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永遠の約束
永遠の約束
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楓に権さんに女将。そしておそらく菊川の社長も……旦那の生まれ変わりなのかもしれない。
記憶がはっきりあるのは楓真だけだけど、何人かが身近で現代に転生してるってことは、保科様だって転生している可能性が高い。
今はまだどこにいるのかも、江戸の記憶があるのかもわからない。
けれど俺が芸能界でナンバーワンになれば思い出してくれるかもしれない。気づいてくれるかもしれない。
もしこの時代にはいなくても、俺がまた生まれ変わって何度でも探す。
夢みたいなことだけど、俺の肉体が現代にあるまま精神が飛んで江戸に存在したことを思えば、それも有り得ないことじゃないと思えた。
でもまずは現世で探し出すんだ。その為に俺は頑張るのみ! 活躍すれば、メディア媒体上を通して俺を見つけてくれるかもしれない。
やるぞ! 現代でも芸能界でナンバーワンになってやる!
まだ専属のマネージャーはつかないけど、複数人見ているマネージャーさんからスマートフォンに送信された明日からのスケジュール、オーディション申し込み一覧、そして寮の鍵。
俺はそれらを確認しながらフラワーアップの廊下を歩いていた。
菊川プロの時とは違い、自分で選べるくらいの数のオーディションがあることに驚き、忙しく画面をスクロールする。
すっかり夢中になっていた俺は、前から歩いて来る二人の話し声が近くにならないとその存在に気づかないほどだった。
──お願いしますよ。インタビューの依頼を断るのも大変なんですから。それに社長やsakusi-doのメンバーも一度ご本人とお会いしたいと何度も……
──だから何回も言ってるでしょ。顔出しはしないって。俺はまだ学生だし、有名になりたいわけじゃないから誰にも知られなくていいんです。
──じゃあ、せめて専属契約の件はお願いできませんか? sakusi-doに下ろして頂いた「永遠の約束」が大好評で、次も「プロデューサーA」の楽曲を希望するファンが多いんですよ。是非次の曲もうちに……
──それについても未定です。俺は作りたい時に作るんで。さぁ、もうこの話は終わりにしましょう
背が高い、スラッとしたモデル体型に、帽子と伊達っぽいメガネで顔を隠した男が事務所の人らしい男に素っ気なく言っている。
随分カッコ良さそうな人だなと思うのと、この声、と思うのは同時だった。
俺はその場で立ち尽くす。
手に持っていたスマートフォンと寮の鍵が手から滑り落ちて、ゴン、ガチャンという音を立てた。
その音で二人が立ち止まり、俺を見る。
事務所の人は首を傾げて俺に寄り、落ちたニつを拾ってくれた。
でも俺はそれを受け取る思考回路もなく、もう一人の男に釘付けになったままだった。
その人もまた、俺を見て足を止めている。
一分……二分はなかったかもしれない。時が止まったような感覚と、空間が逆巻いて過去に引っ張られて行くような不思議な感覚。
頭の中に、最後にあの人と離れ離れになった水の中の光景……橋の上で互いを抱きしめ合う二人……そして「たとえ離れても必ず見つける」と微笑む顔が浮かんで……そして映像は停止した。
「……悠理……?」
声は聞こえなかったけど、唇がそう動いた。
メガネが外され、深い漆黒の瞳が現れる。
通った鼻筋。切れ長の涼やかな、けれど優しさを宿した目元。
あの頃よりは幾分若くは見えるけど、凛とした品のある佇まい。
頭に浮かんでいた映像と目の前の姿が滲むように重なる。
「……保科様……」
名前を呟いた途端に涙が溢れる。
でも、俺はまだ動けないでいた。
嬉しすぎて、感動しすぎて、もうパンクしそうで、どうすることもできない。
その人がゆっくりと近づく。確かめるように、この奇跡みたいな現実を壊さないように。
「悠理」
今度ははっきりと聞こえる、俺を呼ぶ声。
手が伸びて、俺に触れるまであとわずか。
俺はその手を歓喜に震えながら待ちわびた────
終幕
記憶がはっきりあるのは楓真だけだけど、何人かが身近で現代に転生してるってことは、保科様だって転生している可能性が高い。
今はまだどこにいるのかも、江戸の記憶があるのかもわからない。
けれど俺が芸能界でナンバーワンになれば思い出してくれるかもしれない。気づいてくれるかもしれない。
もしこの時代にはいなくても、俺がまた生まれ変わって何度でも探す。
夢みたいなことだけど、俺の肉体が現代にあるまま精神が飛んで江戸に存在したことを思えば、それも有り得ないことじゃないと思えた。
でもまずは現世で探し出すんだ。その為に俺は頑張るのみ! 活躍すれば、メディア媒体上を通して俺を見つけてくれるかもしれない。
やるぞ! 現代でも芸能界でナンバーワンになってやる!
