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第4話 稽古をつけてもらいました
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「俺が討伐遠征に参加ですか……?」
先日依頼を受けた各種属性付与を三十本ずつと三百本の剣の修理が終わった頃にエリース第一騎士団団長が急に俺の仕事部屋に訪れたかと思えば、次の討伐遠征に参加してほしいと依頼を受けた。
今までこの手の依頼を受けたことはなく、判断に困るというのが正直な気持ちと回答だ。
そもそもなぜ俺にそんな依頼をするのだろうか。俺の所属するサポート部魔法付与課はその名の通りサポート専門の部署だ。魔物の討伐遠征に出向くのは騎士団の要である魔物討伐部隊と医療班のこの二つの部署だ。前衛は魔物討伐部隊に所属する騎士が行い、後方支援として医療班が常に騎士たちに回復魔法を掛け続ける。この形が基本となり、長期の遠征であったり、目的の場所まで距離のある討伐遠征の場合はこの二つの部署にプラスして索敵や目的地までの安全を事前に確保する調査部の人間が加わることはあるのだが、それでもサポート部の人間が討伐遠征に加わったことは今までにないことだ。
「ど、どうして俺が討伐遠征に参加なんですか?。サポート部の人間が討伐遠征に参加したことがあるなんて聞いたことないですけど……。」
「過去に事例がないなら作ればいいだけじゃないか。」
「いや、そういうことではなくてですね。俺はサポート部の人間ですし、俺に剣の才能がないことはエリースさんが一番わかってると思うのですが……。」
当然ともいえる疑問をエリースに投げかけた俺であったが、エリースはその疑問を待っていたとでも言わんばかりに言い返してきた。
「俺はトーラスの実力を認めているつもりだ。魔法付与だけではなく、この国で唯一武器や備品の修理を行うことが出来るお前の実力をだ。それに先日折れに簡易ながらも回復魔法を施したな。簡易であっても回復魔法が使える人間はそういない。そんななんでも器用にこなすお前を討伐遠征に連れて行かない理由がないだろ。」
エリースは俺のことにもかかわらず、さも自分のことを自慢するかのような口調で俺にドヤ顔を向けてきた。
本人からそう聞いた訳では無いが、おそらくエリースは俺のことを本当の息子のように思ってくれているのだろう。俺が騎士団に入隊した際に何度も周りの騎士たちに自慢して言い回っていたのを俺は知っている。
俺が一歳のときから俺を騎士団に勧誘しようと何度も声を掛けてきたのだ。きっと俺の成長が本当に嬉しかったのだろう。剣術の才能はなかったものの、サポート部に所属した際もご飯に連れて行ってくれたり、俺のことを気にかけて他の騎士に任せればいい修理が必要な剣や魔法付与が必要な剣を俺の仕事部屋まで運んできてくれるのだ。
嬉しくないわけではない。
俺も本当の親ではないとは理解しているのだが、エリースの気持ちに答えたいと思うこの気持ちはきっとホンモノの息子と同じ気持ちだと思う。
「……エリースさんがそこまで俺を推してくれるなら。」
「良い回答が聞けると思ってたよ。」
「でも俺は知っての通り、剣は扱えないんですが役に立てますかね?」
「トーラスにはサポート部らしく、サポートに徹してもらう予定だ。一応構想として——」
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □
今回の討伐遠征は約三週間ほどの中距離の討伐遠征らしく、俺が討伐遠征に参加すると決まってから一週間後の出発となった。
その間俺は自分の仕事をこなしつつ、一応残業扱いであるのだが勤務時間外にエリースとサジに特別稽古を付けてもらっていた。エリースもサジも自身の仕事があるだろうし、二人とも討伐遠征に参加するため事前準備等で忙しいかと思うのだが、俺のために時間を割いてくれるのは本当にありがたいことだ。
稽古の内容はエリースとサジが魔物の名前を読み上げ、俺がその魔物が苦手とする属性の魔法を二人の剣に付与するというものだった。ただ単に属性魔法を付与するだけなら普段の業務としてやっていることのため、そこまで難しいことではないのだが、この稽古の目的は二つ。
