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エルフの森の姉妹
488:脱出
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そうして飴玉を口に入れた妖精たちから話を聞いていったのだが、見た目通りの性格をしているのか、徐々に話が逸れていっていい感じのお昼寝スポットだとか、綺麗な花畑だとかの話に移ったりしていた。
「──あ、後はシアリスが最近様子がおかしいかも?」
その度に話の方向を戻していたのだが、役に立ちそうな話の中でも重要そうな話がやっと出てきた。
「具体的には?」
「えーっと、なんか思い詰めたような……」
「あ、それ知ってる! なんかヤバい感じの顔してたよな。思わず邪魔するのを止めちまったぜ」
「あれは何かやらかそうとしてるんじゃないの?」
やらかす、ね……。
俺からしたら今のシアリスの状態も十分に『やらかしている』部類に入るのだが、妖精たちの言っていることはその程度のことではないのだろうな。
それはおそらく、とても良くないこと。
例えば……家族の誰かを殺す、とか。
流石にそれほどのことではないと思いたいが、直接話して見ないことにはなんともいえない。
「やらかすって、何かそれらしいことはあるのか?」
「んー? 昔っからめんどくさいし、暗いやつだったからなぁ。今は余計に近寄ってないんだよ。だからよくわからん!」
「そうなのよねぇ。小さい時から氏族長になりたいって言って遊んでくれなかったし。けど、ケイノアがいるんだから無理よね」
「諦めればいいのにねぇ?」
妖精たちの話は本来の質問から若干逸れ、妖精たちの背後でそんな会話を聞いていたケイノアが俯いたのが見えたが、俺はそれに突っ込むことなく静かに妖精たちへと視線を戻した。
……こいつもこいつで、めんどくさそうなことを考えてそうだな。そんなの、お前のガラじゃないだろうに。
多分、ケイノアもシアリスのことで何かを考えている。
これまでの様子からして、二人の間に起こっていることは何となくだが予想がついている。
いわゆる『お家争い』だ。
次の氏族長としてケイノアが選ばれているが、シアリスはケイノアを押し除けて氏族長になりたいのだろう。
氏族長になりたい理由が単純に家督を継ぎたいからなのか、それとも自分よりも優秀な姉を見返したいからなのか、他の理由か……。
その辺はわからないが、氏族長になりたいとシアリスが考えている事は間違いではないだろう。
そしてケイノアは、そんな状況をどうにかしようと考えている、と。ケイノアの狙いが、『なに』を『どう』することなのかはわからない。
が、ロクでもなさそうだというのは分かる。
……いざという時は、ちょっと無茶をしてでも止めるかな。
それが必要なことなら仕方がないが、他の方法がありそうならば手を貸してやりたい。
だって、ケイノア達がどう思ってるか知らないが……まあ、友達だからな。
「……シアリスが氏族長になる方法はあるのですか?」
俺がケイノアとシアリスについて考えていると、イリンが妖精達に尋ねた。
「ん? んー……って、おうおう。なんだ狼娘!」
「あんたに発言を許可した覚えはないわよ!」
「ひれ伏せー!」
だが妖精たちはイリンの問いに答えることなく偉そうにしている。
「さっきお前たちが食べた料理を作ったのはこいつだぞ?」
そんな妖精たちの態度が気に入らず、俺は少しムッとしながらそのことを伝えてやった。
「「「ははー! お許しください!」」」
すると、妖精たちは綺麗な動きで三人とも同時にイリンに向かって土下座をし、まるで神を崇めるかのように祈り始めた。
そんな変わり身の早さに呆れて俺はため息を吐くが、祈られているイリンは突然の妖精たちの態度の変化に困惑している様子だ。
今まで自分が敬われる立場になることがなかったからどうすればいいのかわからないのだろう。
「で、質問の答えは?」
なので俺はイリンの代わりに土下座を続ける妖精たちに、先ほどの問いの答えを尋ねる。
「質問? ああなんだっけ?」
「ほら、シアリスが氏族長になる方法がどうしたって話よ」
「あるよー」
赤色が首を傾げ、それに黄色が答えていたのだが、最後の緑色の妖精は気の抜けた声で頷いた。
「あるの!? どうやって!?」
そんな緑色の妖精の言葉を聞いた途端、ケイノアは驚きをあらわにして妖精たちに問いかけた。
「なんだケイノア。お前次期頭なのに知らないのかよ?」
「そんなんじゃ、この森の将来が心配ね」
「ぷー、クスクス」
だが、当の妖精たちはケイノアを指差して笑っているだけで答えようとしない。
「うっさい! いいから教えなさいよ!」
そんな妖精たちにろくに取り合うこともせず、ケイノアは方法があると言った緑色の妖精を捕まえて両手で首を絞めている。
