異世界召喚され英雄となった私は、元の世界に戻った後異世界を滅ぼすことを決意した

白い彗星

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英雄の復讐 ~絶望を越える絶望~

相性の悪い相手

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 村で次々起こる異変。レバニルが暴走しているのは、原因は私にあるとはいえぶっちゃけ自業自得だ。勝手に村人同士潰しあえばいい。

 ただ……こっちに現れる魔物は、無視するわけにもいかない。分裂するタイプに、ユーデリアの冷気でさえ凍らない炎を纏うもの。どちらも、厄介だ。

 先ほどは蹴ったら、分裂した。ならば打撃ではなく、魔法で攻撃すれば……


「燃えろ!」


 バスケットボールサイズの火の玉を作り出し、それを放つ。魔物程度、簡単に燃やしてしまえる威力だ。

 これならば、たとえば剣で斬ったり拳で殴ったりするわけではないから、燃え尽きて分裂なんてできないはず……


 ボシュッ……


「……は?」


 しかし、火の玉は魔物に届くことはなかった。いや、正確に言えば届きはしたのだ……だが、火の玉が魔物の体に触れた瞬間。火の玉は、その場で消滅したのだ。

 まるでそこに最初からなかったかのように。パッと。


「グゥルル……!」


 しかし、次の瞬間感じたのだ……魔物の魔力が、上昇する気配を。

 これって、まさか……


「消滅じゃなくて、吸収された……?」


 先ほどの魔法、パッと消えたからてっきり消滅させられてしまったのだと思っていたが……違う。魔法を吸収され、自分の力に変換された。

 魔物の魔力が上昇しているし、間違いない。消滅じゃなくて、吸収だなんて……それは似て非なるものだ。単なる消滅ならば、それは魔法が効かないというだけのこと。

 ただ……吸収となると、話は別だ。それが魔物の魔力向上に繋がるというのなら、間違っても魔法を使うわけにはいかない。吸収限度があるのか、わからないが……それを試して、めちゃくちゃ強大な魔法を吸収されたら最悪だ。

 つまり、打撃及び斬擊は通用しないどころか個体を増やすことになり、魔法は通用しないどころか力を吸収される。


「なんじゃそりゃ……」


 思わず、軽くつっこんでしまう。なんだ、そのめちゃくちゃな能力は。

 今まで会ったどの魔物、魔獣とも異なる能力。これも、進化といっていいのだろうか。

 打撃も魔法も通用しないとなると、本格的にユーデリアにバトンタッチしたいところだ。ユーデリアの冷気は魔法とは違うから、通用するはずだ。


「グォロロロ!」

「ちぃ!」


 しかしユーデリアには、炎を纏う魔物が襲いかかっている。炎と冷気が衝突し、軽い爆発が何度も起こる。しかし、獣は爆発に臆することなく、突っ込んでいく。

 単に知性がないからか、それとも炎を纏っているから爆炎に突っ込んでも問題ないと判断したのか……その動きに、一切の躊躇はない。

 その動きに、ユーデリアさえも戸惑っている。冷気が通用せず、放たれる炎をかわすので精一杯のようだ。


「これは……」


 ユーデリアとバトンタッチしようにも、目の前の二体の魔物がそれをさせてくれない。つまり、私は分裂する魔物を、ユーデリアは炎を纏う魔物を相手にするしかないってことだ。


「お、あぁ!」

「やめっ……!」


 ……村人サイドは、レバニルを捕まえようとしているがうまくいっていないようだ。もはや完全に理性を失いつつあるレバニルは、『呪剣』以外にも、口なんかも使って抵抗している。

 本当に、理性をなくして……まるで、獣のようだ。


「……」


 あっちは、とりあえず放置の方向で。それにしても……なんて、悪意を感じさせる組み合わせだろう。

 打撃と魔法を組み合わせて戦う私には、打撃と魔法が通用しない魔物。冷気を操る氷狼であるユーデリアには、冷気でさえ凍りつかせられない炎を纏う魔物。

 知性のない魔物が、こうも私たちに相性の悪い形で立ちふさがるとは。……まるで何者かが、私たちに都合の悪い魔物を相手させているようだ。


「なんて……考えすぎか」


 魔物を操れるのは、唯一魔王だけ。ただ、魔物に知識はなく本能で動くのみなので、完全にその動きを掌握することはできない。

 それに……魔王は、死んだはずだ。こうして魔物が、魔獣が現れる以上、そう決めつけるのにも疑問が残るけど。


「ガォ!」

「うぉっ、と」


 突撃してくる魔物の動きを見切り、避ける。本来ならば避けるだけでなくカウンターで蹴りでもおみまいしてやるところだが……それは、できない。

 分裂する以上、下手な攻撃はできない。分裂しないような攻撃を魔法として撃っても、吸収されるし……対抗する手立てが、ない。


「困ったな……」


 打撃と魔法、たった二つの攻撃手段を塞がれただけで……どう対応すればいいか、わからなくなってしまう。ただの魔物相手に、こうまで頭を悩ませることになるとは……

 今までは、ただ力任せにぶん殴ってきた。蹴り飛ばしてきた。魔法なんか使えなくても、この身一つで戦ってきた。だが、この相手には通用しない。

 ……運が良かったというべきか。あの長い旅の中で、こうも自分の攻撃手段に対策しているような相手が出てこなかったのは。それとも、六人で旅をしていたから、互いに補っていたおかげか……

 打撃も魔法も通用しない。となったら、残る方法は一つ……


「……呪術」


 魔法とは異なる力、呪術。これまで私は、自分の意思でそれを出現させたことはなかったが……これを扱えれば、あの魔物にも通用する可能性はある。

 ……まさか、呪術に頼ろうと思う日が来るなんて。こんな状況にでも陥らなければ、考えもしなかったことだ。
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