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三章
ロイド:武器の造り替え
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「——ロイドよ。お前には魔創具の再構成を行なってもらう」
ある日、トライデンの当主であり俺の養父のご機嫌を取るために訓練をしていると、その父に呼び出された。
なんだ? 嫌に重っ苦しい空気を出してるな。またなんか小言でも言ってくるつもりか?
なんて思っていたのだが、どうやら違ったようだ。だが、その言葉の意味が理解できない。魔創具の再構成? 何を言ってるんだこいつは?
「再、構成……? そのようなことができるのですか? 魔創具は一度造ったら二度と作り変えることはできないと聞いていますが……」
「基本的にはそうだ。だが、方法が全くないわけでもない」
そう言いながら父は、机の上に乗っていた一冊のボロい本を指先で叩いた。
何でそんなものがあるのかと思ったが、どうやらこの話のためだったようだ。
だが、今それを示したってことは、その本の中に魔創具の再構成のやり方が載ってるってことか? そんなボロい本の中に?
……でも、もしそれが本当なら俺にとってはかなりの幸運だ。何せ、俺の魔創具を強くすることができるんだから。
あの時はあいつから居場所を奪うために、トライデントという形にすることだけを考えていたから、無駄な機能はつけないようにしていた。
実力的に言えばもっと良いものを作れたんだが、それには素材が……金が足りなかった。貴族だ魔創具なんて言っても、出来のいいものを作ることができるのは金に余裕がある家だけで、俺の実家みたいなあまり余裕があるとは言えないような家ではただ魔創具が作れるというだけのことしかできないのが普通だ。
とはいえ、俺の作戦自体はうまくいき、あいつを引き摺り下ろして俺がこの場所を手に入れることができたんだし、最初の目的自体は成功した。だからそれはいい。
だが、実際にトライデントを父に見せた時の顔は今でも忘れられない。あんな、「その程度か」とでもいうかのような顔を向けられて、忘れられるはずがない。
それでも、一度作った魔創具はどうしようもないのだから仕方ないと我慢してきたが、もし本当に作り直すことができるんだったら、今度こそ俺は……。
だが、そこまで考えてふとあることに気がついた。
「……で、では、なぜそれをあの出来損ないに行わなかったのでしょうか」
そうだ。もし魔創具を作り変える方法があるんだったら、なんで俺なんかに話を持ってきた? あいつ……アルフレッドを廃嫡なんてしないであいつに使わせればよかったじゃないか。
「あいつは、おそらくこの方法は不可能だろうからだ」
「あいつでは不可能?」
言いたくないが、あいつは優秀だった。だからこそ、襲撃なんてしなければならなかったのだ。
そんなあいつでも不可能なことを俺がやれって?
「魔創具とは、錬金術を応用して物質を分解、圧縮して自身の体へと取り込む技術のことだ。その方法として、自身に適合する素材を使用し、自身の体に紋様を刻む。だが、その紋様は本当に体に刻まれていると思うか?」
「え? それは……そうなのではないですか?」
薬だ道具だと色々必要なものはあるが、実際に自分の体に刻んでるんだ。あの時の自分で自分の体に刃物を入れる感触は今でも思い出せるくらい気持ちの悪いものだった。それなのに自分の体に刻まれてないわけないだろ?