「ぐえっ! ──ギ、ギブ……」
そこまでされると流石にふざける気にはならなかったのか、無事だった赤と黄の妖精がわりと本気な様子でケイノアをとりなして緑色を助けた。
そしてケイノアが本気だと悟った妖精たちは知っていることを話し始めた。
「次期頭になるには、遺跡を踏破して力があることを証明しないといけないんだよ。踏破できれば次期頭の資格を手に入れるんだ。逆に言えば、踏破できなきゃ頭になれねえってことだな!」
「けどあそこは魔術に耐性を持つものばっかりだから、あの子じゃ厳しいと思うわよ」
「最悪死ぬかも」
先ほどケイノアの本気具合を認識したはずだが、それでもまだふざけが入っているのはいたずらずきの妖精だからだろうか。
「じゃあシアリスはそこに挑みに!?」
だがケイノアはそんなことは気にならないようで、妖精たちの言った『最悪死ぬかも』という言葉を聞いて慌てた様子を見せている。
その様子からは、今すぐに確認しに行こうと思っているのが簡単に読み取れる。
「それはないって」
「だってあそこは氏族長が解放しないと開かないもの」
「まだ開いてない」
だが、妖精たちは何でもない風にそう言っているが、その言葉を聞いたケイノアはあからさまにほっとした様子だ。
「なら、すぐに遺跡に入ることはないのね」
「ない!」
「私たちを信じなさい!」
「そして甘いものを寄越せー!」
そういえば結構な話が聞けたが、まだ報酬を渡してなかったな。
「ああ。いろいろ聞けたし、これをやろう」
「「「わあああ!」」」
今回も四人分出したのだが、ケイノアは現れたお菓子に手を伸ばすことなく何かを考え込んでいる。
「それはこの二人が協力して作ったものだ。感謝して食えよ」
「「「ありがとうございます!」」」
俺の言葉を聞いた妖精三人はイリンと環に向けてきっちりと直角にお辞儀をして感謝の言葉を述べると、我先にとお菓子へと手を伸ばし始めた。
「よっし! 食うぞ!」
「やっぱり美味しいわね!」
「うまー!」
そんな妖精たちを横目に、俺は少し俯いているケイノアへと視線を向けた。
「ケイノア。お前に確認しておきたい」
「……なによ」
俺の声を聞いたケイノアはゆっくりと顔を上げてこちらを見たが、そこには普段の気怠げな様子もふざけている様子もなく、唯々真剣なものだった。
「お前は氏族長になりたくないんだよな?」
「ええ」
「そして、シアリスを自分の代わりに氏族長にさせようとしている」
「……ええ。悪い?」
ケイノアは俺の問いに答えると、ため息を吐いてから普段のような……いや、それ以上に気怠げな視線を俺たちに向けた。
ケイノアは俺たちがシアリスに押し付けることを咎めているようにでも感じたのだろうか?
だとしたらそれは違う。
確かに自分が嫌なことを妹に押し付けるという行為は褒められたことではないかもしれない。
だが、この場合は妹であるシアリスがそれを望んでいるのだ。たとえそこに自分の願いが含まれていたとしても、妹のために自分の立場を捨てるケイノアは見方によってはとても優しいやつだ。
だから俺はケイノアのやろうとしていうことを止めるつもりはない。
それに止めないのは俺の目的のためでもある。
「馬鹿言え。俺はお前を氏族長なんてものにしないためにここにきたんだぞ」
ケイノアが氏族長なんてものになってしまえば、教国に行ってミアと一緒に勇者の洗脳を解除すると言う俺の願いが叶わなくなってしまう。
だから俺はそれを止めに来たのだ。
俺の言葉を聞いたケイノアは、気怠げな視線のまま何度か瞬きをしたが、数秒もすれば訝しげな表情へと変わり、最終的にはフッと笑っていた。
「そう。なら邪魔をする気はないのね。ならそれでいい──」
「手伝うさ。ここに来たくないって言ってたお前に戻るように言ったのは俺たちだしな」
俺たちが邪魔をする意思がないことを確認したケイノアは一人で解決しようと思ったみたいだが、俺はケイノアが最後までいう前にその言葉を遮った。
どうやらこいつは混乱しているからか、そう思い込んでいるからか、状況がよく見えていないみたいだな。
何のために俺たちがここにきたと思ってるんだよ。
「……めんどくさいことになるわよ? あんた、めんどくさいことは嫌いでしょ?」
「まあな。でもここで見捨てるほど薄情でもないさ。それに言ったろ? 手伝うって」
「……なら、いいわ。手伝わせてあげる」
そうして話がまとまったところで、さてどうしようかと今後の動きを話すために口を開こうとしたのだが、そのタイミングでドアが開く音が聞こえた。
「おいお前たち! なに騒がしくしてんだ?」
そしてドアが開き誰かの声が足音と共に牢屋の中に響き渡る。
俺たち以外の声が牢屋の中に響いた瞬間、俺は妖精たちに出していたお菓子をしまい、収納魔術を解除した。
この声は最初に会った牢番の男だろうか?
