何でもは知らない。この世界のことだけ。

佐イツキ

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1章 大森林の支配者

6話 決意と最初の仲間

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「落ち込んでばかりもいられないよな……」

 この世界での彼女、いや。俺の娘が何故あんな凶行に至ったのか。その原因を知った俺は、ただ放っておけなかったという感情だけで彼女を救おうと思った事から、何が何でも助けてあげなくてはいけないと気持ちを切り替えた。

「そのためには力がいるな……」

 スキル『世界の記憶アカシックレコード』は過去の出来事だけではなく今現在何処で何が起こっているのかも自動で記録されている。

 魔物との戦闘で傷つき危機を迎えている冒険者や盗賊に襲われている貴族の馬車の様子が今も俺の中に知識として流れこんできている。

 だがこの状況を知っていても今の俺には助ける力なんてない。

「ステータス」

 そう口にすると俺の目の前に半透明のウィンドウが表示される。

 名前:各務 佐
 種族:人族
 LV:1
 HP:100
 MP:50
 STR:15
 VIT:13
 INT:???
 AGI:14
 MAG:10
 スキル:世界の記憶アカシックレコード・森羅万象

 こんな貧弱なステータスじゃこの森最弱の魔物であるスライムにも苦戦を強いられてしまう。

「待てよ。スライムか。丁度いいのが近くにいるな」

 俺は今の自分じゃどう頑張っても太刀打ちできない魔物がいる場所を避けて目的のスライムがいる場所を目指す。

「よし、いたな」

 魔物を避けるため大きく迂回したので目的のスライムがいる場所までは2時間ほどかかったが、おかげで安全に辿りついた。

 前方には鈍い銀色をしたスライムがぐにゅぐにゅと蠢きながら歩いて? いる。国民的RPGのような可愛らしい見た目はしていない。

 名前:
 種族:EXスライム
 LV:10
 HP:500
 MP:10
 STR:10
 VIT:500
 INT:10
 AGI:300
 MAG:10
 スキル:経験値倍加

 『森羅万象』によりスライムの能力値は既に把握できている。というか『世界の記憶アカシックレコード』の効果で把握している有機物・無機物の能力値全てはすでに把握できている。

 EXスライムは倒すと膨大な経験値を得ることが出来る特殊なスライムで、見つけたら即倒すのがこの世界の人々の常識だ。ただし、ステータスを見て解る通り耐久力と瞬発力に優れており討伐は容易ではない。せいぜい倒せたらラッキー程度の物だ。

 では何故そのスライム目当てにここまできたのか。
 ただでさえ討伐は難しいEXスライムどころかノーマルタイプのスライム相手ですら苦戦する俺の目的はもちろん討伐なんかじゃない。

『おーい、そこのスライムくん』

 俺はEXスライムに『モンスター言語』を使って話しかける。これもあらゆる事象を理解する『森羅万象』の効果だ。

『ひ、に……にんげん!』

 俺に話しかけられたEXスライムはこっちを見ると怯えた声を出して逃げ出そうとする。

『あー、待ってくれ。別に君に危害を加えるつもりはないよ』

『そ、そうなの? って、なんでにんげんのいってることがわかるんだろう……?』

『ちょっと特殊な力を持っていてね。それよりちょっと君にお願いがあるんだ』

『お、おねがい?』

『うん。俺と契約して従魔になって欲しいんだ』

 言ってから某魔法少女アニメの白い黒幕っぽい言い方だと思ったが世界が違うんだから問題ないだろう。

『じゅうま?』

『そう。君にとっても悪い話じゃないと思うんだ。今の生活は食べ物を探すのも苦労してるようだし今みたいに人間に出くわしたら追い掛け回されているだろう? けど俺の従魔になってもらえたら食べ物はちゃんと分けるし、人間には登録されている従魔を攻撃しちゃいけないってルールがあるから襲われることもなくなる。どうだろう?』

 悪い話じゃない、なんて詐欺師よろしくの常套句みたいだが実際このスライムにとって本当に悪い話ではないと思う。EXスライムは防御の堅さと逃げ足の速さで狩られる事は少ないが、狙われる機会は多い。俺が保護するという話を魅力的に思ってくれるならきっと獣魔になってくれるはず。

『い、いじめない?』

『いじめないよ』

『じゃあ、いっしょにいく』

 こうして俺の最初の仲間ができた。
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