だが、父はそう答えた俺を見下すような視線で見つめてきた。その視線はむかつくが、だからと言ってそれを顔に出してもいいことがないことくらい理解しているので、そのまま話を聞くことにする。
「……違う。確かに初めは自身の体に紋様を刻む。だが、その紋様が傷ついたらどうなる? 紋様を刻んだ箇所が火傷を負い、紋様の形が崩れたとしよう。だがそれでも魔創具は使用することができる。これはなぜだ? 刻んだ箇所を欠損したとしても、後で治癒を施せば本来の肉体の他に、紋様まで元通りとなるのはなぜだ?」
「それは……」
「自身の体に刻むのは、あくまでも表面的なものでしかないということだ。実際には、自身の体を通してその奥、魂に錬金術の魔法を刻んでいるからだ。だからこそ、自身の体の紋様が傷ついたとしても、魔創具を使うことができる」
言われてみれば確かに、とは思うな。怪我をしただけで魔創具が使えなくなるんだったら、誰も腕なんて怪我しやすい場所には書かないか。
「魔創具を造り直す方法は、自身が紋血に使用した素材をもう一度集め、それに追加で素材を加えたものを使用する。ただし、体に刻むのではなく、飲み込むことで体内から魂を書き換えるものだがな」
「そんなことが……本当にできるんですか?」
紋血を飲むだと? バカなのかこいつは。あれにはいろんなものを使ってるんだぞ? 魔物の素材だけならまだ納得できるが、中には鉱物なんかも入っているんだから飲めるわけがない。
「できる。というよりも、この方法が本来の魔創具の作り方だ。そのやり方は昔行われていた方法だが、安全性が低く、失敗すれば異形化したり精神に異常がでたりするために、安全性を考えて肉体の内側ではなく、外側に紋を刻むことで、間接的に魂へと術を刻む今の方法になったのだ」
「それは危険、ではないでしょうか?」
聞いてる限りだとめちゃくちゃ危険にしか思えない。っつーか、危険じゃなかったらそのやり方が今のやり方に変わるわけがない。
そんなものを俺にやらせようってのか? 俺は唯一の後継者難だぞ? もし何か異変でもあったらどうするってんだよ。
「ああ、危険だな。ただし、より魂に近づくやり方のため、危険である分効果は上がる。上書きをすることも可能だ。これをアルフレッドに使用することができればなんの問題もなかったのだがな……」
ギリッと歯の奥が鳴る。
ここでもやっぱりアルフレッドかよ。あいつはもうダメなんだってお前が自分で切り捨てたんじゃないか。そして、その代わりとして俺を迎え入れたんだろ。だったら、あんな奴のことなんて忘れて俺を見ろよ。俺がこの家の次期当主なんだぞ!
「いや、仮にアルフレッドがいる時にこの方法を知っていたとしても、あやつでは不可能だったか。あれほど精密に組まれた魔法を慣れない方法で魂に刻み込むとなれば、ほぼ間違いなく失敗するだろうな。その点に関しては、あやつは天才だった。禁術を用いて失敗したとなれば、我が家門の恥を重ねることとなる。それは避けねばならん」
すでに俺なんていないつもりなのか、机の上にあったボロい本をパラパラとめくりながら公爵が呟いているが、その言葉を聞いているだけで腹が立ってくる。
だが、俺に力がないのも事実だ。
俺は強い。魔創具は平凡って言っても、それでも一般の生徒達よりは上なんだ。魔創具を持っていない奴らに関しては、比べるまでもなく上だ。
だが、だからと言ってアルフレッドと戦って勝てるのかと言ったら……。
そんなこと認めたくはない。あいつは落ちぶれて、俺は今の地位を手に入れたんだ。次期公爵家当主という立場も、王女の婚約者という立場もだ。あいつよりも上であることなんて分かりきってることのはずだ。
それなのに、どうしても最後にあいつと戦った時のことが忘れられない。
あんなフォークなんていうおもちゃで俺のトライデントが負けたあの時が……
このままじゃ俺はいつまで経っても負けたままだ。そんなこと、許せるわけがない。
そうだ。ここで魔創具の再構成だかなんだかに挑戦して成功すれば、その時こそ俺はトライデンの次期当主として本当に認められることになるんだ。この公爵にも、ことあるごとにあいつと比べてくる使用人達にも、学園の雑魚どもにも……俺が次期公爵なんだって理解させられる。
だから、このチャンスを逃すわけには……
「この者であれば、元の魔創具はゴミのようなものであるため、再構成の衝撃も少ないだろう。トライデン家に必要な最低基準を満たす程度であれば、まあ耐えられないこともないはずだ。できなかったとしても、次を用意すればいいことか」
次を用意する。その呟きを聞き、決めたはずの覚悟が消えていった。だってそれは、『次』のことを考えるくらい失敗する可能性があるってことで……死ぬかもしれないってことだろ? だったら、今のままの状態でもいいんじゃないか?