「「「あーーーー!!」」」
だが目の前にあった菓子が突然消えたことで、妖精たちは叫び声を上げて俺を睨む。
まだ食べてる途中だったから仕方ないんだが、状況的に仕方ないだろ。流石に牢屋の外にいるやつに食べ物を与えているところを見られるのはまずい。
「おいてめえ! なんて事してくれんだ!!」
「どうしてここにきたのよ!!」
「帰れー!!」
こちらを睨んでいる妖精たちに入ってきた人物のことを指と視線で示すと、妖精たちはそいつがきたことで食べ物が消えたのだと理解したようで、その怒りの矛先を入ってきた人物へと向けた。
「な、なんだ? 何で妖精がこんなとこにきてんだよ?」
本来なら誰も入らないはずの牢屋に妖精がいたことに驚いたのだろう。男は驚きの声を出している。
が、妖精たちにそんなことは関係ない。
「うっせえ! そんなの俺たちのかってだろ!」
「そうよ! むしろあんたは何で来てんのよ!」
「邪魔者めー!」
要請たちは入ってきた男に向かってそう叫ぶと、魔術を使って攻撃している。
魔術と言っても小石を飛ばす程度の軽いものだが、その発動までの流れには淀みがなくかなりスムーズだった。見た目は子供と言っても、さすがは妖精、と言ったところだな。
「俺はここが騒がしいからってんで呼ばれたんだよ。ったくお前らが騒いでただけかよ。こんなところにくんじゃねえよ。仕事が増えんだろうが。ほらさっさと帰れ」
だが男はしっかりと防いでいるようで、妖精たちの魔術ではろくなダメージを与えられないのだろう。男は何でもないような声で妖精たちに向けてここから出ていくように促している。
「やなこった! お前が帰れよ! 絶対にここを離れないぞ!」
「私たちをここから出したいなら、この人たちもここから出すことね!」
「我らここを死地と見出したり!」
だが、いまだお菓子を食べたりない妖精たちは、それに頷くどころかさらに攻勢を強め、ついには小石だけではなく炎まで飛ばし始めた。
「チッ! めんどくせえ事しやがって!」
流石に勢いのある石や炎の魔術まで使われると煩わしいのか、男はそう叫ぶと反撃のために魔術を放ち始めた。
とは言っても俺たちからは男の位置は死角になっているので、飛んでくる魔術しか見えないが。
妖精たちが魔術を放ち、男がそれを防ぎながら反撃の魔術を放つ。そして妖精たちの一人がそれを防ぎ、残りの二人は反撃をする。
そんな光景が目の前で繰り広げられていた。
「ねえ。ちょっといいかしら?」
見ている分にはちょっと楽しいのだが、そんな様子を見かねたのか、ケイノアが一歩前に出て声をかけた
「あん!? 何だ──ぐあっ!」
「よっしゃあ!」
「これが私たちの力よ!」
「ザーコ!」
妖精たちの抵抗に苛立っているところに声をかけられ、乱暴に返事をしようとしたらしいが、その言葉は途中で止まった。
そして防御の手も止まったのか、妖精の攻撃を喰らったらしく悲鳴を上げた。
男に一撃入れることができたからか、妖精たちは攻撃の手を止めて、ハイタッチして喜んでいる。
「──ぐっ、くそ! ……じゃねえ! ケ、ケイノア様! あなたもおられたのですか!」
男は悔しげな声を出しだが、すぐに状況を思い出したのかケイノアへと声をかけた。
姿が見えないとわかりづらいな。
「ええ。友人だもの。不思議ではないでしょう?」
「ですが、そいつらは……」
「人間だ、って?」
「はっ。おそれながら」
そんな男の言葉を、ケイノアは鼻で笑ってみせる。
「なに言ってんのよ、あんた。ここは魔術至上主義を謳ってるのよ? これだけの規模の収納ができる魔術を見せたんだから、出すべきでしょ」
「ですが……」
「はあぁ……」
はっきりとした答えが返ってこないことで、ケイノアは分かりやすくため息を吐いた。
そして男から視線を逸らしてこっちを見たのだが、ケイノアは呆れながらもどことなくスッキリとしたような顔をしていた。
「いいわ。もうめんどくさいし、外に出ちゃって」
「いいのか? めんどくさいことになると思うぞ?」
「いいのよ。自分たちで決めたルールを破ってるのは馬鹿な父親だもの。正しいのは私。誰も反論なんてできないし、させないわ」
そう言いながら視線を俺たちではなく入り口の方に向けたので、今の言葉はそこにいる牢番だった男へとも向けられていたのだろう。
「というか、なんかもうこんな余計な事で無駄に頑張るのに疲れたのよ。どうせ出てくることになるんだし、変わらないわ。というわけで、ほら。早く出てきなさい」
「……出てこいって、結界があるんだが?」
出てこいというのなら結界の解除くらいしてくれないか?
