異世界転生した俺はまったりスローライフを送りたいのだが案外修羅場だらけであり

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22.サイキッカー ヒーラー

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さて…猫耳幼女の機嫌を取り直すことができたことだし、そろそろ話を進めて行こうか。

「むうんっ、ふふんっ、にゃあはーっ。わちは天才魔法使いー!」

そうだね、天才だね。天才だからもう次に行かせてね。

鼻歌と共に小躍りするのは、猫耳幼女コラルさん。

囃し立てられ、煽てられ、存外気分はすこぶる良いみたい。よかったね。コラル先生。

「にゃっははー。にゃっははー!そうだにゃー!わちはすごい子なんだにゃー。にゃへへへへぇ。」

溢れてる、照れが溢れてる。隠す気すら毛頭ないと言わんばかりのニヤケ笑い。隠すことができないと言わんばかりの赤面しながら照れ笑い。

今日一の笑顔だ。嬉々たる面持ちで楽しげな模様。

「にゃっはは、にゃあー!わちは最強!最高の魔法使いー!」

杖を上に掲げて満面の笑みで声高に告げる幼女。

さっきの落ち込みはどこに行ったのやら。すこぶる耳がヒョコヒョコしていた。尻尾もふりふりが止まらないみたい。
まあ、機嫌が直ったのなら結構なこと。

「にゃっははー!なんだか、今のわちは誰にも負ける気はしないにゃ!……そうにゃ!テトナ、もう一度勝負してみるかにゃ?」

何言ってんの?

エッヘン!っと小さな胸を張り、自身に満ち溢れた表情を浮かべながらコラルはテトナへと提案する。

すごいね。その自信過剰さはもはや称賛に値するよ。
けど、ちょっと無謀にも程がありすぎるかな!

さっき無残なまでに負かされたこと覚えてないのこの子?
その声にはさすがに異論ありだよ?

「………」

一方で、コラルから凛々しい眉を向けられたテトナは何も言えずに微妙な面持ちを浮かべている。

然しものテトナでも、ちょっと呆然としてんじゃん。

「あ、いやー、今のコラルには勝てる気がしないなー。また今度でいいー?」

テトナは圧倒的な棒読みでコラルの申し出に断りを入れる。

さすがにここは空気を読んだ純白の幼女。
正しい。良い判断だ。さすがにまた「決闘!」とか言い出して振り出しに戻るなんてことは勘弁してほしいからな。

「にゃあ…そうかにゃ、まあ、いいにゃ。わちは最強の魔法使いだからにゃ。心も広いんだにゃー。また今度の機会にしてやるにゃ。」

なぜか、不満をたらたら垂らしつつ、結局テトナに対してマウントを取ったかのような言動と共に「フッ」と、決め顔をする猫耳幼女。

すごいね。コラル先生、普通の人じゃそんなこと言えないものだよ?天才だね!

今、気を遣われたのは誰なんだろーね!

完全に天狗になってしまっているコラル先生。
まあ、落ち込むより幾分ましか。

何はともあれ、コラルは機嫌を直し、幼女同士のいざこざに幕が引かれる。

「ところで、テトナはどうしてここに来たの?」

すると、唐突に、場の転換というか話の論点をすげ替えるようにというか、レイネルが純白の幼女に問いを投げかけた。

たしかにこの白い幼女が何用でここに来たのかは割とわからないところだ。ダイナミックにガラスを割って入ってきたからそれも相まって特に気にしなかったけど。

「んー?」

声をかけられ、やんわりとした声音でテトナはレイネルの方を向く。おっとりした目つきで上を仰ぎ「えー、うーん…」と、呟くと、

「まあ、遊びに来たー」

柔和な声つきでテトナは返答。特に目的なしかい。

「それだけでガラス割られるこっちの身にもなれにゃ。」

テトナにジト目を向けながら訝しくそう呟くのはコラルだ。

まあ、ダイナミックな登場だったとは言え、被害額は相当なものでしょうね。割りに合うなんてことはない。

「…テトナ。手伝えにゃ。」

ぶつくさと言葉を垂らしながら、コラルはテクテクと飛び散ったガラスのところに歩く。
テトナも「んー」と言いながら、猫耳の元へ。

何をするんだ?と、俺はキョトンとその様子を見つめていたが、コラルの指差しと共にテトナは念魔法を発動させた。

クイッとした指の動きでテトナは飛び散ったいくつかのガラスの破片を空中で操り、それらを割れた窓へと持っていった。
それを見ていたコラルは「ふむ」と一言呟き、杖を一振り。
すると、テトナの操るガラス破片にいきなり緑色の光が灯され、割れた破片が不思議な煌々に包まれる。そのまま、ことの様子を見つめていると、ガラスと窓の破損した部分が徐々に繋がれていき、ひび割れた部分のない綺麗な窓ガラスが復元された。

「まだ、残っているにゃー。テトナ、次にゃ!」

「んー、わかったー。」

ハキハキとしたコラルの声に応じるやんわりとした口調のテトナ。

念魔法を駆使し、治療魔法で壊れたガラスを復元させる幼女二人。 

何?治療魔法って壊れたものまで復元出来るの?
もはや治療の域を超えてない?

コラルの魔法に驚きを隠せない俺。

さっき適当に天才だーとか言っといたけど、え、まじでこの子、天才じゃない?

「繊細な魔操作と魔法に関する膨大な知識量がないとできない芸当よあれは。私はあれができる者をコラル先生以外知らないわ。」

驚嘆し呆然していた俺にポツリとレイネルが説明口調でそう告げてきた。

え、なにそれ、コラル先生エグくない?治療魔法じゃなくて、もはや復元魔法の使い手じゃん。錬金術師かな?

「あの子、もしかしてすごい子?」

「何言ってんの?国の中でも屈指の魔法使いって教えたじゃない。」

嘆息したように言うレイネル。

たしかに、そんなことを聞かされた気がするな。
さっきまでの不憫さのせいでちょっと忘れてたけど。

しかし、こんだけ凄まじく魔法を使えるってのに戦闘力は皆無ってのは、なんかもうセンスとかそこら辺の問題なんですかね。

「ちゃんと固定させるにゃー!」

「んー、やってるよー。」

「やってないにゃ!少し綻びがあるにゃ」

きつめな声音でテトナを叱咤するコラル。

完璧主義なのかな。

幼女達の窓ガラス復元共同作業。
先ほどの喧騒さとは打って変わって、そこには仲睦まじさが溢れており存外様になっていた。



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