まだ専属のマネージャーはつかないけど、複数人見ているマネージャーさんからスマートフォンに送信された明日からのスケジュール、オーディション申し込み一覧、そして寮の鍵。
俺はそれらを確認しながらフラワーアップの廊下を歩いていた。
菊川プロの時とは違い、自分で選べるくらいの数のオーディションがあることに驚き、忙しく画面をスクロールする。
すっかり夢中になっていた俺は、前から歩いて来る二人の話し声が近くにならないとその存在に気づかないほどだった。
──お願いしますよ。インタビューの依頼を断るのも大変なんですから。それに社長やsakusi-doのメンバーも一度ご本人とお会いしたいと何度も……
──だから何回も言ってるでしょ。顔出しはしないって。俺はまだ学生だし、有名になりたいわけじゃないから誰にも知られなくていいんです。
──じゃあ、せめて専属契約の件はお願いできませんか? sakusi-doに下ろして頂いた「永遠の約束」が大好評で、次も「プロデューサーA」の楽曲を希望するファンが多いんですよ。是非次の曲もうちに……
──それについても未定です。俺は作りたい時に作るんで。さぁ、もうこの話は終わりにしましょう
背が高い、スラッとしたモデル体型に、帽子と伊達っぽいメガネで顔を隠した男が事務所の人らしい男に素っ気なく言っている。
随分カッコ良さそうな人だなと思うのと、この声、と思うのは同時だった。
俺はその場で立ち尽くす。
手に持っていたスマートフォンと寮の鍵が手から滑り落ちて、ゴン、ガチャンという音を立てた。
その音で二人が立ち止まり、俺を見る。
事務所の人は首を傾げて俺に寄り、落ちたニつを拾ってくれた。
でも俺はそれを受け取る思考回路もなく、もう一人の男に釘付けになったままだった。
その人もまた、俺を見て足を止めている。
一分……二分はなかったかもしれない。時が止まったような感覚と、空間が逆巻いて過去に引っ張られて行くような不思議な感覚。
頭の中に、最後にあの人と離れ離れになった水の中の光景……橋の上で互いを抱きしめ合う二人……そして「たとえ離れても必ず見つける」と微笑む顔が浮かんで……そして映像は停止した。
「……悠理……?」
声は聞こえなかったけど、唇がそう動いた。
メガネが外され、深い漆黒の瞳が現れる。
通った鼻筋。切れ長の涼やかな、けれど優しさを宿した目元。
あの頃よりは幾分若くは見えるけど、凛とした品のある佇まい。
頭に浮かんでいた映像と目の前の姿が滲むように重なる。
「……保科様……」
名前を呟いた途端に涙が溢れる。
でも、俺はまだ動けないでいた。
嬉しすぎて、感動しすぎて、もうパンクしそうで、どうすることもできない。
その人がゆっくりと近づく。確かめるように、この奇跡みたいな現実を壊さないように。
「悠理」
今度ははっきりと聞こえる、俺を呼ぶ声。
手が伸びて、俺に触れるまであとわずか。
俺はその手を歓喜に震えながら待ちわびた────
終幕
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