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第二章 それは自殺かそれとも他殺か
013
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復讐のために30年間、自身のメリデメを偽り続けたとはどういうことだろ。
「ど、どういうことですか?って、詳細聞いてもいいんですか?」
『水面さんの助手さんなんですよね?はい、大丈夫ですよ。』
「うん、今後のためにもつばめくんも知っておいたほうがいいかもね。」
「では、お願いできますか・・・」
詳細はこんな感じだった。
父子家庭でありながら、父親から日常的にDVを受けていた少女は義務教育のメリデメ発現確認期間より先に自身のメリデメの詳細に気がついた。
メリデメの内容は触れた対象を移動することのできる移動系。
そのメリデメを使用して反撃することはせず、発現確認期間は自身のメリデメを偽り、触れた相手の怪我を自身に移すという完全回復が可能な特異系としてやり過ごした。
その後も自身のメリデメである移動系を鍛え続け、より正確に傷を移動できるようになり、聖女として有名になっていく。
30年後、聖女の力を聞きつけて診療に来たのが、父親だった。
父親は聖女が自身の娘であることはわかっておらず、それに気付いた彼女が復讐を決意。
今まで自身に移動させていた傷をすべて父親に増やし、そのまま殺害。そのまま自身の移動系のメリデメで死体を移動させ遺棄。
「それかなりニュースになってましたよね。俺でも知ってます。聖女の殺人事件みたいな感じで報道されてましたよね。」
『ま、割と有名な事件だよね。』
「その事件、僕が担当したからね。」
「え、水面さんが担当だったんですか?」
「そうだよ。さらに言えば宇田津くんも担当だったんだよ。」
『そうだよ。意外とすごい人なんだよ。私達。』
「すげー。」
「ま、こんな感じで被害者・容疑者のメリデメが事件に関与していないのに、メリデメによって殺害が行われるケースと言うのは存在するんだよ。」
「あ、でもそう考えると、今回の溺死も移動系なら割と簡単にできるんじゃないですか?液体を肺に送って、亡くなったのを確認した後に送った水を取り出せばいいんじゃないですか?」
「つばめくん、それは不可能だよ。いや不可能に近いね。」
「どうしてですか・・・?いい線いってると思ったんですけど。」
「まず移動系は基本的に触れてないと対象を移動できない。例外はあるけど基本的には触れてないとダメだね。」
「触れれば移動できるんですよね?なら肺に液状のものを送ることくらいはできるんじゃないですか?」
「まずは肺の中の水をどうやって取り出すかだ。発見時には肺の中に液状のものはなかったと言っていた。仮に移動系で液状のものを肺に移動できたとしても、取り出すことができないんだ。」
「な、なるほど・・・。」
「加えて言えば、移動系は触れた対象物だけを移動させるわけじゃないんだよ。」
「どういうことですか?」
「移動系は基本的に、触れた対象を囲むようにした四角形の範囲ごと移動させるんだよ。ま、これも例外は存在するんだけどね。仮に肺に液状のものを移動できたとして、範囲の都合上、これも取り出せない。」
「新事実です・・・。」
「あとこれが一番重要で、移動先の場所の指定が困難であると言う点だね。移動系はそもそも移動先の情報が必要になるんだよ。目視では確認できない、更に加えて体内と来た。仮に人の体を貫通するような移動なら可能だけど、そうじゃないならほぼ不可能に近いね。」
「移動系ではできない理由がわかりました・・・。教えていただきありがとうございます。」
「いやいや意見助かるよ。割と見落としから事件解決につながることも少なくないからね。」
『なら操作系ならどうだい?」
「なんだ、宇田津くんも質問するのかい?確かに一番可能性が高いのは操作系だね。でもそれもまだ確定ではないね。」
『どうしてだい?』
「荒らされた痕跡が無いからですか?」
「お、つばめくん。いいね。その通りだよ。全く荒らされた痕跡が無い。仮に操作系保有者が殺しをしたのであれば、顔を水で覆うようにするだけで済む。それをざわざわ肺に送り込んで溺死させている点が引っかかるね。。金品などが荒らされた痕跡が無いのはそもそも殺しだけが目的だったから。」
「つまり被害者が寝ているときなど、無防備な状態で襲われた。だと親しい仲であったということでしょうか?」
『なるほど。佐々木くん被害者の関係者を洗い出してくれ。親戚や直近の交友関係。恨みを持たれるような言動がなかったかも調べてほしい。』
『ハッ!』
佐々木と呼ばれた警官はきれいな敬礼として、走って出ていった。つまり宇田津さんの部下にあたるのだろう。警察の上下関係は厳しそうだ。
「よし、つばめくん。帰ろうか。」
「え?もう帰るんですか。」
「うん。今はこれ以上介入できないからね。また呼んでね宇田津くん。」
『あぁ、今日はすまないね。また連絡するよ。燕くんもまたよろしくね。今日はありがとう。』
「はい!またお願いします。」
初めての事件現場はほぼ何もすることなく終わってしまった。幸いにもご遺体は現場にはなかった。あったら気が動転していたかもしれない。でもかなり緊張した。警察の方と話す機会もそうそうに無い。そして冷静さの中にもあるあの冷徹さ。宇田津さんと言う方は優しそうに見えて本当は怖い人なのだろう。
「そうだ水面さん。きょ、今日は何食べたいですか?」
「え、すごいね。ご遺体はなかったとは言え初の現場後すぐにご飯の話ができるなんて。」
「あ、ごめんなさい。不謹慎でしたか?」
「そんなことはないよ。そうだな。今日はパスタがいいな。」
