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7.到着‼︎
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新しい景色が目の前に広がる。
見慣れない街並み。大きすぎる建物などはないが、しっかりとした建造物が拝見できた。
下に目を向け地面を見ると、いつの間にか生い茂る雑草の風景から青々しい天然の芝生の景色へと変わっている。街の周辺の草木などはしっかりと整備されていることが分かった。綺麗な街の入り口だ。
街中に入ると多くの家々が立ち並んでいる。
目の前に見える家に使われている素材は何なのだろう。見方によっては煉瓦造りにも見えるがただの丸石を敷き詰めて作られたような建物も見てとれる。
どっちにしろ、持てる印象は中世ヨーロッパ風というといったところか。
とにかく、異世界のお決まりといわんばかりの街の風景だ。
荷物車は止まることなく街中をつき進んでいく。
移動の際、少し目を回すと、川が目に映り込んだ。上からの太陽の光を煌々と反射し、眩しいくらいにキラキラと水が輝いている。揺蕩うように流れる水は川底がくっきりと見えるくらいに透き通っており、川辺では水を汲んでいる者も見受けられた。
と、川に目を奪われている最中、途端に鼻に漂ってくるのは香ばしい匂いだ。何かを焼いているのだろうか、何かを揚げているのだろうか、いずれにしろ美味たる食べ物を作っているに違いない。食欲をそそられる香りは腹を鳴らせてくる。
涎が出そうになるところをすんでのところで抑止し、視線をあちこちへと向ける。
どうやら街中のあちこちでお店が開いているようだ。飲食店やら武具屋やら、中には、宝飾のようなものを売っている店もあるみたいだ。
お店の多さに比例して街人も沢山いるようである。
賑わっていることが遠目からでもよくわかる。
人々は、話に花を咲かせているのか笑い合っているものたちでいっぱいだ。
とてもいい雰囲気の街だと思える。
「…良い街だな。おっちゃん。」
「…んん?まあ、そうだな。この街はよく栄えているぜえ。なんせ街がでけえからな。人も多くて、治安も良い。」
俺が街の賑わいに目を奪われながら呟くと、自分の住んでいる街を褒められたことが嬉しいのかおじさんも機嫌よく返してくれる。
「んじゃまず、兄ちゃんを送っちゃうぜ。屯所と病院だと屯所の方が近ぇが。どうする、先に病院の方がいいよな?」
中世ヨーロッパ風の街並みを感慨深げに浸っていたところ、唐突にそんな言葉がかけられた。
これはまた想定外の発言であり、思わず眉をひそめてしまう。
「いや、何でだよ。普通に屯所でいいよ。」
というか、病院行く気ねぇし。
「いやいや、でも兄ちゃんは記憶喪失なんだろ?医師に見てもらった方が良くねぇか?」
「…………」
あぁ、そういや、記憶喪失って設定作ってたな。道中で過激なことがあったからぶっちゃけ忘れてた。
「お父さん、早く病院に連れてあげなよ。」
「ニーナもそう言ってるし、決まり!」
「待てぇぇ!」
一瞬黙ったのも束の間、娘さんの一言。
荷物車の行き先が決まりかけたところをすんでのところで抑止する。危うく、行く気もないところに行かされるところだ。
ーというか、この親子は…
ひょっこりと顔を出してポツンと呟くスタイル何なの?
そしてそれを真っ向から肯定するおっちゃんも何なの?
この二人の人柄をを改めて見定める。とても難しい親子だと。
そして、さらには重要視するべきことが一つ。
「………」
俺は気づかれない程度に後ろの荷台にいる人物に薄い目を向けた。
危ねえ。この娘、完璧なタイミングで絶妙な一言をねじ込んできやがる。油断ならねぇ。
というか多分、自分の父が自分の傀儡になってること気付いてやがるな。そして、それをうまく利用することに長けてやがる。恐ろしい子。
ちらりと、ひょっこりと現れた娘を見ると少し笑ったような表情をしていた。目を少しだけ伏せながら手を口元に当てながらクックックっと微笑しているようである。
なんだろう、この娘なんとなく一筋縄ではいかないような人性な気がする。
なんだ。その顔の下には何が隠されている。
とりあえず、今度もし会うことがあったら危険視しておこう。俺の中のセンサーがそうしろと、告げているのでな。
まあ、それはさておきだ。
「とにかく、最初は屯所の方でいい。そっちの方が近いんだろ?」
「えぇ、でも兄ちゃん、大丈夫か?頭診てもらった方が…」
「おい、それは俺が記憶喪失だから、そう言ってんだよな?」
俺が頭いかれてる人間だとか思ってないだろうな?
