【更新停止中】残された者に祝福を

鳥居之イチ

文字の大きさ
19 / 35
第二章 それは自殺かそれとも他殺か

017

しおりを挟む
 「まずはごめんなさい。勝手に説明した気になってたよ。」

 「いえ、謝らないでください。聞かなかった俺も悪いです。」

 「聞けなかったんだよね。つばめくんは優しいから、無意識に僕はそこに漬け込んでいたのかもしれない。」

 「別に俺優しくなんて無いですよ。」

 「今もそうやって謙遜するだろ。優しんだよ。」




 気恥ずかしい。
 そんなに優しいって言わないでほしい。



 「つばめくんはほぼ母子家庭だったよね。甘え方とか知らないし、いつも僕の機嫌とか気にしながら生活してるよね。」

 「いや俺もうすぐ二十歳ですよ。今更甘えたりしないですし、機嫌を伺うなんて当たり前じゃないですか?」




 正直に言って甘え方はわからない。
 母と暮らしていたときは、仲は良かったけど、負担をかけたくなくて悩み事なんて言わなかった。お金だって負担になりたくなくて中学のときから新聞配達のバイトをしていたし、高校に入ってからは掛け持ちも始めた。
 働き始めてからは当然クレームをもらう日もある。
 そんな経験から機嫌を取るなんて当たり前にしてきた。




 「つばめくん、それは当たり前ではないんだよ。」

 「・・・・・。」

 「つばめくんは自分が思っている以上にすごい人だよ。」

 「あ、あの・・・・恥ずかしいです。」

 『ちょっと!イチャつくために時間作ったんじゃないのよ!ちゃんと話なさーーい!』



 宇田津さん、奥の部屋に入ったと思ってたけど、こっそり聞いてたんだな。
 いや心配してくれてたんだな。
 言うだけ言って、奥の部屋に戻っていった。
 ていうか、本当にあの時と同じ警察なのか?喋り方も違うし・・・・

 って、そんなこと考えてる場合じゃない。




 「あの説明って。」

 「そうだね。まずは僕のメリットについて説明するよ。」

 「生成系ですよね。」

 「そう。ここで話すのは何を生成できるかってこと。」

 「たしか、系統を判別できるアクリス版とか作ってましたよね。って、あれなんの物質なんですか?生成系って要は物質生成ですよね。」

 「僕が生成できる物質は、ちょっと説明しずらいんだけど・・・・」

 「え、説明してくれるための時間なんじゃないんですか?」

 「いや、そうなんだけどね。難しくてね。簡単にいうと”この世に存在しない物質の生成”だよ。」



 生唾を飲み込んだ。
 そんなメリットが存在するのか?
 でも確かに系統によって放つ色が変わる物質ってなんだ。



 「そんなメリデメ存在するんですか?」

 「まぁそうなるよね。でも事実だよ。」

 「でも手のひらサイズであればいろんなものを生成できるって前に。」

 「それはまぁ嘘ではないよ。生成できる範囲はちゃんと手のひらサイズだよ。」

 「銃とか作れるって・・・。」

 「作れるよ。この世に存在しない物質でね。」

 「チートじゃないですか?」

 「まぁそうだね。僕の想像したこの世に存在しない物質の生成が可能だよ。でもそんなに簡単じゃないんだけどね?」

 「と、いいますと?」

 「僕が想像して生成した物質は、この世に存在したことになるんだよ。つまり想像した同じ物質を量産することはできなんだ。」



 って、ことは基本的に生成したものは一品もの?
 あのアクリル板はこの世に一つしかないのか。
 それであれば、義務教育であのアクリル板がなかったのも納得がいく。
 確かにあれがあれば、すぐにメリデメ鑑定が可能になる。系統だけでも判別できればまだメリデメが発現していない人も、開発期間を短縮できたはず。
 量産できないのは本当なのだろう。




 「では、宇田津さんのアンクレットにはどのような効果があるんですか?」

 「精神干渉系メリットに干渉を受けなくするモノ?だよ。」

 「なんで疑問形なんですか?てか、すごすぎません?」

 「うん、すごいのかな。でももう殆ど作れるものがないんだ。若気の至りと言うか、メリデメの研究成果といいますか・・・・。すでに思いつく限りのものは作成し尽くしちゃったんだよね。あははー。」

 「あははーって、でも理解できます。もし同じメリットを俺が持っていたらすぐに使い切ってそうです。」

 「でしょー。あ、そうそう。だから宇田津くんに触ってもつばめくんのメリデメが発動することはないんだ。」



 納得だ。でもそんな貴重なものを宇田津さんに?




