史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

864話 誤解されちゃいけない

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 私は、クレアちゃんの顔を見た。クレアちゃんもまた、私を見ていた。
 チラチラとあたりを見ながら、声を潜める。

「……え、今なんて?」

 私もまた、声を潜める。だって、人に聞かせていい話ではない。
 特に、近くにいるダルマスには。

「エランちゃんは、ダルマス様のこと好きなんじゃないの?」

 もう一度、言う。それは私にとって思いもしなかった言葉だ。
 思わず固まってしまう私だけど、ここで黙りこんでしまったら変な解釈を与えてしまうかもしれない。

 なので私は、首をぶんぶんと振る。

「ないない。てか、なんでそんなこと思ってるのさ」

「だって……エランちゃんが一番話している男子って、ダルマス様じゃない?」

 一番話している……そんなことはない、と思う。現にゴルさんや生徒会の先輩たちともよく話す。
 だけど、クレアちゃんが言いたいのはそういうことではないんだろうな。

 ……それにしても。

「一番話しているから好きだなんて、クレアちゃんもかわいいことを考えるんだねぇ」

 転で的外れなことだけど、そう思った理由はなかなかかわいいものだ。
 落ち着いているように見えても、クレアちゃんも女の子なんだなっていうのがわかる。

「し、仕方ないじゃない。ダルマス様と話している時のエランちゃん、なんだか楽しそうだし……それに、一時期二人でそこかに消えていたし」

「……」

 二人で消えていた……とは、まさか二人での訓練のことか。
 あれ、勘付かれていたのか。そのせいで、キリアちゃんにもバレちゃったんだよなぁ。

「き、気のせいじゃないかなぁ。あははは」

 ともかく、あれは二人だけの……キリアちゃんも加わったことで三人だけの秘密だ。

「ふぅん……」

 それにしても……これは由々しき事態だな。
 もしも私とダルマスの関係が怪しまれているのだとしたら。クレアちゃんの他にもそう思っている子がいるのかもしれない。それこそキリアちゃんにも。

 最近、キリアちゃんから不安そうな視線を感じるのは、もしかしてそれ関係か?

「キリアちゃんに、私とダルマスの関係を誤解されるのはまずいよな……」

「え、なんだって?」

「んーん、なんでもない」

 さすがにキリアちゃんの想いをばらすわけにもいかないしな。こればかりは私の胸に秘めておかないと。

 うーん……キリアちゃんに変な誤解をされないためにも、あまりダルマスと話すのは遠慮しておいた方がいいかもな。
 そもそも、私がキリアちゃんのフォローをすると言っておいたのに、なにもできてないし。

「クレアちゃん、ありがとう。私、これから気を付けるよ」

「え? あ、うん?」

 なんにしても、おかげで私がダルマスに関わり過ぎっていうのに気づけた。
 一番話しているかはともかく、確かにクラスの……いや全体的に見てもダルマスに話しかけやすいのは事実だし。

「それじゃ、私他のみんなも見てくるから。クレアちゃんは使い魔との練習頑張って」

「えぇ……」

「ダルマスも、私はこれで!」

「あ、おいっ……」

 キリアちゃんに誤解されるのも、他のみんなに誤解されるのもよくはないからな。
 私は足早に、この場を後にする。

 ダルマス以外にも、他にも男の子としゃべったほうがいいのかもしれないな。そうすれば、余計な誤解を与えなくて済むし。
 となれば、早速近くにいる男の子に……

「あぁ、なんと美しい毛並みだろうカ。それに、整った顔立チ……まさにワタシにふさわしい使い魔だ」

「……」

 ……一応いた、けど……よりによってこいつかぁ。

 筋肉男、ブラドワール・アレクシャン。生粋の変人ではあるけど、使い魔としてペガサスを召喚したり確かな実力者なのは確かだ。
 ていうかこいつ、見かける度に「美しい」しか行ってない気がする。

 まあ、わざわざこいつに話しかける必要はないわけだし、そっと離れて……

「おや、ミス・フィールドではないカ」

 やっべ、見つかった。

「……どうも」

 とりあえず、あからさまに無視するのも感じ悪いし、形だけでも笑いかけておこう。

 それにしてもこいつ、いっつも手鏡持ってるなぁ。いやノマちゃんも「これは乙女の嗜みですわ!」って言って手鏡持ってるけど。
 さすがにノマちゃんはこんなことはしないだろうな。というかしてほしくない。

「どうかしたのかい、ミス・フィールド。もしやワタシと、我が愛馬エレウテリアを見に来たのかな。ならばとっくりと堪能するがいい、今ならば特別に見物代は取らないでおこうじゃないカ」

「……」

 うっわぁ……ぶん殴りてぇ……
 確かにこのペガサスは美しいけど、なんでそこにお前も加わるんだよ。

 いかん、会話すらまともにしていないのに頭痛くなってきたよ。

「あ、あははー、かっこいい使い魔だよねー」

「当然だとも。ワタシにふさわしい使い魔つまリ! その使い魔たるモンスターも相応のレベルということに他ならなイ!」

「ヒヒィン!」

 ……術者と使い魔は相性がいいってことだけど、確かにこの二人は似た者同士だわ。やたらとどやってるのがわかるもん。
 まあ、こいつらは私がなにを言うまでもなく問題ないだろう。

「そうだね。じゃあま、頑張って」

「まあまあ、待ちたまえヨ」

 そそくさと去ろうとしたのだけど、いつの間にか回り込まれてしまった。くそっ。

「一つ尋ねたいのだが……使い魔召喚で伝説の生き物を召喚したワタシとミスター・ダルマス。そしてもう一人……」

「……」

「彼女、ダークエルフなんだろウ?」

「……っ」

 その言葉を聞いた瞬間、この男に対する警戒レベルが上がったのを……自分でも、感じた。
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