「え?うーん、…まぁ、半々だな。」
「半々って何⁈あとの半分何なの?」
「お、もう、屯所近いけど降りるか?」
「話を変えられた!」
なんだか、とても不本意な話の区切られ方だったが、目的地に着いたというのでぶつくさとしながら口を閉じる。
見ると、この街の中でも一際大きな建造物が目の前に聳え立っていた。
「…んじゃ、兄ちゃん、ちょっと降りろい。衛兵さんに話しつけに行くからよ。」
「ん、そうか。わかった。」
「ニーナ、ちょっと待っとけよ。」
荷台の中から「はぁ~い」と、なめらかな声音を聞いたと同時におじさんはにこりと頷き、それから俺を先導する。
「…よっと。………おお。」
街中に降り立つ。分かってはいたが見慣れない景色だ。日本とはとても思えない。ヨーロッパ風ではあるが、やはり全く同じとは言い切れなくて。
この世界の街並みだ。
前、後ろ、左、右、どの方向を見ても見知ったものは一つもない。
本当にここは異世界なんだ。
「…どうした?兄ちゃん?」
ふと、話しかけてくるのはこの世界に来て最初に出会ったおっちゃんだ。こちらを振り向き目が合う。
「…いや、なんでもない。ここまで送ってくれてありがとよ。」
「気にすんない。どおってことねぇ。」
それだけ言い、おじさんは背中を向け歩いていく。
淡々と歩を進め俺は着いていく。
これからどうなるのかわからない真っ白な状態の俺はこの世界で何を見ていくのだろう。
見慣れない街並み。大きすぎる建物などはないが、しっかりとした建造物が拝見できた。
下に目を向け地面を見ると、いつの間にか生い茂る雑草の風景から青々しい天然の芝生の景色へと変わっている。街の周辺の草木などはしっかりと整備されていることが分かった。綺麗な街の入り口だ。
街中に入ると多くの家々が立ち並んでいる。
目の前に見える家に使われている素材は何なのだろう。見方によっては煉瓦造りにも見えるがただの丸石を敷き詰めて作られたような建物も見てとれる。
どっちにしろ、持てる印象は中世ヨーロッパ風というといったところか。
とにかく、異世界のお決まりといわんばかりの街の風景だ。
荷物車は止まることなく街中をつき進んでいく。
移動の際、少し目を回すと、川が目に映り込んだ。上からの太陽の光を煌々と反射し、眩しいくらいにキラキラと水が輝いている。揺蕩うように流れる水は川底がくっきりと見えるくらいに透き通っており、川辺では水を汲んでいる者も見受けられた。
と、川に目を奪われている最中、途端に鼻に漂ってくるのは香ばしい匂いだ。何かを焼いているのだろうか、何かを揚げているのだろうか、いずれにしろ美味たる食べ物を作っているに違いない。食欲をそそられる香りは腹を鳴らせてくる。
涎が出そうになるところをすんでのところで抑止し、視線をあちこちへと向ける。
どうやら街中のあちこちでお店が開いているようだ。飲食店やら武具屋やら、中には、宝飾のようなものを売っている店もあるみたいだ。
お店の多さに比例して街人も沢山いるようである。
賑わっていることが遠目からでもよくわかる。
人々は、話に花を咲かせているのか笑い合っているものたちでいっぱいだ。
とてもいい雰囲気の街だと思える。
「…良い街だな。おっちゃん。」
「…んん?まあ、そうだな。この街はよく栄えているぜえ。なんせ街がでけえからな。人も多くて、治安も良い。」
俺が街の賑わいに目を奪われながら呟くと、自分の住んでいる街を褒められたことが嬉しいのかおじさんも機嫌よく返してくれる。
「んじゃまず、兄ちゃんを送っちゃうぜ。屯所と病院だと屯所の方が近ぇが。どうする、先に病院の方がいいよな?」