「解除は氏族長にしかできないもの。わたしにはできないわ。だから、そんなの壊していいわよ」
「わかった。なら……」
ケイノアにそう言われて俺は結界を丸ごと収納しようと思って手を伸ばしたのだが、その途中でふと俺以外の力も見せておいた方がいいだろうか、と思い手を止めた。
そこにはエルフで、下っ端とはいえ氏族長の部下の男がいる。だったらここでイリンの力を見せておくことで少しでも話がスムーズに進めばいいなと思ったわけだ。
「イリン。これ、壊せるか?」
「はっ、なに言ってやがる! お前はともかく、獣人なんかに──」
「はい」
いまだ姿を見ることができない男が何か言っているが、イリンはなにも臆することなく気楽な様子で頷いた。
「ケイノア、それにあなた方も。少し退いてください」
イリンの言葉を受けて、ケイノアと少し不思議そうにしている妖精達は牢屋の隅の方に移動した。
そしてケイノアは手早く自分を覆う結界を発動し、それを見習ってか妖精達はケイノアの背後に移動すると、自分たち三人を覆う結界を生み出した。
「ふうぅ……」
それを見届けたイリンは、鉄格子の前に立つと軽く腰を落として深呼吸をした。
そしてそんなケイノア達とイリンの様子を見て少し不安に思った俺は、環に声をかけて彼女の持っている結界の魔術具を起動してもらい、俺は環と一緒にその中に入ることにした。
「ヤアアア!」
イリンの気合の声から一拍遅れて牢屋の中に何か重いものが衝突するような音が轟き、俺の予想していた通り、そばにいた俺たちにも音と衝撃が襲い掛かった。
だが、イリンが殴る前に環の持っている結界の魔術具に俺も入れてもらったので特に被害はない。
良かった。ケイノアの様子を見て咄嗟に防御を思いつかなかったら、音と衝撃でやられていたかもしれない。
「……まるで爆撃でも受けたみたいだな」
今のイリンの一撃で鉄格子は壊れただろう。
最悪鉄格子一本だけが壊れて終わるかもしれないなと思ったんだが、鉄格子どころか、もしかしたら壁や天井ごと吹き飛んだかもしれないな。
現在、牢屋の中には土埃が充満し、視界がいいとはいえない状況になっている。
イリンがすぐそこにいるのはわかるが、鉄格子の向こう……正確には、元鉄格子のあった場所の向こう側の状況はなにもわからない。
「ぶえっ! ペッ、ペッ!」
まずはこの視界をどうにかしたいなと思っていると、土埃の奥からそんな声が聞こえた。この声はケイノアだな。
「ちょっとイリン! 壊せとは言ったけど、もうちょっと抑えなさいよ! 私にまで飛んできたわ!」
「何だよ今のー!」
「耳が痛ーい!」
「口がジャリジャリするー!」
その後に続いて妖精達の声も聞こえたが、総じて不満を表している。
そんな叫びと共にケイノア達のいる方から魔力の高まりを感じ取ると、牢屋の中に風が吹き、視界を遮っていた土埃は何処かに運ばれていき綺麗になくなった。
おそらくはケイノアか妖精達が魔術を使って空気を入れ替えでもしたのだろう。
「すみません。思った以上に脆かったので……次からは気をつけますね」
「そもそも次がないようにしなさいよ」
「気を付けろよこのやろー!」
「悪いと思ってるならお詫びを要求するわ!」
「お菓子をよこせー!」
土埃の晴れた視界の中でイリンがケイノア達に謝っているが、ケイノアは呆れたようにし、妖精達はお詫びのお菓子を要求している。
が、この光景の中でそんなんことを呑気に行っていられるのはすごいと思う。
土埃の晴れたそこには鉄格子などなく、それどころか天井と床が抉れて奥の壁に叩きつけられるように吹き飛ばされていた。
結界があったおかげで彼女らの周り一メートルくらいにはなにもないが、その周りには鉄格子だったものや天井だったものの一部が落ちていて、ケイノア達はそんな鉄格子の残骸の中に立っていた。
今更だが、ケイノア達が結界を張ってなかったら結構危なかったかもな。あいつ、抜けてる様に見えてその実、結構慎重っていうか考えてるよな。
むしろ今回は俺の方が考えが甘かったな。次からは気をつけよう。……後でお菓子でも渡しておくか。
「──ば……ばか、な……。あの結界が……脆かった、だと?」
あ、すっかり忘れてたが、そういえばこいつもここにいたんだった。
鉄格子が周囲の壁ごと亡くなったおかげでしっかりと顔を見ることができるようになったが、きていたのはやはり牢番の男で間違っていなかった。
「これで分かったでしょ? こいつらは正真正銘の規格外……バケモノなの。私と同じくね。分かったらさっさとあの馬鹿親父にこの状況を伝えなさい」
正面にいたわけじゃないからか、さっきの衝撃でも何とか生き残っていた牢番の男は尻餅をついた状態から慌てて立ち上がると、そのままなにも言わずに走り去って行った。