一つ目は討伐する魔物に応じて瞬時に騎士の持つ剣に付与する属性魔法を切り替えるというものだ。
討伐遠征は何も一種類の魔物を討伐しに向かうわけではない。魔物はいくつもの種族が隊を成して国や周辺の村を襲ったりしているため、討伐遠征時は同時に複数の種族の魔物を相手にするのだ。そのため騎士たちは本来腰にさげている二本の剣に別々の属性を付与させた状態で戦うのだが、弱点属性ではない魔物を相手にする場合は他の騎士とスイッチするようにして戦う。
しかしこれではすべての属性を網羅できるわけではないし、その騎士が怪我を負って後退した場合はその間、弱点ではない属性で戦い続ける必要が出てくる。
そのために騎士たちは自分専用の剣だけではなく、サポート部魔法付与課の人間が属性付与を行っている汎用型の剣を使用し戦うのだが、それでも限界は訪れる。
そんな騎士たちの負担を軽減するために、騎士たちが使い慣れている自分専用の剣に俺が属性付与をすれば、それだけで戦いやすくなるという魂胆らしい。
そして二つ目だが、常に動き続けるモノに属性魔法を付与する訓練だ。この稽古の一番の目的といっても差し支えないだろう。
俺が普段属性付与をしているのは動きのない剣ばかりだ。同時に何本もの剣に属性を付与することはあるが、動きのあるモノに属性付与をしたことはない。騎士は魔物討伐中は常に動き回っているのだから、それに合わせて属性付与を行う必要が出てくる。
今回の稽古はそのための訓練なのだ。
「水スラ、火スラ、土スラ、サラマンダー!」
「キラービー、ナーガ、アイスゴーレム、ハーピー、フリフォン!」
騎士団の騎士候補生コース。この世界でいうところの学校のような場所で得た知識がまさかこんなところで役に立つとは思ってもいなかった。魔物の授業ではそれぞれの魔物が使う属性魔法とその弱点である属性魔法を学んだ。
魔法には対となる属性が存在し、火は土、水は風、風は氷、氷は火、土は水が対となり効果的な属性である。これはこの世界における一般常識なのだが、どの魔物がどんな属性魔法を使用するかに関しては、それを学ぶ必要がある。
俺はその得た知識をふんだんに使用し、エリースとサジが次々と唱える魔物の名前の弱点となる属性を二人の剣に付与していく。
「遅いぞ!魔法を付与するだけじゃなく、攻撃を避けることも考えろ!」
「はい!」
「次だ!ウンディーネ、ドライアド、ガーゴイル、ヒポグリフ、ビックスコーピオン!」
エリースとサジは訓練のため木刀を使用してくれてはいるが、それでも割と本気で俺に対し木刀を振りかざしてくる。俺はそれを避けながら、俺に襲いかかってくる剣に属性の付与を続ける。
「次は避けることに集中しすぎだ!属性付与が遅いぞ!避けるだけじゃなく自身を守る魔法も使え!」
「……はい!」
俺は候補生のときから薄々気づいていたが、エリースの稽古は本当にスパルタだと思う。俺が疲れていようとなかろうと、次々に剣を振りかざしては魔物の名前を連呼する。
サジもエリースになにか言われているのか、一切躊躇することなく剣を振りかざしていく。候補生時代にある程度の戦い方などは学んだつもりだが、数年ぶりの本格的な稽古に体がついていかない。
「お、やってるね。エリース第一騎士団長にサジ第一騎士団副団長。様子はどうですか?」
「これはサシャ第二騎士団団長にエリアス第二騎士団副団長ではありませんか。遅かったですね。」
勤務時間外の訓練所に足を運ぶ騎士は珍しくない。自主練をするために多くの騎士がこの訓練所を訪れるのだ。そのせいで俺のもとに運ばれてくる修理依頼の剣が増えていることは知っているが、国や人々を守っている騎士たちに感謝を込めて、今のところは抗議を入れてはいない。
そんな訓練所で稽古を付けてもらっている俺や第一騎士団のお二人に声を掛けてきたのは、第二騎士団長であるサシャと副団長であるエリアスであった。
所属している騎士団によって使用する訓練所が異なるわけではない。そのため第一騎士団の訓練中に第二、第三騎士団が混ざることがあるのだが、時間外にわざわざ声を掛ける者は少ないだろう。