中世ヨーロッパ風の街並みを感慨深げに浸っていたところ、唐突にそんな言葉がかけられた。
これはまた想定外の発言であり、思わず眉をひそめてしまう。
「いや、何でだよ。普通に屯所でいいよ。」
というか、病院行く気ねぇし。
「いやいや、でも兄ちゃんは記憶喪失なんだろ?医師に見てもらった方が良くねぇか?」
「…………」
あぁ、そういや、記憶喪失って設定作ってたな。道中で過激なことがあったからぶっちゃけ忘れてた。
「お父さん、早く病院に連れてあげなよ。」
「ニーナもそう言ってるし、決まり!」
「待てぇぇ!」
一瞬黙ったのも束の間、娘さんの一言。
荷物車の行き先が決まりかけたところをすんでのところで抑止する。危うく、行く気もないところに行かされるところだ。
ーというか、この親子は…
ひょっこりと顔を出してポツンと呟くスタイル何なの?
そしてそれを真っ向から肯定するおっちゃんも何なの?
この二人の人柄をを改めて見定める。とても難しい親子だと。
そして、さらには重要視するべきことが一つ。
「………」
俺は気づかれない程度に後ろの荷台にいる人物に薄い目を向けた。
危ねえ。この娘、完璧なタイミングで絶妙な一言をねじ込んできやがる。油断ならねぇ。
というか多分、自分の父が自分の傀儡になってること気付いてやがるな。そして、それをうまく利用することに長けてやがる。恐ろしい子。
ちらりと、ひょっこりと現れた娘を見ると少し笑ったような表情をしていた。目を少しだけ伏せながら手を口元に当てながらクックックっと微笑しているようである。
なんだろう、この娘なんとなく一筋縄ではいかないような人性な気がする。
なんだ。その顔の下には何が隠されている。
とりあえず、今度もし会うことがあったら危険視しておこう。俺の中のセンサーがそうしろと、告げているのでな。
まあ、それはさておきだ。
「とにかく、最初は屯所の方でいい。そっちの方が近いんだろ?」
「えぇ、でも兄ちゃん、大丈夫か?頭診てもらった方が…」
「おい、それは俺が記憶喪失だから、そう言ってんだよな?」
俺が頭いかれてる人間だとか思ってないだろうな?
「え?うーん、…まぁ、半々だな。」
「半々って何⁈あとの半分何なの?」
「お、もう、屯所近いけど降りるか?」
「話を変えられた!」
なんだか、とても不本意な話の区切られ方だったが、目的地に着いたというのでぶつくさとしながら口を閉じる。
見ると、この街の中でも一際大きな建造物が目の前に聳え立っていた。
「…んじゃ、兄ちゃん、ちょっと降りろい。衛兵さんに話しつけに行くからよ。」
「ん、そうか。わかった。」
「ニーナ、ちょっと待っとけよ。」
荷台の中から「はぁ~い」と、なめらかな声音を聞いたと同時におじさんはにこりと頷き、それから俺を先導する。
「…よっと。………おお。」
街中に降り立つ。分かってはいたが見慣れない景色だ。日本とはとても思えない。ヨーロッパ風ではあるが、やはり全く同じとは言い切れなくて。
この世界の街並みだ。
前、後ろ、左、右、どの方向を見ても見知ったものは一つもない。
本当にここは異世界なんだ。
「…どうした?兄ちゃん?」
ふと、話しかけてくるのはこの世界に来て最初に出会ったおっちゃんだ。こちらを振り向き目が合う。
「…いや、なんでもない。ここまで送ってくれてありがとよ。」
「気にすんない。どおってことねぇ。」
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