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出逢いと因果
涙
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保科様の屋敷で世話になってニ週間が過ぎた頃、女将が俺の様子を見に来た。
出迎えて一番、女将はホウッと感嘆の声を漏らした。
「短期間で随分垢抜けたものだね。色も増してきたようだし、準備は進んでいるようじゃないか」
「そうかな。自分じゃわからないけど……」
とはいえ、稽古で叱られることがなくなってきたのは事実だ。そろそろ華屋の全体稽古に入っても問題はないだろうと、師匠が保科様に伝えているのも聞いた。
そして、毎夜のスキンシップ。
毎夜達し合うわけじゃないけれど、裸で抱き合い、互いに触れ、キスをして眠る。恋人同士の睦事に近いそれは、確実に俺を乙女へと近づけているんだから。
「よし、あと七つだね」
「えっ」
「あとで七つで帰るのを許可しよう。それで最後は権に仕上げをさせて、次の七つ先で水揚げだ」
それって……!?
「待って。仕上げってなに? もしかして本番が権さんが最初ってこと? で、すぐにデビューなの?」
「本番? でびゅー? お前の故郷の言葉は方言がきついねぇ。ともかくだ。知ってるんだろう?
保科様は仕上げまではされないから、あとは他の陰間と同じに金剛に任せるんだよ。だいたい仕入れだけでも保科様のお世話になれたのが滅多なことなんだからね。重々お礼を言うんだよ」
それだけ言うと、女将さんは華屋に戻った。
遊女の場合、水揚げ時に本当の「処女」であることが必須だけど、陰間の場合は入りにくい菊座を受け入れ万全にしていなければならず、茶屋の関係者により挿入を一度済ませておくのが常例だ。それを「仕上げ」と言うのだと、確かになずなに習った。
わかっていたことだ。この幸せな毎日には終わりがある。
決意していたことだ。俺は陰間として生き、芸の世界で身を立てるんだって。
なのに、なぜ心が苦しいんだろう。
────他の男に抱かれたくない……。
「だめだ」
しっかりしなきゃ。
ここまで保科様が俺の為に時間を割いて下さったのを無駄にしちゃ駄目だ。思いが通じることが一生ないなら、せめて失望されたくない。
陰間でも芸の世界でもナンバーワンになるって約束したんだ。必ず一番になって、俺が保科様を好きだって言ったことを誇りに思ってもらうんだ……!
夕刻
保科様が邸にお戻りになり、身の回りのお世話もするようになっていた俺は、保科様の背中を流しながら昼に女将が来たことを伝えた。
「あぁ、私も華屋を回った時に話しをしたよ。悠理、おめでとう」
「……」
おめでとう、の言葉に複雑な気持ちがよぎり、言葉に詰まった。
「そんな顔をするんじゃないよ。とうとう大華への一歩を踏み出すのだ。私にそれを魅せてくれるんだろう?」
顎から頬に、湯で濡れた手が優しく滑る。
「……はい! もちろんです。保科様と一緒に過ごした時間が楽しすぎて少し感傷的になっただけです。俺、ちゃんとやりますから! 見ていて下さい。絶対ナンバーワンになりますから!」
上手く笑えているだろうか。声は震えていないだろうか。
「ああ、信じているよ……また、時々は様子を見に行くから、寂しいとは思うな」
時々様子を……他の陰間や遊女と同じように……。
バシャ!
風呂桶の湯を自分の顔に浴びせて、こみ上げてきた涙を隠す。
「百合?」
「あは、なんか顔が痒くなって! やだな、目に湯が入っちゃった。すいません、拭いてきます!」
しとやかな所作を心がけているのに、落ち着き無く音を立てて風呂場の前室に戻った。掴んだ手拭いを目に押し付けて涙を止めようとしても、全然止まらない。
「う~~~~」
俺は、必死に声を押し殺して泣いた。知ってか知らずか、そのあいだ、保科様は前室には入っていらっしゃらなかった。
その夜から、俺は保科様と休むのを断った。
「少しずつ一人に慣れないと。後ろも充分解れたし、もう自分でもできますから!」と、カラ元気に笑って。
保科様は「そうか」としか言わなかった。
恋しさという欲を持て余した俺は、稽古と勉強に打ち込んだ。
女中さん相手に女形言葉の練習にも励んだし、食べ方なんかの普段の立ち居振る舞いにも気を配った。そうするとどんどん自信がついてくる。気持ちも強くなる。
────大丈夫。きっと笑ってデビューの日を迎えられる。見てろよ、江戸で絶対ナンバーワン取ってやる!