どうせ、公爵が死ねば俺が公爵になれるんだ。周りの奴らを見返すのだって、それからでも遅くないだろ。ここで無理して死ぬ可能性を取るよりも、たかが数年我慢すればいいだけならそっちをとったほうがいいに決まってる。
「それは……ぜ、絶対に行わなければなら——」
「ん? ……ああ、なんだ。まだいたのか」
俺が声をかけたことで公爵はようやく俺の存在を思い出したようで、くだらないものを見るかのような目で俺のことを見た。
「まあいい。それで、不満があるか?」
「……い、いえ、そのようなことは……決して……」
拒絶することは許さないとでも言っているかのような眼差しに、思わず否定してしまった。でも、こんなの無理だろ。この目はダメだ。もしこれで俺が本当に逆らったら、それこそ『次』を用意されることになる。だから、頷くしかないんだ。
「では、やれ。お前が必要なものは全て揃えよう」
公爵はそう言ってから俺に向かって追い払うように軽く手を振ってきた。これは部屋を出ていけってことで、出ていかなければどうなるかわからない。
「ああそれと、これに失敗するようでは、お前はあやつと同じ道を辿ることになる。面倒ではあるが、その時は新たに子を産ませればいいだけなのだ。そのことを忘れるな」
「……はい」
そう頷くしかなく、俺は何も言わないまま部屋を出て行った。
「くそっ……! せっかくここまできたんだ。俺はなんとしてもここを譲らない。手放してなるものか!」
やりたくはない。だが、やるしかない。こうなったら仕方ない。どうせ危険があるんだ。あのアルフレッドすらも超えるような魔創具を作り、学園の奴らも、公爵邸の使用人たちも、公爵本人も、俺のことを見下してる奴ら全員にわからせてやる。アルフレッドじゃない。俺が次期公爵なんだってな。
ある日、トライデンの当主であり俺の養父のご機嫌を取るために訓練をしていると、その父に呼び出された。
なんだ? 嫌に重っ苦しい空気を出してるな。またなんか小言でも言ってくるつもりか?
なんて思っていたのだが、どうやら違ったようだ。だが、その言葉の意味が理解できない。魔創具の再構成? 何を言ってるんだこいつは?
「再、構成……? そのようなことができるのですか? 魔創具は一度造ったら二度と作り変えることはできないと聞いていますが……」
「基本的にはそうだ。だが、方法が全くないわけでもない」
そう言いながら父は、机の上に乗っていた一冊のボロい本を指先で叩いた。
何でそんなものがあるのかと思ったが、どうやらこの話のためだったようだ。
だが、今それを示したってことは、その本の中に魔創具の再構成のやり方が載ってるってことか? そんなボロい本の中に?
……でも、もしそれが本当なら俺にとってはかなりの幸運だ。何せ、俺の魔創具を強くすることができるんだから。
あの時はあいつから居場所を奪うために、トライデントという形にすることだけを考えていたから、無駄な機能はつけないようにしていた。
実力的に言えばもっと良いものを作れたんだが、それには素材が……金が足りなかった。貴族だ魔創具なんて言っても、出来のいいものを作ることができるのは金に余裕がある家だけで、俺の実家みたいなあまり余裕があるとは言えないような家ではただ魔創具が作れるというだけのことしかできないのが普通だ。
とはいえ、俺の作戦自体はうまくいき、あいつを引き摺り下ろして俺がこの場所を手に入れることができたんだし、最初の目的自体は成功した。だからそれはいい。
だが、実際にトライデントを父に見せた時の顔は今でも忘れられない。あんな、「その程度か」とでもいうかのような顔を向けられて、忘れられるはずがない。
それでも、一度作った魔創具はどうしようもないのだから仕方ないと我慢してきたが、もし本当に作り直すことができるんだったら、今度こそ俺は……。
だが、そこまで考えてふとあることに気がついた。
「……で、では、なぜそれをあの出来損ないに行わなかったのでしょうか」
そうだ。もし魔創具を作り変える方法があるんだったら、なんで俺なんかに話を持ってきた? あいつ……アルフレッドを廃嫡なんてしないであいつに使わせればよかったじゃないか。
「あいつは、おそらくこの方法は不可能だろうからだ」
「あいつでは不可能?」
言いたくないが、あいつは優秀だった。だからこそ、襲撃なんてしなければならなかったのだ。
そんなあいつでも不可能なことを俺がやれって?
