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陰間道中膝栗毛!?
咲華 牡丹 弐
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牡丹さんが踊り、後ろで俺や他の小花二人が皷や三味線をやる。それが一段落したら酒をついだりしながら札遊びや投扇興。
まさに「Theお座敷」
今日の客は坊さんが二人。一人は牡丹さんの上得意の寛永上人。となると、残るこっちの若い坊さんが俺の客か。
「おお、おお、百合。そなたにまた会えるのを心待ちにしていたぞ。今日は新しく修行に入ったこの隆晃を連れてきた。まだ色を知らぬ初心者じゃ。同じ初心者同士、佳い縁であろう」
寛永上人は既に牡丹さんの腰を抱いて上機嫌だ。言われた隆晃様は顔を赤くして下を向いた。
「寛永様。なんとお恥ずかしいことを申されますか」
頭を丸めたばかりなのだろうか。若い坊さんの頭は綺麗に青く光っていて、初心らしさをより醸し出している。
「隆晃様。百合に御座います。どうぞお顔を見せて下さいまし」
小花の俺は初会でも会話が可能だから、上座からではあるけど、それらしく隆晃様の顔を見て微笑んでみせた。
「隆晃様がそのようなお顔をされたら百合も恥ずかしくなります。初心は悪いことで御座いますか?」
自分で言って、歯が浮きそう。
「……! いや、いや、そなだが恥じることはなにも……! 済まぬ、私が不慣れなばかりに」
隆晃様はかばっと俺の方を向いて立ち上がった。
うおっ。急にびっくりするなぁ……なんだ、体は大きいけど、まだ顔は幼いじゃん。同い年くらいかな? まあ、俺はここじゃ十六設定だけど。
隆晃様は自分の手を腰の横でぎゅっと握りしめて俺を見つめた。
「百合、私で良ければ……いや、私が百合が良いのだ。先日の舞台で百合を見て一目で目を奪われた。私と盃を交わしてくれるか?」
熱い口調に熱い瞳。それに反して震える拳。隆晃様の緊張が伝わる。
なんか、可愛いかも。それに真面目そう。この人となら大丈夫かもしれない。
俺は頷き、牡丹さんと寛永上人、そして女将や旦那、権さんの介添の元、初めての「夫婦固めの盃」を交わした。
それからすぐ。
隆晃様が二回目に登楼した夜のこと。
規則通り、座敷だけを楽しんだ隆晃様と三回目の逢瀬の約束をして店先で背中を見送ったあと、小花部屋に戻った俺は、権さんに預けておいた保科様からの刀を一緒に布団に入れて「いよいよ次なんだ。保科様」と、複雑な気持ちで話しかけながら眠りについた。
それから半時ほどだろうか、いやに体が重くて、なにかがのしかかる感覚がある。まるで金縛りみたいだ。
なに、これ……
怖々目を開けても江戸の夜は暗い。目が慣れるまで時間がかかるし、体は動かないし……
「!!」
金縛りなんかじゃない。
俺は。
小花4人に手足を固定されていた──
「な……に、して」
「お前、目障りなんだよ。ちょっとばかりお綺麗だからって、なぜここまで優遇されてるんだ。私らが小花に上がる為にどれだけ苦労してきたと思うんだい」
憎々しそうに、俺の左腕を押さえる一人が言う。
「そうだよ、私らが嫌な客でも我慢して受けて、何度も何度も体を痛めてきたのはお前みたいな奴の下に付くためじゃないんだよ」
右腕側にいる陰間も、今にも噛み付きそうに言葉を吐いた。
「そんなの……逆恨みじゃないか。殴りでもするつもりか? そんなことしたって……」
「うるさい!!」
話している途中で口の中に手拭いを突っ込まれる。
殴るなら殴れよ! 見た目でわかって問題になるのはお前らだぞ。
…………えっ…………!
小花達は俺を殴らなかった。
でも、代わりにその手は俺の浴衣の帯を解き、胸や下半身にじかに触った。
「ふん、確かに綺麗な体してやがる。なんだって産毛の一本も生えてないんだ」
俺を固定しながらも四人の手はザワザワと俺を撫で確かめる。
……なにが目的だ……。
俺の困惑を汲み取ったのか、一人が片側の口角を上げて不気味に笑った。
「百合、次が初褥だってなぁ。前に権さんと話をしてるのを聞いたけど、お前、指と素股しかやってないらしいね。まったく、どこまで恵まれてんだ……だからさ、私らが汚してやるよ」
「あざみ、言いかたが悪いよ。教えてやる、だよ」
くくく、と足元の陰間が笑った。
「ん、んん……」
手拭いのせいで声が出ない。
こんなの、有り得ないだろ……はっ倒してでも辞めさせないと!
だけど、やはり相手も中身は男だ。四人を相手に、俺は身体を捩ることさえも許されなかった。
まさに「Theお座敷」
今日の客は坊さんが二人。一人は牡丹さんの上得意の寛永上人。となると、残るこっちの若い坊さんが俺の客か。
「おお、おお、百合。そなたにまた会えるのを心待ちにしていたぞ。今日は新しく修行に入ったこの隆晃を連れてきた。まだ色を知らぬ初心者じゃ。同じ初心者同士、佳い縁であろう」
寛永上人は既に牡丹さんの腰を抱いて上機嫌だ。言われた隆晃様は顔を赤くして下を向いた。
「寛永様。なんとお恥ずかしいことを申されますか」
頭を丸めたばかりなのだろうか。若い坊さんの頭は綺麗に青く光っていて、初心らしさをより醸し出している。
「隆晃様。百合に御座います。どうぞお顔を見せて下さいまし」
小花の俺は初会でも会話が可能だから、上座からではあるけど、それらしく隆晃様の顔を見て微笑んでみせた。
「隆晃様がそのようなお顔をされたら百合も恥ずかしくなります。初心は悪いことで御座いますか?」
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「……! いや、いや、そなだが恥じることはなにも……! 済まぬ、私が不慣れなばかりに」
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