異世界召喚され英雄となった私は、元の世界に戻った後異世界を滅ぼすことを決意した

白い彗星

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英雄vs氷狼vs……

四つ巴

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 実際に、何者かが禁術というものを使い、師匠を生き返らせた。そいつは、師匠に私を狙わせた……その時点で、予想はしていたが。

 やっぱり、あのケンヤが、師匠を生き返らせて私を狙わせた、張本人……!


「生き返らせる? 生け贄? なにを、言ってるの?」


 それが禁術を指すと知らない……いや、禁術の存在自体知らないのだろう、あこは。出てくる単語に、眉を潜めている。

 私だって、死んだ人間を生き返らせる行為を禁術と呼ぶ、という知識があるだけで、実際になにが必要だとかそんなことはわからない。わからないけど、今のケンヤの口振りが示す通り、生け贄ってやつが必要なのだろう。

 聞こえた、ルヴってのが生き返らせたい相手だろうか。誰かを生き返らせたありがとうって気持ちは、わからないでもないけど……そのために、あこをどうにかしようなんて……


「許せるわけ、ないよね……!」


 不思議だ……さっきまで、体にまるで力が入らなかったのに。あこがどうにかされかねないって思ったら、体が動く。右腕には、相変わらず力が入らないままだけど。

 このままあこの加勢に入ったら、あこに私の正体がバレてしまうけど……そんなの、気にすることでもなかった。もしこのままこうしてここでただ寝ていたら、あこに万が一のことがあったら一生後悔する。


「! へぇ」


 立ち上がった私に気づいてか、ケンヤがにやりと笑う。その視線に従うように、あこもこちらに視線を向けて……


「ふぅん、面白いことになってるじゃん……混ぜてよ」


 そこへ、この場にはいなかったはずの……距離が離れたところにいたはずの、人物の声がかかる。その声に、私もケンヤも、あこも一斉に声の主を確認するため、首を動かして。

 そこにいた人物に、こちらへ歩いてくるその姿に、絶句した。


「ユー、デリア……?」


 こちらへと足を進めてくるのは、藍色の体毛を持った四足歩行の狼……いや、氷狼であるユーデリアだ。しかし、絶句した理由はその見た目がひどく、ぼろぼろだったから。

 藍色の体毛は、本来が藍色だと知っていなければわからないほど、赤黒い血に染まっている。さらに、左足部分……だろうか、本来足がくっついているはずの部分には、足がなくなっている。その欠損部分を補うように、氷で作った即席の足が作られている。

 牙や爪は所々折れ、息も荒く、しかし負っているダメージの大きさを見せないほどに強く。一歩進む度に地面を凍らせながら、そこにいた。


「氷狼……ガニムは、どうした……?」


 と、問いかけるのはケンヤだ。そう、ユーデリアはガニムと戦っていたはず。私やあこと三人がかりでも苦戦した相手を、どうしたというのか。

 警備隊の人間が何人か向かっていたけど、その程度でなんとかなる相手ではないし……


「見てみなよ、そこにいるから」


 血に濡れた顔で笑みを浮かべ、顔で自らの背後を指すユーデリア。言われた通りに背後……ユーデリアがやって来た場所を見ると……


「……!」


 どうなっているか、確認するまでもなかった。ユーデリアの背後には、一面の氷があった……まるでスケートリンクみたいな、見事なまでの氷。マルゴニア王国で大雪を降らせたのとはまた違う景色。

 しかも、だ。そこに何体もの氷像がある……警備隊の人間たち。なにより、見上げるほどに巨体となったガニムが。氷付けにされていたのだ。


「……まさか……そんな」

「驚くのは勝手だけど、事実だよ」


 その光景は、さすがのケンヤも驚愕するほどのもの。私だって驚いている。ユーデリアの体は見ているのも痛々しいほどにぼろぼろになっているが、それでもまさか、あのガニムを……

 しかし、驚愕だけでなく怒りに燃える者も、いる。


「みんな……あなた、よくも……!」


 警備隊の人間、それはあこにとっての大切な人たち。それが氷像にされたとあっては、あこも黙ってはいられない。激しい敵意が、生まれる。

 あこが、ケンヤが、ユーデリアが……そして私が。一触即発の中、四つ巴の戦いが始まる。
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