史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

852話 いいなぁ恋愛

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 とりあえず、新しく生徒会にメンバーを入れる話はうまい具合に進んでいた。
 シルフィ先輩も、なんだかんだ言って私の人選に文句はないようだ。

 まあ、人選もなにもノマちゃんやダルマスの方から言ってくれたんだけどね。

「それにしても、先輩方がいないとお前と二人きりになるのか……」

「ありゃ、もしかして照れてる?」

「はっ」

 また鼻で笑いやがったよ!

「俺はお前になど興味はない」

 淡々と話す。別に好かれたいとは思ってないけど、そんな言われ方されるとむっとしちゃうなぁ。

「そうだよねぇ。先輩は、ゴルさんとリーメイにしか興味ないもんね」

「!? な、いきなりなにを言うんだ!」

 手元の資料を落とし、動揺を見せる先輩。わっかりやすいなぁ。
 床に散らばったそれらを拾いながら、先輩は軽く私を睨む。

「だいたい、その言い方だと誤解を生むだろう」

「誤解ぃ? 間違ってはなくない?」

「そうだが……いや、そうじゃなくて!」

 普段毒ばかり吐いている先輩も、リーメイの話になるとすごくわかりやすくなる。
 学園祭では一緒に回ったりもしていたし、良い感じになっているのだろうか。

「ま、好きな人がいるってのはいいことだと思いますよ」

「おい、なにを勝手に話を進めているんだ」

 ノマちゃんやキリアちゃん……好きな相手の話をしているときの表情って言ったら、それはもうかわいらしい。
 恋する女の子はかわいい、とはどこかで聞いた話だ。

 ま、ノマちゃんはそういう話を大々的にできないし、キリアちゃんも相手がダルマスなのであまり大声でそういう話はできない。
 内緒の話ばっかだよ。

 なので、シルフィ先輩がリーメイのことを好きだと知れている生徒会では、堂々とこんな話ができるわけだ。

「べ、別に俺は……彼女のことなど……」

「いやいいからそういうの。わかってることだから、変に誤魔化しても面倒なだけだから」

「なんだその言い草は!」

 しかし、シルフィ先輩がリーメイのことを好きなら……いっそリーメイも、生徒会に誘ってみようかな。

 ……いや、さすがにそんな私情まみれの勧誘はよくないか。
 それにリーメイは学園に……というか人の国に来たばかりだ。そんな子に、生徒会なんて役目は二が想いだろう。

 まあ、この国に来たばかりでって言うのは私もあんまり変わらないんだけどね。

「はぁー、いいなぁ恋愛。私も、誰かに夢中になったりしてみたいよ」

「別に夢中になっていない! ……そもそもお前、そういう相手はいないだろう」

「いないけど、なんで断定?」

 以前も思ったけど、私の身の回りにいる印象的な男ってマシなのがいないんだよなぁ。
 先輩たちは置いといて、ヨルに筋肉男……ダルマスは、会ったばかりのときよりは印象はいいけど、キリアちゃんの想い人だし。

 いや別に、無理やり誰かを好きになろうってわけじゃないんだけどさぁ。なんかこう、ノマちゃんたちを見ているとそういうのも悪くないなって思っちゃうわけで。

「うーん……」

「なんともあほなことを考えている顔だな」

「なにおう」

 あほとは失敬だな失敬だ。


 コンコン


 そのとき、生徒会室の扉が叩かれる。来客を報せるものだ。
 いったい、誰だろう。先輩たちかな?

 はっ。それとも、今の会話がフラグになって、リーメイがやって来たとか!

「はい、どうぞ」

 と、私がなにを考えるよりも先に、シルフィ先輩が声を上げた。
 それを聞いて、外にいる人物はゆっくりと扉を開いていく。

 ガラガラと音を立てて開かれる扉……その向こう側にいたのは……

「し、失礼します……」

「! ま、マヒルちゃん?」

 印象的な黒い髪が揺れ、姿を見せたマヒルちゃん。
 左右に結んだ髪を揺らしながら、ゆっくりと部屋に入ってくる。

 さらに、その後ろにはヨルがいた。

「ヨルまで。いったいどうしたの」

「やっほ、エラン」

 手を上げひらひらと振っているヨル。その親し気な笑顔は無視するとして……

 ヨルの妹であるマヒルちゃんは、あたりをきょろきょろと見ている。
 ほっぺたが赤かったり、目が輝いていたり、なんだかノリノリって感じだ。

「マヒル……そうか、彼女が例の……」

 マヒルちゃんを見て、シルフィ先輩は納得したようにうなずいた。

 学年こそ違うけど、使い魔召喚で初めて人間が召喚された……という話は、もう全生徒に広まっている。
 昨日そういう話をしたばかりだし、シルフィ先輩がすぐに気付くのも当然だ。

 ただ、そのマヒルちゃんがどうしてここに?

「あと、ヨルもなんでここに」

「俺はただの案内人だよ。用事があるのはこいつ」

 と、ヨルはマヒルちゃんの肩をポンと叩いた。

 それからマヒルちゃんは、一歩前に出る。
 わたわたと慌てた様子でありながらも、ちゃんと深呼吸をして……私を、そしてシルフィ先輩を見る。

「あ、あの! 私、マヒルって言います! 昨日からこの学園でお世話になることになって……えっと……」

「ま、マヒルちゃん落ち着いて。深呼吸して」

「は、はい。すぅ、はぁ……
 ……え、えっと! 私をこの、生徒会に入れてください!」

 意を決して、叫ぶように用件を伝えるマヒルちゃん。
 その内容は、予想もしていなかったもので……

 ま、マヒルちゃんが……自分から、生徒会に……!?
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