「こっちも色々あるのよ。次の討伐遠征地までは距離があるからね。それに伴って準備も大変なの!それでその子がサポート部の人間?」
「あ、はじめまして。第一騎士団サポート部魔法付与課のトーラス・オルシルクと申します。」
「こちらこそはじめまして。私は第二騎士団魔物討伐部隊団長のサシャ・リーブラ。こっちは副団長のエリアス・ファージだよ。」
「はじめまして。エリアス・ファージです。いつもウチの騎士団の剣や備品も修理していただきありがとうございます。本来であればもっと早くにお礼に伺うべきところでしたが、第一側ましてやサポート部側の部屋に訪れることはなかなか難しく、このような場での挨拶となってしまいました。申し訳ございません。」
「え!いや、そんな!わざわざすみません……。」
第二騎士団が俺になんの用だろうとは思ったが、修理の件でお礼をいいに来たらしい。俺はこの国で唯一剣や備品の修理をする魔法が使えるため、本来はやらなくてもいい他の騎士団の依頼もこなしているのだ。
「遅かったなサシャにエリアス。それじゃあこれからは四人でやるぞ。」
「え?」
エリースのその言葉を合図に、サシャとエリアスも近くに置いてあった木刀を構えて、俺に振りかざしてくる。
第二騎士団の二人は俺にお礼を言いに来たわけではなく、俺の稽古の相手をするために訓練所に来たようだ。おそらく誘ったのはエリースだろう。エリースは騎士団の中では現在トップクラスの権力を保有しており、第一騎士団の団長だけではなく、騎士団全体の管理までもを行っている。
そんなエリースにサポート部の人間に稽古を付けてほしいと言われれば、断れる人間などそういるわけもない。
「俺、討伐遠征に行く前に死ぬんじゃ…………。」
「なにか言ったか?」
「ほら!よそ見してる暇なんてないよ!」
「土スラ、水スラ、風スラ、火ガエルに土ガエル!」
「悪くは思わないでくださいね!」
その光景は現役の騎士たちもが引いてしまうほどの光景だったようで、巻き込まれたくないがために、訓練所を後にする数名の騎士たちの背中が俺がこの日最後に記憶している光景だ。
先日依頼を受けた各種属性付与を三十本ずつと三百本の剣の修理が終わった頃にエリース第一騎士団団長が急に俺の仕事部屋に訪れたかと思えば、次の討伐遠征に参加してほしいと依頼を受けた。
今までこの手の依頼を受けたことはなく、判断に困るというのが正直な気持ちと回答だ。
そもそもなぜ俺にそんな依頼をするのだろうか。俺の所属するサポート部魔法付与課はその名の通りサポート専門の部署だ。魔物の討伐遠征に出向くのは騎士団の要である魔物討伐部隊と医療班のこの二つの部署だ。前衛は魔物討伐部隊に所属する騎士が行い、後方支援として医療班が常に騎士たちに回復魔法を掛け続ける。この形が基本となり、長期の遠征であったり、目的の場所まで距離のある討伐遠征の場合はこの二つの部署にプラスして索敵や目的地までの安全を事前に確保する調査部の人間が加わることはあるのだが、それでもサポート部の人間が討伐遠征に加わったことは今までにないことだ。
「ど、どうして俺が討伐遠征に参加なんですか?。サポート部の人間が討伐遠征に参加したことがあるなんて聞いたことないですけど……。」
「過去に事例がないなら作ればいいだけじゃないか。」
「いや、そういうことではなくてですね。俺はサポート部の人間ですし、俺に剣の才能がないことはエリースさんが一番わかってると思うのですが……。」
当然ともいえる疑問をエリースに投げかけた俺であったが、エリースはその疑問を待っていたとでも言わんばかりに言い返してきた。
「俺はトーラスの実力を認めているつもりだ。魔法付与だけではなく、この国で唯一武器や備品の修理を行うことが出来るお前の実力をだ。それに先日折れに簡易ながらも回復魔法を施したな。簡易であっても回復魔法が使える人間はそういない。そんななんでも器用にこなすお前を討伐遠征に連れて行かない理由がないだろ。」
エリースは俺のことにもかかわらず、さも自分のことを自慢するかのような口調で俺にドヤ顔を向けてきた。
