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第十一章 使い魔召喚編
851話 先輩っていいよなぁ
しおりを挟む「ノマ・エーテンに、イザリ・ダルマスか」
「えぇ。この二人、新しく生徒会に勧誘したいなって」
放課後、生徒会室で私は、今後加入させようというメンバーを伝えていた。
生徒会室には、私とシルフィ先輩の二人だけだ。
ゴルさんたち三年生は用事があるのか、今日はいないみたいだ。まあ、毎回みんな集まれるわけじゃないしね。
それでも、三年生全員がいないというのは、珍しいことだ。
「なるほど。どちらも、生徒会に居てもなんら問題のない人材だな……」
ダルマス家は有名貴族だって話だし、ノマちゃんのところだって有名なところのはずだ。
ネームバリュー的な意味でも、二人が入るのはなんの問題もない。
「お前から声をかけたのか?」
「どっちかと言うと、二人とも自分から申し出てくれた感じですかねぇ」
ノマちゃんもダルマスも、自分から私に言ってくれた。
誰を誘おうと悩んでいた私にとっては、まさに渡りに船だったわけだ。
「なるほどな」
「ま、私の人徳ってやつですかね!」
「……」
「冗談だからその冷めた目やめて!」
冗談はさておいて、シルフィ先輩的にもノマちゃんとダルマスが生徒会に入ることは問題ないようだ。
あと誘うとしたら……コーロランかコロニアちゃんあたりかな。二人ともゴルさんの身内だし、生徒会の活動にも詳しいんじゃないか……なんて勝手なイメージがある。
まあ、生徒会って何人くらいがちょうどいいのかわからないんだけどね。
「先輩は、誰か誘おうと考えてるんですか?」
「あぁ。生徒会に入ってもいいと思える友人ニ、三人に声をかけてみるつもりだ」
「先輩友達いたんで……なんでもないですごめんなさい」
ギロッと睨まれ、私は顔をそらす。ごまかすために口笛を吹くけど、ひゅーひゅーとなんとも下手な音だった。
「……まあ、来年何人の新入生が加入するかはわからんが、少なくとも上級生は四、五人はほしいところだな」
軽くため息を漏らし、シルフィ先輩が言う。
シルフィ先輩的には、新入生を除けば生徒会には四人か五人は最低でもほしいらしい。
私が加入するまで五人だったもんな……いや、上級生で言うならシルフィ先輩除いて四人か。
そのときのイメージあってだろうか。
「じゃあ、私と先輩、ノマちゃんにダルマス……それに先輩の友達三人で……」
「まだ決定事項と捉えるな。自分から申し出てくれたお前の友人はともかく、俺はこれから声を掛ける。その全員が加入してくれるとは限らない」
「そうか……じゃあ、私ももう少し声掛けたほうがいいですかね?」
「……候補は挙げてもいいだろうが、とりあえずは現状を維持しておけ。せいぜいエーテンとダルマスの気が変わらないよう見ておくくらいにな」
先輩の友達が全員入るかわからないし、ノマちゃんとダルマスだってもしかしたらなにかあって入れないかもしれない。
最終的にまだ声を掛けるのかは置いといて、私は現状維持ってことだ。
生徒会の人数が少なすぎるのも問題だけど、多すぎるのもまた……ってことかな。
仮に私と先輩の声を掛けた友達全員が入ったとして、来年の新入生が予想以上の数入ってきたら……すごく多くなる可能性もあるしな。
そう考えると、多すぎず少なすぎずって人数調整も、なかなか難しいな。
「多すぎて困るってことはないだろうけど……」
「なんにしても、ダルマスは品行方正だし問題ないだろう。エーテンも、素行に関してはむしろ他の者より秀でている」
何枚かの紙を見ながら、先輩はノマちゃんとダルマスにやはり問題がないことを確認。
私としても、二人なら問題ないと思える。ノマちゃんは賑やかだけど、なんだかんだやるときにはやるし。
それよりも、先輩がチラチラ私を見ているのが気になる。
「なにか?」
「……いくらゴルドーラ様から誘われたとはいえ、よくお前のようなやつに生徒会が務まるなと思ってな」
さらっと言いのける。言ってくれるじゃないか。
「でもなんとかやってきてますよ」
「先輩方の支えあってこそだろう。三年生がいなくなれば、お前も先輩になる……後輩に示しがつかん行動はするなよ」
「むっ」
シルフィ先輩め……今日はゴルさんたちがいないからか、口調がとげとげしい。最近はそうでもなかったのに。
私だって、後輩が入ってくればちゃんとしますとも! 学園の先輩としてね!
……後輩、かぁ。
『エラン先輩!』
「えへへへへ……」
「……なにを考えているのか聞かなくてもわかるな。よくも顔もわからない後輩を想像してそこまで惚けられるものだ」
おっと、いけないいけない。まだ見ぬ後輩から先輩呼びされるところを想像しちゃったよ。
それにしても、私にもうすぐ後輩ができるのかぁ。先輩たちが卒業するのは寂しいけど、それとは別に楽しみもあるなぁ。
先輩、後輩……うぅん、いい響きじゃないか。
「まあ、恐れられないように頑張ることだな」
「恐れって……あはは、こんな可憐な美少女を捕まえて、そんなこと言わないでよー」
「……学園の狂犬と呼ばれているお前が可憐? はっ」
鼻で笑われた。
そうか、私の噂……学園どころか国中に広がってるんだもんな。しかも変な尾ひれ付きで。
私……知らない子から、どんな風に思われてるんだろうか。
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