華屋に戻る日を明日に迎えた日の夕刻も、花を活けながら、既に何度も繰り返した思いをまた何度も何度も心で唱えていた。
大丈夫。俺はやれる。必ず大華になる。
「~♪願えば、必ず叶うから」
「それを聞くのは久しぶりだな」
わっ。また知らないあいだに背後に保科様。
「お帰りになってらしたんですね。すみません、今日は少し早いっておっしやっていたのにお出迎えに行かず……」
手をついて頭を下げた。
「構わないよ……ほう、見事に活けたな。お前は身につけばなんでもこなせるんだな」
保科様は花を見て顔を綻ばせた。
「ありがとうございます」
「女形の型もすっかり身について。もうどこに出しても恥ずかしくない……とうとう明日だな」
保科様が俺とは逆向きに、床の間の花を見ながら隣に座り、指で花弁をくすぐる。俺も逆向きで、保科様のお顔を見ずに答えた。今にも泣き出しそうで、膝の上の手をぎゅっと握りしめる。
「はい。一ヶ月、お世話になりました」
「うん。良く頑張った。今日は最後に伝えることがあるから、夜に寝所に来なさい」
言葉に肩が揺れる。
保科様は寝所のすぐ近くにはお付きの人を付けないから、本当に二人きりになってしまうのだ。
二人になって、必死に閉じ込めて蓋をした気持ちを抑えられるだろうか。
保科様もなにを考えておられるのか……もし触れられたら俺は……。
おそるおそる顔だけを保科様に向けてみる。
「それは今ここでは……」
「夜に来なさい」
保科様らしからぬ強い言葉にまた肩が揺れる。
保科様は床の間を向いたままで俺を見なかったけど、俺はもう一度頭を下げるしかなかった。
出迎えて一番、女将はホウッと感嘆の声を漏らした。
「短期間で随分垢抜けたものだね。色も増してきたようだし、準備は進んでいるようじゃないか」
「そうかな。自分じゃわからないけど……」
とはいえ、稽古で叱られることがなくなってきたのは事実だ。そろそろ華屋の全体稽古に入っても問題はないだろうと、師匠が保科様に伝えているのも聞いた。
そして、毎夜のスキンシップ。
毎夜達し合うわけじゃないけれど、裸で抱き合い、互いに触れ、キスをして眠る。恋人同士の睦事に近いそれは、確実に俺を乙女へと近づけているんだから。
「よし、あと七つだね」
「えっ」
「あとで七つで帰るのを許可しよう。それで最後は権に仕上げをさせて、次の七つ先で水揚げだ」
それって……!?
「待って。仕上げってなに? もしかして本番が権さんが最初ってこと? で、すぐにデビューなの?」
「本番? でびゅー? お前の故郷の言葉は方言がきついねぇ。ともかくだ。知ってるんだろう?
保科様は仕上げまではされないから、あとは他の陰間と同じに金剛に任せるんだよ。だいたい仕入れだけでも保科様のお世話になれたのが滅多なことなんだからね。重々お礼を言うんだよ」
それだけ言うと、女将さんは華屋に戻った。
遊女の場合、水揚げ時に本当の「処女」であることが必須だけど、陰間の場合は入りにくい菊座を受け入れ万全にしていなければならず、茶屋の関係者により挿入を一度済ませておくのが常例だ。それを「仕上げ」と言うのだと、確かになずなに習った。
わかっていたことだ。この幸せな毎日には終わりがある。
決意していたことだ。俺は陰間として生き、芸の世界で身を立てるんだって。
なのに、なぜ心が苦しいんだろう。
────他の男に抱かれたくない……。
「だめだ」
しっかりしなきゃ。
ここまで保科様が俺の為に時間を割いて下さったのを無駄にしちゃ駄目だ。思いが通じることが一生ないなら、せめて失望されたくない。
陰間でも芸の世界でもナンバーワンになるって約束したんだ。必ず一番になって、俺が保科様を好きだって言ったことを誇りに思ってもらうんだ……!