本人からそう聞いた訳では無いが、おそらくエリースは俺のことを本当の息子のように思ってくれているのだろう。俺が騎士団に入隊した際に何度も周りの騎士たちに自慢して言い回っていたのを俺は知っている。
俺が一歳のときから俺を騎士団に勧誘しようと何度も声を掛けてきたのだ。きっと俺の成長が本当に嬉しかったのだろう。剣術の才能はなかったものの、サポート部に所属した際もご飯に連れて行ってくれたり、俺のことを気にかけて他の騎士に任せればいい修理が必要な剣や魔法付与が必要な剣を俺の仕事部屋まで運んできてくれるのだ。
嬉しくないわけではない。
俺も本当の親ではないとは理解しているのだが、エリースの気持ちに答えたいと思うこの気持ちはきっとホンモノの息子と同じ気持ちだと思う。
「……エリースさんがそこまで俺を推してくれるなら。」
「良い回答が聞けると思ってたよ。」
「でも俺は知っての通り、剣は扱えないんですが役に立てますかね?」
「トーラスにはサポート部らしく、サポートに徹してもらう予定だ。一応構想として——」
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □
今回の討伐遠征は約三週間ほどの中距離の討伐遠征らしく、俺が討伐遠征に参加すると決まってから一週間後の出発となった。
その間俺は自分の仕事をこなしつつ、一応残業扱いであるのだが勤務時間外にエリースとサジに特別稽古を付けてもらっていた。エリースもサジも自身の仕事があるだろうし、二人とも討伐遠征に参加するため事前準備等で忙しいかと思うのだが、俺のために時間を割いてくれるのは本当にありがたいことだ。
稽古の内容はエリースとサジが魔物の名前を読み上げ、俺がその魔物が苦手とする属性の魔法を二人の剣に付与するというものだった。ただ単に属性魔法を付与するだけなら普段の業務としてやっていることのため、そこまで難しいことではないのだが、この稽古の目的は二つ。
一つ目は討伐する魔物に応じて瞬時に騎士の持つ剣に付与する属性魔法を切り替えるというものだ。
討伐遠征は何も一種類の魔物を討伐しに向かうわけではない。魔物はいくつもの種族が隊を成して国や周辺の村を襲ったりしているため、討伐遠征時は同時に複数の種族の魔物を相手にするのだ。そのため騎士たちは本来腰にさげている二本の剣に別々の属性を付与させた状態で戦うのだが、弱点属性ではない魔物を相手にする場合は他の騎士とスイッチするようにして戦う。
しかしこれではすべての属性を網羅できるわけではないし、その騎士が怪我を負って後退した場合はその間、弱点ではない属性で戦い続ける必要が出てくる。
そのために騎士たちは自分専用の剣だけではなく、サポート部魔法付与課の人間が属性付与を行っている汎用型の剣を使用し戦うのだが、それでも限界は訪れる。
そんな騎士たちの負担を軽減するために、騎士たちが使い慣れている自分専用の剣に俺が属性付与をすれば、それだけで戦いやすくなるという魂胆らしい。
そして二つ目だが、常に動き続けるモノに属性魔法を付与する訓練だ。この稽古の一番の目的といっても差し支えないだろう。
俺が普段属性付与をしているのは動きのない剣ばかりだ。同時に何本もの剣に属性を付与することはあるが、動きのあるモノに属性付与をしたことはない。騎士は魔物討伐中は常に動き回っているのだから、それに合わせて属性付与を行う必要が出てくる。
今回の稽古はそのための訓練なのだ。
「水スラ、火スラ、土スラ、サラマンダー!」
「キラービー、ナーガ、アイスゴーレム、ハーピー、フリフォン!」
騎士団の騎士候補生コース。この世界でいうところの学校のような場所で得た知識がまさかこんなところで役に立つとは思ってもいなかった。魔物の授業ではそれぞれの魔物が使う属性魔法とその弱点である属性魔法を学んだ。
魔法には対となる属性が存在し、火は土、水は風、風は氷、氷は火、土は水が対となり効果的な属性である。これはこの世界における一般常識なのだが、どの魔物がどんな属性魔法を使用するかに関しては、それを学ぶ必要がある。