「さ、後はあの馬鹿親父に話をするだけね」
「──あ、後はシアリスが最近様子がおかしいかも?」
その度に話の方向を戻していたのだが、役に立ちそうな話の中でも重要そうな話がやっと出てきた。
「具体的には?」
「えーっと、なんか思い詰めたような……」
「あ、それ知ってる! なんかヤバい感じの顔してたよな。思わず邪魔するのを止めちまったぜ」
「あれは何かやらかそうとしてるんじゃないの?」
やらかす、ね……。
俺からしたら今のシアリスの状態も十分に『やらかしている』部類に入るのだが、妖精たちの言っていることはその程度のことではないのだろうな。
それはおそらく、とても良くないこと。
例えば……家族の誰かを殺す、とか。
流石にそれほどのことではないと思いたいが、直接話して見ないことにはなんともいえない。
「やらかすって、何かそれらしいことはあるのか?」
「んー? 昔っからめんどくさいし、暗いやつだったからなぁ。今は余計に近寄ってないんだよ。だからよくわからん!」
「そうなのよねぇ。小さい時から氏族長になりたいって言って遊んでくれなかったし。けど、ケイノアがいるんだから無理よね」
「諦めればいいのにねぇ?」
妖精たちの話は本来の質問から若干逸れ、妖精たちの背後でそんな会話を聞いていたケイノアが俯いたのが見えたが、俺はそれに突っ込むことなく静かに妖精たちへと視線を戻した。
……こいつもこいつで、めんどくさそうなことを考えてそうだな。そんなの、お前のガラじゃないだろうに。
多分、ケイノアもシアリスのことで何かを考えている。
これまでの様子からして、二人の間に起こっていることは何となくだが予想がついている。
いわゆる『お家争い』だ。
次の氏族長としてケイノアが選ばれているが、シアリスはケイノアを押し除けて氏族長になりたいのだろう。
氏族長になりたい理由が単純に家督を継ぎたいからなのか、それとも自分よりも優秀な姉を見返したいからなのか、他の理由か……。
その辺はわからないが、氏族長になりたいとシアリスが考えている事は間違いではないだろう。
そしてケイノアは、そんな状況をどうにかしようと考えている、と。ケイノアの狙いが、『なに』を『どう』することなのかはわからない。
が、ロクでもなさそうだというのは分かる。
……いざという時は、ちょっと無茶をしてでも止めるかな。
それが必要なことなら仕方がないが、他の方法がありそうならば手を貸してやりたい。
だって、ケイノア達がどう思ってるか知らないが……まあ、友達だからな。
「……シアリスが氏族長になる方法はあるのですか?」
俺がケイノアとシアリスについて考えていると、イリンが妖精達に尋ねた。
「ん? んー……って、おうおう。なんだ狼娘!」
「あんたに発言を許可した覚えはないわよ!」
「ひれ伏せー!」
だが妖精たちはイリンの問いに答えることなく偉そうにしている。
「さっきお前たちが食べた料理を作ったのはこいつだぞ?」
そんな妖精たちの態度が気に入らず、俺は少しムッとしながらそのことを伝えてやった。
「「「ははー! お許しください!」」」
すると、妖精たちは綺麗な動きで三人とも同時にイリンに向かって土下座をし、まるで神を崇めるかのように祈り始めた。
そんな変わり身の早さに呆れて俺はため息を吐くが、祈られているイリンは突然の妖精たちの態度の変化に困惑している様子だ。
今まで自分が敬われる立場になることがなかったからどうすればいいのかわからないのだろう。
「で、質問の答えは?」
なので俺はイリンの代わりに土下座を続ける妖精たちに、先ほどの問いの答えを尋ねる。
「質問? ああなんだっけ?」
「ほら、シアリスが氏族長になる方法がどうしたって話よ」
「あるよー」
赤色が首を傾げ、それに黄色が答えていたのだが、最後の緑色の妖精は気の抜けた声で頷いた。
「あるの!? どうやって!?」
そんな緑色の妖精の言葉を聞いた途端、ケイノアは驚きをあらわにして妖精たちに問いかけた。
「なんだケイノア。お前次期頭なのに知らないのかよ?」
「そんなんじゃ、この森の将来が心配ね」
「ぷー、クスクス」
だが、当の妖精たちはケイノアを指差して笑っているだけで答えようとしない。
「うっさい! いいから教えなさいよ!」
そんな妖精たちにろくに取り合うこともせず、ケイノアは方法があると言った緑色の妖精を捕まえて両手で首を絞めている。
「ぐえっ! ──ギ、ギブ……」
そこまでされると流石にふざける気にはならなかったのか、無事だった赤と黄の妖精がわりと本気な様子でケイノアをとりなして緑色を助けた。
