【更新停止中】残された者に祝福を

鳥居之イチ

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第二章 それは自殺かそれとも他殺か

025

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 「ぐわぁっ!」



 俺は思いっきり地面に叩きつけられた。
 「ほら、ちゃんと受け身取らないと痛いだけだよ。」とそうさも当然のように佐々木さんは俺に対して言い放つ。
 かれこれ3週間、毎日佐々木さんと稽古という名の戦闘訓練と称して、合気道を習っているが、一本を取るどころか、技をかけることすら出来ていない。
 剣道という手もあったが、武器がない状態で襲われる可能性を考え、合気道になった。空手や柔道じゃないのは、単に佐々木さんや稽古をつけてくれるカイトクの皆様の中に有段者がいて、稽古を付けやすいから。からだそうだ。



 『そう言えば今更だけど、触れ合うようなことして大丈夫なの?』

 「それなんですけど、メリットの名前を決めてからは、オンオフをできる自在にできるようになった気がするんです。でも水面さんには念の為ってことで宇田津さんのアンクレットをお借りしているんです。」



 「ほらこれです!」といいながら、裾を捲し上げ佐々木さんに見せた。
 脚を見た佐々木さんは納得した表情もしたが、まじまじと俺の脚を舐め回すように見てきた。そう言えば俺に対して特別な感情と抱いているって水面さんが。
 もしかして今、いやらしい目で見られてる?



 「み、見すぎです!」と恥ずかしいんです。と言わんばかりに佐々木さんを睨みつけならが言った。
 佐々木さんはおどおどしながら、手と首を振って誤解だと叫んだ。



 『違うよ!脚細いなって思って・・・』

 「やっぱりいやらしい目で見てるじゃないですか!」

 『違うって!踏ん張りがきかないんじゃないかと思ったの!それで脚の形状を見ながらトレーニングメニューを考えてただけ!
 ボクそんな目で火野くんのこと見てないから!
 水面さんが変なこというから・・・。火野くんも変に意識しなくていいからね。』



 佐々木さんとほぼ毎日一緒にいるからか、徐々に俺に対する言葉が砕けてきたように思える。そんな些細なことに喜びを覚えながらも、佐々木さんの俺に対する感情を知りたいと思うようになってきた。




 「さ、佐々木さんの俺に対する感情がなんなのか教えてもらえたり出来ますか?今後勘違いしたくないですし、気まずい空気になるのもさけたいです・・・」

 『・・・そうだね。ボクから一本取ったら教えてあげるよ。』

 「言いましたからね。」




 その言葉を合図にするかのように、俺は佐々木さんに技をかける。
 が、気づいたときには天井を見ていた。
 背中に痛みが走る。




 『まずは受け身を取れるようになるところからかな。
 今日はここまで。事務所まで送っていくから準備しておいで。』

 「本日もありがとうございました。
 今日はなにか食べたいものとかありますか?水面さんから今日はリクエストがなくて、何作ろうか悩んでいたところなんです。
 あ、今日のお弁当どうでしたか?美味しかったですか?」

 『リクエストがないなんて珍しいね。今日も美味しかったよ。いつもありがと。
 そうだね。今日はキャベツとか野菜が食べたいかな。
 でも火野くんが作ってくれるなら何でも嬉しいよ。』

 「なんか忙しそうにしてて、声かけづらかったんですよね。
 キャベツですか・・・ロールキャベツとかどうですか?」

 『いいねロールキャベツ、楽しみだ。
 どうするスーパーに寄る?』

 「はい、お願いします!」




 こんな会話も慣れたものだ。
 佐々木さんが俺の監視員をするようになってからは、殆どの時間を佐々木さんと過ごすようになった。
 ご飯はもちろん、外出する際はいつも一緒にいる。
 俺にお兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうか。なんて思うこともある。
 実際周りからどのように見られているかなんてわからないが、実の兄のように慕っている。
 ていうか、佐々木さんもSランクなんだよな?それで監視員が水面さんって聞いたけど、ずっと一緒にいるわけじゃない・・・。特定の手順を踏むと、監視員を付けなくても良くなるのだろうか?



 「佐々木さん、質問いいですか?
 佐々木さんの監視員は水面さんってお話でしたけど、常に一緒にいるわけじゃないですよね?監視員を付けなくてもよくなる条件とかあるんですか?」

 『あ、やっぱり常に一緒にいるのは嫌だよね。ごめんね。仕事だから許して。
 ボクの場合は警察になったからって感じかな。カイトク配属することを条件に水面さんの監視は解かれたんだよね。』

 「全然嫌じゃないです!
 仕事とは言え、ずっと俺といるのが逆に申し訳なくなってきてまして。
 なるほど国に管理されている職に付けば、佐々木さんも俺の監視をせずにすみますか?」

 『火野くんの場合はどんなに頑張っても監視が付かなくなることはないかも・・・。
 火野くんのメリデメが特殊中の特殊だからね。現時点では断言出来ないかな。
 監視員の変更希望があれば言ってね。』

 「いやいやいや、俺の監視員は佐々木さんがいいです!
 ありがとうございます!」



 佐々木さんはすこし嬉しそうな表情を見せた。
 少しでも負担を減らすために、はやく強くなろう。





*   *   *



 スーパーに寄って事務所に戻り、ロールキャベツとポトフを作り始めた。
 リビングにはすでにまだかまだかと言わんばかりに水面さんと宇田津さんがブーブー言いながら待っている。そんな二人を横目に佐々木さんはテーブルの準備を手伝ってくれている。
 佐々木さんはともかく、なぜ宇田津さんも当然のように食卓に座っているかというと「私の部下が居るなら行く。ついでに食べてあげてもいい。」などといったとんでもない理由から食卓を共に囲むようになった。
 二人とも佐々木さんを見習ってほしいものだ。水面さんはまあ食事を提供することが俺の仕事みたいなところもあるから別にいいけど、食べるだけ食べて何もしないのはどうかと思う。
 でも食卓を楽しく囲めているこの現状だけで嬉しいのだから、直接文句なんて言わない。なんならお弁当も毎回残さず食べてくれるから追加で嬉しいものだ。
 佐々木さんが監視員を務めるようになってからは、毎日会うことになったため、月水金だけだったお弁当はほぼ毎日作成することになった。
 そこでも水面さんと宇田津さんが一悶着あったみたいだが、俺と佐々木さんは見て見ぬふりをしていた。最終的には水面さん限定でおやつをつけることで水面さんは納得?したようで、それからはごはん作りと戦闘訓練。そして簡単な事務作業をすることで毎日が過ぎている。

 あぁ、こんな日常が毎日続けばいいのに。

 出来上がったロールキャベツをキッチンからリビングに運ぼうとした時に、ドンッ!とリビングの机が叩き割られた。
 急な出来事に何も出来ずにいると、水面さん、宇田津さん、佐々木さんが俺をかばうように陣取っている。



 「いてててててっ。あの野郎テキトーに飛ばしやがったな。」
 「ほんと雑!もう少し優しくしてくれてもいいのにね!」
 「うるさいぞお前ら。それで、8thの言ってた14番目の仲間ってのは、お前か?」



 白のローブに身を包んだ3人が急に現れた。
 皆フードを被っていて、顔は見えない。
 が、口ぶりからしてすぐにこいつらが誰かはわかった。




 「・・・円卓の使者ッ!!」

 「俺等のこと知ってんの?有名人じゃん。すげー」

 「最近じゃ噂にもなってるみたいよ。」

 「どうでもいい。おい!その一番うしろに居るやつ。お前に用がある。
 なぁ?俺等といっしょに来ねーか?」
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