「魔創具とは、錬金術を応用して物質を分解、圧縮して自身の体へと取り込む技術のことだ。その方法として、自身に適合する素材を使用し、自身の体に紋様を刻む。だが、その紋様は本当に体に刻まれていると思うか?」
「え? それは……そうなのではないですか?」
薬だ道具だと色々必要なものはあるが、実際に自分の体に刻んでるんだ。あの時の自分で自分の体に刃物を入れる感触は今でも思い出せるくらい気持ちの悪いものだった。それなのに自分の体に刻まれてないわけないだろ?
だが、父はそう答えた俺を見下すような視線で見つめてきた。その視線はむかつくが、だからと言ってそれを顔に出してもいいことがないことくらい理解しているので、そのまま話を聞くことにする。
「……違う。確かに初めは自身の体に紋様を刻む。だが、その紋様が傷ついたらどうなる? 紋様を刻んだ箇所が火傷を負い、紋様の形が崩れたとしよう。だがそれでも魔創具は使用することができる。これはなぜだ? 刻んだ箇所を欠損したとしても、後で治癒を施せば本来の肉体の他に、紋様まで元通りとなるのはなぜだ?」
「それは……」
「自身の体に刻むのは、あくまでも表面的なものでしかないということだ。実際には、自身の体を通してその奥、魂に錬金術の魔法を刻んでいるからだ。だからこそ、自身の体の紋様が傷ついたとしても、魔創具を使うことができる」
言われてみれば確かに、とは思うな。怪我をしただけで魔創具が使えなくなるんだったら、誰も腕なんて怪我しやすい場所には書かないか。
「魔創具を造り直す方法は、自身が紋血に使用した素材をもう一度集め、それに追加で素材を加えたものを使用する。ただし、体に刻むのではなく、飲み込むことで体内から魂を書き換えるものだがな」
「そんなことが……本当にできるんですか?」
紋血を飲むだと? バカなのかこいつは。あれにはいろんなものを使ってるんだぞ? 魔物の素材だけならまだ納得できるが、中には鉱物なんかも入っているんだから飲めるわけがない。
「できる。というよりも、この方法が本来の魔創具の作り方だ。そのやり方は昔行われていた方法だが、安全性が低く、失敗すれば異形化したり精神に異常がでたりするために、安全性を考えて肉体の内側ではなく、外側に紋を刻むことで、間接的に魂へと術を刻む今の方法になったのだ」
「それは危険、ではないでしょうか?」
聞いてる限りだとめちゃくちゃ危険にしか思えない。っつーか、危険じゃなかったらそのやり方が今のやり方に変わるわけがない。
そんなものを俺にやらせようってのか? 俺は唯一の後継者難だぞ? もし何か異変でもあったらどうするってんだよ。
「ああ、危険だな。ただし、より魂に近づくやり方のため、危険である分効果は上がる。上書きをすることも可能だ。これをアルフレッドに使用することができればなんの問題もなかったのだがな……」
ギリッと歯の奥が鳴る。
ここでもやっぱりアルフレッドかよ。あいつはもうダメなんだってお前が自分で切り捨てたんじゃないか。そして、その代わりとして俺を迎え入れたんだろ。だったら、あんな奴のことなんて忘れて俺を見ろよ。俺がこの家の次期当主なんだぞ!