俺はその得た知識をふんだんに使用し、エリースとサジが次々と唱える魔物の名前の弱点となる属性を二人の剣に付与していく。
「遅いぞ!魔法を付与するだけじゃなく、攻撃を避けることも考えろ!」
「はい!」
「次だ!ウンディーネ、ドライアド、ガーゴイル、ヒポグリフ、ビックスコーピオン!」
エリースとサジは訓練のため木刀を使用してくれてはいるが、それでも割と本気で俺に対し木刀を振りかざしてくる。俺はそれを避けながら、俺に襲いかかってくる剣に属性の付与を続ける。
「次は避けることに集中しすぎだ!属性付与が遅いぞ!避けるだけじゃなく自身を守る魔法も使え!」
「……はい!」
俺は候補生のときから薄々気づいていたが、エリースの稽古は本当にスパルタだと思う。俺が疲れていようとなかろうと、次々に剣を振りかざしては魔物の名前を連呼する。
サジもエリースになにか言われているのか、一切躊躇することなく剣を振りかざしていく。候補生時代にある程度の戦い方などは学んだつもりだが、数年ぶりの本格的な稽古に体がついていかない。
「お、やってるね。エリース第一騎士団長にサジ第一騎士団副団長。様子はどうですか?」
「これはサシャ第二騎士団団長にエリアス第二騎士団副団長ではありませんか。遅かったですね。」
勤務時間外の訓練所に足を運ぶ騎士は珍しくない。自主練をするために多くの騎士がこの訓練所を訪れるのだ。そのせいで俺のもとに運ばれてくる修理依頼の剣が増えていることは知っているが、国や人々を守っている騎士たちに感謝を込めて、今のところは抗議を入れてはいない。
そんな訓練所で稽古を付けてもらっている俺や第一騎士団のお二人に声を掛けてきたのは、第二騎士団長であるサシャと副団長であるエリアスであった。
所属している騎士団によって使用する訓練所が異なるわけではない。そのため第一騎士団の訓練中に第二、第三騎士団が混ざることがあるのだが、時間外にわざわざ声を掛ける者は少ないだろう。
「こっちも色々あるのよ。次の討伐遠征地までは距離があるからね。それに伴って準備も大変なの!それでその子がサポート部の人間?」
「あ、はじめまして。第一騎士団サポート部魔法付与課のトーラス・オルシルクと申します。」
「こちらこそはじめまして。私は第二騎士団魔物討伐部隊団長のサシャ・リーブラ。こっちは副団長のエリアス・ファージだよ。」
「はじめまして。エリアス・ファージです。いつもウチの騎士団の剣や備品も修理していただきありがとうございます。本来であればもっと早くにお礼に伺うべきところでしたが、第一側ましてやサポート部側の部屋に訪れることはなかなか難しく、このような場での挨拶となってしまいました。申し訳ございません。」
「え!いや、そんな!わざわざすみません……。」
第二騎士団が俺になんの用だろうとは思ったが、修理の件でお礼をいいに来たらしい。俺はこの国で唯一剣や備品の修理をする魔法が使えるため、本来はやらなくてもいい他の騎士団の依頼もこなしているのだ。
「遅かったなサシャにエリアス。それじゃあこれからは四人でやるぞ。」
「え?」
エリースのその言葉を合図に、サシャとエリアスも近くに置いてあった木刀を構えて、俺に振りかざしてくる。
第二騎士団の二人は俺にお礼を言いに来たわけではなく、俺の稽古の相手をするために訓練所に来たようだ。おそらく誘ったのはエリースだろう。エリースは騎士団の中では現在トップクラスの権力を保有しており、第一騎士団の団長だけではなく、騎士団全体の管理までもを行っている。
そんなエリースにサポート部の人間に稽古を付けてほしいと言われれば、断れる人間などそういるわけもない。
「俺、討伐遠征に行く前に死ぬんじゃ…………。」
「なにか言ったか?」
「ほら!よそ見してる暇なんてないよ!」
「土スラ、水スラ、風スラ、火ガエルに土ガエル!」
「悪くは思わないでくださいね!」
その光景は現役の騎士たちもが引いてしまうほどの光景だったようで、巻き込まれたくないがために、訓練所を後にする数名の騎士たちの背中が俺がこの日最後に記憶している光景だ。
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