「わかりました!食べながらさっきの事件で気になったこと聞いてもいいですか。」
「うん。大丈夫だよ。何パスタかなぁ~。楽しみだなぁ~。」
やっぱり掴めない。
「ど、どういうことですか?って、詳細聞いてもいいんですか?」
『水面さんの助手さんなんですよね?はい、大丈夫ですよ。』
「うん、今後のためにもつばめくんも知っておいたほうがいいかもね。」
「では、お願いできますか・・・」
詳細はこんな感じだった。
父子家庭でありながら、父親から日常的にDVを受けていた少女は義務教育のメリデメ発現確認期間より先に自身のメリデメの詳細に気がついた。
メリデメの内容は触れた対象を移動することのできる移動系。
そのメリデメを使用して反撃することはせず、発現確認期間は自身のメリデメを偽り、触れた相手の怪我を自身に移すという完全回復が可能な特異系としてやり過ごした。
その後も自身のメリデメである移動系を鍛え続け、より正確に傷を移動できるようになり、聖女として有名になっていく。
30年後、聖女の力を聞きつけて診療に来たのが、父親だった。
父親は聖女が自身の娘であることはわかっておらず、それに気付いた彼女が復讐を決意。
今まで自身に移動させていた傷をすべて父親に増やし、そのまま殺害。そのまま自身の移動系のメリデメで死体を移動させ遺棄。
「それかなりニュースになってましたよね。俺でも知ってます。聖女の殺人事件みたいな感じで報道されてましたよね。」
『ま、割と有名な事件だよね。』
「その事件、僕が担当したからね。」
「え、水面さんが担当だったんですか?」
「そうだよ。さらに言えば宇田津くんも担当だったんだよ。」
『そうだよ。意外とすごい人なんだよ。私達。』
「すげー。」
「ま、こんな感じで被害者・容疑者のメリデメが事件に関与していないのに、メリデメによって殺害が行われるケースと言うのは存在するんだよ。」
「あ、でもそう考えると、今回の溺死も移動系なら割と簡単にできるんじゃないですか?液体を肺に送って、亡くなったのを確認した後に送った水を取り出せばいいんじゃないですか?」
「つばめくん、それは不可能だよ。いや不可能に近いね。」
「どうしてですか・・・?いい線いってると思ったんですけど。」
「まず移動系は基本的に触れてないと対象を移動できない。例外はあるけど基本的には触れてないとダメだね。」
「触れれば移動できるんですよね?なら肺に液状のものを送ることくらいはできるんじゃないですか?」
「まずは肺の中の水をどうやって取り出すかだ。発見時には肺の中に液状のものはなかったと言っていた。仮に移動系で液状のものを肺に移動できたとしても、取り出すことができないんだ。」
「な、なるほど・・・。」
「加えて言えば、移動系は触れた対象物だけを移動させるわけじゃないんだよ。」
「どういうことですか?」
「移動系は基本的に、触れた対象を囲むようにした四角形の範囲ごと移動させるんだよ。ま、これも例外は存在するんだけどね。仮に肺に液状のものを移動できたとして、範囲の都合上、これも取り出せない。」
「新事実です・・・。」
「あとこれが一番重要で、移動先の場所の指定が困難であると言う点だね。移動系はそもそも移動先の情報が必要になるんだよ。目視では確認できない、更に加えて体内と来た。仮に人の体を貫通するような移動なら可能だけど、そうじゃないならほぼ不可能に近いね。」
「移動系ではできない理由がわかりました・・・。教えていただきありがとうございます。」
「いやいや意見助かるよ。割と見落としから事件解決につながることも少なくないからね。」
『なら操作系ならどうだい?」
「なんだ、宇田津くんも質問するのかい?確かに一番可能性が高いのは操作系だね。でもそれもまだ確定ではないね。」
『どうしてだい?』
「荒らされた痕跡が無いからですか?」
「お、つばめくん。いいね。その通りだよ。全く荒らされた痕跡が無い。仮に操作系保有者が殺しをしたのであれば、顔を水で覆うようにするだけで済む。それをざわざわ肺に送り込んで溺死させている点が引っかかるね。。金品などが荒らされた痕跡が無いのはそもそも殺しだけが目的だったから。」
「つまり被害者が寝ているときなど、無防備な状態で襲われた。だと親しい仲であったということでしょうか?」
『なるほど。佐々木くん被害者の関係者を洗い出してくれ。親戚や直近の交友関係。恨みを持たれるような言動がなかったかも調べてほしい。』
『ハッ!』
佐々木と呼ばれた警官はきれいな敬礼として、走って出ていった。つまり宇田津さんの部下にあたるのだろう。警察の上下関係は厳しそうだ。
「よし、つばめくん。帰ろうか。」
「え?もう帰るんですか。」
「うん。今はこれ以上介入できないからね。また呼んでね宇田津くん。」
『あぁ、今日はすまないね。また連絡するよ。燕くんもまたよろしくね。今日はありがとう。』
「はい!またお願いします。」
初めての事件現場はほぼ何もすることなく終わってしまった。幸いにもご遺体は現場にはなかった。あったら気が動転していたかもしれない。でもかなり緊張した。警察の方と話す機会もそうそうに無い。そして冷静さの中にもあるあの冷徹さ。宇田津さんと言う方は優しそうに見えて本当は怖い人なのだろう。
「そうだ水面さん。きょ、今日は何食べたいですか?」
「え、すごいね。ご遺体はなかったとは言え初の現場後すぐにご飯の話ができるなんて。」
「あ、ごめんなさい。不謹慎でしたか?」
「そんなことはないよ。そうだな。今日はパスタがいいな。」
「わかりました!食べながらさっきの事件で気になったこと聞いてもいいですか。」
「うん。大丈夫だよ。何パスタかなぁ~。楽しみだなぁ~。」
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