そしてケイノアが本気だと悟った妖精たちは知っていることを話し始めた。
「次期頭になるには、遺跡を踏破して力があることを証明しないといけないんだよ。踏破できれば次期頭の資格を手に入れるんだ。逆に言えば、踏破できなきゃ頭になれねえってことだな!」
「けどあそこは魔術に耐性を持つものばっかりだから、あの子じゃ厳しいと思うわよ」
「最悪死ぬかも」
先ほどケイノアの本気具合を認識したはずだが、それでもまだふざけが入っているのはいたずらずきの妖精だからだろうか。
「じゃあシアリスはそこに挑みに!?」
だがケイノアはそんなことは気にならないようで、妖精たちの言った『最悪死ぬかも』という言葉を聞いて慌てた様子を見せている。
その様子からは、今すぐに確認しに行こうと思っているのが簡単に読み取れる。
「それはないって」
「だってあそこは氏族長が解放しないと開かないもの」
「まだ開いてない」
だが、妖精たちは何でもない風にそう言っているが、その言葉を聞いたケイノアはあからさまにほっとした様子だ。
「なら、すぐに遺跡に入ることはないのね」
「ない!」
「私たちを信じなさい!」
「そして甘いものを寄越せー!」
そういえば結構な話が聞けたが、まだ報酬を渡してなかったな。
「ああ。いろいろ聞けたし、これをやろう」
「「「わあああ!」」」
今回も四人分出したのだが、ケイノアは現れたお菓子に手を伸ばすことなく何かを考え込んでいる。
「それはこの二人が協力して作ったものだ。感謝して食えよ」
「「「ありがとうございます!」」」
俺の言葉を聞いた妖精三人はイリンと環に向けてきっちりと直角にお辞儀をして感謝の言葉を述べると、我先にとお菓子へと手を伸ばし始めた。
「よっし! 食うぞ!」
「やっぱり美味しいわね!」
「うまー!」
そんな妖精たちを横目に、俺は少し俯いているケイノアへと視線を向けた。
「ケイノア。お前に確認しておきたい」
「……なによ」
俺の声を聞いたケイノアはゆっくりと顔を上げてこちらを見たが、そこには普段の気怠げな様子もふざけている様子もなく、唯々真剣なものだった。
「お前は氏族長になりたくないんだよな?」
「ええ」
「そして、シアリスを自分の代わりに氏族長にさせようとしている」
「……ええ。悪い?」
ケイノアは俺の問いに答えると、ため息を吐いてから普段のような……いや、それ以上に気怠げな視線を俺たちに向けた。
ケイノアは俺たちがシアリスに押し付けることを咎めているようにでも感じたのだろうか?
だとしたらそれは違う。
確かに自分が嫌なことを妹に押し付けるという行為は褒められたことではないかもしれない。
だが、この場合は妹であるシアリスがそれを望んでいるのだ。たとえそこに自分の願いが含まれていたとしても、妹のために自分の立場を捨てるケイノアは見方によってはとても優しいやつだ。
だから俺はケイノアのやろうとしていうことを止めるつもりはない。
それに止めないのは俺の目的のためでもある。
「馬鹿言え。俺はお前を氏族長なんてものにしないためにここにきたんだぞ」
ケイノアが氏族長なんてものになってしまえば、教国に行ってミアと一緒に勇者の洗脳を解除すると言う俺の願いが叶わなくなってしまう。
だから俺はそれを止めに来たのだ。
俺の言葉を聞いたケイノアは、気怠げな視線のまま何度か瞬きをしたが、数秒もすれば訝しげな表情へと変わり、最終的にはフッと笑っていた。
「そう。なら邪魔をする気はないのね。ならそれでいい──」
「手伝うさ。ここに来たくないって言ってたお前に戻るように言ったのは俺たちだしな」
俺たちが邪魔をする意思がないことを確認したケイノアは一人で解決しようと思ったみたいだが、俺はケイノアが最後までいう前にその言葉を遮った。
どうやらこいつは混乱しているからか、そう思い込んでいるからか、状況がよく見えていないみたいだな。
何のために俺たちがここにきたと思ってるんだよ。
「……めんどくさいことになるわよ? あんた、めんどくさいことは嫌いでしょ?」
「まあな。でもここで見捨てるほど薄情でもないさ。それに言ったろ? 手伝うって」
「……なら、いいわ。手伝わせてあげる」
そうして話がまとまったところで、さてどうしようかと今後の動きを話すために口を開こうとしたのだが、そのタイミングでドアが開く音が聞こえた。
「おいお前たち! なに騒がしくしてんだ?」
そしてドアが開き誰かの声が足音と共に牢屋の中に響き渡る。
俺たち以外の声が牢屋の中に響いた瞬間、俺は妖精たちに出していたお菓子をしまい、収納魔術を解除した。
この声は最初に会った牢番の男だろうか?