 「質問です。水面さんは宇田津さんになにか弱みを握られてるんですか?」

 「な、なんでそう思うんだい?」

 「いや水面さんのメリデメで生成したってことは一品モノなんですよね?そんな貴重なものを渡すなんて、 よっぽどのことがあるんじゃないかと。」

 「ん~。そうだね・・・。その~・・・」

 『元彼よ。』

 「おい宇田津くん!」

 「え!付き合ってたんですか?ていうかどっから聞いてたんですか!」

 「いや、その付き合ってたって言っても学生の頃の話だし、半年くらいで別れたし、元彼っていうか、ただの同級生だよ。」

 「その割には動揺がすごいような・・・」

 『水面さんの言ってることは本当よ。でも付き合ってたかどうかは怪しいところよね。未だに名字で呼び合う中。付き合ってたときも別に名字だったしね。何も進歩してないのよ。私たち』




 仲良さそうな雰囲気だったけど、過去に付き合っていたのか。
 でも当時から苗字呼びって、なんで付き合ったんだ?ウブ同士だったのか?
 聞きたいことが増えてしまった。



 「まぁ、若気の至りだよね。」

 『ちょっと!私と付き合ってたことを黒歴史みたいにしてない?』

 「してないですよ。」

 「まあまあお二人もと、そのへんにしてください。ちょっと色々と聞かせてください。」




 その後、様々なことを聞かせてもらった。
 二人が付き合ってたのは大学生のとき。
 好き同士で付き合ったわけではなく、水面さんが宇田津さんを守るために偽装で付き合っていたとのこと。
 守るとは、宇田津さんの心理的距離の改ざんを利用しようとした者たちからそれらを防ぐため。
 利用は、好きな人が親友に取られた。だから別れさせてほしい。であったり、好きな人がいるから、付き合えるようにしてほしい。など大学生らしい欲望であるということ。
 ずっと守られるのは嫌だと感じ、宇田津さんは警察を志願したとのこと。
 半年で別れたのは、付き合い始めて5ヶ月過ぎたあたりから宇田津さんへのメリットの依頼はなくなったからとのこと。
 別れてからも、腐れ縁のような関係で、宇田津さんが警察として事件を任されるようになってからは、度々水面さんに調査協力を依頼するほどには仲が良いらしい。
 極稀にサシ飲みに行くのだとか。




 「って、え?水面さんって飲みとか行くんですか?」

 「僕だってそれくらい行くよ。付き合いだからね。」

 「ご飯も食べるんですか?」

 『食べないよ。飲むだけ。』

 「ちょっと宇田津くん、答えなくていいよ。恥ずかしいな。」




 やはり水面さんはご飯を食べないのか。
 尚更俺の作ったものだけ食べる意味がわからない。



 「もしかして、水面さんがご飯食べない理由ってデメリットが関係してるんですか?」

 「つばめくん。これは注意だけなんだけど、デメリットに関する質問はNGだよ。これは僕だけじゃなくて、保有者全員にだよ。」

 「すみません・・・・。質問です。デメリットに関する質問をなぜしてはいけないんですか?」

 『それがその人にとっての最大の弱点になるからだよ、つばめん。だから私も私のデメリットに関しては教えないし、つばめんのデメリットを聞こうともしない。デメリットに関する質問はご法度だよ。気をつけてね。』

 「わかりました。かなり理解できました。ありがとうございます。」

 『さて、つばめんと水面さんの話もだいたい終わったし、訓練と行こうか!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...