない。まだ見ぬ後輩から先輩呼びされるところを想像しちゃったよ。

 それにしても、私にもうすぐ後輩ができるのかぁ。先輩たちが卒業するのは寂しいけど、それとは別に楽しみもあるなぁ。
 先輩、後輩……うぅん、いい響きじゃないか。

「まあ、恐れられないように頑張ることだな」

「恐れって……あはは、こんな可憐な美少女を捕まえて、そんなこと言わないでよー」

「……学園の狂犬と呼ばれているお前が可憐? はっ」

 鼻で笑われた。

 そうか、私の噂……学園どころか国中に広がってるんだもんな。しかも変な尾ひれ付きで。
 私……知らない子から、どんな風に思われてるんだろうか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆

八神 凪
ファンタジー
   日野 玖虎(ひの ひさとら)は長距離トラック運転手で生計を立てる26歳。    そんな彼の学生時代は荒れており、父の居ない家庭でテンプレのように母親に苦労ばかりかけていたことがあった。  しかし母親が心労と働きづめで倒れてからは真面目になり、高校に通いながらバイトをして家計を助けると誓う。  高校を卒業後は母に償いをするため、自分に出来ることと言えば族時代にならした運転くらいだと長距離トラック運転手として仕事に励む。    確実かつ時間通りに荷物を届け、ミスをしない奇跡の配達員として異名を馳せるようになり、かつての荒れていた玖虎はもうどこにも居なかった。  だがある日、彼が夜の町を走っていると若者が飛び出してきたのだ。  まずいと思いブレーキを踏むが間に合わず、トラックは若者を跳ね飛ばす。  ――はずだったが、気づけば見知らぬ森に囲まれた場所に、居た。  先ほどまで住宅街を走っていたはずなのにと困惑する中、備え付けのカーナビが光り出して画面にはとてつもない美人が映し出される。    そして女性は信じられないことを口にする。  ここはあなたの居た世界ではない、と――  かくして、異世界への扉を叩く羽目になった玖虎は気を取り直して異世界で生きていくことを決意。  そして今日も彼はトラックのアクセルを踏むのだった。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

濡れ衣を着せられ、パーティーを追放されたおっさん、実は最強スキルの持ち主でした。復讐なんてしません。田舎でのんびりスローライフ。

さら
ファンタジー
長年パーティーを支えてきた中年冒険者ガルドは、討伐失敗の責任と横領の濡れ衣を着せられ、仲間から一方的に追放される。弁明も復讐も選ばず、彼が向かったのは人里離れた辺境の小さな村だった。 荒れた空き家を借り、畑を耕し、村人を手伝いながら始めた静かな生活。しかしガルドは、自覚のないまま最強クラスの力を持っていた。魔物の動きを抑え、村の環境そのものを安定させるその存在は、次第に村にとって欠かせないものとなっていく。 一方、彼を追放した元パーティーは崩壊の道を辿り、真実も勝手に明るみに出ていく。だがガルドは振り返らない。求めるのは名誉でもざまぁでもなく、ただ穏やかな日々だけ。 これは、最強でありながら争わず、静かに居場所を見つけたおっさんの、のんびりスローライフ譚。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

リーマンショックで社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

処理中です...