「「「あーーーー!!」」」
だが目の前にあった菓子が突然消えたことで、妖精たちは叫び声を上げて俺を睨む。
まだ食べてる途中だったから仕方ないんだが、状況的に仕方ないだろ。流石に牢屋の外にいるやつに食べ物を与えているところを見られるのはまずい。
「おいてめえ! なんて事してくれんだ!!」
「どうしてここにきたのよ!!」
「帰れー!!」
こちらを睨んでいる妖精たちに入ってきた人物のことを指と視線で示すと、妖精たちはそいつがきたことで食べ物が消えたのだと理解したようで、その怒りの矛先を入ってきた人物へと向けた。
「な、なんだ? 何で妖精がこんなとこにきてんだよ?」
本来なら誰も入らないはずの牢屋に妖精がいたことに驚いたのだろう。男は驚きの声を出している。
が、妖精たちにそんなことは関係ない。
「うっせえ! そんなの俺たちのかってだろ!」
「そうよ! むしろあんたは何で来てんのよ!」
「邪魔者めー!」
要請たちは入ってきた男に向かってそう叫ぶと、魔術を使って攻撃している。
魔術と言っても小石を飛ばす程度の軽いものだが、その発動までの流れには淀みがなくかなりスムーズだった。見た目は子供と言っても、さすがは妖精、と言ったところだな。
「俺はここが騒がしいからってんで呼ばれたんだよ。ったくお前らが騒いでただけかよ。こんなところにくんじゃねえよ。仕事が増えんだろうが。ほらさっさと帰れ」
だが男はしっかりと防いでいるようで、妖精たちの魔術ではろくなダメージを与えられないのだろう。男は何でもないような声で妖精たちに向けてここから出ていくように促している。
「やなこった! お前が帰れよ! 絶対にここを離れないぞ!」
「私たちをここから出したいなら、この人たちもここから出すことね!」
「我らここを死地と見出したり!」
だが、いまだお菓子を食べたりない妖精たちは、それに頷くどころかさらに攻勢を強め、ついには小石だけではなく炎まで飛ばし始めた。
「チッ! めんどくせえ事しやがって!」
流石に勢いのある石や炎の魔術まで使われると煩わしいのか、男はそう叫ぶと反撃のために魔術を放ち始めた。
とは言っても俺たちからは男の位置は死角になっているので、飛んでくる魔術しか見えないが。
妖精たちが魔術を放ち、男がそれを防ぎながら反撃の魔術を放つ。そして妖精たちの一人がそれを防ぎ、残りの二人は反撃をする。
そんな光景が目の前で繰り広げられていた。
「ねえ。ちょっといいかしら?」
見ている分にはちょっと楽しいのだが、そんな様子を見かねたのか、ケイノアが一歩前に出て声をかけた
「あん!? 何だ──ぐあっ!」
「よっしゃあ!」
「これが私たちの力よ!」
「ザーコ!」
妖精たちの抵抗に苛立っているところに声をかけられ、乱暴に返事をしようとしたらしいが、その言葉は途中で止まった。
そして防御の手も止まったのか、妖精の攻撃を喰らったらしく悲鳴を上げた。
男に一撃入れることができたからか、妖精たちは攻撃の手を止めて、ハイタッチして喜んでいる。
「──ぐっ、くそ! ……じゃねえ! ケ、ケイノア様! あなたもおられたのですか!」
男は悔しげな声を出しだが、すぐに状況を思い出したのかケイノアへと声をかけた。
姿が見えないとわかりづらいな。
「ええ。友人だもの。不思議ではないでしょう?」
「ですが、そいつらは……」
「人間だ、って?」
「はっ。おそれながら」
そんな男の言葉を、ケイノアは鼻で笑ってみせる。
「なに言ってんのよ、あんた。ここは魔術至上主義を謳ってるのよ? これだけの規模の収納ができる魔術を見せたんだから、出すべきでしょ」
「ですが……」
「はあぁ……」
はっきりとした答えが返ってこないことで、ケイノアは分かりやすくため息を吐いた。
そして男から視線を逸らしてこっちを見たのだが、ケイノアは呆れながらもどことなくスッキリとしたような顔をしていた。
「いいわ。もうめんどくさいし、外に出ちゃって」
「いいのか? めんどくさいことになると思うぞ?」
「いいのよ。自分たちで決めたルールを破ってるのは馬鹿な父親だもの。正しいのは私。誰も反論なんてできないし、させないわ」
そう言いながら視線を俺たちではなく入り口の方に向けたので、今の言葉はそこにいる牢番だった男へとも向けられていたのだろう。
「というか、なんかもうこんな余計な事で無駄に頑張るのに疲れたのよ。どうせ出てくることになるんだし、変わらないわ。というわけで、ほら。早く出てきなさい」
「……出てこいって、結界があるんだが?」
出てこいというのなら結界の解除くらいしてくれないか?
