聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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出会い編

しゃべったーー!

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 パッと景色が変わる。
その瞬間にはもう既に、アルカティーナたちは地下へと降り立っていた。
辺りをぐるりと見渡すと、やはり薄暗い。
上とは違い多少灯りは灯っているものの、地下独特の湿気とぼんやりとしたその薄暗さはなんとも不気味だ。
 ただ、自分たちが飛ばされたのが廊下の一角であるということだけは見て取れた。

 「このかどをみぎにまがって~、つきあたりのへやに、ふたりともいるよ!」

 「ありがとうございます、聖霊さん!」

 「えっへん!どういたしましてー」

 「こんどはあそんでね!」

 「またね!」

 「ばいばい!」

 口々に別れの挨拶をしてから魔法陣へと消えていった聖霊たちを見送ってからアルカティーナは騎士たちと向き合った。

 「今は人もいないみたいですし、今のうちに先を急ぎましょう」

 『すごい!2回もテレポートを体験してしまった!』と心中で神輿を担ぎワッショイしていた騎士たちも、その言葉に気を引き締めた。

 「そうですね。…よし、誰もいないな。行こう」

 右をちらりと確認した騎士の言葉に従い、一同はぞろぞろと角を曲がっていった。
と、その時。

 『警告、警告。侵入者を確認!任務を実行します』

そんな内容のアナウンスが流れた。
騎士たちは動揺に陥る。

 「こんな所に仕掛けだと!?」

 「そんなバカな!」

 こんな廃墟にそんな防犯設備があるとは夢にも思わなかったのだろう。
全てが予想外の出来事だった。
 そして、そんな彼らを更に煽り立てるように、ドドドドドド………と何か重量のものが近づいてくるような、そんな地響きが辺りを襲った。
そしてそれがおさまったと思えば、代わりに目の前に巨大なロボットが現れた。
人の五倍くらいはあるだろうか。圧迫感が半端ない。
 異世界とはいえ、この世界には一応ロボットという概念はある。しかしその技術は地球の足元にも及ばない。
最先端の技術をもってしても『きのこ収穫ロボット』が限界だ。
因みに『きのこ収穫ロボット』はどこぞの国の重役が、意図せず執務室にきのこを生やしてしまうことから作られたものだ。
その人物は『きのこ収穫ロボット』を手に入れ、大変重宝しているらしい。
 さて、話を戻そう。
そんな彼らの前に今現れたロボットについてだ。
そのロボットは、いろんな意味で規格外だった。

 まず第一に、そのロボットは走ってやって来た。
この世界に自力で走るロボットなど公には存在しない。
それだけで、彼らを驚かせるには十分だった。
だが、要因はそれだけではなかった。
ロボットを目にした騎士たちは、立ちはだかるロボットを見上げ、あんぐりと口を開けたかと思えば、一斉に叫んだ。

 「「「「きもちわるっっ!!!」」」」

 ギョロリと大ぶりの目は焦点が合っておらず、それを縁取るのはキラキラとしたラメ入りの派手なアイライン。
 頰には何を思ったのかナルト(食べ物)のような印が刻まれており、髪の毛は虹色のもっさりアフロ。
 まつげはどこのギャルだと突っ込みたくなるほどバッシバシで、その色までもが見事なレインボー。
 口裂け女のように大きな口はニヤリと怪しげな弧を描いており、真緑。

 そう。あまりにも、気持ち悪い。

 その上、そのロボットは焦点の合わない目の片方を騎士たちに留めたかと思うと……なんと、懇切丁寧に自己紹介をし始めた。

 「初メマシテ。私ハ、マドモアゼル。ヨロシク。キョエ~~~ケケケケケケッケッケ!!!」

 「「「「いぃぃーーーやぁあああああ!!しゃべったーー!」」」」

 騎士たちは悲鳴をあげた。
しかしロボットはそれには構わず、気味の悪い奇声を発しながら矢張り気味の悪いダンスをし始めた。

 「キョエ~ケッケケッケッケ~~」

 気持ち悪さ、100倍である。
そもそも何故ダンスをするのか、騎士たちにはわからなかった。
いや、その場の誰もがそれを理解できなかった。

『任務を実行します』というアナウンスがあったが、まさかこれが任務か!?!?
そんなバカな!!!

一同は、動揺していた。

 しかし、ずっと狼狽えているわけにもいかない。
1人の勇敢な騎士が飛び出した。

 「これでも喰らえっ!!」

 そう叫び、未だ気色の悪いクネクネダンスの真っ最中であるマドモアゼルに剣を突き立てようとしたが…

 「くっ…か、固い!?」

 「キョエ~エ~~!」

 剣は突き刺さるどころか、マドモアゼルに傷一つ付けることもできなかった。
どうやら余程頑丈な素材でできているらしい。

 このままでは、埒があかない。

騎士達は焦り始めた。

 「まずいぞ!剣が通らないなんて…!」

 「くそっ!どうすれば…」

 そんな中、ふとゼンはある可能性を見出した。

 「お嬢!」

自分達の武器が役に立たないのなら…

 こんな規格外ロボの相手をできるのはアルカティーナくらいだろう。

ゼンは、アルカティーナに全てをかけることにしたのだ。

 「お嬢!何か打開策はないか?」

 ガクガクとゼンに揺さぶられ、それまで何故かボンヤリと沈黙を貫いていたアルカティーナは弾かれたように顔をあげた。

 「…わかりません。でも、やるだけの事はやってみます。この場はわたくしがなんとかしてみせましょう!」

 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



…………あ、あれっ??
アルカティーナの見せ場は…?
あれれ?おかしいぞ。
まだ見せ場の途中だよこれ。
というか、これからが見せ場だよ。
どうしよう、許しておくんなまし。

 さ、さぁぁーて!
次回予告をしちゃうぞー!…ぞー。

 次回は

なんと!!!

ティーナの見せ場だよ!!

 
……はい、ごめんなさい。
次こそは本当に本当にそうです。


 因みに、今回のお話で何故アルカティーナがずっと黙っていたのかについては後で理由がわかる仕様となっております。

 
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