枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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陰間はツラいよ!?

淫華❁✿✾ ✾✿❁︎

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 ────目の前で繰り広げられる光景は、もはや男と女の交わりそのものだ────


 最初こそ背中を向けて木偶の坊でくのぼうみたいに突っ立っていた俺だけど、咲華の牡丹に腕を引っ張られると、あっけなく腰を抜かしてへたり込んだ。そして、否応なしに二人のしとねを見せつけられる。

 それはまるで、どこか画面越しの別次元のことのように思えた。


  ***


 水音を立てて貪るように繰り返される口づけ。唇だけでなく頬や顎・首筋まで、まるで捕食するように互いを求め合う。

 次第に牡丹の顔が寛永と呼ばれた僧侶の胸に届き、その名の通り、赤い牡丹の花弁に似た薄い舌を這わせていく。寛永もまた、少しずつ体をずらして牡丹を下腹部へと誘いながら、その背中へ唇を落とした。

  「あぁ、そなたの舌はビロウドのようじゃ。もっと、もっとへのこに絡ませておくれ」
 しとねに入るまでは僧侶らしい高尚さを残していた寛永が、己の欲を満たさんと猛り狂う獣に見える。

 牡丹は返事の代わりに舌を突き出し、寛永の裏筋を舐め上げた。そして口の内へ全てを迎え入れると、両の手も使ってぐちゅぐちゅと淫らな音を立てた。

 暗がりに一つある小さな行燈の火が牡丹の口元を照らし、牡丹が頬張る寛永の茎がたっぷりと濡れて光るのが見える。

  寛永は堪らず腰を緩やかに前後させながらも、口に通和散を含み、菊座を濡らす準備に入った。

  「もう、もうそこで」
 口から左手のひらへ、どろりと溶けた通和散を吐き出し、右の手のひらは慰めるような手付きで牡丹の下顎から頬を撫でた。
 牡丹は頬を上気させ、顔に満開の花を咲かせる。

 再び深い口づけ。
 しかし次の瞬間、牡丹の体は寛永により逆さに持ち上げられた。腕と胸の上半分だけが赤い三つ褥三層の布団に残され、膝を曲げて立っている寛永に腰を支えられ、吊り下げられている。
 着ていた幾重かの着物は上半身にずれ落ちて集まり、形の良い白いしりが浮いて見えた。
 およそ無理ともいえる体勢だか、牡丹はいといもせず、その背中は美しい曲線を描いている。

 寛永は菊座に通和散を塗り込むと、指で確かめることもせず、大きく張りつめた茎を性急に根元まで押し込んだ。
 だが、牡丹が苦悶の色を見せたのは一瞬で、すぐに甘い声で寛永の名を呼ぶ。
 寛永は立ち上がったまま、その声に答えるように激しく己を打ちつけた。

 奥の鏡には牡丹のへのこが映っている。痛いほどに立ち上がり、鈴口からは蜜を垂らしていた。
 寛永が打ちつけるたびに茎はぶるんと揺れ、透明な蜜が褥や牡丹の腹に飛び散っていく。

  「ああ、寛永さま、はぁ·····あ、あ、ん·····っ」
 牡丹が涎を垂らしながら嬌声を上げる。その声を聞くと、寛永の動きはますます激しくなり·····やがて達した。

 牡丹と寛永、二人は重なって赤い褥に伏して、これで終わったのかと思った。しかし、寛永は牡丹の肘を引き、背中を見たまま膝の上に乗せると、茎を抜くことなく、体を上下に揺すり始めた。

 牡丹の茎は先ほどと同じく、触られてもいないのに天に向かってそそり立ち、血脈の流れをくっきりと現している。
  「アンッ、ンッ、寛·····えぇ様ぁ。足りませぬ。まだ奥に足りませぬ。どうぞ私の中へ·····ヒッ、あ、あ·····ふ、アアッ!」

 再び牡丹は嬌声を上げるが、その目は真っ直ぐに観劇者おれを見据えている。
 そう、牡丹は心まで情事に溺れてなどいない。この場にあってもなお、誇り高く「演じて」いるのだ。


  ***


 ────ああ、これは舞台と同じなんだ。


 目の前の情交が汚らしく見えたのは最初だけ。獣のようにまぐわいながら互いを貪る姿は淫靡だけれど美しい。
 それは牡丹がこれを仕事として全うしているからだ。牡丹にとっては舞台も褥仕事も、勝負を同じに賭ける場所なのだ。勿論、なずなも、他の陰間達も。

 客は気づいているのだろうか。陰間達が体と心を賭けた舞台に。いや、気づいていたとしてもいなかったとしても、満足しているんだ。 ここで自分の欲を吐き出し、受け入れられ、そして最後に肌と肌とをぴったりとくっつけて癒されて帰る。

 ここはそういう場所なんだ。

 見世で華屋の舞台を目の当たりにした時と同様に、俺の胸に迫りくるものがある。心臓は痛いくらいに脈打っていた。

 ────でも。

 
 同時に、やはり自分には無理だと強く思い知らされる。俺にはこの舞台をり通せるだけの器も気概もない。
 褥の最後、咲華が爆ぜた華の白い蜜からは、目をそらしてうなだれることしかできなかった。

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