復讐の転生者 ~仲間に殺された男は、かつての仲間の息子となり復讐を決意する~

白い彗星

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第7章 人魔戦争

それぞれの状況

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「とりあえず、気を失ってなかった人たちは、一箇所に集まってもらっている」

「他にもいたんですね、やっぱり」

「気を失った人たちと比べれば微々たるものだがな」


 戻ってきたガラドから、学園内の様子を聞く。ほとんどの人たちは中庭の奥の方に集められており、校舎には入っていなかった。建物内に集めたほうが、都合がいい気もするが……

 そんな中で、突然たくさんの人たちが気絶したので、気を失わなかった人たちはひどく怯えていたという。

 それは当たり前だろう。なんせ、いきなり人が次々に倒れていくのだ。それは恐怖以外のなにものでもない。


「それで……こ、こちらは?」

「あぁ……紹介します。こっちは、竜族のクルド」

「クルド……竜族……」


 俺とクルド、ガラドはノアリを端に寝かせ、話し合う。そんな中で、ガラドはクルドへと視線を向ける。

 俺と親しくしているから、味方だと判断したようだ。そして、名前を聞いたガラドはなにかを考え込むようにして、「あぁ!」と手を叩いた。


「『呪病』事件のときに、ヤークがお世話になった!」

「覚えておられたか」

「当たり前です!」


 ガラドとクルドは、直接の面識は……あったかな。竜王の血を手に戻ってきたとき、ノアリを早く治すために俺は、戻るやすぐに家の中に駆けていった。

 その時に、クルドとヤネッサも着いてきてくれていた。


「その件は、大変お世話になりました。あのときは、ろくなお礼もできずに申し訳ない」

「なぁに、気にすることはない。我がヤークに力を貸したのは、ヤークの必死さに胸を打たれたからだ」


 一応面識はあった2人は固く握手を交わす。ふむ、こうして2人を見ているというのも、なんだか不思議な感じだ。


「それで、クルド。こっちが俺の父上のガラド」

「ガラド・フォン・ライオスです」

「クルドだ」


 挨拶もそこそこに、状況の整理に移る。

 俺が見たもの、ガラドが見たもの、そして来たばかりのクルドにも情報を共有する意味で、必要なことだ。


「じゃあまずおさらいも兼ねて、事の始まりから……」


 クルドへの説明、そして自分たちの整理として、起こった出来事を始めたから話していく。

 いきなり国中に魔族が出現したこと、俺とガラドはなんとか逃げたこと、学園にたくさんの人が捕まっていること、ノアリが戦っていたこと、途中竜の血で暴走したこと、時間を気にして魔族は撤退したこと、俺はノアリを止めるために対峙したこと……


「そこでクルドが来てくれなかったら、どうなってたかわからなかったよ」

「ふむ……そうか」


 クルドは、魔族と突然現れた竜族の気配を感じ取り、ここに来てくれたと言っていた。

 魔族が現れたことは、事前に知っていたはずだ。


「ヤークがノアリちゃんを止めている間、俺は学園内に入った」


 次に話すのは、ガラド。触りしか聞いていないので、詳しい話を聞かせてもらおう。


「中にいたほとんどの人は、気を失っていた。……ミーロや、キャーシュもだ」

「! 2人共!?」


 捕まっている人たちの中には、やはり母上であるミーロと、弟であるキャーシュがいた。2人も、気を失っているのだという。

 気を失っている人たちを移動させるのは骨が折れる。なので、ガラドは気を失わなかった人たちを、集めることにした。


「とりあえず、一箇所に固まってもらっている。ミライヤちゃんも、そこにいる」

「ミライヤ……よかった」


 聞きたかった名前が出てきて、安堵する。しかも、ミライヤは気を失わなかったらしい。

 気を失った人間、気を失わなかった人間……その違いは、なんなのか。

 ……だがまあ、その理由を考えるのは、後だ。


「じゃあ……ヤネッサは、どっちですか? 気を失ったのか、失わなかったのか」

「……ヤネッサちゃんは、見つけられなかった」

「! 見つけ……られなかった?」


 母上、キャーシュ、ミライヤ……居場所の知れなかった、俺の大切な人たち。その中に、ヤネッサもいるのだ。

 だが……ヤネッサの姿は、学園内には、なかったという。


「もちろん、学園内をくまなく探せたわけではない。大きな音が気になって出てきたしな。だが……いるなら、俺の声に返事をしてくれても、いいはずだ」


 ガラドは、先ほどのクルドのパンチの凄まじい音で、学園内から出てきた。あの短い時間では、学園内をすべて見て回ることは無理だろう。

 だが、ガラドはきっと、気を失わなかった人を探すために声を張り上げたはずだ。誰かいないか、いたら返事をしてくれ……と。

 ヤネッサとガラドは、知らない仲じゃない。交流が多いとは言えないが……この状況だ、ヤネッサじゃなくても知り合いの声には反応するはず。それに、ヤネッサは耳がいい。


「……ヤネッサ……」


 ヤネッサのことだ、心配はいらない……と思いたいが、状況が状況だ。そう悠長なことも言っていられない。

 ひとりで、どこかに隠れている。そう、願うしかない。


「人々を待たせている。どのみちまた学園に入るし、そのときに探してみよう」

「……はい」


 一通りの情報交換を終え、俺たちは学園内へと足を踏み入れる。

 ノアリは、クルドが担いでいた。
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