夕刻
保科様が邸にお戻りになり、身の回りのお世話もするようになっていた俺は、保科様の背中を流しながら昼に女将が来たことを伝えた。
「あぁ、私も華屋を回った時に話しをしたよ。悠理、おめでとう」
「……」
おめでとう、の言葉に複雑な気持ちがよぎり、言葉に詰まった。
「そんな顔をするんじゃないよ。とうとう大華への一歩を踏み出すのだ。私にそれを魅せてくれるんだろう?」
顎から頬に、湯で濡れた手が優しく滑る。
「……はい! もちろんです。保科様と一緒に過ごした時間が楽しすぎて少し感傷的になっただけです。俺、ちゃんとやりますから! 見ていて下さい。絶対ナンバーワンになりますから!」
上手く笑えているだろうか。声は震えていないだろうか。
「ああ、信じているよ……また、時々は様子を見に行くから、寂しいとは思うな」
時々様子を……他の陰間や遊女と同じように……。
バシャ!
風呂桶の湯を自分の顔に浴びせて、こみ上げてきた涙を隠す。
「百合?」
「あは、なんか顔が痒くなって! やだな、目に湯が入っちゃった。すいません、拭いてきます!」
しとやかな所作を心がけているのに、落ち着き無く音を立てて風呂場の前室に戻った。掴んだ手拭いを目に押し付けて涙を止めようとしても、全然止まらない。
「う~~~~」
俺は、必死に声を押し殺して泣いた。知ってか知らずか、そのあいだ、保科様は前室には入っていらっしゃらなかった。
その夜から、俺は保科様と休むのを断った。
「少しずつ一人に慣れないと。後ろも充分解れたし、もう自分でもできますから!」と、カラ元気に笑って。
保科様は「そうか」としか言わなかった。
恋しさという欲を持て余した俺は、稽古と勉強に打ち込んだ。
女中さん相手に女形言葉の練習にも励んだし、食べ方なんかの普段の立ち居振る舞いにも気を配った。そうするとどんどん自信がついてくる。気持ちも強くなる。
────大丈夫。きっと笑ってデビューの日を迎えられる。見てろよ、江戸で絶対ナンバーワン取ってやる!
華屋に戻る日を明日に迎えた日の夕刻も、花を活けながら、既に何度も繰り返した思いをまた何度も何度も心で唱えていた。
大丈夫。俺はやれる。必ず大華になる。
「~♪願えば、必ず叶うから」
「それを聞くのは久しぶりだな」
わっ。また知らないあいだに背後に保科様。
「お帰りになってらしたんですね。すみません、今日は少し早いっておっしやっていたのにお出迎えに行かず……」
手をついて頭を下げた。
「構わないよ……ほう、見事に活けたな。お前は身につけばなんでもこなせるんだな」
保科様は花を見て顔を綻ばせた。
「ありがとうございます」
「女形の型もすっかり身について。もうどこに出しても恥ずかしくない……とうとう明日だな」
保科様が俺とは逆向きに、床の間の花を見ながら隣に座り、指で花弁をくすぐる。俺も逆向きで、保科様のお顔を見ずに答えた。今にも泣き出しそうで、膝の上の手をぎゅっと握りしめる。
「はい。一ヶ月、お世話になりました」
「うん。良く頑張った。今日は最後に伝えることがあるから、夜に寝所に来なさい」
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保科様は寝所のすぐ近くにはお付きの人を付けないから、本当に二人きりになってしまうのだ。
二人になって、必死に閉じ込めて蓋をした気持ちを抑えられるだろうか。
保科様もなにを考えておられるのか……もし触れられたら俺は……。
おそるおそる顔だけを保科様に向けてみる。
「それは今ここでは……」
「夜に来なさい」
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