「いや、仮にアルフレッドがいる時にこの方法を知っていたとしても、あやつでは不可能だったか。あれほど精密に組まれた魔法を慣れない方法で魂に刻み込むとなれば、ほぼ間違いなく失敗するだろうな。その点に関しては、あやつは天才だった。禁術を用いて失敗したとなれば、我が家門の恥を重ねることとなる。それは避けねばならん」
すでに俺なんていないつもりなのか、机の上にあったボロい本をパラパラとめくりながら公爵が呟いているが、その言葉を聞いているだけで腹が立ってくる。
だが、俺に力がないのも事実だ。
俺は強い。魔創具は平凡って言っても、それでも一般の生徒達よりは上なんだ。魔創具を持っていない奴らに関しては、比べるまでもなく上だ。
だが、だからと言ってアルフレッドと戦って勝てるのかと言ったら……。
そんなこと認めたくはない。あいつは落ちぶれて、俺は今の地位を手に入れたんだ。次期公爵家当主という立場も、王女の婚約者という立場もだ。あいつよりも上であることなんて分かりきってることのはずだ。
それなのに、どうしても最後にあいつと戦った時のことが忘れられない。
あんなフォークなんていうおもちゃで俺のトライデントが負けたあの時が……
このままじゃ俺はいつまで経っても負けたままだ。そんなこと、許せるわけがない。
そうだ。ここで魔創具の再構成だかなんだかに挑戦して成功すれば、その時こそ俺はトライデンの次期当主として本当に認められることになるんだ。この公爵にも、ことあるごとにあいつと比べてくる使用人達にも、学園の雑魚どもにも……俺が次期公爵なんだって理解させられる。
だから、このチャンスを逃すわけには……
「この者であれば、元の魔創具はゴミのようなものであるため、再構成の衝撃も少ないだろう。トライデン家に必要な最低基準を満たす程度であれば、まあ耐えられないこともないはずだ。できなかったとしても、次を用意すればいいことか」
次を用意する。その呟きを聞き、決めたはずの覚悟が消えていった。だってそれは、『次』のことを考えるくらい失敗する可能性があるってことで……死ぬかもしれないってことだろ? だったら、今のままの状態でもいいんじゃないか?
どうせ、公爵が死ねば俺が公爵になれるんだ。周りの奴らを見返すのだって、それからでも遅くないだろ。ここで無理して死ぬ可能性を取るよりも、たかが数年我慢すればいいだけならそっちをとったほうがいいに決まってる。
「それは……ぜ、絶対に行わなければなら——」
「ん? ……ああ、なんだ。まだいたのか」
俺が声をかけたことで公爵はようやく俺の存在を思い出したようで、くだらないものを見るかのような目で俺のことを見た。
「まあいい。それで、不満があるか?」
「……い、いえ、そのようなことは……決して……」
拒絶することは許さないとでも言っているかのような眼差しに、思わず否定してしまった。でも、こんなの無理だろ。この目はダメだ。もしこれで俺が本当に逆らったら、それこそ『次』を用意されることになる。だから、頷くしかないんだ。
「では、やれ。お前が必要なものは全て揃えよう」
公爵はそう言ってから俺に向かって追い払うように軽く手を振ってきた。これは部屋を出ていけってことで、出ていかなければどうなるかわからない。
「ああそれと、これに失敗するようでは、お前はあやつと同じ道を辿ることになる。面倒ではあるが、その時は新たに子を産ませればいいだけなのだ。そのことを忘れるな」
「……はい」
そう頷くしかなく、俺は何も言わないまま部屋を出て行った。
「くそっ……! せっかくここまできたんだ。俺はなんとしてもここを譲らない。手放してなるものか!」
やりたくはない。だが、やるしかない。こうなったら仕方ない。どうせ危険があるんだ。あのアルフレッドすらも超えるような魔創具を作り、学園の奴らも、公爵邸の使用人たちも、公爵本人も、俺のことを見下してる奴ら全員にわからせてやる。アルフレッドじゃない。俺が次期公爵なんだってな。
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