「解除は氏族長にしかできないもの。わたしにはできないわ。だから、そんなの壊していいわよ」
「わかった。なら……」
ケイノアにそう言われて俺は結界を丸ごと収納しようと思って手を伸ばしたのだが、その途中でふと俺以外の力も見せておいた方がいいだろうか、と思い手を止めた。
そこにはエルフで、下っ端とはいえ氏族長の部下の男がいる。だったらここでイリンの力を見せておくことで少しでも話がスムーズに進めばいいなと思ったわけだ。
「イリン。これ、壊せるか?」
「はっ、なに言ってやがる! お前はともかく、獣人なんかに──」
「はい」
いまだ姿を見ることができない男が何か言っているが、イリンはなにも臆することなく気楽な様子で頷いた。
「ケイノア、それにあなた方も。少し退いてください」
イリンの言葉を受けて、ケイノアと少し不思議そうにしている妖精達は牢屋の隅の方に移動した。
そしてケイノアは手早く自分を覆う結界を発動し、それを見習ってか妖精達はケイノアの背後に移動すると、自分たち三人を覆う結界を生み出した。
「ふうぅ……」
それを見届けたイリンは、鉄格子の前に立つと軽く腰を落として深呼吸をした。
そしてそんなケイノア達とイリンの様子を見て少し不安に思った俺は、環に声をかけて彼女の持っている結界の魔術具を起動してもらい、俺は環と一緒にその中に入ることにした。
「ヤアアア!」
イリンの気合の声から一拍遅れて牢屋の中に何か重いものが衝突するような音が轟き、俺の予想していた通り、そばにいた俺たちにも音と衝撃が襲い掛かった。
だが、イリンが殴る前に環の持っている結界の魔術具に俺も入れてもらったので特に被害はない。
良かった。ケイノアの様子を見て咄嗟に防御を思いつかなかったら、音と衝撃でやられていたかもしれない。
「……まるで爆撃でも受けたみたいだな」
今のイリンの一撃で鉄格子は壊れただろう。
最悪鉄格子一本だけが壊れて終わるかもしれないなと思ったんだが、鉄格子どころか、もしかしたら壁や天井ごと吹き飛んだかもしれないな。
現在、牢屋の中には土埃が充満し、視界がいいとはいえない状況になっている。
イリンがすぐそこにいるのはわかるが、鉄格子の向こう……正確には、元鉄格子のあった場所の向こう側の状況はなにもわからない。
「ぶえっ! ペッ、ペッ!」
まずはこの視界をどうにかしたいなと思っていると、土埃の奥からそんな声が聞こえた。この声はケイノアだな。
「ちょっとイリン! 壊せとは言ったけど、もうちょっと抑えなさいよ! 私にまで飛んできたわ!」
「何だよ今のー!」
「耳が痛ーい!」
「口がジャリジャリするー!」
その後に続いて妖精達の声も聞こえたが、総じて不満を表している。
そんな叫びと共にケイノア達のいる方から魔力の高まりを感じ取ると、牢屋の中に風が吹き、視界を遮っていた土埃は何処かに運ばれていき綺麗になくなった。
おそらくはケイノアか妖精達が魔術を使って空気を入れ替えでもしたのだろう。
「すみません。思った以上に脆かったので……次からは気をつけますね」
「そもそも次がないようにしなさいよ」
「気を付けろよこのやろー!」
「悪いと思ってるならお詫びを要求するわ!」
「お菓子をよこせー!」
土埃の晴れた視界の中でイリンがケイノア達に謝っているが、ケイノアは呆れたようにし、妖精達はお詫びのお菓子を要求している。
が、この光景の中でそんなんことを呑気に行っていられるのはすごいと思う。
土埃の晴れたそこには鉄格子などなく、それどころか天井と床が抉れて奥の壁に叩きつけられるように吹き飛ばされていた。
結界があったおかげで彼女らの周り一メートルくらいにはなにもないが、その周りには鉄格子だったものや天井だったものの一部が落ちていて、ケイノア達はそんな鉄格子の残骸の中に立っていた。
今更だが、ケイノア達が結界を張ってなかったら結構危なかったかもな。あいつ、抜けてる様に見えてその実、結構慎重っていうか考えてるよな。
むしろ今回は俺の方が考えが甘かったな。次からは気をつけよう。……後でお菓子でも渡しておくか。
「──ば……ばか、な……。あの結界が……脆かった、だと?」
あ、すっかり忘れてたが、そういえばこいつもここにいたんだった。
鉄格子が周囲の壁ごと亡くなったおかげでしっかりと顔を見ることができるようになったが、きていたのはやはり牢番の男で間違っていなかった。
「これで分かったでしょ? こいつらは正真正銘の規格外……バケモノなの。私と同じくね。分かったらさっさとあの馬鹿親父にこの状況を伝えなさい」
正面にいたわけじゃないからか、さっきの衝撃でも何とか生き残っていた牢番の男は尻餅をついた状態から慌てて立ち上がると、そのままなにも言わずに走り去って行った。
「さ、後はあの馬鹿親父に話をするだけね」
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