親友と異世界トリップ

瀬尾

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王とは

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 「でもねっ、リチャードが望むなら何だってするよ?その子の事も守るし親だって見つける。…………それから、……お願い、勘違いしないで、戦うのは好きだけど、…………人を殺すのが楽しいとは思ってないからね……」

 どうやら彼女の気がかりはそのことの様だった。

 ユキは戦う時、ほぼ常に笑っている。先程も、笑いながら山賊達と対峙していた事に気付いたのだろう。彼女のそれはもう癖の様なものだった。

 リチャードが情に深い事は一緒にいれば誰でも気づく。彼に嫌われたくなくて、彼女は必死に言い訳をする。

 他人事では無いカイトは何も言えずにただそれを見つめる。

 不意にリチャードが困った様に笑った。その意味が分からず、困惑する。

 「……確かに君たちは他人には酷く無関心だが、……私にはそうでは無い。……本来なら君たちを諭し、他人に目を向けさせるべきなのだろうけど、私は純粋に嬉しいんだよ。…………私は他人では無いのだろう?」

 そう嬉しそうに笑う彼にカイト達は一瞬言葉を詰まらせ、顔を真っ赤にさせた。彼の笑顔にはそれだけの効果がある。

 「あ、当たり前でしょ!?貴方に私達の全てをあげたかったから、貴方の望みを全て叶えたいと思ったから、私達は此処にいるの!」

 照れて、真っ赤な顔で怒ったように詰め寄る彼女には何の威圧感の欠片も無い。リチャードもそう思ったのか苦笑して彼女を宥める。

 「正直なところ、私は君たちがそのままていてくれる事を願っているんだよ。……そのままなら、永遠に私のものでいてくれるだろう?…………酷く醜い考えだと自覚はしているよ」

 リチャードはそう言い、少し目を伏せた。

 カイト達は、そんな事無い、彼にはそれを望んでいいだけの素質がある、そう言おうとした。

 彼らが口を開けた瞬間、リチャードが顔を上げ、カイト達と目を合わせた。

 「でも、言わせてもらう。……君達は私のものだ。誰にも譲るつもりは無いし、手放す気もさらさら無い。例え君達がどんな人物、人格であっても。…………私は独占欲が強いんだ。君達が誰にでも優しくしていたら、私は嫉妬で可笑しくなる」

 そう言った彼の目は確かに欲に濡れていた。普段の彼との違いに、言い様のない興奮がカイト達をざわつかせた。彼は確かに、カイト達が自分のものだという自覚をしていた。

 支配欲をちらつかせ、カイト達を縛りつけようとする彼の言動に、確かに彼らは優越感を感じた。
 
 彼が、私達の王。

 「…………それでいい。リチャード、君は何も変わる必要は無い。……そのままの君が、俺達の王だ。……一国の王である前に、君は俺達の王だ」

 そう言って彼の前に跪き、手を取り口付けた。

 ここで、カイトは初めてリチャードへの忠誠を形にした。

 それに満足したリチャードは、そのまま自然に話しを変えた。

 先程までの雰囲気は消え、今までの彼に戻る。

 トリップする前の世界のこと、これからの道順、王都の雰囲気、次の街の事。

 話疲れて眠り、翌日を迎えた。

 子供も起きてきて、早速馬に乗って街へ向かう事にした。カイトが赤児を抱き、リチャードに懐いた子供が二人でユキの後ろに乗った。

 何故か赤児の担当はカイトになっていたが、その子は全く手間のかからない子供だった。泣かず、喚かず、愚図らない。死んでいるのかと呼吸器を確かめようとすると目が開いており、こちらを見つめていた。

 不思議と鬱陶しく感じず、自然とカイトは率先してその子の世話を焼いた。

 オムツは要らなくなった布で簡易的なものを作り、食事はお粥の様なものを食べさせた。幸い乳ばなれは終えている様で、食事をきちんと取ってくれた。

 一度ユキに渡そうとした時、カイトの服を握りしめ、頑なにカイトから離れなかった出来事があり、それ以来彼も満更ではない。

 情が湧きそうになっている事をリチャードとユキは気付いていたが、彼自身が気づかないと意味がないと見守る事にしていた。

 オムツを替える時に分かったのだが、赤児は男の子だった。因みに、五歳位の子供は女の子だ。

 馬を使って進む事三日。

 基本的に無表情な赤児はそのままなのだが、五歳位の女の子よく笑う様になった。

 女の子はよくリチャードと遊んだ。ユキはその子に嫉妬仕掛けており、下手に近づいて彼女を傷つけてリチャードを悲しませないためにここ二、三日後ろに控えて様子を伺っていた。

 赤児は相変わらず無表情だ。不思議に思ったカイトが彼を観察し始め、分かったのが、彼にはあまり感情の起伏が見受けられなかった。

 カイトは嫌な予感が頭をよぎり、何故か苛立った。自分の心境の変化に驚いていたが、今はただ街に早く着く様、馬を速めた。

 彼の頭の計算では後数時間で街に着く。

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